上棟時に雨に降られて室内がびしょびしょ消費者センターに相談すべき?【4/6】

こんばんは。さすけです。

一条工務店の上棟時、建築時における雨ぬれに関する3番めの記事になります。冒頭からお読みいただける場合は

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からご覧いただけますと幸いです。前回、前々回は上棟時、建築時に雨に濡れてしまった木材が技術的な観点から大きな問題を生じない理由について説明をして来ました。

しかし、実際に雨に濡れた現場を見て、全く心配にならない方はほとんどいらっしゃらないかと思います。そこで良くお問い合わせをいただくのが誰に相談をすれば良いのか?ということになります。しばしば出てくるのが、消費者センター、住宅紛争処理センタ、無料弁護士相談等です。雨ぬれで酷くなった現場について、これらに問い合わせをすべきかどうかについて考えて行きたいと思います。

また、そもそも一条工務店が何かを隠蔽しているのではないか?と感じられる方も多いかと思います。そこで、そのような何かを隠されてしまうことを避けて何を信用すれば良いのかについても考えてみたいと思います。

消費者センター、住宅紛争処理センター、無料弁護士相談、住宅検査サービスに相談すべき?

上棟時の雨ぬれに限らず、様々なクレームを拝見する中で、しばしばご相談をいただくのが消費者センター、住宅紛争処理支援センサー、無料・有料の弁護士相談、住宅第三者サービスの必要性です。

これらのサービスはいずれも雨ぬれに関しては、話は聞いてくれるかも知れませんが、対応を取ってもらえることはありません。

そう聞くと、最初の写真にあったように、雨であれほど室内がずぶ濡れなのに、何もしてくれないのか?と思われるかも知れません。

別にこれらの公的・私的機関が怠慢でそのようなことをしているわけではありません。

これらの第三者機関は、原則として技術的な観点からの瑕疵や契約が不適切に成されていた等、法的に問題があるのに対応をしない企業に対して指導を行うことが職務となっています。

例えば、引き渡し後半年で住宅が雨漏りをしているのに、それを補修してくれない、といった対応があった場合には消費者センターも、住宅紛争処理支援センターもきちんとした指導や対応を取ってくれます。

また、設計図面があるのに設計図面通りに施行をしてくれない、明らかな違法建築を行っている、等でも適切に対応をしてくれます。

しかし、雨ぬれについては、言い方は悪いですが、雨に濡れたという事実はあっても、雨に濡れること自体は何らの法はもちろん、業界のルールも犯していません。また、雨に濡れた結果として、汚い、対応が悪い、基礎や壁の柱にカビが生えたといったことはあっても、そこから人的、経済的被害は何も生じていません。あるのは唯一、不適切な対応を受けたことによる精神的被害のみです。

消費者センターや紛争処理支援センターに相談すると、例えば、雨に濡れて剥がれている合板を交換してくれない、カビが生えているのに放置された、といったケースでは、企業側に適切な対応を促してくれます。

しかし、一条工務店については、汚れは清掃して、剥離等が起こった合板や雨ぬれ下石膏ボードにについては交換、カビが生えた場合には消毒薬を使って清掃を行うと通常は自ら申し出てきます。

消費者センターや紛争処理支援センターが対応をできるのは、あくまで「法的にすべきことをしてくれない」事に対する指導となっています。そのため、技術的にすべきことはしてくれている一条工務店に指導のしようがないことになってしまいます。消費者センターなどの場合、ケースによっては、一条工務店側に問い合わせをしてくれることはありますが、一条工務店側は特類の合板を使っており、雨ぬれしても問題がないことを説明して、相談員の方も納得して終わってしまいます。

そのため、相談されることは止めませんが、相談しても気持ちが晴れることにはならず、これまで拝見している限りだと、全てが敵、のように感じて辛くなられるケースが多いように感じています。

続いての、第三者の検査機関に立ち会い等をお願いすることを検討される方もいらっしゃいますが、これについてはお願いすると立ち会いはしてくれますし、味方にもなってくれます。しかし、味方になってもらっても、問題がないことを「問題がある」とは指摘してはくれません。そして、一条工務店の対応は、技術的な観点からは問題がないため、結果的に何十万円ものお金だけ取られて終わってしまうケースが多いように思っています。

また、最も面倒なのは、これは一条工務店に限らずハウスメーカー全般に言えることですが、大手ハウスメーカーの家というのは、大なり小なり独自技術のオンパレードです。そのため、中小工務店が建築する住宅とは技術的に大きく異なった部分が多数あります。第三者検証サービスは主として中小工務店の住宅建築の検査に慣れており、ハウスメーカー毎のオリジナル技術については知識を持っていないケースが多くあります。結果的に、現場を混乱させるだけさせて、お金を取られておしまい、ということもありましたので、個人的にはあまりお勧めしません。

雨ぬれで、悲惨な現場を目の当たりにして、一条工務店は適切な説明もしないまま清掃して部材を交換するという対応しかしてくれない中で、これを瑕疵であるとして弁護士に相談される方もいらっしゃいます。顧客側が弁護士を入れて話をされる方もいましたが、弁護士を入れれば相手も弁護士が対応することになり、しかも、雨ぬれに関しては問題がないため、弁護士費用を自己負担するだけ損をします。法的に争えるのは「法」の範囲内のみとなります。そのため、雨ぬれ自体は法的な問題はなく、結果的に弁護し相談案件としては適切なものとはなりません。

このように、雨ぬれに関しては本当に八方塞がりになってしまいやすく、しかし、自分の大切な、楽しみにしていた家が雨でずぶ濡れになって、カビやその他の問題が不安で仕方が無いのに、公的機関のサポートも受けられずつらい思いをされている方が多いように思っています。だからこそ、この記事を書きました。

含水率を測ってもらうべき→無理??ではないけれど正しい理解は難しく誤解に繋がる

雨ぬれをされた場合、本当に木材が乾燥しているのかどうかについて、含水率計を使って計測して欲しい、と思われる方は多いと思います。

携帯型の含水率計は数万円で購入できるものですから、比較的簡単に入手することができます。多分一条工務店も持ってはいると思います。

しかし、個人的には含水率計による測定は余り意味がないし、出てきた数値で不安を感じることになるのであまりお勧めはしません

木材の含水率は、含水率計を使うことで簡単に測定はできます。

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上の写真は含水率計を使って含水率を測定しているところです。含水率計はシンプルな機器ですので、すぐに含水率が%で表示されます。

含水率の計測は極めて簡単に行えるのですが、正しい含水率を計測することは全く簡単ではありません。上記で計測できるのはあくまで参考値となります。

実際の含水率の測定は、日本工業標準であるJIS1476「建築材料の含水率測定方法」に定められた方法を用いて測定する必要があります。そして、一言で含水率と言っても、質量基準質量含水率、容積基準質量含水率、容積基準容積含水率という3つの含水率が存在しています。木材の含水率を正しく測定するためには、絶対乾燥重量が必要になりますが、絶対乾燥重量を知るためには、木材片を一定時間100℃~105℃に管理したオーブンで乾燥させる必要があります。

当然、これを自分の家で行うことはできないため、一条工務店のような企業ではサンプリング調査などを行って管理しています。

で、現場で測定可能な携帯型の含水率計は、あくまで参考値としての測定が行えるだけ、と理解しておく必要があります。また、測定器は常に校正が行われていなければ、数パーセント程度は平気で狂います。そのため、最低限、校正を受けた測定器を用いて測定することが必要になります。

しかし、校正を受けた測定器で測定したとしても、表面が濡れたような木材では適切に測定することはできず、測定値はかなり高く出てしまうように思います。これはあくまで表面の含水率を測定しているに過ぎず、実際の木材の含水率を示してはいません。

携帯型含水率計は測定対象の木材が均一な含水率となっていればある程度適正な測定が可能ですが、一時的に雨に濡れてしまった木材などを測定する方法としては、含水率そのものや含水率計の特性を十分に理解した状態でないと、含水率30%などと出て、基準では20%(19%)なのに、一条工務店はトンデモナイ木材を使っている!!!と誤解による怒りの元になりかねません。。。

で、現場の監督などでも含水率計を使って木材の含水率を適切に測定できる方は少ないように思っており、さらに雨ぬれに遭われて不安な状態のお客さんに対して、その内容をわかりやすくかみ砕いて説明できる監督、となると多分皆無ではないかと思っています。。。。それとも一条工務店の監督さんならこの程度はお手のもの?ですかね??

そんなわけで、含水率計を使った測定は、それをすることは簡単ですが、測定結果を正しく理解することはなかなか難しく、出てきた数値を見て判断することはできないため、個人的には止めておくことをお勧めします。

含水率もはかれないなら何を信じれば良いのか?→JAS規格を信じましょ。。

それでは、一条工務店の対応が信じられない、という方もいらっしゃろうと思います。この点については、一条工務店を信じると言うよりも、日本農林規格であるJASに適合した木材が使われており、木材の特性としては一時的な吸水は吸水にようした時間と同程度の時間で放出されるという実験的事実を踏まえて、ご理解いただくの良い様に思っています。

すなわち、一条工務店を信用する必要はなく、JASという規格は十分に信頼できるものであり、JASマークが付いている部材を使用している限りは大丈夫と考えて良いかと思います^^

万が一、一条工務店がJAS規格の刻印を偽造していれば、基準を満たせていない可能性もありますが、それこそ建て替えであったり、対象住戸全ての点検、補修が必要なレベルの大問題なので、偽装はないと考えていただいて良いかと思います。

実際、類似したケースは一条工務店にも過去にあり、2009年に、一条工務店も使っていたエクセルシャノン社の樹脂サッシに耐火性能偽装(エクセルシャノン社が偽装)がありました。この時は、国が定めた耐火性能基準をクリアしたものであるかのように偽装するため、試験すべきではない部材で試験を行って偽装を行っていたことがあります。

結果的に、一条工務店をはじめ多数のハウスメーカーが偽装され、耐火性能基準を満たしていない樹脂サッシを使用してしまい、一条工務店に関しては対象住戸において、交換が行われたと記憶しています。その時に出された一条工務店の文章は下のものでした。

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このように偽装はあまりにもリスクが高いため、まあ、ないだろうと考えて良いかと思います。もし偽装を発見したら大喜びで私がブログに書きます^^

ツーバイは雨に弱いと聞いたけど?

少し歳をとった設計士や建築工事関係者に話を聞くと、ツーバイは絶対雨に濡らしてはいけない、と言われることがあります。

これは、古くは事実でした。

セゾンやブリアールのような軸組工法の場合、下の写真のようないわゆる木材、というか木の柱を中心として上棟をします。下の写真は一条工務店の住宅ではありません。

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先ほど書いた様に木材は基本的に水に強い材料です。そのため、何だったら多少雨が降っていても上棟することがあります。最近は、施工者の安全管理上の観点から雨で施工を行うハウスメーカーは少ないと思いますが、それでも雨が多少降り出したからと言って施工を中止しない場合が多いように思います。

一方、ツーバイ工法の場合は雨に濡らさないよう、晴れの日を選んで施工するのが原則だと話をされる設計士や施工者の方がいらっしゃいます。

その理由は、ツーバイ工法では「合板」を多用することに由来します。

先に示したように、合板というのはいわゆる接着剤で薄い板を貼り合わせたもの、ベニヤ板に似た物です。そして、ツーバイで用いられる構造用合板の接着剤耐久性は特類と1類という2種類がありますが、1類の場合、雨に濡れると接着剤が剥離して合板が剥がれてしまうことがあるのです。

古い時代だとこの合板の耐水性が不十分であったため、雨に濡れると剥離を起こすケースが多くありました。そのため、ツーバイ工法は雨に弱い、と言われるようになりました。

しかし、先に示したように一条工務店に限らず、三井ホームなどツーバイ工法を手がけるハウスメーカー、というか工務店でも、現在のツーバイ工法では構造用合板に特類の構造用合板を使用しています。

そのため、雨に濡れたとしても原則として剥離が起こることはありません。ですから、今では雨が絶対にダメ、ということないのです。

しかし、JAS規格の特類の構造用合板を使っていても、品質のばらつきから、下の様に剥離が起こるケースはあります。そいういった意味では軸組に比べるとツーバイがまだまだ雨に弱い、ということは事実です。でも、絶対に濡らしたらいけないということでもありません。先ほど書いた様に、雨に濡れたら不良品を選別できる良いチャンスと捉えるのが良いかと思います。

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今回は、建築時の雨ぬれによって生じた問題を第三者機関等に相談すべきかについて考えてきました。結論としては、雨ぬれ自体についてこれら機関に相談したとしてもあまり良い結果が得られないケースが多いことを示してきました。

しかし、何もしない、ただ単に一条工務店がすることを指をくわえて見ているのでは不安というのは当然の気持ちと思います。そこで、実際に雨ぬれが起こってしまった場合、一条工務店では具体的にどのような対応が取られるのかについて見ていきたいと思います。

続きは

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よりご覧下さい。