上棟時に雨に濡れてしまったらどのように対応をしてもらうか?一条工務店の場合【5/6】

こんばんは。さすけです。

一条工務店の上棟時、建築時における雨ぬれに関する3番めの記事になります。冒頭からお読みいただける場合は

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からご覧いただけますと幸いです。ここまで4つの記事を通じて、実際に雨ぬれをしてしまったお宅の状況、雨ぬれした木材や合板が技術的に問題がないかということを示し、前回は誰かに相談をすることがあまり良い結果に繋がらないケースを示させていただきました。

ただ、雨に濡れて悲惨な状況になった自分の家を目の当たりにした方にとっては、盲目的に一条工務店の対応を見ているだけということもできないのは当然と思います。そこで、今回は一般的に雨ぬれしてしまったお宅で一条工務店がどのような対応を行っているかについて書かせていただきたいと思います。

上棟時に雨に濡れてしまったらどのように対応をしてもらうか?

まずは、雨の侵入経路をすぐに遮断

以下では具体的に雨ぬれがあった場合にどのように対応をしてもらうかについて書いてきます。重複する部分があることご容赦ください。

雨ぬれの対策で最も重要なことは「これ以上雨が入ってこないようにすること」です。

通常、雨による水濡れがあった場合、監督や大工さんがすぐにその雨の侵入経路を塞ぐ措置をされるかと思います。

屋根じまいがまだの場合、屋根じまいは雨の日には行えませんから、雨が止んだらできる限り早めに屋根じまいをすることを前提に、とりあえずブルーシートなどでしっかりとした雨ぬれ対策をします。屋根じまいの前に雨が降ると、ブルーシートの隙間や穴からかなり雨漏りして濡れて不安になるかと思いますが大丈夫です^^

これは、心配される方もいらっしゃると思いますが、ブルーシート等で覆ってしまったり、また、濡れた状態で屋根じまいをすることで、一条工務店のような高気密住宅では湿気が家の中に籠もってしまってカビなどを発生させるのではないかと不安に思われる方もいらっしゃるかと思います

しかし、実際には、屋根じまいをすることで、室内の水蒸気は適切に外気に放出されます。これは、一条工務店に限らず全ての住宅において、住宅には外気と接する部分には「透湿防水シート」「透湿層」と呼ばれる、室内の湿気を外に放出する層が設けられています。透湿防水シートというのは、室内で発生した水蒸気は室外に放出するけれど、室外の水は防水するという非常に都合の良い部材です!

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これがないと室内の湿気が外に出て行かなくてカビだらけの住宅になってしまいます。

そのため、室内が多少木材表面が湿気った状態でも、追加的な水の浸入さえ遮断されていれば、自然に木材が乾燥し、そこから出てきた水蒸気は壁の中の透湿層を通過して、外気に放出されます。

しっかりとした透湿層も今では当たり前ですが、1970年代の住宅にはなかった構造です。このような透湿層がしっかりと作られるようになった背景として、昔の住宅は隙間が多く、透湿層などなくても勝手に放湿されていました。これが問題になったのが、1960年代から輸入が開始されたツーバイ住宅でした。ツーバイ住宅は従来の日本家屋に比べて機密性が高く、室内で発生した湿気が室内や基礎内に籠もってしまいました。その結果、先にご紹介したナミダタケ事件を引き起こしました。これをきっかけとして、日本における住宅においても透湿層が設けられ、室内の湿度が室外に放出されるような構造となりました。

このように、高気密住宅であっても室内に必要以上に水蒸気が籠もり、濡れてしまった木材が乾かなくなるということはありません。

そのため、まずは、水の浸入を遮断することが最優先となるのです。

雨で濡れてしまった部材を拭き取り&軽く乾燥

雨で濡れてしまったお宅の中はびしょびしょになっていると思います。最初に目に飛び込んでくるのは、びしょびしょに濡れてしまった床だと思います。

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とりあえず、このあたりは写真を撮っておいて下さい。後で使います。

上記のようにビニールシートで覆われている場合は、ビニール表面を拭き取った後、ビニールの下に水が浸入していないかを確認して下さい。

ビニールの下にも水がしみこんでいる可能性が高いので、濡れているようであればビニールシートも剥がして軽く拭き取りをしてもらいます。

ちょうど下の写真だと中央部分はもう少し拭き取った方が良くて、周辺はこの程度拭き取りができていれば大丈夫です。この段階では汚れは目をつぶってください。まずは乾燥をさせることを優先させます。

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この状態で可能であれば扇風機などをつかったりしつつ、自然乾燥を促します。

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だいたい1日か2日ぐらいで上記の状態ぐらいまで乾燥します。まだまだ湿っている感じがありますが、床についてはこのぐらい乾いていれば後は自然乾燥で十分乾燥します。

上記は床側ですが、一条工務店の場合断熱材で施工された壁側が気になると思います。下の写真のように断熱材周辺に水濡れをしているのを見つけることができるかと思います。

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下の写真のように当然断熱材の裏も濡れています。

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一条工務店の断熱材は、上の写真のように下側は小さくカットされており、簡単に取り外すことができるようになっています。これは、基礎や1階と2階を固定するためのボルトを大工さんが取り付ける際作業をしやすくするためです。

壁側が水濡れしてしまっている場合は、取り外せる場合は上の写真のように下側の断熱材だけをとりあえず外します。上側は外さなくて良いの?と思うかも知れませんが、上は基本的に外す必要はありません。雨水は上から下に流れて、下の方に貯まっています。上側は断熱材を外さなくても勝手に乾燥するのでそのままにしておきます。無理に、上側の断熱材を外そうとすると、断熱材が欠けたりして精神衛生上よくありません。

下側に貯まった水は拭き取れる部分は拭き取って、断熱材を外した状態で自然乾燥を促します。

(追記:2017/10/30 i-smart、i-cubeでは上記のように取り外しができますが、セゾン、ブリアールでは接着されており取り外しが困難とのことでした。この場合、原則取り外さず自然乾燥を流すので問題ないかと思います)

壁の下部分は乾燥がしにくいので、1日程度経ってもまだ下の写真のような状態であるケースもあります。

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このような場合は、床などの乾燥に使っていた扇風機を上記の部分に直接当てて強制的な乾燥を促します。

あとは完全に乾くまで、断熱材は外した状態にしておけば自然と乾きます。

屋根裏については、水たまりができてしまっているようであれば水を拭き取って、あとは放置しておけば問題ありません。屋根裏は晴れの日には私達が想像する以上に高温になります。そのため、あっという間に乾燥します。

基礎内についてもやはり同様に、水たまりのような状態を拭き取っておけば、あとは自然乾燥します。

現場に扇風機があれば下の写真のように、扇風機で基礎に空気を送り込むことで乾燥を促進させることができます。

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ただ、基礎内は基本的に湿度が高くなりやすい部分であるため、それに応じて一条工務店では高湿度でも問題がでにくい部材が使われています。

ちょうど下の写真(我が家の例です)ぐらいまで拭き取りができていれば、多少水が残っていてもあとは自然乾燥で乾きます。ただ、基礎内は乾燥しにくいので、完全に乾燥するのに1週間程度はかかるかも知れません。

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ここまでは、全て監督や大工さんがしてくれるはずです。雨に濡れてしまったのをご自身で見つけた場合、焦りなどもあり、自分でされたくなるかも知れませんが、先ほども書いた様に、1日程度であれば水に浸かっていても問題はありません。1人でやろうとするともの凄く大変なので、翌朝監督や大工さんが来るのを待って問題ありません。

基本は清掃:泥だらけになった自分の家を綺麗にしてもらう

まずは、雨の侵入を防ぎ、一通り乾燥すると次に待っているのは、泥だらけになった悲惨な状態の我が家です。。。

雨に濡らされて、泥だらけにされた自分の家を見て平常心を保つのは難しいことと思います。

雨に濡れてしまうとどうしても木材の隙間にあった泥などが浮き出て流れて1箇所に集中するなどして室内がかなり汚らしい状況になります。

このような状況を見て多くの方は強い不安を覚えるはずです。もの凄く悲惨な事故が起こったと感じられる方もいらっしゃると思います。

しかし、そこで出てきた泥や砂は建築過程で家の中に入り込んでしまって木の目地などに入り込んでいたものが浮き出たものが多く、また、場合によっては雨の侵入を遮断するために雨の日に作業をされた関係者の方に付着して持ち込まれたものもあるかもしれません。

こういう言い方は不適切かも知れませんが、上棟で汚れてしまった家を水洗いできたと思って、浮き出た砂や泥、砂利を綺麗に清掃してもらえるぐらいに考えてください。

ホウキなどを使って泥を掃き取ってもらうだけで、気分的にかなり変わるはずです。

点検、補修、必要に応じて消毒

基本的には、点検も監督の仕事ですから黙っていてもしてくれます。

ただ、悲惨な状況になった自分の家をご覧になられた後では、監督に全てを任せることはできないお気持ちと思います。

濡れてしまった部分について一通り目立った問題が出ていないかをチェックして下さい。

まず目に入ってくるのは「シミ」と思います。ちょうど下の写真の赤丸の中にあるようなシミがたくさんできている可能性があります。

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このシミ、建築中の我が家を見る立場としてはもの凄く気になると思います。。。これは木材中の成分が雨によって浮き出たあと乾燥する過程で再度木材に沈着した結果生じる物です。このシミができていても、木材にダメージはありません。

そうは言っても、気になる方は多いかと思います。しかし、これらの部分を交換しようとすると、工事が必要になります。床を剥がす過程では他の床に傷を付けたり、釘を打った後が残ってしまったりと、シミ以上の傷をたくさん残してしまうことになります。

上記の写真は私自身の家であった雨濡れの結果生じたシミですが、私自身は、このシミはそのままにして工事をすすめてもらっています。

また、交換を伝えたとしても、交換には応じてくれない可能性が高いです。というのも、別にコストがかかる云々ではなく、材質としては問題が生じていない状態で、無理にこの部材を交換すれば、必ず他の傷が残るからです。必要もないのに手術をすることは、健康にとって良くないのと同様、気持ち的には不満は残るかも知れませんが、そのままにしておくべきものとなっています。

逆に、交換をしてもらった方が良いのは、下の写真のように浮きが出てしまった部材です。こうした部材は、JASの規格を満たせていないため、交換をした方が良いケースがあります。これは程度にもよりますが、まずは監督に交換して欲しい旨を伝えてみてください。場合によっては、交換が難しい(交換することで他の傷ができる)箇所の場合、交換が難しいため補修で対応すると伝えられることがあります。

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その場合は適切な補修をしてもらえるようお願いして、無理な交換はしないでください。部材の位置等によって、交換するよりも補修の方が良いケースというのは実際にあります。これもやはり手術と一緒で、簡単な手術と難しい手術があって、簡単に治せるならばすぐ手術をするけれど、難しい場所であれば、無理な手術をせず対処療法の方が適切な判断というケースがあります。

もしも雨が降らなければ問題がある(それ自体はJASの規格を満たしており、基準上は問題がない)状態のまま、施工が進められたものが補修のチャンスを得たと前向きに捉えてください。このあたりは、医者としての監督を信じるしかありません。どうしても納得のいかない場合はお客様相談室に連絡してしっかりとした説明を求めて良いかと思います。

石膏ボードは水に弱い部材ですから濡れてしまったものは交換してもらって下さい。普通は黙っていても交換してくれます。

また、金属部材が濡れてしまったことで錆が気になるかと思います。

通常の釘などは常に水が入ってくるような状態で使用すると、錆が生じて強度を維持できなくなります。その他にも水濡れしてしまった金属部材が多数ある方もいらっしゃると思います。これら金属部材については、交換は必要ありません。また、一時的に水濡れしてもそれによって錆が生じることはないので安心して下さい。

金属が錆びるためには、常に酸素と水が必要になります。一条工務店が使用している釘は基本的に普通のメッキが行われた釘となっています。1ヶ月間程度であれば水が付いた状態であっても錆びることはありません。

そのため、一時的に水に浸かったとしても、その後適切に乾燥されれば、釘や金属部材が錆びることはないので、交換等は必要ありません。

この他色々と気になる部分があるかと思います。そんなこと聞いても良いのかどうか悩んでため込んでしまうと、後々の不安に繋がります。分からないこと、不安なことがあったら全て監督に確認してみることをお勧めします。

この記事では、雨ぬれしてしまった現場を元に戻すために一条工務店が一般的にどのような対応をするかについて書かせていただきました。事前にどのような対応が行われるか分かっていれば少しでも安心して様子を見守ることができるのではないかと思っています^^

次回は、やっとこ最終回、「一条工務店にこの落とし前」をどのように付けてもらうか!?について書かせていただきます。

続きは

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よりご覧下さい。