余剰電力買取 v.s. 全量買取 収支対決&考察

こんばんは。さすけです。

今回も前回に引き続き太陽光ネタです。興味がある方は大好き、興味の無い方はどん引きのお話しです^^;
もうちょっとだけ趣味に走らせて下さい。

前回、「検算して~」と書かせていただいたgamaさんが、本当に検証してくれました。さらに、おっさんさんにも電力の仕組みについて丁寧に教えていただきました。本当にありがとうございます。(; _ 😉 m(_ _)m

で、今回は前回の計算をバージョンアップして夢発電で全量買い取り制度が導入できたら収支がどうなるかについてさらに検討を進めていくことにします。

計算に入る前に。。。これは完全な妄想記事です!
多分、一条工務店に10kW越えをお願いしても現時点ではまずOKをしてくれないと思います。

これは別に一条工務店が悪いわけではなくて、自然エネルギーの買取制度がまだ正式には決定していないこと、そして以下に書かせていただきますが税制上の問題、制度上の問題、東京電力等電力会社への申請方法と拒否の可能性、などなど不明確、不確実な要素が多すぎるためです。よって、現段階で一条工務店が10kW越えにOKを出すことは顧客の将来の利益を損なうリスクが高すぎて、まずOKできないと思うことを付け加えさせていただきます。個人的には人柱希望なので、リスクが私が許容できる範囲であればやってみたいのですが。。。

もしこのブログを読まれている税金に詳しい方、プロの方がいらっしゃいましたら是非教えていただきたいことがあります。
一番最後に質問があります、もしもご存じでしたらコメントでも、メッセージでも結構ですのでお教えいただければと思います。

本日検討したい事項は、gamaさんにご指摘いただいた内容も踏まえつつ、前回の計算で問題があった箇所をなおしていきたいと思います。

ここで、検討の目的は
・ パネル搭載量が10kWに近い10kW未満(9.9kWや9.96kWなど)の場合:余剰電力買い取り制度
・ パネル搭載量10kWに近い10kW以上(10.2kW程度)の場合:全量買い取り制度
という10kWで区切られてしまう買い取り制度の違いが、収支にどのような差を生み出すかを知ることを目的としています。

よって、10kW以上を考えると言っても100kWやメガソーラーのような大規模な太陽光発電設備のことを考えるわけではありません。あくまで一般住宅で現実的に搭載可能な10kW近傍のパネルを搭載した場合の収支を計算したいと考えています。よって、ここではパネル搭載量を10kWと仮定して計算します。

前回は急ごしらえであったため例を示さずに計算式を使いまくって非常にわかりにくかったと思うので、今回は具体的な計算をしながら話を進めたいと思います。

検討にあたっては、経済産業省で公開されている「調達価格及び調達期間等、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の施行関係事項に関するパブリックコメントの実施」(以下パブコメ資料)に基づいて検討していきます。

今回収支を検討するにあたっては以下のことについて検討したいと思います。
1 消費税の取り扱い
2 10kW以上の太陽光パネルにおける保守
3 売電収入の納税義務と収支への影響
の3点になります。これらの中には私にはわからないことが多くあります。まずは、私の認識が間違えている可能性は大いにありますが私がどのように考えているかを書かせていただきます。なのでもし間違いに気がつかれたらどうか是非お教え下さいm(_ _)m

逆に検討しないこととしては
・ 太陽光発電を政策的に進めるべきかどうか
・ 太陽光発電導入による一般消費者の電力価格上昇とその影響
はまったく考えません。
よって、太陽光発電をそんなに載せたら載せられる人だけに有利で一般の消費者に迷惑だと言う批判があることは承知していますが、ここでは7月以降の制度で収支がどうなるかを計算で示すことが目的ですから、その議論はしません。

1 消費税の取り扱い
一般に商品を販売するとそこに消費税がかかります。太陽光発電について考えると発電した「電力」は商品です。
通常は、私たちは電力会社から電力を購入していますが、その際購入した電力価格に消費税を加えた額を電力会社に支払っています。そして、電力会社が集めた 消費税をまとめて国に支払っていま
す。

しかし、太陽光発電をして発電した電力を東電に販売することになれば、この関係が逆転します。すなわち、私達が電力会社に電力を販売することになるわけですから、販売する商品である電力には消費税をかけるか、掛けないかを考えなくてはいけません。

7月以降の自然エネルギー買取制度(以下買取制度)では、パブコメ資料によれば、

と書かれています。ここで、注目すべきは調達価格、すなわち私達が電力会社に販売する電力価格が「税込み」と「税抜き」で示されており、10kW以上では税抜きでは40円となっていることが分かります。対して、10kW未満は42円のままです

10kW以上の太陽光発電パネルを搭載して電力会社に電力を販売する際、税込み42円/kWhで売電することができるということです。よって、消費税5%に相当する2円は後で納税しなさい、ということになっているのです。結果として、実際の売電収入は40円になるわけです。

じゃあ、なんで10kW未満では税抜きと税込み価格が同じ42円になっているの?

これについては、パブコメ資料によれば
「一般消費者には消費税の納税義務がないことから、税抜き価格と税込み価格が同じとなっている。」
と書かれています。消費税の納税義務者は事業者であり、一定の売り上げ(年間2千万円[訂正:正しくは1000万円]以上の課税売上)がある場合のみです。よって、一般消費者には消費税の納税義務がないため消費税分は売電収益と捉えて差し支えありませんよ、ということを示していると考えられます。

私たち一般消費者が10kW以上のパネルを搭載したとしても、突然事業者になるわけではないのでやはり消費税の納税義務はないと考えられます。よって、10kW以上のパネルを搭載しても消費税分の2円は消費者側の利益として捉えることができます。

でも、消費税の納税義務が存在しないならば電力会社は「あなたは消費税の納税義務がないでしょ」って言って40円でしか買ってくれないんじゃないの?

これも当然考えると思います。しかし、消費税については免税事業主であっても、販売先に商税を請求することができるというルールがあります。よって、電力の売電価格が40円であるならば、消費税の納税義務がない私達一般消費者も電力会社に消費税を請求することができるのです。逆に言うと、電力会社に消費税分を拒否する法的根拠は何もないので拒否できません。

そんなのずるいじゃん!
これについては、私達が太陽光発電パネルを購入する際には消費税を支払っており、消費税を払ったシステムを使って売電利益を得るわけですから、請求できなければ困ってしまうのです。。。

消費税についての結論
買い取り制度は10kW以上と未満では消費税の扱いが異なっているように見えますが、実際には消費税の納税義務者か納税義務者ではないかが買い取り価格に影響を与えるのです。

よって、通常の消費者はパネル搭載量によらず42円/kWhで売電が行えることになります。

2 10kW以上の太陽光パネルにおける保守 
しばしば、太陽光発電パネルの買い取り価格の算定根拠に「点検にかかる人件費等の費用」が発生することが根拠としてあげられています。

事実、一定容量以上の太陽光発電パネルを搭載すると太陽光発電パネルの定期点検が義務として課されます。

ここで、重要なことは
「一定容量」が10kWではない
、ということです。

この「一定容量」は「電気事業法」という法律によって定められており、50kWを超える太陽光発電設備は自家用工作物とり、定期点検が義務づけられています。

しかし、50kW未満の太陽光発電設備
は一般用電気工作物にぶんるいされ定期点検の法的義務は無いと言うことになっています。

法的義務がなくても定期点検はすべきとは思いますが、ここで重要なことは9.96kWのパネルと10.2kWのパネルのいずれを選択したとしても、いずれの場合も何か特別お金のかかる特殊な点検が必要になることはないと言うことです。(おっさんさんこの認識であっていますよね?)

ということで、余剰電力買取の場合も全量買取の場合もパネル搭載量が50kW未満であるならば保守点検の額は変わらないと言うことになります。

3 売電収入の納税義務と収支への影響
 (ここの内容は自身がありません!プロの方がいたら教えて下さいm(_ _)m)
前回の計算ではこの税金部分は全く考えていませんでした。gamaさんご指摘ありがとうございます。

太陽光発電によって、得られた収益は一定額を超えると個人であっても納税義務が発生します。いわゆる確定申告が必要となってきます。一般に、給与所得以外の収益が20万円を超えると確定申告が必要となります(税金のプロの方、あってます?)。
ただし、収益と収入は違います。
太陽光発電の売電で言えば、売電して得られた売上が収入で収入から経費を差し引いたものが収益となります。

経費は買い取り価格を法定償却期間で割った額が1年間の経費として認められる額と思います。
今回私が一条工務店から購入する9.9kWの太陽光発電パネルの価格を10kWに換算すると約350万円になります。 ということは、

パネル価格(350万円)÷パネルの法定耐用年数(17年)=約20万円

が年間に認められる経費となります。で、10kWのパネルは初年度はおおよそ年間1万kWの発電をします。余剰電力買取制度と全量買取制度における収益を計算してみます。

*余剰電力買い取り制度の場合
余剰電力買い取り制度の場合は、売電可能な電力は自家消費分(一般に1500-2000kWh程度)を差し引いた余剰電力(8000-8500kWh程度)が売電可能額になります。多めに売電できたとして8500kWhが売電できたとすると

8500kWh×42円=約36万円

が売電収入になります。ここから経費20万円を差し引いて売電収益は

売電収益=約16万円

となります。よって、余剰電力買い取り制度の下では給与所得以外に収入がなければ確定申告の必要はありませんでした。給与所得以外の収入が4万円を超えると確定申告が必要になってしまいますが。。。

全量買取制度はどうなるでしょうか?

*全量買い取り制度の場合
全量買い取り制度の場合は発電した全量を売電に回すことができます。よって、売電収入は
10000kWh×42円=42万円
が売電収入となります。よって、ここから経費20万円を差し引いて売電収益は

売電収益=約22万円  

となります。よって、給与所得以外の収入の有無にかかわらず確定申告が必要となってきます。さらに、法廷耐用年数を超えて18年目には売電収益の全額が課税対象になるはずです。年率1%でパネル性能が劣化していった場合18年目の発電量は年間約8400kWhになっているはずです。ということは

売電収益=8400kWh×42円=約35万年

が売電収益となります。これらの売電収益に課される税額は個人の所得によって異なりますが、年間所得が日本の平均所得近辺の330万円から695万円の間であれば20%ですから、

納税額:22万円×20%=約4.4万円

の納税が必要になります。ということで、最終的な売電収益は

売電収益=約17.6万円

となります。
全量買取ですから、使った電気は電力会社から買わなくてはなりません!!
余剰電力の計算と合わせるために1500kWhを使用したとするならば、1kWhあたり約30円で購入することになります。よって

1500kWh×30円=約4.5万円

が別途かかって来ます(これは経費にはカウントできません)。よって18万円から4.5万円も差し引かなければなりません。よって、売電収益は

売電収益=約13万円

 


となってしまいます。
余剰電力の場合の初年度の収益は16万円ですから、3万円も下回ってしまいます!!!

やっぱり余剰電力ダメじゃーん

というのはちょっと早すぎますよ^^;

まとめ:結局収支はどうなるのか?

消費税、電気事業法、売電利益の納税について考えてきました。その結果、消費税や電気事業法による定期点検等では余剰電力買い取り制度に大きな違いはなさそうと言うことが分かりました。

ただ、確定申告の有無が大きな影響を与える可能性をgamaさんにご指摘いただき、それを検証してみると雲行き
が怪しくなってきました。。。^^

ということで、税金を考慮に入れて売電収入の合計を計算しました。以下がそのグラフです。
横軸に設置年数、縦軸に売電収益の累積額を1万円単位で示したグラフです。

余剰電力買い取り制度は補助金35万円が初年度に配分されるため1年目の収益の段階で全量買い取り制度よりも得られる収入が高くなっています。

この結果から、20年間を考えた場合は全量買い取り制度の方が最終的な収支で約110万円多くなります。しかし、12年目になるまで累積の売電収入は余剰電力買い取り制度の方が高くなり、13年目にやっと逆転することが分かります。

以上の結果から、gamaさんが指摘されたとおり、早い段階で収益を確定させてしまい安全な売電をした方が良いという考え方が大いにあり得ることが分かってきました。一応ご参考までに表も下に掲載しておきます。

う~ん。正直、微妙!!!

また、100万円の差は20年後の差ですから、これを割引現在価値に換算するともっと低くなってしまいます。。。

最後に質問です!もしご存じの方いらっしゃったら教えて下さい!!特に税金のプロの方いらっしゃいませんか~^^
・ 何か良い節税方法はないでしょうか。。。
・ 固定資産税の扱いについて、10kW以上と未満で何か固定資産税が大きく変わることはあるでしょうか?
おわかりになったらどうぞお教え下さいm(_ _)m