10kW以上の太陽光:個人的結論

こんばんは。さすけです。

今回多くの方に様々なことを教えていただくことで、「太陽光発電パネルを10kW以上載せること」に対する個人的な結論を出すことができました。

まずは、今回様々な情報をお教え下さった方々、お読み下さった方に感謝しますm(_ _)m

特に、以下の方々には本当に多くのことを教えていただきました。
・ gamaさん、私の計算について検証と提案をありがとうございます。
・ おっさんさん、系統連携、電力システムについての詳しいご説明をありがとうございます。
・ こーめいさん、neronaさん、私がサッパリ分からない税金に関する詳しい説明をありがとうございます。
・ かっちゃんさんが実データに基づいたシミュレーションもして下さっています。

そして、メッセージで情報を教えていただきましたのでお名前は控えさえていただきますが、複数の方々から税金などについて詳しくお教えいただきました。
実際に市役所、税務署、東京電力等への問い合わを行って確認をして下さった方々もおります。本当にありがとうございますm(_ _)m

それにしても、今回の件で改めて、情報を共有することのすごさを感じました。
私は色々な情報を調べてざっくりとした計算することは趣味みたいなものなのですが、専門家ではないので制度になってしまうと分からないことが多いです。
それをこうして多くの方々にお教えいただけて、一定の結論を出せると思えるところまで持って来れたことは本当にすごいと感じました。自分だけでは、分からないことが多くて無理~、となってあきらめてしまうところです^^;

本当にありがとうございます\(^o^)/

まずは結論!

7月以降の電力買い取り制度の中で10kW以上の太陽光発電パネルを載せるべきか?

私の現時点での結論:10kW以上のパネル搭載は現時点ではリスクが高すぎて難しい!

2013/2/1 追記:今なら全量買取が圧倒的にお得と思います。以下は2012年5月時点です。

収支計算(再):税金の問題 

まずは、10kWの太陽光発電パネル(取得価額350万円、初年度発電量1万kWh/年)を搭載した場合の収支について、いただいた情報を元に改めて再計算をしたいと思います。
補助金は1kWあたり3.5万円と仮定し取得価額から35万円を差し引きます。また、金利は10年1%固定金利として計算すると、金利支払いは約16万円となりますから、16万円を加えます。

よって、取得価額は331万円と計算できます。法定償却期間17年として定額法に基づいて計算すると1%÷17年=0.059となり
年間経費=19.5万円
と計算できます。

余剰電力買い取り制度の場合

余剰電力買い取り制度の場合は、同一のパネルを使って「自家消費」をしていますから、この分は経費として認められません。詳しくはneronaさんのサイトをご覧下さい。ここでは年間1500kWhを自己消費したとすると15%を差し引いた85%が経費として認められる範囲になります。よって、
年間経費=16.6万円
が余剰電力買い取り制度の場合の必要経費として認められる範囲になります。

全量買取制度の場合は全額を売電に回すので全額が必要経費になります。

売電収入+自家消費電力

続いて、売電収入について考えて生きます。

初年度の売電収入はそれぞれ、
- 全量買取制度の場合:1万kWh×42円=42万円 自家消費買電=1500kWh×30円=4.5万円
- 余剰買取制度の場合:8500kWh×42円=35.7万円
となります。

また、課税所得は
- 全量買取制度の場合:42万円-19.5万円=22.5万円 : 確定申告が必要
- 余剰買取制度の場合:35.7万円-16.6万円=19.1万年 :確定申告は一般に不要
となることになります。ただし、年収が2000万円を超えたり、その他の給与所得がある場合はこの限りではありません。

よって、初年度に支払うべき税金は税率2割とすると支払う税金は
- 全量買取制度の場合:4.5万円
- 余剰買取制度の場合:0円
となります。

これらを考慮すると最終的な初年度の収支は
- 全量買取制度の場合:42万円(売電)-4.5万円(買電)-4.5万円(税金)=33万円
- 余剰電力買い取り制度の場合:35.7万円(売電)+35万円(補助金)=70.7万円
と計算されます。1年経過後時点の手元資金は補助金を除いても余剰電力買い取り制度の方が高くなります。
これを元に全量買取20年固定と余剰買取10年固定その後24円買取で計算をすし、20年後の累計収益は、パネル価格350万円を差し引いて
- 全量買取制度:20年後累計収益=616万円(売電収益)-350万円=266万円
- 余剰買取制度:3
:20年後累計収益=545万円(売電収益)-350万円=195万円
となります。

よって、全量買取制度を導入すると余剰電力買取制度を導入した場合よりも71万円収支がプラスとなります。

ただし、71万円が手に入るのは20年後です。。。累積の収支をグラフにすると

のようになり、15年経過するまでは余剰電力買取制度を使用したほうが手元資金が多い状態が続きます。

収支の観点からは最終的には全量買い取り制度の方が有利だけれど、正直微妙です。

しかし、これについては問題を解決する方法があります。誰でもできる方法ではありませんが収支を有利にする方法があります。それは容量をもっと増やすという選択です。
例えば12.5kW、15kWのパネルを搭載したとしたらどうなるでしょうか?これは一条工務店の家であれば、ソーラーカーポート等を導入することで実現可能な範囲です。

結果は上図のようになります。これは先に計算した税金等が考慮されています。12.5kWの全量買取で5年目以降、15kWで3年目以降は10kWの余剰電力買取制度を上回るという結果になります。
最終的な収支も
10kWのときは余剰電力買取で195万円であったのが12.5kWで約400万円、15kWで562万円となります。

こうなってくると、カーポートがおまけでついてくるソーラーカーポート2.75kW?を導入することはかなり有効な対策であると言えそうです。
20年後に収支差が300万円生まれるならば少しの我慢はできそうです!!
そして、個人的には私は太陽光発電があろうと無かろうと、確定申告が必要だったりします。なので、税金の問題だけならばソーラーカーポートを導入するなどして太陽光を導入したいという気持ちに駆られます。固定資産税は考慮していませんが、おそらくペイできます。

しかし、ここまで計算しても私は現時点で10kW以上の太陽光発電パネルを導入することに躊躇があります。
 

制度上の問題;リスクをどう捉えるか?

まず最初に、私のリスクの考え方を書かせていただきます。
一般にリスクとは

リスク=重大性×発生頻度

で示されます。ここで言う重大性とは「いくらの損害が発生するか」です。発生頻度はその損害が生じうる確率です。そして、重要なことは私がそのリスクを許容可能であるかどうかと言うことです。

例えば雹災害によって、パネルがぼろぼろになったならば、被害額は最大350万円(+α:撤去費用等)です。発生確率はそのような雹災害は数十年に一度です。ただ、別に確率は分かる必要がありません。なぜならば、このような災害に対しては保険を掛けるからです。保険を掛けることで、被害額は保険会社がカバーし、それに変わって私は保険料を支払うことでこのリスクは受け入れ可能なリスクにすることができます。

また、保険を掛けなかったとしても金額的に生活を破綻に追い込むほどの額ではなく、許容可能と言えば許容可能なリスクです。嫌なので保険を掛けますが。。。

しかし、ここでおっさんさんから教えていただいた事実で非常に重大なリスクが内在していることを知りました。

それは、現在の余剰電力買い取り制度の電力会社との売電契約の契約に関するものです。東京電力が示す「太陽光発電からの電力受給に関する契約要綱」P11、「24損害賠償」によると
「発電者または当社が,この系統連系および電力受給にともない,その相手方または第三者に対し,自らの責めに帰すべき事由により損害を与えた場合は,賠償の責めを負うものといたします。」
と書かれています。極端に要約すると、
「おまえの所の設備が不良で他の契約者に迷惑掛けたらおまえが弁償しろよ!」
ということです。

売電を行っている以上当たり前と言えば当たり前のことです。でも、これってかなり怖いと思いませんか?

どういうことが起こり得るか考えてみます。これは最悪の事態を想定してのことです。

1. さすけ家では、15kWのパネルを設置して、15年が経過しました。一条工務店のパワコンは品質も良く、それまで安定稼働していました。
さすけはケチなので使える物を交換したりしないで、メーカー保証期間10年を超えてパワコンを使い続けていました。

2. ある日突然、パワコンが故障してしまいました。本来電力会社の送電網に流してはいけない品質の電力を流してしまいました。

3. 近隣の住宅、工場を停電させてしまいました。さらに、急な停電と急激な電圧変化によって製造装置が一部破壊されました。

4. 停電した工場は休業補償と装置の修理費用を電力会社に請求しました。その額は1億円でした。

5. 電力会社はさすけ家のパワコン故障を知り、調べたところ保証期間を超えてパワコンを使用していたさすけが諸悪の根源だ、としてさすけに損害賠償を求めてきました。

6. 裁判になり、さすけ家のメンテナンスの不備を指摘され、東電側の対策不足分を考慮して3千万円の損害賠償責任を負ってしまいました。

7. しかし、さすけにはそんな現金ありません。。。しかし!幸いさすけは財産として「家と土地」を持っていました。家を競売に掛けられ、晴れて損害賠償を支払うことができました。そして家も土地も無くなりました。。。

それほどの頻度で起こることとは思いませんが、あり得ない話ではないと思います。こういったことに対しては保険を掛ける等の対策が必要になってきますが、これを引き受けてくれる保険は今のところ無いと思います。また、設備に不備がないことを証明することは相当に難しいと考えました。どこまでやっていれば、きちんと整備されていたと証明できるのかわからないことが問題です。

こうなってくると、リスクの重大性はパネルの取得価格を大きく超えてしまう可能性が十分にあります。そして、確率は低くても宝くじよりは遥かに高いと思います。。。。

ここまで気にするのは、考えすぎているのかも知れません。しかし、太陽光発電パネルの急激な普及がはじまってからまだ数年しか経っていません。上記のような問題の多くはパネル搭載から10年以上経過してから引き起こされる問題です。また、法律、電力会社との契約も売電する消費者を保護するようにはできていません。

さらには、電力会社の経営悪化は明らかであり、株式会社である電力会社は株主代表訴訟を恐れ、自社外に原因がある損害であれば個人であっても損害賠償を容赦なく請求してくる可能性は十分にあります。

10kW未満の一般的なパネル搭載であれば、そのようなことをすると社会問題になる可能性もあるのでやりにくいと思います。しかし、10kWを超えたパネルで「利益」を追求するような契約者に対しては当然相応の対応をしてくると思われます。すなわち、容赦のない請求がくる可能性が高いと思えます。

そうなると、私は数百万円の利益の為に家も土地も失ってしまうリスクを負うことになります。これは私に取っては許容できないリスクです。

さらには、「適切なメンテナンス」がどのようなものであるかの基準はありません。よって、適切に管理したくてもできない現実もあります。当然保険もありません。

以上の観点から、私は現時点では10kWを超える太陽光発電パネルを搭載することは私には許容できないリスクを負うことになってしまうと考えました。

よって、おとなしく10kW未満に押さえた導入をしようと考えた次第です。。。

どうなったら10kW越えが現実的になるか?

私が10kWを超えて太陽光発電パネルを導入しようと思えるようになるためには、
・ 10kW前後の小型の太陽光発電設備について明確なメンテナンス基準の策定
・ 基準に従ったパネルを運用した場合に生じた被害をカバーできる保険の販売
この2点がクリアされなければ導入は困難と考えます。

現在は猫も杓子も太陽光発電導入のようになっていますが、10年以上経過したときに社会問題になるのではないかと懸念します。例えば、現時点では「交流変換後の保守保安基準は策定されていますが、住宅内直流部分については安全基準が存在しません」、昨年には大手メーカー製パネルが火元の可能性が高い住宅火災が発生しています。よって、経年劣化による火災などが発生することは十分に予見できます。

これらは明らかに国の対応の遅れです。既に先行している欧州ではそのような火災が起こっており、本当に日本は大丈夫なのだろうか、と不安に感じました。

また、普及促進をしていながら屋根材一体型の太陽光発電パネルの固定資産税は高いままであったりと、普及の阻害要因も多く残されています。

今後、普及が進むにつれて制度の整備は進むと思いますが、現時点ではまだまだ課題が多いという印象を受けます。いや、だからこそ調べ甲斐もあてもあって面白いわけですが^^;

今回様々な情報を調べる仮定で多くの方に情報をお教えいただいたことに感謝します。

2013年2月1日追記

上記で挙げた、他の設備への波及的影響については、全量の普及が進みリスクは十分に低くなっていると考えています^^

ですから、私個人としては、現在であれば全量と余剰の選択が可能であれば全量を選択すると思います。