タマホーム v.s. 一条工務店 タマホームの諸経費って高いの?:見積書を比較してみよう3

こんばんは。さすけです\(^o^)/

 

ここまで、住友林業積水ハウス一条工務店の見積を見てきました。

値引きの金額の大きさに驚きつつも、結局どこも大手のハウスメーカーで家を建てたら値段は大きく変わらないんだな~と思えて来た今日この頃です。

そこで、ここなら全然違う金額になるんじゃないか!と思ったのがタマホームです\(^o^)/

タマホームと言えば木村拓哉さんを使った大々的なCMと「坪単価25万円台」という破格の値段で住宅を販売する、ローコストメーカーの代表です。

一方で、坪単価25万円台と言いつつ、実際にはそんなに安く建てられない等という話も良く聞きます。実際に見積書を比較してみれば、そんな疑問も解決できそうです\(^o^)/

タマホームって一条工務店と似ていると思う

個人的に、タマホームと一条工務店って似ているように思っています。

別に家が似ているとかじゃなくて、企業の成り立ちや考え方が近いように思っています。

タマホームっていつからあるハウスメーカーかご存じですか?

タマホームの会社設立は、1998年、今からたったの16年前なんです。

いわゆる大手のハウスメーカーである、積水ハウス、セキスイハイム、住友林業、三井ハウス、などはいずれも歴史も古く、旧財閥や当時の大企業などの由緒正しい大資本を背後に有する企業が多いです。

一方で、タマホームは元々は九州にあった土木系建設会社から分離独立したハウスメーカーではある意味ポット出の企業です。そして、一条工務店も創業は1978年とタマホームよりは古いですが、戦後の高度経済成長期に急進した大手ハウスメーカーに比べれば、まだまだひよっこ企業と言えます。

そのような巨大資本と相対しつつ、タマホームも一条工務店もいわゆる大手ハウスメーカーと遜色がないか、それ以上の販売戸数を実現するに至っています。また、いずれも独立系資本で、創業者が一代で築き上げた企業になっている点も似ているように思っています。

現在は大手ハウスメーカーとなっているミサワホームや大和ハウスなどの40年から50年前の姿にいているのかも知れません。ミサワホーム創業者の三澤千代治さんなどは、1971年の上場当時、33歳で史上最年少の上場企業社長となっていますし、今出言うところのベンチャー企業の成功者という感じと思います。

そして、なによりもタマホームも一条工務店も、自社の得意とする「こだわり」によって急進したハウスメーカーの様に思える点でも似ているような気がします。

一条工務店の場合は、高断熱高気密と言った、いわゆる「住宅性能」に特化し、それをプレカットによる工場生産や海外工場生産によって低コスト化することに強いこだわりを持っているように思います。ただし、一条工務店は「低価格」よりもコストパフォーマンスに重きを置いており、総額自体は前回、前々回を見てもらっておわかりのようにいわゆる大手のハウスメーカーとそれほど変わりません。

一方のタマホームは「低価格」に対して強いこだわりを持ち、大手ハウスメーカーの建築棟数を凌駕するほどに多くの住宅を、徹底したローコストで提供しています。

こだわりのポイントは異なるものの、1つのこだわりによって、ある意味一点突破を測ろうとしている点で非常に似ているように思います。

個人的にはそのような企業には強い関心を寄せてしまいます。ただ、そのような一点突破方式はある種のハイリスク経営とも思えるため、長期に通じるものなのかはよく分かりませんが。。。

また、企業の若さ故のガバナンス上の問題も発露しているようです。

と、またまた前置きがながくなってしまいました。。。私はこういった企業の歴史のような話が結構好きです^^

ローコストと言われるタマホームの見積書を見ていきたいと思います\(^o^)/

タマホームの見積書

A.基本情報

ここでご紹介するタマホームの見積書は日経コンストラクション2011年7月号に掲載されていたものを参照しています。

今回ご紹介するタマホームで家を建てられ2009年2月に引き渡しを受けたお宅をDさんと呼ぶことにします。

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Dさんのお宅はタマホームが販売する「常春の家」というシリーズの「高断熱仕様」で家を建てられたとのことです。

このシリーズは、タマホームの「大安心の家(坪単価25.8万円)」をベースとして、+5万円/坪で太陽光と床暖房を標準装備できるようにしたシリーズのようです

このあたり、一条工務店と競合しているお客さんに対して「うちも高断熱仕様がありますし、床暖房も標準仕様にできますよ~」と営業している姿が目に浮かびます。

ただ、タマホームの断熱性については、高断熱仕様にしたとしても次世代省エネ基準をクリアできるかできないか、といった感じのようなので全館空調ではなく、各居室ごとの個別空調が主となると思います。ひとことで「高断熱高気密」と言ってもなかなか難しいな~と思ってしまいます。

ちなみに、タマホームの住宅についてはこちらのブログが非常にわかりやすかったです。

今回ご紹介するDさんのお宅は、約45坪となっており、我が家よりもやや広くなっています^^

B.本体価格 ~他のハウスメーカーとは大きく違う見積構成~

Dさんのお宅の住宅本体価格ですが、見積書上は1435万4660円(税込み) となっていました。これを坪数である44.85坪で割るとほぼ32万円ちょうどになります。

よって、タマホームとしては「常春の家 高断熱仕様」の坪単価を税込み32万円/坪として販売していると考えられます。

しかし、これはしばしばタマホームなどのローコストハウスメーカーなどで言われることですが。諸経費等の住宅本体価格以外の価格が他のハウスメーカーよりも高い傾向があります。

また、他のハウスメーカーであれば住宅本体価格に含めている費用を「諸経費」として別途計上することで本体価格を下げる工夫?がされています。

タマホームの場合は見積上の本体価格に約9.23%の諸経費を見積に本体価格とは別に計上しています。この9.23%は坪単価には含まれていません。Dさんのお宅に関しても「諸経費」として132万5639円が別途諸経費として計上されていました。これは住宅本体価格の9.23%に相当する額になっています。

この「必要経費」は前回ご覧いただいた積水ハウスの場合の「~諸経費」と同様企業の利益に該当する部分だと考えました。

そのため、ハウスメーカーの見積書を比較するというこの記事の目的から考えると住宅本体価格に計上することが妥当と判断し、タマホームが見積書に記載している1435万円の住宅本体価格に119.7万円の必要経費を加えて本体価格とすることとしました。

さらに、タマホームの見積書では諸経費とは別に「必要経費」という項目があり、約114万円が計上されています。この114万円の内訳は

  • 図面作成・確認申請費:49万円
  • 住宅瑕疵保証料:10万円
  • 諸検査費用:19万円
  • オール電化・エコキュート対応費:12万円
  • 仮設費用:24万円

となっています。ここではハウスメーカー間の見積書を横並びに比較したいため

諸検査費用、オール電化エコキュート対応費は住宅の本体価格に割り振りました。また、図面作成費・確認申請費用については分割ができませんでしたんで「諸経費(確認申請料等)と設計・工事監督料」として59万円を割り振りました。仮設費用24万円については、「付帯工事(屋外給排水費用)」に割り付けました。タマホームはこの「必要経費」とは別に付帯工事費用として124万1100円を見積に計上していますので、「付帯工事(屋外給排水費用)」は合計148万1100円となりました。

さらに、他の大手ハウスメーカーでは本体価格に含めている事が多い産業廃棄物の処理費用も別途計上されており、その額は約67万円でしたので、これは住宅の本体価格に含めました。

こうしてみると、タマホームの見積は「住宅本体価格」または見かけ上の「坪単価」を低く見せるために、他のハウスメーカーと比較するとかなり多くの「その他費用」が発生していることがわかります。

一般にハウスメーカーで家を建てる場合は、ハウスメーカーが言う住宅本体価格の10%程度の「その他費用」が掛かると言われていますが、タマホームの場合は、本体価格に+30%以上ものその他費用が発生していることになります。

タマホームの坪単価は見かけ上激安ですが、その他費用が+30%以上掛かることを踏まえると、ちょっとミスリードかな~と言う気がします。

ただ、そもそも本体価格+10%が相場、というのも大手のハウスメーカーが勝手に決めたことであってそれに従う必要があるわけではないので、別に悪いことと思いません。ただ、私達顧客の側はタマホームで家を建てようと思った場合には、他のハウスメーカー等で家を建てる場合よりも単純な坪単価で計算した住宅価格よりもかなりプラスの費用がかかることは覚悟しておくことが必要と思います。

そんなこんなで、他のハウスメーカーと比較可能にした「B.本体価格」は以下の通りです!

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結果として、住宅本体価格は1591万円となり、坪単価にすると(税込み)35.4万円/坪となりました。タマホームが言う税込み32万円/坪≒30.5万円/坪(税抜き)と比較すると税抜きベースで約5万円坪単価が上がった印象です。このあたりはハウスメーカーを比較検討する場合には注意が必要だと思います。

付帯工事費用については家の面積が広いことなども考慮に入れると、一条工務店、住友林業や積水ハウスと同程度の金額という印象です。

以上をまとめると、最低限家が建つ金額である「B.本体価格」をベースとした坪単価は40万1000円/坪となりました!

この金額はタマホームが宣伝で使っている25.8万円/坪や32万円/坪と比較すると割高感はありますが、一条工務店で建てた我が家で同じ計算をした坪単価が63万円、住友林業で61万円または75万円、積水ハウスで60万円でしたから、20万円以上も安い金額です。

坪あたり20万円安ければ40坪の家で800万円もの差が出ますから、タマホームの家はやっぱり安いと言う印象です。

C.オプション価格、D.地盤、E.合計

「B.本体価格」はかなりトリッキーだったタマホームですが、オプション価格等は他のメーカーと同じように記載されており、特段複雑な計算は必要ありませんでした。

Dさんのお宅では、シューズクロークの増設や階段の段数の変更等建具の変更で、85.1万円のオプションを追加しています。

エアコンについては1台が標準のようですが、それ以外に付いての記載はなく、カーテン等の記載もありませんでしたので、ここでは空欄とすることにしました。

このあたりは標準仕様が充実していると言われるタマホームだけに少ないオプション金額と思います^^

地盤関係の費用についても記載がありませんでしたので、0円で計上しました。

以上をまとめると合計金額は1883万円となりました。坪単価に換算すると約42万円/坪です。

別途カーテンやエアコン、照明などが必要になるとは言え、他の大手ハウスメーカーと比べると同じ坪数で言えば約1000万円は安くなるといった印象です。

F.値引き

タマホームには見積はないようです。このあたりは一条工務店と一緒で、1円足りとも値引きがないようでした^^;

住友林業や積水ハウスの見積書では値引きの結果切りの良い数字になるのですが、タマホームの家の場合は1円単位まできっちり記載されていました^^;

ただ、何百万円もの値引きがなくても、十分に手頃な金額になっており、ここで営業マンが独自に価格交渉をするよりも、最初から「驚きの安さ」を提示して、値引き無しと言った感じなのだと思います。

 

G.合計

タマホームで家を建てられたDさん宅の最終的な支払い額は1883万円となっていました。オプション込みで計算した坪単価で42万円でした。

当初の25万円や30万円といった坪単価よりは上がりますが、それでもかなり安いです。中小の工務店と比較しても安い金額になっているのではないかと思います。

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ということで、タマホームの家はやっぱり群を抜いて安いと言った結果となりました^^

 

タマホームの見積金額で大手から値引きを引き出すのは無駄

ここで思ったのはタマホームの見積をとって、他の大手ハウスメーカーと価格を競合させた場合、100%無駄な労力に終わるだろうと言うことです。

住友林業のように数百万円単位で値引きを行うハウスメーカーであっても、坪単価で数十万円単位で差額が出てしまうと、金額での競争は無理です。

値段がこれだけ違うのは、単なる企業努力ではなく、そもそもの材質などの違いから来る部分がかなりを占めていると思われます。そうだとすると、価格で競合させること事態が無意味だろうと思います。

また、そのような値引き交渉をしてしまうと「無茶な値引き交渉をしてくるお客さん」という印象が強くなり、結果的に値引き交渉を阻害する可能性も大いにあるように思います。

「価格の安さ」でどこまでいけるのだろう??

タマホームは確かに安いです。そして、値段の高さ故に注文住宅を購入するのをためらっていた方達に対して、新たな発想を提供したという点で非常に面白いです。

あくまで個人的な見方ですが、タマホームの急成長は、ハイレバレッジ経営による効果が大きかったと思っています。すなわち、大量のお金を借りて、それを資材の購入に充てることで低価格を実現し、大量に販売するという経営の方法です。一歩間違えばすぐに倒産してしまいますが、成功すれば高いリターンを得ることができます。このあたりは一条工務店の無借金経営とは真逆です。一条工務店の無借金経営を「企業の成長促進」と言う観点から見たとき、私は必ずしも良い事とは思いませんが、一条工務店は手元現金以上の投資を行わない戦略をとってきています。

タマホームはその方法に勝ってきたのだと思います。ただ、2013年に上場を果たしたことにより、株主の監視は強くなりますからこのようなハイレバレッジ経営は行えなくなるのではないかと思います。

一方で、こちらにあるように上場時に財務体質がかなり改善されていることがわかります。上場を果たしたことで、資金の調達容易性はあがるもののいままでのような創業者の強い意志を反映した経営は困難にもなってきます。

当初はローコストハウスメーカーで急成長したものの、昨今は、555万円の家で成長してきたアイダ設計などより低価格を謳うハウスメーカーも登場しており、競争の激化は必至です。さらには、昨今の円高、消費増税後の住宅需要の冷え込みに対してどこまで耐えられるかというのが、どこまで低価格による競争に持ちこたえられるかはよく分かりません。

そうしたとき、タマホームが今後、更なる低価格戦略に進むのか、コストパフォーマンスを売りにするのかによって、今後のタマホームの住宅価格は大きく変わってくるように思います。

 

ハウスメーカー見積価格比較ページの目次
ハウスメーカーの見積書を元に、坪単価や値引きの実際を紹介しています。
坪単価とは?家を建てるのに必要な費用項目一覧
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