結露はなぜおこるのか?・・・まずは理屈から

こんばんは。さすけです。

先日、我が家の窓サッシに生えてしまったカビについて書かせていただきました

本日の記事は興味の無い人には興味がない内容かも知れません。
理屈に興味はない方も是非後半だけお読みください^^

ただ、結露に悩んでいる方がいらっしゃったら是非読んでいただきたいと思っています。。。

今回は、「結露」とは何なのか?、そして結露はなぜ発生してしまうのか?

について書きたいと思っています。まずは、基本知識をまとめて見たいと思います。

結露に悩んでいる方はちょっと大変かも知れないですが、理屈を知っているのと知らないのでは対策の取りやすさが変わってくると思っています。

結露とは何か?

結露というのは、空気中の水蒸気が液体の水に変化したものです。

水蒸気は目に見えることはありません。(湯気は水蒸気ではなく、小さな液体の水の粒です。)

ようするに、気体の水が液体になったものが「結露」です。

それでは、なぜ気体の水が液体になってしまうのか?ということを理解しておく必要があります。

空気に含まれる水蒸気の量は温度によって決まる。

以下は中学校の理科のおさらいです^^

空気の中に存在できる水蒸気の量は温度によって変わります。

空気は高い温度の時ほど多く水蒸気を含むことができます。それぞれの温度で最大限含みうる水蒸気の量を「飽和水蒸気量」といいます。飽和水蒸気量に対して、それぞれの温度で実際に存在する水蒸気(絶対湿度)の割合を「相対湿度」とよび、一般的な温湿度計が示す湿度はこの相対湿度のことです。

温度が25℃の場合、1立方メートルの中に存在できる水蒸気の量は23gです。
しかし、温度が10℃の場合は、存在できる水蒸気の量は9.4gになってしまいます。

この「存在できる水蒸気の量」が「飽和水蒸気量」です。

2つの箱の中に入っている水蒸気の量は違いますが、いずれの箱の中もこれ以上水蒸気が入る事ができない状態です。この状態が(相対)湿度100%の状態です。

温度を下げると結露する。

では、上の温度25℃、湿度100%の箱の温度をゆっくりと下げていくとどうなるでしょうか?

温度が下がると、空気中に存在できる水蒸気の量は減少していきます。
その結果・・・行き場のなくなってしまった水蒸気は液体の「水」になってしまいます。これが結露です。

このとき結露する水の量は、13.6gです。

実際には室温25℃で湿度100%などという環境で生活することはありません。もう少し現実に即した計算をしてみます。

室温25℃、相対湿度50%の箱をゆっくりと冷やして10℃にしたとします。
湿度25%のときの飽和水蒸気量は23gでした。「相対湿度」の相対とは「飽和水蒸気量に対して」という意味を持っています。ですから、相対湿度50%というのは存在する水蒸気の量が飽和水蒸気量の半分と言うことを意味しています。よって、存在する水蒸気の量は11.5gとなります。

この11.5gの水蒸気量のことを「(容積)絶対湿度」と呼びます。

絶対湿度というのは、温度に関係なく1㎥の箱の中に何グラムの水蒸気が存在するのか?ということを表した量です。

先ほどの続きで、温度25℃湿度50%、絶対湿度11.5g/㎥の空気を10℃になるまでゆっくりと冷やすと、飽和水蒸気量を超えてしまった水蒸気は結露して水滴になってしまいます。そうして、温度が10℃になったときには飽和水蒸気量=絶対湿度となり、9.4g/㎥の水蒸気と、箱の中に結露した2.1g分の水滴になります。

* 高断熱高気密住宅が結露しにくいと言われる理由

一般に高気密高断熱住宅は「結露しにくい」と言われています。

断熱性の低い住宅では人が居る時間は室温が25℃くらい、キッチンなどで料理をしたりすると湿度は50%程度になります。

しかし、人が寝室に移動して深夜になると室温は10℃程度になってしまいます。

例えば10畳(16.5㎡)で高さが2.5mの部屋を想定すると、部屋の空気の体積は約41立方になります。人が居るときに25℃、湿度50%だった部屋が室温10℃、湿度80%になると・・・

1㎥あたり4gの結露を生じます。よって、41㎥だと、164gの結露を生じることになります。
これらの結露によって生じた水は壁や床を濡らすことになります・・・

それに対して、高断熱高気密住宅になると、人が居るときも居ないときも室温の変化はほとんどありません。そのため、室温が大きく下がることがなければ結露は生じにくいのです。

また、高断熱高気密住宅は室内の壁や床の温度も室温と同等程度に保たれています。そのため、暖かく湿った空気が「冷たくなること」がないのです。

このことから「高断熱高気密住宅は結露しにくい」と言われています。

床暖房は乾燥する?

一方で、高断熱高気密が結露しにくいということを裏を返せば、「高気密高断熱住宅は乾燥しやすい」ということにも繋がるのです。私が家を探しているときに、「床暖房はエアコンより乾燥しやすい」という営業さんがいましたが、これは間違いです。

床暖房でもエアコンでも、外気温が低いときに水蒸気量を変化させずに室温だけを高くすれば、室内は乾燥します。。。。

これは勘違いされている方がいらっしゃるかもしれませんが、エアコンや床暖房が空気中の水蒸気を奪うことはありません。空気中の水蒸気の量を変えずに温度だけを上昇させているために、相対湿度が下がってしまっているだけなのです。

石油ストーブやガスストーブは燃焼時に大量の水を発生するため、乾燥には強いです。例えば、1Lの石油を燃焼させれば1Lの水蒸気が発生します。ただし、同時に大量の酸素を使いますから、換気は必須となります。おそらく、床暖房は乾燥する、というのはこの石油ストーブと比較してのことと思います。

そのため、何となく「昔の家はこんなに乾燥しなかったのにな~」という感覚になるのは、昔は石油ストーブが一般的であったため、加湿器など使わなくても空気中に水がばらまかれていたためかと思います。エアコンと床暖房を比較すればその乾燥度合いは同じです。

でも実際結露しているじゃん!ってかカビ生えてるし(゜д゜)

高断熱高気密住宅は結露しないんじゃなかったの??と思うかも知れません。
実際、我が家はカビが生えるまで結露しています。

その原因はハニカムシェードの存在にあります。

ハニカムシェードは湿度を通す素材でできています。そのため、ハニカムシェードと窓ガラスの隙間の空間はまさに「湿った空気が冷やされた」状態になってしまうのです

実際に窓やサッシはどの程度の温度になっているか?

現在は温度を測定している状態ですので、ある瞬間の温度しか示すことができません。

上記は我が家の勝手口部分です。先日カビが生えてしまっていた部分になります。
窓のサッシ周りが結露していることがわかるかと思います。。。。

この部分の温度はどの程度なのか?小道具?サーモグラフィーを使って見てみます。

上記のようになりました。濃い青色の部分は約10℃、赤い部分は約21℃となっていることがわかります。我が家の室温(25℃)と湿度(45%)だと、約12℃で結露が始まります。よって、上記の濃い青色の部分は結露することになります。

ではハニカムシェードの表面の温度はどうかというのも見てみます。

勝手口のハニカムシェードを30cm程度空けて撮影した映像です。ちょうど「13.6℃」と書かれている当たりがハニカムシェードがしまっている部分です。下側の青くなっている部分がハニカムシェードが開いている部分になります。

室内側のハニカムシェード表面は室温に近い温度になっており、結露が生じない温度であることがわかるかと思います。

ちなみに・・・・上記で使用しているサーモカメラはFLIRというサーモカメラで、

【送料無料!(沖縄・離島を除く)】赤外線サーモグラフィFLIR i3
価格:84,893円(税込、送料込)

8万5000円ほどとかなり高いですが、サーモグラフィの中では最安のものと思います。ただし、視野角が狭いです。ただ、狭い範囲の温度を可視化するには十分な機能を持っています。

以上から一条工務店が標準で使用する、樹脂サッシ+アルゴンガス入りの窓ガラスであっても、ハニカムシェードを閉めてしまうと理論上も結露が生じることがわかりました。

ハニカムシェードを閉めなければ結露はしない?

ここで気になるのは、ではハニカムシェードを開けている窓は結露しないのか?を確認してみます。

結論から言えば、私が住む茨城県の外気温であればハニカムシェードを閉めなければ結露することはありません。

こちらは吹き抜けにある窓ガラスのサーモグラフィによる映像ですが、青色の濃い部分が21℃、赤色の部分が約25℃になっています。

確かに窓ガラスの表面温度、及びサッシ部分の温度は壁に比べると冷たくなっていますが、結露が発生する露点温度12℃を大きく上回っており、結露の可能性はないことがわかります。

よってハニカムシェードを閉めなければ結露は生じません。

結露が心配な方へ

これは一条工務店がまじめに考えてくれるまでの対策ではありますが、

寒い地域にお住まいの方は吹き抜け上部のハニカムシェードは夜間は下ろさないことをオススメします。

先日の我が家であったカビのようなカビが吹き抜けのサッシ部分に生じてしまうと、拭くことが非常に難しいです。2段ばしごで登って拭かなければ拭き取ることはできませんし、非常に危険です。

ですから、せっかくハニカムシェードがあるのに使えないのは非常にもったいないですが、冬に関しては吹き抜けのハニカムシェードは少なくとも夜間は空けておくことをオススメします。もちろん夏は閉めても大丈夫ですよ^^

これによって、一条工務店が言うところのQ値よりも性能は下回ってしまうことになります。しかし、その性能低下はそれほど大きくはないと思います。(これも後日考えてみます。)

ただ、なによりも「拭けない場所にカビが生えることは避けた方が良いと思います

とりあえず一条工務店さんへ!

ハニカムシェードは見てわかるとおり、空気も通す素材です。そのため、室内の対流によって、窓に接した空間に常に湿った空気が入り込み、そこで湿った空気が冷やされて窓部分に結露を生じさせてしまうのです。

できることならば、ハニカムシェード事態に一定の防湿性があれば結露の量も限定的になるのですが、、、利便性とコストをあわせて考えると難しいかもしれません。。。。

自分の家で試すのは躊躇するので、一条工務店にいくつか試して欲しいことがあります。

ハニカムシェードにシリコン系のコーティング剤等でコーティングを行って、透湿性を低くしたら、結露はしにくくなるのではないかと思うのですが???何か問題は起こるでしょうか??または、その程度では結露の量は変わらないでしょうか??またはハニカムシェードの内部にビニール系の素材を入れるというのもどうかと思いますが、この場合は紫外線による劣化の問題あるかも知れないです。

あくまで推測ですが、この程度でかなり結露は防げるような気がします。。。きちんと防湿されていれば理論的には結露の量はせいぜい2g程度に収まるはずなので大丈夫な気もするのですが。。。ただ、もしかすると、ハニカムシェードと窓の間にカビが生える程度には結露する可能性もある気もします。低コストかつ、容易に結露を防ぐ方法を検討して欲しいです。

いつものことですが我が家を実験台にしても良いですよ(^o^)/
(最近妻に「うちは一条工務店の実験棟じゃない!」と言われましたが^^;;)