一条工務店ってどんな会社?顧客から見た一条工務店

はじめまして。一条工務店で家を建てているさすけと申します\(^o^)/

なぜにはじめまして?

一条工務店が浜松市に300億円を寄付するというニュースが流れてから、一条工務店をキーワードとした検索でこのブログに来ていただくことが非常に多くなりました。

 

で、一条工務店について知ろうと思ったのに一条工務店のサイトに行ってもほとんど情報がなかったため私のブログにたどり着かれてしまったのだと思います。。。。

一条工務店の概要については大変わかりやすくまとまったブログがこちらにありましたので是非ご覧下さい。

で、便乗して顧客の私が勝手に一条工務店とはどんな会社かについて一顧客から見た一条工務店の印象を書いてみたいと思います。最初は短くまとめようと思ったのですが、やっぱり無理だったので今回も長文です^^;

一条工務店ってどんな会社?

 一条工務店というニュースが流れたとき、多くの方は
  聞いたことないけどどこの会社?
 どっかの土地成金工務店が寄付したの?
 税金対策?
そんな印象を持たれたのではないかと思います。

一条工務店は1978年に浜松市で創業した住宅専業のハウスメーカーです。「工務店」という名前から、どこの町にもある工務店を想像してしまいますが年商2200億円、従業員3500人の大手企業です。

今回、「工務店」が堤防を寄付するということで、自分で寄付して自分で堤防を作るつもりなんじゃないかという勘ぐった見方が当然でると思います。しかし、一条工務店は一般住宅専業メーカーなので堤防を作ることはできないと思います。よって、今回の寄付は純粋に寄付であろうと思われます。

 

一条工務店は、今回の寄付で有名になった大澄賢次郎氏が創業し、その後1990年代後半に山本庄一氏が社長を引き継ぎ、2008年に現在の宮地剛氏が社長に就任しており、宮地氏が3代目の社長になります。現社長の宮地氏はコニカミノルタホールディングスの元社長であり、元々の出身は三和銀行です。以下は1999年当時の一条工務店の会社概要をキャプチャしたものですが、

当時の主要取引先銀行が三和銀行・東海銀行となっています。これは完全な想像ですが、宮地氏が三和銀行時代に一条工務店を何らかの形で担当し、古い付き合いがあって現在の社長就任しているものと思われます。

一条工務店の特徴=非上場企業

一条工務店は非上場企業であるため、大半の株式は創業者一族が所有していると思われます。悪い面としては経営状態やその他情報が非常に少なく、顧客側からは秘密のベールにつつまれているようなところがあります。一方で、良い面としては多数に流された家ではなく、後で述べる免震住宅や高気密高断熱住宅のような特化型住宅を提供できていると思われる点で非上場であることが大きく影響していると思われます。
一般に、株式を上場すると多くの資金を調達出来るため成長を加速することが出来ますが、多数の株主の意見を聞かざるを得なくなり、結果的に「普通の住宅」しか建てられなくなると思っています。対して、非常上場企業は株主数が少なく、特に創業社長がいればその意見のみによって製品を作作ることが出来ます。結果として、何かに特化した製品というのが作りやすい環境にあるのだと思います。

一条工務店とは方向は違いますが、ローコスト住宅を得意とするタマホーム、アキュラホーム、アイダ設計なども非上場企業です。こちらも一般受けよりは、ローコスト住宅に特化している印象です。私は現在はアイダ設計が建てた家を借りて住んでいますが、この家が1000万円で買えるのか、と思うほど良く出来ています。そういう意味でローコスト住宅も特化型住宅の一つと思います。

一条工務店の特徴=無借金経営

先のブログにあるように売上高は連結ベースで2189億円となっており、大手ハウスメーカーと同程度の売上高を誇っています。企業の規模や経営健全性を示す指標として、国の公共工事入札に必要となる経営事項審査の点数がありますが、この結果は2010年時点で戸建て住宅メーカーでは5位に位置しており、上場大手ハウスメーカーとほぼ同程度の経営規模と経営の健全性を示しています。

リーマンショック以降、多くのハウスメーカーが苦戦する中でコンスタントに黒字を計上しており、一条工務店の経常利益は2008年度が149億円、2009年度107億円、2010年度147億円となっています。比較のために積水ハウスは2008年度1140億円、2009年度770
億円、2010年度-388億円となっています。

また、一条工務店は無借金経営を掲げており、負債は0となっています。事実、経営事項審査における支払い利息がマイナスとなっており、預けている現金の方が多いことが伺え、無借金かつ現金を有していることが分かります。また、内部留保額は約800億円以上有り、今回の寄付もこの内部留保を踏まえての寄付になると思われます。毎年100億円づつ寄付するのは、毎年の経常黒字が100億円台ですから、ここから寄付を控除するためと思われます。

一条工務店の家の特徴は?どんな家を売っているの?

免震、高断熱高気密、大容量ソーラー

一条工務店はi-smart、i-cube、セゾンなどといった名称で家の外観や特徴によって商品をシリーズ化して販売しています。どんな家があるのかはこちらをご覧下さい。

で、シリーズに共通した点として、一条工務店が販売する家は3つの特徴に特化しています。(←主観です)
1. 免震・耐震住宅
2. 高気密高断熱(全館床暖房)住宅
3. 大容量ソーラーパネル
販売する商品の価格帯などによって、1,2,3の全てまたは一部を満たす商品が大半を占めています。

最も免震・耐震住宅を売っているハウスメーカー

免震住宅の販売実績では業界1位となっています。これはブリジストンと共同開発した低価格な免震装置によって実現しています。価格で言うと、建坪1坪あたり13万円程度、一般的な建坪20坪(2F建てで40坪)の住宅で260万円程度で免震住宅を建てることが出来ます。

免震と同時に耐震にも力を入れており、阪神淡路大震災の全半壊棟数は0となっているようです。また、こちらはご覧になったことがあるかも知れませんが、東日本大震災で津波に流されなかったことで有名になった家が一条工務店の家です。動画の後半の家も一条工務店の家になっており、一条工務店が引き渡し済みの家にまで耐震補強工事をしてきたことが分かります。正直、異常なほど耐震にはこだわりがあるようです。

もう一条工務店の代名詞?高気密高断熱、全館床暖房住宅

家の中であっても冬は寒いのが当たり前です。特にリビングは暖かいけれど、トイレは寒い、それが普通です。しかし、一条工務店が販売する家は魔法瓶住宅などと言われ、家全体を分厚い断熱材で覆うことで熱を逃がさない構造にして、家全体の温度を均一に保つのが高断熱高気密住宅です。さらに、リビングはもちろん、トイレ、風呂、クローゼット等本当に全館に温水床暖房を敷き詰めることで、家全体の温度を均一に保つことを売りにしています。こちらも商品によっては標準で付いていますが、オプションになる場合で、坪あたり5万円、40坪の家で200万円で高気密高断熱、全館床暖房住宅を手に入れられます。家全体を24時間均一の温度に保っても床暖房にかかる電気代は月1万円程度で実現しています。

10kWオーバーの大容量ソーラーパネル搭載の家

一条工務店では、多くの住宅でソーラーパネルを搭載することが出来ます。一般にソーラーパネルの容量は3kWから4kWというのが一般的ですが、一条工務店の家の場合平均で7kW搭載されています。私の家の例で行けば9.9kWを搭載します。

なぜこれほど大容量なソーラーパネルを搭載しているのか?当然ソーラーパネルを搭載するためには、初期費用が必要となります。9.9kWで約300万円が必要になります。そこで、一条工務店は初期費用を無料で取り付け、そのかわり太陽光発電による売電収入で取り付け費用を返済する「夢発電」というシステムでパネルを販売しています。これはいわゆるローンですが、金利は10年固定で1%となっており、銀行ローンとは別枠で大容量のソーラーパネルを搭載し、発電した電力を売電したお金でローンを返済する仕組みになっています。10kW程度を搭載すると概ね9年程度で返済が終了し、それ以降の売電収入は全て顧客のものになります。20年程度の長期で見ると200万円以上の黒字になるため、多くの人がソーラーパネルを搭載しています。

これは、一条工務店が持つ豊富な現金を顧客に貸して、自社商品(ソーラーパネルも自社生産しています。)を買ってもらうという仕組みです。少しうますぎる話に見えて、躊躇しますが、立地条件にもよりますがおそらく得をできるシステムになっています。

以上3つの特徴が一条工務店が販売する家の特徴です。これは私の主観ですが、非常にコストパフォーマンスが高い住宅を提供しているというのが一条工務店に対する個人的印象です。住宅を価格だけで見た場合、一条工務店よりも安い家はたくさんあります。タマホームやアイダ設計であれば坪40万円以下、40坪で1600万円あればおつりがきます。対して、販売している商品にもよりますが、一条工務店、積水ハウス、住友林業で家を建てれば、どの商品を選択しても最終的な価格は最低坪60万円以上40坪の家で2400万円はかかります。仕様などにこだわればすぐに3000万円になってしまいます。ちなみに我が家の見積はこちらです。

そういった意味で単純な価格で比較すれば高い部類に入ると思います。免震装置に260万円、高気密高断熱住宅に200万円、ソーラーパネルに300万円等というと非常に高額なように思えますが、
例えば、床暖房であれば通常10畳程度のリビングだけに設置した場合で60万円程度かかります。家全体に入れれば(普通は営業マンに止められますが)、数百万円では実現できません。床暖房だけでは室内は暖かくならず、さらに断熱材を通常の倍以上いれればさらに費用はかさみます。

「家の性能」にこだわって建てる場合、コストパフォーマンスが高いというのが色々なハウスメーカーを調べた中で感じた一条工務店の印象です。逆に、性能を低下させるような施工を顧客がいくら要望しても施工不可の判断を下されます。特に耐震性能に関しては非常にシビアで、完全に自由な間取りを設計することは出来ません。顧客が耐震等級が下がっても良いと言っても、下げてくれず、耐震性を上げるための補強壁が部屋の中にできることが多くあります^^;この辺は性能とのトレードオフです。

仮に技術志向とデザイン思考があれば、一条工務店の建てる家は完全に技術志向の家です。ブログを書かれている方も私も含めて理系が圧倒的に多い印象です。そういう意味で理系好みの家と言えます。

もし興味があれば、まずは展示場などに行って、工場見学をさせてもらうと良いと思います。体験してみないとなかなかわかりません。

一条工務店の住宅販売方法の特徴は?

値引き無し、コマーシャル無し!?

一条工務店の住宅販売方法は他の大手ハウスメーカーと比べて一風変わっています。

特徴は2つあり
* コマーシャルをしない
* 値引きをしない

という2つの販売方法の特徴があります。

コマーシャルをしない

先に紹介したブログにもあるように、一条工務店はテレビコマーシャルをしていません。そのため、その名前は一般にはほとんど知られていません。一方で、展示場への出展数は業界最大手の積水ハウスに次いで多い出展数となっています。最近の出展数の急増により、おそらく積水ハウスと同数程度の出展数になっていると思われます。

そのため、「家を建てよう!」と思って展示場に行くとほぼ確実に一条工務店のモデルハウスある状況で、展示場で初めて知ることが多くあります。展示場にいる営業マンも「『工務店』と言う名前で勘違いされますが大手企業です」と説明しなくてはならないほどに知られていない状況です。そして、先のブログにあるとおり、展示場の前のテントにはトミカがおいてあり、小さな子供特に男の子だったら一発でひっかかります^^;

びた一文値引きをしてくれません

ハウスメーカーを探していると、100万円、200万円と値引きするハウスメーカーは山のようにあります。しかし、一条工務店は全く値引きをしません。本当に端数の1円まで値引きしてくれません。私が契約している直営店の場合、全く値引き交渉の余地がありません。本当に端数の1円でさえ値引きしてくれないのです。
ただ、個人的には値引き交渉に応じないことには良い印象を持っています。1000円のものを1100円と偽って、100円値引きして販売することが横行しているのが住宅業界です。また、1000円のものを900円で売れば長期的にはそのハウスメーカーは潰れてしまいます。そういう意味で1000円のものを1000円として売ると言うことは簡単なようで難しく、自信の表れと思っています。
値引き(オプションのサービス)をしてもらうための唯一の方法は、といっても20万円程度ですが、既存の顧客から紹介を受けた場合、法人として契約している場合の2種類だけです。

一条工務店の家はフィリピン製!?

どんな風に家を作っているの?謎のフィリピン工場

一条工務店は家の作り方にも大きな特徴があります。一条工務店はフィリピンに工場を所有しています。そして、そのフィリピンの工場で家を作って、コンテナで日本に運んで来て、現場で家を組み立てていきます。しかし、その工場のことは何故か一条工務店公式サイトには一切書かれていません。。。かなり広大な敷地の工場とのことです。

1980年代に一条工務店が急成長を遂げた要因の一つとして「プレカット工場」の存在があるようです。一般に家は現場でちょうど良いサイズに木材をカットして建てていきます。しかし、この方法は大工の腕によって出来にばらつきが生じます。また、時間や労力もかかります。
そのため、浜松にプレカット工場を作り、ここで事前に木材を各家にあうようにカットして、現場ではその木材を組み立てていくようにするという仕組みを作りました。工場であれば大型の装置を使用して高い精度で素早く木材を加工することができます。

1990年代後半に、国内のプレカット工場を日本のODA援助によって設置されたフィリピンの工業地区に移設し、フィリピンで住宅の大半を加工して日本に持ってきて家を建てる工法が取られるようになりました。

一般に多くのハウスメーカーはキッチンであればTOTOやINAXのものを購入して自社の建てる家に取り付けることが多いのですが、一条工務店ではフィリピン工場で大半の住宅設備を自社生産しています。そのため、窓枠やキッチン、カップボードから本棚まで通常は他社製品を購入するのが一般的なほとんどの住設がオリジナル商品になっています。
そのため、先に述べたコストパフォーマンスの高い住宅になっている一方で、選択肢は決して多いとは言えません。当然、他社製品を導入することはできますが、値段が違いすぎてビックリしてしまい、導入をあきらめることになることが多いように思います。

秘密主義:ブログが多いわけ

一条工務店は非上場企業であるが故に、上場企業に比べて情報は極端に少なくなっています。また、Webにもほとんど情報が無く、情報は展示場で営業マンに聞くしか術がありません。さらに、フィリピン工場の存在自体公式には宣伝していないといった秘密主義名ところがあります。

しかも!、営業マンも知らないことが多くあります。。。。これは勉強不足とかそういう問題ではなく、本社と営業マンとの連絡まで秘密主義になってしまっているという意味の分からない状態になっている印象です^^;慣れればどうってことないのですが、非常に不思議な会社です^^;;;

さらには、家の仕様がどんどん変わっていきます。これは、裏を返すと常に改善が行われているのですが、普通の企業であれば改善があれば、こちらが聞かなくても教えてくれるのが普通と思います。しかし、一条工務店は顧客にメリットのある改善であっても教えてくれません。。。^^;
良く取れば、営業マンも追いつかないほど改善が頻繁に行われているといえますが、悪く言えば連携取れてないです。。。。事実、説明されなければ気がつかないような小さな、そして見た目には分からない改善が非常に頻繁になされている印象です。特に性能に関する部分では異常なこだわりともうつるほど徹底した改善がなされています。。。

しかし、顧客にとっては自分の建てる家ですから、小さな改善であっても気になるのが人情です。また、先に述べたように耐震等の理由から施工に厳しいルールがあります。これらのルールを理解しないと希望の間取りになかなかたどり着くことができません。。。^^;

そこで、顧客は自ら情報を集めようとします。情報を集めるのに一番良い方法は自分が情報を発信することだと思います。結果として、ブログ数が非常に多くなっているのだと思います。私もその一人です。結果としてこんな風にブログ数が多くなっています。

まとめ

以上、私が知っている一条工務店の印象について説明してみました。性能特化型の住宅としては、選択肢が非常に少なく、大手ハウスメーカーで高性能かつ、そこそこの値段の住宅を求めると一条工務店以外に選択肢がないというのが現状だと思います。性能についての比較はこちらなどが参考になります。

なんだか褒めているのかけなしているのか微妙な上に、なんで顧客がこんなことを書いているのか?と不思議な気持ちですが、そんなところが一条工務店の特徴でもあるように思います。書きたくなってしまうのです\(^o^)/