フラット35優遇金利が総支払額に与える影響はどれくらい?

こんばんは。さすけです\(^o^)/

先日は、フラット35の借入先をどうやって選べば良いのか?現時点でお勧めの借入先はどこか?と言ったことを書かせていただきました。

今回は、フラット35に共通した問題である「優遇金利」について書きたいと思います!

フラット35を借りる予定の方はご存じの通り、2015年2月からフラット35の優遇金利が拡大され、それまでは当初10年間0.3%優遇だった優遇幅が倍の0.6%まで拡大されました。

フラット35を借りる際に、この優遇金利が何時終わるとか、今後優遇幅が上がるとか色々な話が出てきますが、この優遇幅の影響って総支払額にどの程度の影響を与えるか想像できる方ってどれくらいいらっしゃるでしょうか?

例えば、私が住宅ローンを借りた2012年当時は、当初5年間0.7%の金利優遇(我が家は東日本被災地にあったため1.0%優遇)、その後20年間が0.3%の優遇でした。

それ以前の優遇幅は当初10年間が1.0%なんていう時期もありました。

当初10年が0.3%、0.6%、1.0%優遇ということであれば、1.0%優遇が一番金利が安く済むのは当然です。でも、いったい総支払額はいくらくらい変わってくるのか?となるとよく分からなくなってしまいませんか?

私が借り入れを行った当時の、当初5年間0.7%、その後20年目まで0.3%優遇と、現在の10年間0.6%優遇ではどちらの方が総支払額が少なく済むのでしょうか??

今回はそんな、フラット35の金利優遇幅について考えてみたいと思います\(^o^)/

フラット35の金利優遇

フラット35で住宅ローンを借り入れると、2015年5月現在は当初10年間0.6%の金利優遇を受ける事ができます。

現在、多くのフラット35を取り扱っている金融機関で提示されている1.46%の金利が当初10年間は0.6%マイナスされて、0.86%でお金を借りることができると言うことを意味しています。

この金利優遇の意味を考える前に、まずは過去にどのような金利優遇措置がとられてきたかを確認してみたいと思います。

フラット35では過去にどのような金利優遇が行われてきたか?

フラット35は、住宅金融支援機構が設立された2007年以降、ず~っと金利優遇措置を行っています。

  • 2007年10月~2009年4月:当初5年間0.3%金利優遇
  • 2009年5月~2010年1月:当初10年間0.3%金利優遇
  • 2010年2月~2011年11月:当初10年間1.0%金利優遇
  • 2011年12月~2012年10月:当初5年間0.7%(震災被災地域:1.0%)金利優遇、その後20年目まで0.3%金利優遇
  • 2012年11月~2015年1月:当初10年間0.3%金利優遇
  • 2015年2月~:当初10年間0.6%金利優遇

2009年5月~2011年11月までの金利優遇はリーマンショックによる住宅需要低下に対する経済対策となっており、2011年12月からの優遇措置の変更は東日本大震災に伴う住宅需要の増大及び経済対策、2015年2月からの金利引き下げ幅拡大は消費税増税に伴う措置、と捉えることができます。

こうして一覧にして眺めてみてもなぜか0.3%と0.6%が多くで、5年やら10年やら、、、、正直どれが一番お得でしょう?と聞かれてもサッパリ分かりませんよね。。。。

どの時期の金利優遇がどれくらい有利だったのか?

上記の金利優遇措置をいくら眺めても、どれが有利だったのかはなかなかわかりにくいです。。。

ということで、現在のフラット35金利である1.46%を使って、仮に100万円を借り入れた場合、その金利差はどれぐらい異なるのか?という計算をしてみることにします。ここでは団信に加入して100万円を35年返済、繰り上げ返済無しとして計算し、優遇がなかった場合に比べて支払額がいくら減少したのかを計算します。

  • 2007年10月~2009年4月:当初5年間0.3%優遇:2万円返済減
  • 2009年5月~2010年1月:当初10年間0.3%優遇:3万円返済減
  • 2010年2月~2011年11月:当初10年間1.0%優遇:10万円返済減
  • 2011年12月~2012年10月:当初5年間0.7%優遇:8万円返済減
  • 2011年12月~2012年10月:当初5年間1.0%優遇(被災地):9万円返済減
  • 2012年11月~2015年1月:当初10年間0.3%金利優遇:3万円返済減
  • 2015年2月~:当初10年間0.6%金利優遇:6万円返済減となります。

上記の数値だと大した事がないように見えますが、仮に3000万円の借り入れだと、上記の数値は30倍になるので、

  • 2007年10月~2009年4月:当初5年間0.3%優遇:60万円返済減
  • 2009年5月~2010年1月:当初10年間0.3%優遇:90万円返済減
  • 2010年2月~2011年11月:当初10年間1.0%優遇:300万円返済減
  • 2011年12月~2012年10月:当初5年間0.7%優遇:240万円返済減
  • 2011年12月~2012年10月:当初5年間1.0%優遇(被災地):270万円返済減
  • 2012年11月~2015年1月:当初10年間0.3%金利優遇:90万円返済減

2015年2月~:当初10年間0.6%金利優遇:180万円返済減となります。金利優遇によって総支払額が60万円~300万円が変わってくるのです。これって結構大きいと思いませんか???

最も有利だったのが、リーマンショック後の住宅需要を下支えする目的で行われた当初10年間1.0%の金利優遇措置で、3000万円を借り入れた場合300万円も総返済額が優遇されていたことを示しています。すなわち、フラット35が1割引近い大幅値引きで借りることができたのです。

現在の優遇措置は当時に比べると、少なくなったものの、3000万円借り入れあたり180万円の優遇、すなわち15%近い値引きで提供されているとみることができます

現在の優遇措置は、リーマンショック後の大幅優遇、それに続く東日本大震災対応に伴う優遇についで過去3番目のお幅優遇が行われている状態にあると見なすことができます

宣伝に惑わされない優遇金利の理解

上記では金利優遇が総支払額に数百万円単位の大きな影響を与えることを確認しました。

フラット35に限って言えば、度の金融機関でお金を借りても優遇幅に変わりはありません。

しかし、変動金利になると、金利も大きく異なってきますし、金利の優遇幅も金融機関によって変わってきます。

また、フラット35にしても今後は金利の優遇幅が変化することがあると思います。そんなときに、その優遇幅が自分自身の支払に対してどの程度の影響を与えるのか?をささっと計算できると非常に便利と思います。

これが計算できることで、変動金利をどこから借り入れるのが良いか、さらには、将来の金利優遇措置の変更が自分自身の支払にどの程度の影響を与えるのかについて、ある程度大まかにでもあたりをつけることができるようになります。

そこで、優遇の影響を簡単に計算できる方法を考えてみました^^

総支払額の早見表

借入額が3000万円の時、金利1%でお金を借りて返済期間35年のとしたときの総支払額はいくらになりますか?と問われてもパットはわかりません。

そこで、下のような早見表を作成しまいた。

image

この表は一番左の列に示した金利で35年返済でお金を借りた場合、総支払額が借入額の何倍になるか?を示した表です。

「フラット」という列と「銀行」という列がありますが、フラット35でお金を借りる場合はフラットを、銀行でお金を借りる場合は銀行の列を見てください。何が違うかというと、フラット35は団信費用を別途総支払額に含める計算をしています。それに対して銀行ローンの場合は、団信費用は金利の中に含まれているのが一般的ですから、団信費用を考慮せずに総支払額を計算してあります。

例えば、フラット35を使って3000万円を借りた場合を考えると、現在のフラット35金利1.46%に最も近い1.5%のところの値、1.35を使用します。

すなわち、3000万円借りると総返済額は借入額の1.35倍二なることを示しています。よって

3000万円×1.35=4050万円

が総返済額である事が分かります。一方で、銀行から0.6%でお金を借りた場合は、上記票より補正係数1.11を使うことになるので

3000万円×1.11=3330万円

が総返済額となります。ただし、銀行ローンは変動金利型となるため、仮に現在の金利が35年間継続すればという、かなり無理な計算をしている点には注意してください。ただし、ある程度の目安にはなると思います。

これで、だれでも総支払額を簡単に計算することができるようになりました\(^o^)/

優遇機金利が総支払額に及ぼす影響

金利優遇が総支払額に及ぼす影響を早見表形式で示しました。

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ぱっと見よく分からない表ですが、一番左端の列に、「金利優遇がどれだけされるのか」を示しています。 そして、その優遇期間が5年、10年、20年の3つのパターンで計算してあります。

そして、色が付いた部分に示されているのが、「優遇によって総支払額が何パーセント減少するか」が示されています。

例えば、当初10年間0.6%金利が優遇されるならば、1列目の0.6%の段で10年という部分に示された「4.4%」が総支払額減少率です。上記の数値は総支払額に対する支払額の減少率となっています。

仮にフラット35で3000万円の借り入れのケースを想定するならば、下記表の1.5%の補正係数

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1.35を使って総支払額が3000万円×1.35=4050万円と計算できます。

よって、当初10年6%の金利優遇というのは、金利優遇が無い場合に比べて4050万円×4.4%=178万円だけ総支払額が減っていると理解することができます。

この表を使えるようになることで、将来フラット35の金利優遇幅が変更になった場合に、自分自身の総支払額にどれだけ影響を与えるかを簡単に計算できるようになります。

例題:当初20年間0.3%金利優遇は現在の優遇とどっちが有利?

例題を解いてみることにします。

将来、金利優遇幅が現在の当初10年0.6%から、当初20年間0.3%に変更されたら場合を考えてみましょう!優遇期間が倍になって、金利優遇は半分になってしまった、そんなケースです

どちらがお得でしょうか?

こんな問題も早見表を使うと簡単に解くことができます。

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表から、当初10年、0.6%の金利優遇は総支払額を4.4%減少させることが分かります。対して、優遇期間20年で0.3%の金利優遇の場合は、総支払額減少率が3.7%になってしまいます。

すなわち、優遇期間が変更されることによって、総支払額の減少率が4.4% – 3.7%=0.7%目減りしてしまった、と言えます。ようするに、総支払額が0.7%増えてしまうのです

どちらが得か?という問いに対しては、当初10年0.6%優遇の方が総支払額で0.7%だけお得だと言うことが分かります。

ではこの0.7%は実際の支払額にどの程度の影響を与えるかを考えてみます。将来、フラット35の金利は今よりも少しだけ上がって1.7%になっていたと仮定しましょう。借入額は4000万円とします。この時の総支払額は

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この表から1.7%の段のフラットの列を確認して、1.39という補正係数を確認します。4000万円にこの補正係数1.39を掛けると

4000万円×1.39= 5560万円

が総支払額となります!

金利優遇措置の変更によって総支払額が0.7%上昇すると言うことは

5560万円×0.7%=39万円

の総支払額上昇となることが分かります!

上記のようなケースでは、ハウスメーカーの営業さんは、金利優遇が変更になって総支払額が増えてしまうから早く契約下法が良いですよ!とアドバイスをしてくれるでしょう。。。。しかし、ひとによっては総支払額が100万円以上も増えるならば、急ぎたいけれど、数十万円なら時間を掛けて落ち着いて家を建てたい、というようなケースでは、自分の意思に基づいた判断が可能となります。

また、優遇措置の変更は多くのケースで企業が大々的に「今契約した方が得だ」という宣伝をして来ます。そんなときに、優遇措置が自己の支払額にどの程度の影響を与えるかを簡単に試算できるようになっておくことで、そういった宣伝に惑わされずに家族の意思で判断することができるようになります^^

まとめ

フラット35を借りる場合は「金利優遇」が行われますが、優遇期間や金利優遇幅がコロコロと変わるため、その優遇が総支払額にどの程度の影響を与えるのかはいまいちわかりにくくなっているように思います。

今回は、その優遇が総支払額にどの程度の影響を与えるかについて、おおよその目星を簡単につけられるよう早見表を作って計算できるようにしてみました。

こうすることで、優遇措置の変更があった場合にも、それが自分の支払額にどの程度の影響を与えるかを簡単に理解することができ、家を建てるタイミングなどを自分自身で決められるようになればと思っています\(^o^)/

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