現場での土間収納結露対策は慎重に

こんばんは。さすけです\(^o^)/

今年の1月に我が家の土間収納における結露の状況をご報告させていただきました。

参照:なぜi-smartの土間収納は結露するのか?土間収納がある方は要注意!?:これは欠陥ですか?いいえただの配慮不足です!

その後、建築中の方などが現場監督などと相談をして現場ベースで土間収納内の結露対策をされているとのお話しをお聞きしました。

それらの対策をお聞きして、一部リスクがある対策が取られているようですので、現場での土間収納内部の結露対策において注意すべき事項を書かせていただくことにしました。

土間収納における結露

こちらの記事に詳しく書いたとおり、我が家の土間収納は冬場に外壁に面したタイル上に結露が見られます。

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その後も見ていましたが、外気温が下がる2月までは結露が起こっていました。ただし、結露しやすい場所に段ボールなど水を吸い込みやすいものを置かず、スチールラックを設置して床面にものをおかないようにしたことで以前のようにカビが生えてしまうことはなくなりました。

ただ、「土間に床暖房をしても断熱はされていませんでした【土間収納結露】」に書いたとおり、原因は一条工務店の施工方法に課題があるという認識を持つようになりました。

壁内結露について

表面の結露よりも内部の結露の方が深刻

いわゆる結露には目に見える結露と見えない結露があります。目に見える結露は、表面結露と言い窓ガラスが結露した状態や我が家の土間収納のように土間のタイル表面が結露した状態です。一方で、目に見えない結露は壁内結露と呼ばれています。

一般に「結露」というと窓ガラスに結露するような表面結露をイメージしますが、深刻さで言うと表面結露よりも壁内結露の方が深刻です。

表面結露は目に見える場所で結露し、放置すればカビが生えたりして不愉快な思いをします。しかし、目に見えるだけに木材をぼろぼろに腐らせるような状態まで放置されることはほとんどありません。

一報の壁内結露は、表面上は結露が見えないために居住者は壁内で結露が生じていることに気が付くことができず、結果的に結露を放置してしまい、内部の木材を不朽させる状態まで放置させてしまうことがあります。

しばしば住宅リフォーム番組などで、風呂場やキッチン周りをリフォームしようと壁を剥がしたら内部の柱など木材が腐ってしまい崩れ落ちている、などというのをご覧になったことがあるかと思います。10年、20年という長い期間結露を繰り返している状態で放置された結果、木材が腐ってしまうために生じる現象で有り、これこそが壁内結露の怖さなのです。

Googleなどで「壁内結露」でイメージ検索をするとどのような状態になるかイメージしやすいと思います。

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高断熱高気密住宅と結露は切っても切れない関係にあり、高断熱高気密の発展は以下に結露を防ぐかの歴史でもあったのです。

参考:結露の怖さ~高気密の歴史とナミダタケ

壁内結露を防ぐ防湿層

上記の様な壁内結露を防ぐための方法として、一般に採られている方法が防湿シートの施工や防湿層を設ける施工方法です。

防湿シートというのは、一言で言ってしまえばビニールシートのことです。一般に断熱材として使用されることの多いグラスウールの場合、透湿性が高いためビニールシートのような防湿シートを施工したり、または、グラスウール自体が防湿シートにくるまれたタイプのものを用いてこれを壁面にきっちりと敷き詰めて防湿層を形成します。

一方で一条工務店では、断熱材としてEPSを断熱材として使用しています。EPSはいわゆる発泡スチロールと同じように湿度を投下することはありません。そこで、一条工務店ではEPSを壁面にきっちりと埋めることで防湿層を形成しているのだろうと思います。

図で表すと

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このような構造となっています。室内側で発生した水蒸気は防湿層でストップし、外壁側に侵入することはないという理屈です。

この構造によって、外気温が零℃、室内が25℃というような環境において、室内の湿度40%のような真冬を想定した環境においても、EPSの室内側表面と室内の室温はほぼ等しく、その表面が結露することはないとされています。

温度分布は

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このようになります。室内側の湿度が外壁面まで達すると結露が生じますが、EPSが防湿層となり湿度が外気側に行かないため壁面と室内側の温度差が生じず、結露は生じません。

一方で、防湿層が無い状況を想定してみます。シンプルにEPS部分が中空のケースを考えてみます。

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このようなケースでは室内の水蒸気は中空の壁面内部に入り込み、室内の高い湿度が外気側の冷たい壁面に接してしまいます。結果として、外壁の室内側表面に結露が生じます。

冬期を例とすると、室内側は生活から多くの水蒸気が生じ、この水蒸気が「冷たい壁」に触れると結露が生じてしまいます。わかりやすい例は冬場に窓が結露する減少ですが、これは「冷たい窓」に室内の湿度が接することによって生じます。

そのため、結露を防ぐ方法は「冷たい壁」に「高い湿度」を触れさせないようにするしかありません。

土間収納の結露対策でやって良いこと悪いこと

土間収納壁面結露のケース

土間収納の室内側壁面が生じた理由を図示すと下記のようになります。

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土間収納内の壁面は外壁、コンクリート、そして土間タイルによって構成されています。

コンクリートはEPSはもちろん、木材などに比べて熱伝導率が高いため、外気が低ければその冷たさを室内側壁面に伝えさせてしまいます。結果として、室内温度が25℃のような状況でも外気の冷気を伝えてしまい表面温度が10℃前後となった結果、土間のタイル表面に結露が生じたと理解することができます。

やってはいけない土間収納の結露防止対策

私がお話しを聞かせいただいたり、ブログ等で拝見させていただいた土間収納内部の結露対策として取られていた方法で少し心配になったケースをご紹介させていただきます。

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上記の方法は非常に施工しやすいのですが、リスクが高い施工であると思います。

土間コンクリートと土間タイルの間に、合板を何重かにして施工することで断熱層を形成する方法です。コンクリートに比べると合板の熱伝導率は低いため、関東地方程度の寒さであれば土間タイル表面への結露は十分に防止できると思われます。

しかし、この方法は止めた方が良いと考えます。

合板には防湿性はありません。すなわち、室内側の湿度は合板を通過してコンクリート表面に達してしまいます。

コンクリート表面は外気と接して冷えているため、室内空気が透過するとコンクリート表面と合板の間で結露が生じてしまうのです。

この状態はいわゆる壁内結露の状態となってしまうため、上記施工方法は避けるべきと思います。

慎重に施工を考えるべき結露対策

先の合板のケースはタイルを施工するのには良いのですが、湿度が透過してしまうと言う問題があります。おそらくそのことを理解している監督などが採られている対策として、合板ではなくEPSを施工するという方法があります。

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合板の代わりにEPSを用いることで高い断熱性を得ることができるようになり、EPSの厚さにはよりますが、おそらくは東北地方以北であっても土間床暖房がなくても土間タイル表面が結露しない状態を作り出せる可能性があります。

しかし、この方法ではEPSをどのように固定するかという問題が一つあります。EPSは硬いとは言え発泡スチロールですから力を加えれば簡単に割れてしまいます。そのためタイルをEPS表面に貼り付けるわけにはいきません。そのため、木枠のようなものを施工し、その内部にEPSを施工すると言った方法になるかと思います。

そこで懸念されるのが、現場施工によるEPSの防湿層の破れの問題です。コンクリートとEPS、土間タイルの間に隙間が無い状態で施工され湿度が土間タイル側からコンクリート側に流れなければ室内湿度がコンクリート表面に流れることはなく、壁内結露が生じることはありません。

しかし、これは私の直感ですが、現時点においては「無理矢理ESPを押し込んだ」状態になっており、防湿層を形成することはかなり難しいように思っています。結果として、EPSで断熱したのに、EPSとコンクリート面の間に室内空気が流れ込んでしまい、この部分で結露が生じる可能性が高いように思っています。

そのため、上記の施工も避けるべきではないか?と考えています。

土間結露を防ぎ、壁内結露も防ぐには?

考えられる方法の一つとして、しっかりとした防湿層を形成するために、土間タイルと断熱材であるEPS等の間に防湿シートを施工する方法です。この方法であれば、防湿シートから外壁側に室内の湿度が行くことがないため、壁内結露の可能性はなくなります。

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ただし、上記のような施工では防湿シートを度の範囲で施工するのか?そもそもどうやって施工するのか?タイル面の厚み、強度、その他様々な問題が生じ得るように思います。

現時点で上記の工事を一条工務店に行ってもらうことは難しいかも知れません。しかし、要望が多く上がってくれば対応が取られるようになるのではないかと思っています。

引き渡し後に土間収納が結露してしまったら?

我が家と同程度の結露であれば、土間収納の扉を開けておくこと、土間収納内部には棚を設置して床面、壁面に格納している箱等が接しないようにし、通気性を確保することで、結露自体は防ぐことができないにしても、結露によってカビが生えてしまう事態は防げました。

まとめ~今後の対策

現時点では、施工段階で積極的に土間収納内部の結露を防止することは難しいように思います。

もしかすると、先に挙げた施工も、結果的に壁内結露が生じるようなことはなく土間の結露を防いでくれる可能性も十分にあります。というか、その可能性の方が高いと思っています。

しかし、多くの方が上記のように土間収納壁面に合板やEPSを施工した場合、一定の頻度で壁内結露が発生する可能性が高いように思います。

土間収納内部の結露を防止するには土間にしっかりとした断熱施工を施すことが不可欠です。私の知る限り高断熱高気密住宅を得意とするFPの家などでは土間に断熱気密施工を施すことで、土間に結露を生じさせない工夫が成されています

残念ながら一条工務店ではこの点でFPの家に比べて対応が遅れており、土間に結露が生じる可能性を否定できない状態で施工が行われています。いわゆる断熱破れが放置された状態にあります。

最終的に土間収納や玄関土間の結露を防止するには一条工務店の施工方法の改良を待つか、土間部分までしっかりとした断熱施工をしてくれるFPの家などを検討するしかないように思います。

ただ、多くの方が一条工務店の打ち合わせの中で「土間の結露は大丈夫?」と確認することによって、早晩施工方法が改良されるのではないかと期待しています。

土間収納の問題の際に「北海道で家を建てる方は一条工務店で家を建てることを再考をした方が良いかも?」ということを書かせていただきました。別に私が書いたからではありませんが、とりさんのブログによる、その後北海道では、「4重ガラス」が標準仕様として採用されることとなったとのことでした。

私が打ち合わせていた当時、北海道まで含めてアルゴン注入のペアガラスが標準だったと記憶しています。そして、その後色々な方からご相談や連絡をいただく中で、東北地方及び北海道では結露はもちろん、結露した水が凍結してしまっている風景を何度か拝見しました。正直、そのような写真を何回も見た結果として、北海道で家を建てるなら一条工務店以外を考えた方が良いのでは?と思っていました。

しかし、時間がかかってはいるものの、徐々に標準仕様が変更となり、4重ガラスを標準仕様にしたということは、これまでの結露や結露した水が凍結してしまうようなお宅の状況を踏まえてより性能を追求する姿勢を見せたのだろうと思っています。もちろん、これまで家を建てられて問題が生じている方にとっては、腹立たしさもあるとは思うのですが、今後を家を建てる方に採っては良い情報なのかな?と思います。

そのような流れの中で、どの程度の時間がかかるかは分かりませんが、いずれ土間収納の断熱破れの問題も改善するのではないかな?と思っています。そして、その改善には打ち合わせ中に「土間の結露は大丈夫?」と確認される方が多くなれば、対応の速度が速まるように思っています^^