こんばんは。さすけです。
本日は、ちょっとマニアックに、家を建てる際にお世話になることが多いCD管とPF管、それぞれの違いやどのような場所にどちらを使うべきかなどについて書きたいと思います。
お客さんの側が知っているべき情報と言うよりも、営業さんや監督さんこそ知っているべき情報かもしれません\(^o^)/
ということで、ちょっと専門用語が多めになってしまいますので、できる限りわかりやすく書いてみたいと思います。
LANケーブルなどの配管に使用されるCD管とPF管:CD管を使っても大丈夫なの?
自分の家はCD管だけど大丈夫?
先日、
[kanren postid=”5392″]で我が家のサーバ収納の写真をご覧になった方から
さすけさんの家は配管がPF管で施工されているのに、自分の家はCD管で施工されてしまった。
というコメントをいただきました。
まず、CD管というのは
のように派手なオレンジ色をした配管です。対してCD管というのは
のようにグレーの配管になります。我が家は配管はサーバ収納を含めて、全てPF管で施工されています。しかし、通常は一条工務店に配管施工を依頼するとCD管での施工になります。一条工務店に限らず、住宅内で使用される配管ではオレンジ色のCD管を使用するのが一般的です。
屋内配管ならCD管でもPF管でも基本的には問題ありません
CD管とPF管の大きな違いは「自己消火性」と「耐候性」の違いです。
CD管は耐候性が低く、自己消火性もありません。一方で、PF管は耐候性が高く、自己消火性を有します。自己消火性についてはのちほど詳しく解説しますが、一般には耐候性の違いから、屋外の紫外線が当たるような環境では必ずグレーのPF管を使用します。屋外にオレンジ色のCD管してしまうと10年もたたずにぼろぼろになってしまい配管としての機能がなくなってしまいます。
一方で、屋内の配管に関してはLANケーブルはもちろん、電気ケーブル、オーディオケーブル等いずれの場合もCD管、PF管のどちらを使っても問題ありません。CD管に比べてPF管は値段がやや高いため、一般には屋内配管はオレンジ色のPF管で行われるのが一般的です。
以下ではCD管とPF管の違いを詳しく見ていきます。
CD管とPF管は何が違うのか?
CD管とPF管の違いは色だけ?
CD管とPF管で色が違っていることは一目で分かります。しかし、このCD管とPF管は少しだけ調べてみるとおわかりの通り
CD管はコンクリート埋設専用
PF管は露出配管可能
と書かれており、しかも!!
CD管は自己消火性がない
PF管は自己消火性がある
とも書かれています。
自己消火性があるというのは、火を近づければ燃えるけど、火を離せば自然に消えるということです。ざっくり言えば、CD管は一度火がついたら燃え続けるけど、PF管は火がついても周りで他のものが燃えていなければ自然に消えるということです。
後ほど詳しく書きますが、価格はCD管よりもPF管の方が高いです。
と、こんな感じの情報がすぐに見つかると思います。そんな中で、自分の家の配管にオレンジ色のCD管が利用されていて、しかも私のブログではPF管が使われていたら不安になってしまうのは当然と思います。
CD管でも大丈夫なの?
で、結論から言えば、一条工務店やハウスメーカー、工務店が通常施工で配管にCD管を利用することには制度上の問題はありません。
我が家のPF管を利用した施工がイレギュラーなのですが、これを営業さんや監督さんがちょ~適当な説明をするものだからお客さんは不安になってしまうように思うのです。
私が知る限りの一条工務店の営業さんと監督さんの回答(名誉のために我が家のではありません^^;)は
・ PF管とCD管は色が違うだけなので問題はありません(←オイ!!)
・ PF管よりもCD管の方が値段が高いです。(←逆!!っていうか、値段は関係なくない??)
・ 一条工務店ではCD管を使うことになっています。(←こんな回答されたら益々不安になる。。。)
・ 理由は分かりませんが今までもCD管を使っているので問題ありません。(←いや、理由がわからないのは良くないでしょ!)
っていうか、こんな回答されたら不安になって当たり前です。
もちろん、こんな回答をする営業さんや監督、設計さんは少数だと思いますよ。。。。ですよね??
と言うのはちょっと嫌みで、たぶん、大半の営業さん、設計さん、監督さんはお客さんから「なぜ自分の家の配管を自己消火性のないCD管で配管しているのか?」と質問された時、適切に回答し、不安を払拭する説明をできる方は、少ないと思います。
というのも、これは電気工事に関するルールであって、建築に関するルールではないのです。私も詳しくはありませんが建築士の資格を取得する際に電気工事に関する勉強はしていないと思います。
少なくとも、この質問に回答するためには、電気設備技術基準の解釈と内線規定の知識が必要になってきます。これらの知識は身近なところでは電気工事士の資格を取る際に必要になってくる知識です。で、さらに別途理解が必要な部分もあって、正しく回答するのはなかなか難しかったりします。
ということで、今回は室内配管に着目して、CD管とPF管の違いを含めて少し詳しく書いて、今後営業さんや監督さんなどがお
客さんに質問されたときに適当な回答をするのを少なくしようという目的で書いてみたいと思います\(^o^)/
CD管とPF管の違いを個別に確認してみよう!
合成樹脂でできた曲げることができる電線用の配管(合成樹脂製可とう電線管)としてのCD管とPF管
住宅でCD管、PF管を使う場合は、いずれも電気配線やLANケーブルやテレビアンテナケーブルの配線をする際の管として利用することが多いと思います。
一条工務店では16mm, 22mm, 28mmの配管をオプションとして追加できます。確か22mm配管で長さに関係なく1本7500円くらいだったと記憶しています。
ここで使わる配管は「合成樹脂製可とう電線管」と呼ばれる管になります。「可とう」というのは「曲げることができる」という意味です。ようするに、「合成樹脂でできた曲げることができる電線用の配管」がCD管とPF管です。
住宅の電気配線はケーブルを柱などに直接取り付けてしまいますが、将来電気配線を変更する場合などに配管を使うことがあります。
ただ、一般の住宅では電気配線を通すことは少なく、配管をお願いする目的はLANケーブルかテレビアンテナケーブルの配線が主な目的と思います。
CD管の外観と値段
CD管はJIS規格によって派手なオレンジ色に定められています。よって、派手すぎるから白いCD管が欲しいと思っても、そのようなCD配管は存在しません。16mmの50mのロールで市販価格1700円前後、22mmだと2400円前後と思います。
PF管の外観と値段
PF管はJIS規格によって白っぽい色(白に近いグレー)に定められています。こちらは16mmの50m巻きで3000円弱、22mmだと4000円強と思います。
CD管とPF管の値段の違い
CD管とPF管ではPF管の方が値段が高いです。上記はAmazonの価格ですが、PF管の方が1.6倍ほど値段が高くなっています。住宅に施工する配管の量にもよりますが、1Fと2Fを結ぶ配管だと短くても1本10m、我が家だと最長30mほどの場所もありますので、本数が増えると大きな価格差になってきます。
CD管とPF管の性質の違い
先ほども書きましたが、CD管は自己消火性がないのに対して、PF管には自己消火性があります。CD管は一度火がつけば燃え続けますが、PF管は火が近くにあれば燃えますが、火がなくなれば勝手に火が消えてしまいます。
この性質の違いがCD管とPF管の最も大きな違いで有り、通常は唯一の違いと思って良い違いです。これは、手ざわり的な感じですが、PF管の方がCD管に比べて若干柔らかいという違いもあります。これが我が家でPF管を導入することになった理由です。我が家では配管が非常に多いため、少しでも取り回しのしやすいPF管で施工することになりました。
CD管とPF管の使用カ所の違い
CD管とPF管はその自己消火性の違いから、内線規定によって使用カ所の定めがあります。
CD管は、直接コンクリートに埋込んで施設する場合を除き、専用の不燃性又は自消性のある難燃性の管又はダクトに収めて施設すること。
とされています。
ようするに、「直接コンクリートに埋め込む場合以外はPF管を使うようにね!」と言うことが書かれています。
ここまで読むと、住宅の配管にCD管を使うのはルール違反でないかと不安になると思います。
営業さんや監督の説明不足で、私達顧客を不安にさせないためには以下のルールを把握しておくことが必要です。
「保護管」としてCD管・PF管を使う場合は使用箇所に規定無し
これが、また話をややこしくするわけですが、内線規定によれば配管を「電線管」として使用する場合はCD管はコンクリート埋め込み以外では使用できません。
しかしLANケーブルやテレビアンテナケーブルは内線規定が定めるところの電線ではありません。このようなものを入れる場合は「保護管」と規定され、保護管についてはCD管やPF管を使用する場所の規定は無いのです。
で、通常、配管はLANケーブル等を将来入れるために使用するため、保護管扱いとなり、CD管を使用することには問題が無いということになります。
ここで、え”!!と思われた方がいらっしゃるかもしれません。
それは、EVコンセントや蓄電池を将来設置するために、配管を予定していた場合です。
配管に電線を通すことを考えていた方がいる場合は、だめじゃん!となってしまうと思います。
しかし、これは私も勘違いしていたのですが、その点も一応大丈夫です。
と言うのは内線規定等で「電線」というのは、むき出しの銅線や1枚の皮膜で包まれたような銅線のことで、通常家屋内の電気配線に使用される「電気ケーブル」、600VビニルシースケーブルいわゆるIVケーブルはケーブルであって電線ではないのです。
頭が混乱しちゃいますが^^;
電線というのは
下記の写真でいうところの白、赤の部分が「電線」、それを1本にまとめたグレーの部分が「ケーブル」です。
≪伸興電線≫ビニルキャブタイヤ丸型コード VCTF 3心-2.0 【100m】
家屋の電気配線二使われるケーブルは電線を複数まとめて、その周りに絶縁と電線保護のための外皮をつけたもので
こんなかんじのものになります。
弥栄電線 VVFケーブル 600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形 1.6mm×2心 100m巻
ケーブルは電線ではないので、配管に入れても、電線管とはみなされず、保護管扱いとなります。
よって、CD管はコンクリートに埋め込んで使う、というルールは適用されないためCD管を壁内配管として使用して良いということになります。
もうね。ややこしいですよね。。。。
とりあえず以上の結果から、LANケーブルや電気ケーブル等を配管に納めるための配管は、CD管でもPF管でもどちらでも良いという事になります。
でも、CD管は燃えると聞いては不安なんだけど?と思われると思いますが、電線を収容する場合、配線がショートしたり、内部で熱を持ったりしてそこが出火源となる可能性があるため、万が一発火したとき、壁内で火が燃え広がることがないように、電線をを通す場合は自己消火性のあるPF管を使いなさい、でもコンクリート内なら、火が燃えたとしても勝手に消えるからCD管で良いよ、というルールになっています。
で、一般的なLANケーブルやテレビのアンテナケーブルはそれほど高い電圧は掛かっていませんから、そこから出火する可能性はほとんどありません。電気配線用のケーブルは一定の電圧と電流が流れていますからショートなどがあれば出火源となる可能性があります。
しかし、実際の所、ケーブル類はJIS等に基づいた基準で作られており、内部でショートする可能性は非常に低いです。また、配管内で結線をすることはないため、発火の可能性はほぼないと言えそうです。
もちろん外部から火が燃え移ってくればCD管には火が着いてしまうわけですが、法令準耐火住宅であれば全ての壁と天井が石膏ボードによって囲まれているはずです。石膏ボードを超えて火が燃え移ってくる状態であれば、半焼またはほぼ全焼に近い火炎になっているはずであって、そのような状況であれば自己消火性があろうとなかろうと関係なくなってしまっているはずです。
であれば、わざわざ値段の高いPF管で施工しないでCD管で施工しても良いじゃん、という理屈で一条工務店に限らず、宅内配管は一般的にCD管が使用されています。
使用場所に応じたCD管とPF管の選択
PF管を使った方が良い場所
もしも、CD管とPF管をきちんと選んで使うと言うことであれば、正直壁内はCD管でも良いように思います。
しかし、配管が外部に露出する部分については、PF管を使用するべきだと思います。
一般にCD管は耐候性が低いとされており、外気、特に日光にさらされるカ所では使用しない方が無難です。10年程度であればほとんど変化はないという話もあるようですが、わざわざ目立つオレンジ色のCD管を外部に露出配管する必要はないように思います。
ですから、外部に露出してしまう部分に付いてはPF管を使用する事を強くお勧めします。通常、一条工務店に依頼すれば外部露出の部分はPF管が使用されるとは思います。
先日は、外を歩いていたとき家の外に露出した配管にCD管を使用しているお宅があり、もの凄く気になりました。。。家の外で風雨にさらされたり、太陽光を浴びる場所は長期的に考えてPF管を使用する事を強くお勧めします。普通はハウスメーカー側がPF管の使用を勧めてくると思うのですが、値段の違いがある上、その性質の違いを十分に説明してくれることも少ないため、間違えてCD管を選んでしまうこともあるように思います。
そんなことを言ってもCD管ではちょっと不安?
そうは言っても、自己消火性があるPF管と自己消火性がないCD管ではやっぱりPF管の方が良いのでは?と思われる方も多いかと思います。
こちらのサイトで、PF管、CD管の製造メーカーに問い合わせを行われた方がいらっしゃいました。
問い合わせ当時の松下電工、現Panasonic電工からの回答を掲載しているのですが、回答を引用させていただくと
「露出、隠ぺい配管では、管材に難燃性を要求されています。PF管が難燃性であることに対し、CD管は難燃性がありません。その意味で、露出、隠ぺいで使用する場合、ケーブル工事であっても、PF管を推奨しています。」
との回答であったようです。ようするに、LANケーブルや電気ケーブルを配線する予定の壁内隠蔽配管であっても、推奨はPF管という立場のようです。
パナソニック電工としては、安全な方を推奨するのは当然なので、これを持って直ちにPF管を使用すべきだ、ということにはなりませんが、一応こんな情報もあります。
自分の家ではPF管を使用したい
もしも、壁内配管を含めてPF管を使用したい、という場合は設計の段階の方であれば打ち合わせでCD管ではなくPF管での施工を依頼してみると良いかと思います。
オプション価格は上昇するでしょうが、PF管で施工して貰うことも可能だと思います。
CD管とPF管はその太さや特性もほとんど変わらず、材料費の差額分だけで施工をして貰えるはずだと思います^^
CD管とPF管のサイズの違い(2015/10/19追記)
CD管やPF管の太さはどこの太さ?
CD管やPF管では、「22mm」のように太さによって規格が定まっています。
このCD管とPF管のサイズ表記は「内径」によって定めれており、14mm~54mm(14mm, 16mm, 22mm, 28mm, 36mm, 42mm, 54mm)まで、7種類が存在します。
一般的な住宅で使用するのは、16mm、22mm、28mmの3種類となっています。特に事情がなければ22mmを選択するのが無難です。せっかくなら太さの太い28mmの管を選びたくなるのが人情ですが、配管が最終的に接続されるスイッチボックス側が22mmにしか対応していないケースが多いため、28mmの使用には注意が必要です。
スイッチボックスというのは
このような壁の中に埋まっている部品で、ここにコンセントやスイッチなどを取り付けます。
さらに、法令準耐火住宅の場合、このスイッチボックスは金属製のものが使用されるため、現場加工も手間な作業となってしまいます。
そのため、28mmはどうしても1本の線が22mm配管で通すことができないケースのみにして、配管の太さが足りない場合はCD管やPF管を2本通すようにすることをおすすめします。
同じサイズのCD管とPF管でもPF管の方が3mm太い?
CD管とPF管の太さは内径によって示されています。そう聞くと、CD管とPF管の太さが同じという印象を持ってしまいますが、実際にはCD管よりもPF管の方が太くなっています。そのため、CD管とPF管はそのままでは接続できません。
具体的には、22mmのCD管と22mmのPF管の内径は同じ22mmですが、外径はCD管が27.5mm、PF管は30.5mmとなります。
CD管とPF管の内径と外径の関係は下記の通りです。
PF管の方がやや太くなっているのがわかるかと思います。
CD管とPF管は接続できる?
同じ内径のCD管とPF管であっても外径が異なるため、CD管、PF管それぞれの専用コネクタでは接続することができません。
同じ内径のCD管とPF管を接続するためには、専用のコンビネーションカップリングを利用する必要があります。