最大手?それとも中堅?ハウスメーカーの中での一条工務店の位置づけ

こんばんは。さすけです。

仕事が忙しくなってしまってブログから離れてしまっていました。。。一度書くのを止めてしまうとなかなか更新もできず、早くも3ヶ月も経ってしまいました!

今回は、多数あるハウスメーカの中で一条工務店の位置づけってどうなっているのか?ということに焦点を当てて記事を書いてみたいと思います。

一条工務店が積水ハウスを抜いて建設棟数トップに!

日経ホームビルダー2019年7月号掲載の新築戸建て住宅の国内建設棟数ランキング

もう2年も前になりますが、一条工務店が積水ハウスを抜いて住宅販売棟数がハウスメーカーの中でトップになったのでは?という記事を書いたことがありました。

https://www.smarthouse2.com/?p=15454

そんなこともすっかり忘れて、図書館で住宅建築の専門誌である日経ホームビルダーという雑誌を見ていたら、ハウスメーカーの国内建設棟数ランキングが掲載されており、2017年度(2018年3月末)時点で、一条工務店の施工等数が堂々の1位になっているのを見つけました\(^o^)/

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(出典:日経ホームビルダー2019年7月号P13より)

  • 1位 一条工務店(12700棟)
  • 2位 積水ハウス(11200棟)
  • 3位 積水化学工業(セキスイハイム)(9900棟)
  • 4位 大和ハウス(9000棟)
  • 5位 タマホーム(8300棟)
  • 6位 住友林業(7900棟)
  • 7位 旭化成ホームズ(ヘーベルハウス)(7200棟)
  • 8位 ミサワホーム(6885棟)
  • 9位 パナホーム(現パナソニックホームズ)(4840棟)
  • 10位 トヨタホーム(4810棟)

となっていました。年間建設棟数1万棟を超えたのは一条工務店と積水ハウスの2社だけで、二位の積水ハウスに1000棟以上の差を付けて第一位となったことは間違いなさそうです^^

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3日天下ならぬ3年天下?来年は2位陥落確定!?

せっかく1位になった一条工務店ですが建設棟数1位で居られるのは、残念ながら?2019年度で終わりで、2020年度には2位以下に陥落してしまうことはほぼ確定しています。

それは、別に一条工務店の売上が下がったことが原因ではなく、日経ホームビルダーの表でも色塗りされている8位のミサワホームと9位のパナホーム(現パナソニックホームズ)、そして10位のトヨタホームが合併して2020年度には「プライム・ライフ・テクノロジーズ」という住宅メーカーができることが決定しています。

このプライム・ライフ・テクノロジーズを構成する3社の2017年度合計建築棟数は16535棟となり、仮に2017年度にこのプライム・ライフ・テクノロジーズがあったとすると次のような順位グラフになります。

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先ほどまでは堂々の一位だった一条工務店も、1位になるプライム・ライフ・テクノロジーズに大きく引き離されて2位になってしまうことになります。

もちろん、上記は2017年度の実績に基づいた推定ですから、2020年度までには一条工務店が販売棟数を伸ばす可能性もありますが、3年間で1万6千棟を超える可能性は低く、頑張っても2位に転落してしまうことはほぼ確定と言って良いかと思います(T_T)

そもそもハウスメーカーの順位ってなんなんだろう??

隠れ「大手」を売りにする一条工務店

これから家を建てようと思って、住宅展示場にいったり、また一条工務店の工場見学に行くと、一条工務店は「隠れ大手」であるとしてアピールしているのを聞くことになるかと思います。

一条工務店はテレビCMをしていないため、家を建てることを決めて住宅展示場に訪れるまでは一般にはほとんど認知されておらず、さらに一条「工務店」という名称から町の小さな工務店のように見えるけれど、本当は住宅施工棟数が1万棟に達して、積水ハウスやセキスイハイムなど多くの人がよく知っている「大手ハウスメーカー」と並んで自分たちも大手なんですよ、だから安心ですよ、という営業トークが続きます。

これは勝手な推察ですが、一条工務店的にはおそらく「一位」というのはあまり営業トーク的には必ずしも嬉しくない状況なのではないかと思っています。実は積水ハウスに次いで2位の施工等数なんですよ!とか、数年前のように実はハウスメーカーの施工棟数では大手と呼ばれるハウスメーカーの中で5位に位置しているんですよ!ということだれば「隠れ大手」と言えますが、一位になっていて「隠れ」はもの凄く違和感があります^^;

一条工務店的には、おそらく2位、または3位あたりに位置づけて、目立たずでも着実に販売棟数を確保するというのがこれまでの戦略と思います。1位ではちょっとやりづらいというのが正直なところではないかと思っています^^

そもそも「ハウスメーカーランキング」ってどういう意味なんだろう?

ランキングというのは、1位がどこで、2位がどこという具合に順位がはっきりして、1位は2位よりも優れていることを示唆するため、見る側にとっては非常にわかりやすいものと思います。

先ほどの2017年の建設棟数ランキングで1位が一条工務店だったことを示した後に、2020年にパナソニックホームズ、ミサワホーム、トヨタホームの3社が合併してできるプライム・ライフ・テクノロジーズが1位になることはほぼ確実という話を聞いて、何か違和感を覚えなかったでしょうか?

別に各社の本質的な売上は変わっていないのに、従来は8位から10位と、大手の中ではやや小さな規模と見られていた3社が一緒になったことで急に1位です!となっても、それは本当に1位といって良いのだろうか?という感覚を覚えたのではないかと思います。

そもそも本当に一条工務店は積水ハウスを抜いているのか?まだまだ中堅の一条工務店

営業さんなどによっては、一条工務店は積水ハウスを抜いて1位なんですよ、などということを誇らしく言っている方もいるように思います。

逆に、積水ハウスや大和ハウスあたりの展示場に行けば「はは、一条さん最近売れているらしいですね。でもまあ、私たちとは歴史が違いますから」などと言って「格が違う」と言った感じで話をされているかのように思います。

別にどちらが正しいわけでもなく、どちらが間違っているわけでもないと思います。

しかし、本当に一条工務店は1位で積水ハウスは2位、大和ハウスは3位なのか?ということはもう一度考える必要があるかと思います。

先ほどは「年間建築棟数」のランキングを示しましたが、全く同じ年の売上高を同じ10社で比較したのが下のグラフです。先ほどの「1位一条工務店」とは異なった風景が見えてくるかと思います(積水化学工業は住宅関連事業のみ)。

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最大手は断トツで大和ハウスで売上高3兆7960億円、次いで棟数でも2位だった積水ハウスが再び2位に位置して売上高2兆1590億円、3位は良くも悪くも目立たなかった住友林業が1兆2220億円となっており、売上高1兆円超えはこの3社で、そこから大きく引き離されてヘーベルが5880億円、そしてさらに後ろにいって7位に一条工務店が位置して、売上高は4065億円となりました

先ほどは堂々の一位だった一条工務店ですが、売上高ベースで見ると最大手である1兆円オーバーの三社から大きく引き離されている状況にあることがわかるかと思います。

売上高ベースで見ると、最大手ではなく、どちらかというと中堅大手に位置していることが分かります。

やっぱり、大手と言ったら大和ハウスや積水ハウス、住友林業だよね!というのも、間違った見方と思います。

大和ハウスに関しては、戸建て住宅事業の売上構成比は10%程度に過ぎず、一般の住宅事業とは異なる事業施設・商業施設計の売上高が全体の50%を占めています。つくばや札幌などにあるイーアスという大型商業施設、仙台や横浜にあるフォレオなどは大和ハウスの運営する商業施設になります。また、国内各地にある大型の倉庫や物流施設の運営も手がけておりこれらが売上に大きな貢献をしています。

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(出典:大和ハウス工業Webサイトより)

住宅事業では、賃貸事業が主たる事業で売上構成比27%、戸建て住宅事業は全体の10.1%に過ぎないのです。大和ハウスは、「ハウス」という企業名ですが、その実態は住宅メーカーというよりも物流・流通事業に近い事業形態となっています。

では、積水ハウスはどうでしょうか?積水ハウスというとやっぱり「君の~すんでる~せきす~いハウス」がイメージされます。

https://www.youtube.com/watch?v=ArqCBEFW800

大和ハウスとは異なり、積水ハウスは売上のほぼ全てが住宅関連事業で構成されています。ただし、戸建て住宅事業の売上高は17.2%、3710億円に留まっており、売り上げ構成の最も大きな比率を占めるのは「不動産事業」の22.7%、次いで、賃貸事業の20.5%となっています。売上構成比は非常にバランスが取れていて住宅に関する景況に影響は受けやすいかも知れませんが、全ての事業が売上構成比10%~20%となっており投資家目線で言えば良くバランスが取れている事業体と言えそうです。住友林業に関しては木材事業、戸建住宅事業、そして海外不動産事業がそれぞれ3分の1ずつを占めており、住宅メーカーであると同時に木材流通事業を主たる事業の柱にしていることが分かります。

多くの最大手と呼ばれる住宅メーカー(実際には住宅事業は全体の一要素)は、その売り上げを多角化して戸建住宅事業以外の複数の柱で事業を構成ししてることが分かりました。

では一条工務店はどうなのでしょうか?

一条工務店は事業領域の拡大に向けて動き出したばかり?

一条工務店については詳細な売上構成が公開されていませんが、売上規模等から、その売上の大半が戸建て住宅事業となっており、分譲住宅事業が伸びつつあり、また、メガソーラー事業などでも売上を構成しつつあるという様な状態と思います。

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(出典:一条工務店会社概要事業ドメインより)

一条工務店が自社のホームページで公開している事業領域としては

  • 戸建住宅事業(一条工務店)
  • マンション事業
  • メガソーラー事業(一条メガソーラー)
  • メンテナンス事業(一条メンテナンス)
  • 住宅ローン事業
  • 海外事業

などとなっています。その他にも最近では株式会社一条分譲住宅のような会社も立ち上げて分譲住宅事業にも力を入れています。

一条工務店の2017年度売上高は4065億円でしたが、このうち戸建て住宅事業(含むマンション)を行う一条工務店本体の売上高が3561億円(87.6%)となっており、この他にメンテナンス事業が53億円(1.3%)、住宅ローン事業に至っては7億6千万円(0.2%)となっており、全体の売上の極々一部に過ぎません。一条工務店はグループ会社も国内に複数あり、これらの売上が残りの大半を占めていると思われます。

https://www.smarthouse2.com/?p=9016

こうしたことから、少なくとも2017年度時点の一条工務店の売り上げ構成は住宅事業が全体の90%を占めており、事業領域の拡大は道半ばと言った状態にありそうです。

分譲住宅事業については、現時点では公表された売上データがないため不明ですが、国内の多くの場所で分譲を開始してることからそれなりの売上にはなっていると思われますが、他の最大手グループのように戸建住宅事業が売上の一部にすぎない状態には至っていないということは間違いないかと思います。

販売棟数に意味があるのであれば飯田グループホールディングスが圧勝?

こうして見てくると、建築棟数だけでハウスメーカーを比較することにあまり意味があるとは思えません。そもそも「戸建て住宅販売棟数」で言えば、間違いなく飯田グループホールディングスが圧勝という現実もありいます。

飯田グループホールディングスは注文住宅ではなく、分譲住宅を主たる事業としていますが、国内の販売棟数は年間46262棟となっており、先ほどのプライム・ライフ・テクノロジーズができても全く太刀打ちできない棟数を販売しています。販売棟数だけで言えば、1位から4位の一条工務店+積水ハウス+セキスイハイム+大和ハウスを合計してもなお、飯田グループホールディングスの方が販売棟数が多くなっています。

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なんのための建築棟数・売上高ランキング?

顧客の安心材料としてのランキング

こうしてみてくると、家を建てる時に気になるランキング、特に住宅の建築棟数ランキングって一体なんの意味があるのだろうかと思えて来ます。

確かに、自分が家を建てたハウスメーカーの販売棟数が多いとちょっと嬉しい気持ちになるのは事実です^^

しかし、これから家を建てる方は、このような「ランキング」を見たときには、お~すごい!というだけではなく、どのようにランキングを捉えるのが良いのかを考えるのが良いと思っています。

棟数のランキングは、「安心感」を与えるためのツールです。確かに、まわりを探してもほとんど建てた人が見つからないハウスメーカーであれば、不安に感じるというのは当然と思います。

しかし、上位の10社に関して言えばいずれも年間数千棟もの住宅建築の実績があることに違いはなく、安心感という点で大きな差異はないように思います。

また、売上やその売上構成という移転では、売上高が1兆円の企業が急に倒産することはまずないという点で安心感があるのは事実です。また、万が一「欠陥住宅」を建築された際、その保証を行う能力の保証という観点で言えば、仮に年間施工棟数2棟の工務店で、1棟の欠陥住宅が出て建て直さざるを得なくなった場合、拒否される可能性は十分に高いとことは間違いありません。

一方で、大手の住宅メーカーであれば、その資本を背景として万が一欠陥が生じた場合1棟を立て直すことはその資本能力を持ってすれば難しいことではありませんから、能力という観点での安心感があることは間違いありません。

しかし、それは年間数千棟の建築をしており、売上高が数千億円の大手10社であればどの企業でも同じように「能力」という点で差異はないように思います。

売れているのには「わけがある」はず?

個人的にはこうしたランキングを見るときには「なぜそのような順位になったのか?」という視点でランキングを見ると、これから家を建てる人にとって役にたつ情報が得られるのではないかと思っています。

売上高や建築棟数が1位である、2位であると言うことは、それだけ多くの人が「購入したいと思う何らかの価値がある可能性が高い」とも言えるかと思います。

一条工務店が積水ハウスやセキスイハイム、住友林業を超えてトップに躍り出るほど売れるようになったのか?という視点で考えると、なんらかのニーズにマッチしたからこそ、多くの人々が一条工務店の家を建てるようになり、結果的に一条工務店が一位に躍り出る結果となったのだろうと思っています。

また、一条工務店は急激な成長を遂げたということもまた事実であり、急激な成長には「成長痛」が伴うのもまた当然のことと思います。そのような「成長痛」が自分たちが家を建てる時に問題を生じさせないかをきちんと見極めることも重要と思います。

一条工務店ではなく、積水ハウスや大和ハウス、住友林業は、急激な成長はしていないものの「安定した販売実績」を誇っているという見方もできます。一条工務店に急激な成長をもたらしたような「新たな価値」という点では乏しい面があるかも知れませんが、裏を返せば「安定した価値」を提供し続けてきたからこそ、積水ハウスやセキスイハイム、住友林業などの「従来からの大手ハウスメーカー」は順位の若干の変動はあっても長期にわたって年間施工棟数1万棟の大台をキープしてきたという事実があるのだろうと思います。

新たな価値と安定した価値のどちらが自分たちにあっているか?と考えながらランキングを見るとこれから家を建てる人に役立つのかな?と思っています^^

ランキングや情報は疑ってみることも大切?

最後に、ランキングそのものや様々に発信される情報について、それ自体を疑うことの必要性についても触れておきます。

もう人気ランキングに騙されない!フロアコーティング:グッドライフを実例としたブラックハットSEO不正操作批判

これは住宅メーカーのランキングとは違いますが、ランキングを見せる人、そして作る人には何らかの意図があることが多くあります。それが、「正しく理解して欲しい」という目的のランキングであれば、問題がありませんが、そうではないケースも存在しています。ランキングを見る際に派、そのランキングがどのような客観的な資料や事実に基づいて作成されたのか?ということは常に必要と思います。

また、これは組織的に行われたものではないと思いますが、企業に所属する個人等によって故意に情報が歪められて「あたかも客観的であるかのようにして」情報が発信されているケースも存在しています。

積水化学工業(セキスイハイム)さん恥ずかしすぎます。。。ステマにもなってませんって。。。

既に10年近く前の「恥」ではありますが、Wikipediaの特性上過去の企業に所属する個人の過ちは10年を経た現在も残り続けています

自分がブログを書いて情報を発信する側という側面も持つからこそ、是非あらゆる情報は疑ってみていただければと思います\(^o^)/