2018年太陽光発電はもう終わり?今ソーラーパネルを設置することは損?得?

大変ご無沙汰になってしまいました。さすけです\(^o^)/

新年度に仕事が急増して、それに伴い出張が続き、最後に扁桃炎からマイコプラズマに感染して2週間近く体調不良という二ヶ月でした(´д`)

仕事も体調も落ち着いたのでブログの方を再開したいと思います^^

相も変わらず近隣で一条工務店のi-smartやi-cubeが新築されているのをみかけるのですが、いままでと一つ大きな違いがあることが気になっていました。

それは”ソーラーパネルの乗っていない陸屋根のi-smartやi-cubeが増えてきた”ということです。

まだまだ片流れのi-smartらしいi-smartが多いことは事実ですが、それでも以前はまず見かけることがなかった陸屋根のi-smartやi-cubeもちらほらと見かけるようになってきました。

これは想像でしかありませんが、太陽光の固定買い取り価格が年々下落することで以前のようにソーラーパネル搭載にメリットがない、もっと言えば、損をするのではないかという考えからソーラーパネルの設置を見合わせるお宅が増えてきたのではないか?と思っています。

少なくとも20年固定買取の恩恵を受けられる10kW以上のソーラーパネル設置に限っては、明らかに間違った認識です。

10kW以上のソーラーパネルを設置することは、費用対効果、コストメリットの観点から依然として明らかに設置者に十分なメリットがあると考えています。

今回は2018年度のソーラーパネル設置について、どの程度の利益が期待できるのかを含めて計算をし、定量的にその結果を示してみます\(^o^)/

既にソーラーパネル設置は終わった?

ソーラーパネルの国内出荷量は2014年度比4割減

2018年5月23日付けの日経電子版に「太陽光パネル17%減」という見出しの記事が掲載されていました。

日経の記事によれば、2017年度のソーラーパネルの国内出荷量が前年比17%減、設置のピークだった2014年度に比べてソーラーパネルの出荷量が約4割減少したと書かれています。

投資としての太陽光発電は終わった?

ソーラーパネルの普及を牽引してきたのは、間違い無く大規模メガソーラーと空き地等に設置された大容量のソーラーパネルの設置です。

これらメガソーラー等の設置は投資を目的に行われています。

そして、一般的な空き地で行われる50kWのソーラーパネルの投資であっても2012年当時の売電価格(40円+税/kWh)で利回り換算5%を超えていました

利回りではわかりにくいので金額で言うと、当時のパネル価格は大規模に導入した場合で概ね1kWあたり30万円程度でした。いままで寝かせていた空き地に50kWのソーラーパネルを設置すると税込みで1620万円の支払が必要になりますが、7年目には売電収益が初期投資費用を上回り残りの13年間に得られる売電収益2730万円は自分の利益となっていたのです。

銀行にお金を預けていてもほぼ金利はゼロ、安全な国債投資でも1%は夢のまた夢、リスクの高い海外ファンドでやっと5%の期待収益が得られるかどうか、ただし、投資したお金がゼロになってしまう可能性も一定程度ある、それが、利回り5%を超えて、かつ、ほぼノーリスク(国が決めた価格で買い取ってくれる)というおいしい話はありません。

ただ、そうは言ってもソーラーパネル投資には最初に大きな現金(1620万円)が必要になります。2000万円の現金を持っている人は多くいても、手元現金を使ってまで投資に回すのにはちょっと躊躇がある(太陽光に投資してしまうと現金は一旦使えなくなります)という状況が多く発生しました。

しかし、固定買い取り価格は年々減少し、2018年度は10kW以上のソーラーパネル設置では18円+税/kWhへと2012年当時に比べて半分以下の価格にまで下がってしまいました。もちろん、この期間中ソーラーパネルの価格も下落し、当時30万円低度だったソーラーパネルは20万円台前半にまで下落してきました。しかし、一方で、2012年当時はあまり求められることがなかった変圧器設置コストが上昇し、結果的に同じ50kWのソーラーパネルを設置した場合の収益は約半減してしまい、1080万円かけてソーラーパネルを設置しさらに200万円程度の変圧器設置コストで投資しても、初期投資分を差し引いて20年後に手元に得られる現金は800万円程度にまで下落してしまいました。利回りで言うと2.5%です。初期の投資費用を回収するまでの期間も13年まで伸びてしまいます。

もちろん、現時点においても利回り2%以上を考えると決して悪くはありませんが、銀行からの融資を受けてさらに保険料、メンテ料が1%程度かかるとすると、利回りは1%台前半となってしまいます。

単に寝かしておくよりはマシかも知れませんが、20年間その土地が使えなくなってしまうことやノーリスクに近いとは言え、土地所有者にとってはあまり魅力的とは言えなくなってきます。

そもそも、近隣に電線が引かれていて、寝てしまっている土地については2012年~2014年あたりまでに、ほぼ銀行が発掘して投資を促しているはずです。

すなわち、現時点で残っている土地は20年間寝かせることに躊躇したり、電線の設置にコストがかかったり、はたまた既に融資担保に入っていたりと言った土地が多くを占めていると思われます。

その結果、50kW未満の一般的な土地に設置可能なソーラーパネル設置は一巡してしまい、新たな設置はほぼ行われない状態になった、すなわち「投資としての太陽光発電」は既に終わった、と考えて良い様に思っています。

もちろん、メガソーラーのように大規模な土地開発を伴う設置等については、パネル価格の下落が後押しして今後も進んでいくと思いますが、いままでのような勢いはなくなっていくと思います。

住宅向けのソーラーパネル設置も終わった?

では住宅向けのソーラーパネル設置も終わったのでしょうか?

住宅向けのソーラーパネルは2つに考えて分ける必要があります。

① 既に建った家に後からソーラーパネルを設置する住宅向けソーラーパネル

② 新築時に屋根一体型として設置する住宅向けソーラーパネル

の2つです。①については、本来であれば2012年~2014年頃であればメリットはありましたが、これからだと採算性という観点では厳しい状況です。

理由は後付けである為工事コストがかかること、搭載可能なパネル容量が小さいため投資に見合う収益が十分に得られない可能性が高いこと、が理由です。そのため①については今後急速に進むことはないと思っています。

一方で、②については一定の条件を満たせばまだまだメリットが大きく、今後も進むと思っています

投資目的のソーラーパネル設置と住宅の屋根ソーラーパネルは何が違うのか?

まず住宅の屋根についてですが、「屋根は必ずなければならないもの」です。

新築時にはソーラーパネルがあろうと無かろうと、屋根の工事は当然行われます。結果として、①の場合に比べてソーラーパネルを設置する際に追加的にかかるコストは、パネル価格とそれに伴う配線等の工事費用だけと言えます。

屋根は全く有効利用されておらず、将来の有効利用も期待できない。家がある限り・・・

住宅用ソーラーパネルと投資目的のソーラーパネルと大きく違うのが「屋根は全く有効利用されておらず、将来も有効利用が難しい」という点です。

一般的な投資目的のソーラーパネル設置は「現時点で有効利用されいない土地」を有効利用することで行われます。しかし、周辺が将来賑わい、コンビニが店舗を作りたいので貸して欲しいと言ってこない、とは言えません。この他マンション等を建てたい、駐車場として利用したいと言った新たな形での将来の土地の有効活用の可能性が残っています。そこにソーラーパネルを設置するということは原則20年間は土地を寝かせておくという前提に立たなければなりません。そこに利回り1%台の投資を行うか?と考えると、やはり難しいと言わざるを得ません。

しかし、住宅の屋根はそうした「空き地」とは全く違った性質を持っています

住宅の屋根はなければならない一方で、「屋根の上」というのは少なくともその家がある限りにおいて将来にわたって有効活用の可能性が極めて低い「土地」となっています。

新築の家を建てる際に10年で取り壊すことを念頭に家を建てる人はまずいないと思います。少なくとも20年、30年といった期間は住み続けるつもりで家を建てはずです。

そして、屋根の上には、家が存在する限り、コンビニが建つこともありませんし、駐車場になることもありません^^;

そのため、ソーラーパネルを設置しなければ、何も生み出すことがない、無駄とは言わないまでも住宅の屋根以上でも以下でもない存在となってしまいます。

しかし、そこにソーラーパネルを設置することで、2012年当時のように20年間で何百万円といった収益は期待できないかも知れませんが、それでも自分の家の電気代を賄う程度の収益が期待できるのです。

また、新築時は、一般の銀行融資に比べて圧倒的に低金利な住宅ローンを利用することができます。一条工務店のソーラーパネルのように屋根一体型のソーラーパネルの場合は、住宅の一部となるため住宅ローンを利用することができます。また、保険も住宅の火災保険が適用されます。

デメリットとして固定資産税が上昇するということはありますが、影響はメリットと比較すれば極限定的です。

こうしたことを考えると、住宅の屋根についてはソーラーパネルを設置することによるデメリットがほぼない場所であると言えます。

そのため、個人的には収益がマイナスにならない限りにおいては住宅の屋根一体型ソーラーパネルを設置することのデメリットはないと考えています。

2018年版ソーラーパネル設置による収益試算

一条工務店ソーラーパネルの価格

今回、ソーラーパネル設置による収益試算をするにあたって、一条工務店のソーラーパネル価格を正しく評価することが最も重要になります。

私が家を建てた2012年当時のパネル価格は9.9kW搭載時で345,000円/kWでした。

私が他の方から提供をいただいた見積で把握している最新の一条工務店のソーラーパネル価格は

23.5万円/kW(2018年4月時点、契約2017年12月)

となっています。2016年に契約された別の方の見積では28.9万円/kWとなっており、年を追う毎に値下がりを続けていることがわかります。

おそらく2018年現在ではもう少し値段が下がっていると推察されます。ここでは、確実な価格である1kWあたり23.5万円をベースとして試算を行うことにします。

これらの価格のベースとなる一条工務店の見積価格は、私にメールでご相談等をいただいた方に見積書の提供をお願いして拝見させていただいた内容になっています。ご提供をいただいた皆様にお礼を申し上げますm(_ _)m

その他の発電収益計算の前提条件(面倒な場合は読み飛ばしてください)

また、これは確認はできておらず、正しい情報とは言えませんが、一条工務店ではソーラーパネルの価格が10kW以上と10kW未満では異なっているという情報もあります。10kW未満の場合はパネル価格はもう少し高い可能性がある点にご注意ください。

次に、ソーラーパネルの設置は自己資金で行うという方もいらっしゃるかもしれませんし、また、夢発電で行う方もいらっしゃるかもしれませんが、ここでは住宅ローンに組み込むことを前提にして試算します。試算の際に用いる金利は年利1%で借り入れることとします。

また、借り入れしたお金は「固定価格買取期間中」に全て返済することを前提とします。すなわち10kW未満のソーラーパネルを設置した場合は10年間で返済、10kW以上のソーラーパネルを設置した場合は20年間で返済としています。

ソーラーパネルの予想される発電量はNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 )のシミュレーションをベースとして1kWのソーラーパネル設置あたり年間1065.3kWhを発電するとして試算しています。実際のNEDOの試算では地域毎にことなりますが、関東周辺を想定して試算しています。

得に北海道や東北の豪雪地帯など積雪がある地域では冬季の発電量が大きく減少する可能性があるため、試算と乖離がある可能性があるので注意してください。

この試算では、一条工務店を含めハウスメーカーのシミュレーションでは一般に考慮されていない、固定資産税の上昇によるコスト、また、売電収益によって生じる所得税、住民税の上昇(年間20万円以上の売電収益があった場合確定申告が必要)を考慮して試算しています。ここで、所得税についてはソーラーパネル設置者の所得によって税率が変動しますが、ここでは便宜上年収500万円を想定しています。税金の影響は売電価格が高かった当時は大きな影響を及ぼすケースが散見されましたが、2018年の売電価格の場合、まず無視しても問題はありません。

固定価格買取期間終了後の売電価格は8円/kWhとして試算しています。固定価格買取期間終了後の売電価格については現時点では何も決まっていません。これについては後日詳細を書かせていただきますが、個人的な推定では6~8円/kWh程度になるだろうと推測しています。

パワーコンディショナーについては10年間で部品交換をすると仮定し、パワコン1台につき部品交換費用として10万円がかかると仮定しています。

ソーラーパネルの劣化率はNEDO等のシミュレーションで広く使われている年率1%として試算しています。

以上の前提に基づいて試算を行います。

10kW未満のソーラーパネルの収益→赤字期間が15年以上

2018年度の10kW未満の場合の売電価格は東京電力、中部電力、関西電力管内の場合26円/kWh、それ以外の電力会社の場合28円/kWhとなっています。

ここでは、東京電力・中部電力・関西電力管内の住宅を想定して26円/kWhで試算をおこないました。

ソーラーパネルの設置容量9.9kWの場合結果は20年後時点の利益(初期費用や税金等を支払った後に残った利益)は57万円と試算されました。

ソーラーパネルの設置に要する費用はローン金利等を含めて264万円かかることを考えると収益として決して高くはなく、むしろ低い収益しか期待できない、と言えます。

そして、なによりも問題なのは各年の累積収支です。

ソーラーパネル設置費用は住宅ローンに組み入れた費用で毎月返済していく必要があります。売電によって得られる収益がローン支払額を上回れば常に黒字、すなわち持ち出しをすることなくソーラーパネルを設置できることになります。

各年の累積収支の試算結果を下のグラフに示します。

このグラフでは横軸が年数、縦軸が累積収支を示しています。11年目までは累積収支が下がり続けていることがわかります。10kW未満のソーラーパネル設置の場合、固定買取期間が10年でありリスク回避の観点から10年以内のローン返済が必要と考えています。結果としてローン負担が大きくなり、当初10年間で最大20万円程度の費用の持ち出しが発生する結果となりました

10年を経過以降は売電収益は固定資産の上昇分を除いて全てが手元に残るため累積収支は上昇しています。13年経過後にやっと黒字になりますが、固定価格買取の期間は10年間ですので将来の売電価格が保証されていないという不安が残ります。

固定価格買取期間中に返済が完了するのであれば、一定の一時的赤字は承知で設置するという選択もありましたが、固定価格買取期間中に返済が完了しないということは設置を躊躇させるものとなるように思います。

6kWのソーラーパネル設置では赤字期間が長期化

上記はソーラーパネルの設置量が10kW未満の最大に近い9.9kWでの試算ですが、6kWの場合でも試算しました。結果は先ほどよりも悪い結果となりました。

10年目までの累積収支の赤字額は23万円となり、9.9kWの場合よりも赤字幅が上昇する結果となりました。これは発電できる電力量の減少が要因です。さらに、収支が黒字に転換するまでにかかる期間も14年以上を要することになります。

固定価格買取期間が10年であることを考えると、得られる利益の観点からもリスクが高くメリットは少ない、むしろデメリットの方が大きいと言えそうです。

10kW以上のソーラーパネル設置→一転常に黒字に!

ここまでの状況を見てくると、ソーラーパネルを設置しようと考える人は皆無であろうと思います。。。

では、一条工務店が得意とする大容量のソーラーパネル設置の場合はどうでしょうか?

10kW以上のソーラーパネルを設置した場合は、2018年度売電価格は18円+税/kWhとなります。消費税8%で計算すると19.44円/kWhとなります

また、重要な影響として固定価格買取期間が20年と、10kW未満の場合に比べて2倍の期間固定価格での買い取りが約束されます。そのため、ローン返済期間も20年とすることができます。

まずは10.0kWのソーラーパネルを設置した場合の20年後の利益を試算すると、68万円となりました。

決して多いとは言えませんので、途中に赤字が発生する場合はソーラーパネルの設置を躊躇される方もいらっしゃると思います。

先ほどと同様各年の累積収支を確認します。

10.0kWのソーラーパネルを設置した場合、累積収支が赤字になることはありませんでした。すなわち、自己資金が持ち出しになることはない、という結果となります。

なぜこのような結果になるかというと、売電収益は9.9kWの場合と大きく変わりませんが、10.0kWの場合20年間の固定価格買取期間があるためローン返済期間を20年に設定しているためです。そうすることで総支払額は増えてしまいますが、月々の返済額を低くし、売電収益でローンを全て返済することができるようになります。結果として、1年単位で見たときに赤字になってしまう可能性が低くなり、結果として常に黒字を維持し続けることができるようになります。

10kW以上にすると売電価格が18円となることを嫌って、10kW未満の設置量にしようとする方がいらっしゃるようですがこれは明らかに間違った選択です。

固定価格買取期間が20年に延長される効果の方が圧倒的に大きく、メリットがあります。

赤字になることがないと言う点、そして先ほど書かせていただいた通り屋根は有効活用されない「空き地」であることを踏まえると、10kW以上のソーラーパネルを載せないという選択は基本的にないかと思います。

ソーラーパネルの搭載量を増大させた場合の収益→乗せれば乗せるほど利益も大きくなる

10kW以上のソーラーパネルであれば、乗せれば乗せた分だけ赤字になることなく利益を増大させる結果となります。

下のグラフはソーラーパネル設置量12kWの場合の累積収支のグラフです。

ソーラーパネル設置の容量を12kWにすることで20年後の累積収支が約100万円に達します。その間、赤字になることはまずないと考えられます。

一般的な広さの住宅(35~40坪)の場合片流れにしても12kWあたりが搭載量の限界となるかと思います。実際、一条工務店の2014年頃のサイトに掲載されている平均搭載量も11.6kWとなっていることから考えても一般的な住宅の場合12kWあたりが限界となろうかと思います。

ここでは、さらに広い住宅の場合も想定しています。例えば16kWのパネルを搭載した場合の収益について考えてみます。

16kWのパネルを搭載した場合のシミュレーション結果が下記です。

20年後に期待される累積収支は120万円程度になることがわかります。これ以降、ざっくりと1kWパネル搭載の増加に従って20年後の利益が10万円ずつ上昇します。いずれのケースでもローン返済期間20年とする限りにおいて、赤字になる期間は発生しないというシミュレーション結果となりました。

まとめ:2018年に住宅用ソーラーパネルを設置した場合の損得

10kW未満の場合は要注意

10kW未満の場合、全額手元現金によってソーラーパネルが設置できるようなケースでも初期費用の回収にかかる期間が15年程度となり、10年の固定買い取り価格買取期間を超えてしまいます。将来の売電価格は一切保証されていないことを考えると、リスクの高い投資と言わざるを得ないかと思います。

なによりも固定価格買取期間中にローン返済を終えようとした場合、手元現金の持ち出しが発生してしまうという点も大きなデメリットです。

個人的には2018年度時点において、10kW未満のソーラーパネルの設置はお勧めしません。

10kW以上は以前メリットが大きい→さらにお得に

固定価格買取期間が20年となる10kW以上のソーラーパネルを設置した場合、当然年によって日照時間の変動があるため単年ではシミュレーションからの誤差は生じ得ると思います。しかし、設置直後の数年間日照時間が大幅に悪化するようなケースを除いて原則手元現金を持ち出さなくてはならないような事態は考えにくいという結果になりました。

屋根の上は「有効活用されない空き地」であることを、ソーラーパネルを設置するデメリットはほぼないと言えます。

また、今回の試算では試算を簡単にするために「全量売電」を前提にシミュレーションを行いました。しかし、現在選択するならば「余剰売電」一択と思います。

なぜ余剰電力一択になるかというと、例えば中部電力でオール電化住宅を想定した場合、電気料金プランは「スマートライフプラン」を選択することになるかと思います。

スマートライフプランの場合、電気料金は下記のように時間によって変動します。

ソーラーパネルが大きく発電するのは10時頃から15時頃ですが、ちょうどこの時間帯の電気料金が38.0円/kWhと最も高くなっています。

家の中で1kWhの電気を使ったら、全量買取の場合、19.44円で売電し、38.0円で買電をする必要があります。

これに対して余剰売電を選択した場合、本来19.44円で売れる電気を自家消費することになるので、38円で買う予定の電気を19.44円で買えたことになります。結果的に、1kWhあたり18.56円安い電気を使うことができたということになります。

電力会社によって違いがありますが、私が調べた範囲でオール電化住宅において日中の電気料金が19.44円を下回る電力会社はなく、どのようなケースにおいても余剰電力買取を選択した方が得である、と言えます。

結果として、10kW以上のソーラーパネルを設置し、かつ、余剰売電によって契約することで今回の試算以上に収益は上昇することになります。

これらのことから、10kW以上のソーラーパネルを設置できるのであれば、少なくとも一条工務店のパネル価格が1kWあたり23.5万円(税抜き)以下であるならば、10kW以上のソーラーパネルを設置することはお勧めと思っています。

10kW以上でもソーラーパネルを設置するべきではないケース

ここまで10kW以上のソーラーパネルであれば、2018年度時点の売電価格であってもメリットが大きいことを示してきました。しかし、あらゆるお宅でソーラーパネル設置をすることをお勧めするものではありません。

具体的なケースとして

  • 南向きにソーラーパネルを設置できないケース
  • 南側に高層の建物が建ってしまう可能性があルケース

においては十分な検討が必要です。

土地の形状等から例えば東向きにしかソーラーパネルを設置できないようなケースでは発電電力量は大きく下落します。南向きから±15度程度の範囲であれば大きな問題はありませんが、パネルの向きがそれ以上東西に触れてしまう場合は慎重なシミュレーションが必要です。

そして、こちらがより重要ですが「南側に高層の建物が今後20年間は建たない」ということが大前提となります。

これは以前にも何度もご相談をいただいたことがあるケースなのですが、得に一条工務店の場合平屋かつ比較的狭小な地域で全面に住宅を建築した場合、南側に3階建ての建物がたってしまった場合、発電量が大きく下落することとなります。

建築の基準は地域による高さ制限などがありますし、南側に広い庭があれば問題がないケースもあります。また、住宅地で3階建て以上の住宅建築が規制されており、ご自身のお宅が2階建ての場合などにはあまり問題になりませんが、目の前に高層のマンションが建ってしまうようなケースにおいては当初予定を大きく下回る、場合によっては赤字になるようなケースも存在しています。

南側に高い建物が建つ可能性がある場合には慎重な判断が必要となります。

夢発電シミュレーション用Exceシート

今回の試算では私が過去に作った一条工務店の夢発電の収益を分析するためのExceシートを使用しています。

2018年5時点の最新版はバージョン2.20となっています。

使い方などは

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でご確認ください\(^o^)/

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