一条工務店の家はオーバスペックなの?

こんばんは。さすけです\(^o^)/

先日、ブログを通じて、他のハウスメーカーの営業さんに「一条工務店の家はオーバースペックすぎて、無駄」と言われたという方からご相談をいただきました。

ハウスメーカー選びをしていると、それぞれのハウスメーカーの営業さんが「あそこの家は断熱性能が低いだ」とか、「いやいや一条工務店の家はオーバースペックだ」とか色々なことを”アドバイス”してくれます。

私自身も、ハウスメーカー巡りをしているときは「全館床暖房なんて必要ない」とか色々言われました。結果的には一条工務店で建てた家に満足しています。ただ、ブログを通じて色々な方からお話しを聞くについれて分かってきたのは、一条工務店の家は「オーバースペックだった」と話している人もいるし、はたたまた、こんな家ではスペックが全然足りなかった、と不満を持たれている方もいるということです。なぜこのような違いが出るのかと言えば、一言で言えば人によって求める性能に大きな違いがあるからだろうと思っています。

ただ1つ言えることは、顧客側がXXのハウスメーカーを検討しています、と言っただけで、「一条工務店の家はオーバースペックだ」とか「あそこのハウスメーカーの家はロースペックだ」とかいう”アドバイス”をする営業さんがいたならば、間違い無く言える事は、その営業さんは「お客さんのコトなんて見てい」ということです。

一条工務店の家はオーバースペックか?

求める生活はどのような生活か?

一条工務店の家がオーバースペックであるかどうかは、家を建てる人がどのような生活をしたいかによって大きく変わってきます。

冬は冬の寒さを、夏は夏の暑さを感じた生活をしたい人にとって、一条工務店の高断熱高気密住宅はオーバースペック以外の何者でもありません。

少なくとも私自身が一条工務店で家を建てて、4年間の室温の変化についてデータを取って計測した範囲では、一条工務店の高断熱高気密住宅では外気温とはほぼ無関係に室温を一定に保つことができる程度の性能を有しています。

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そしてこのような温度変化の少ない室内環境を維持するためには、一条工務店の住宅性能は最低限必要な住宅性能であるとも言えます。

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の記事で紹介している下記のグラフをご覧下さい。

このグラフでは、断熱性能を示すQ値と気密性能を示すC値の異なる複数の住宅の1年間の室温の変化をグラフに示しています。このグラフは日本建築学会が公開している住宅性能別の室温変化をグラフ化し、そこに我が家の計測結果を重ねたものです。地域差はあるものの年間を通じて室温が20℃を維持するためには、Q値1.5以上、C値1.0未満が必要最低限の住宅性能であることが見て取れるかと思います。一条工務店の家は、i-smartやi-cube、そしてセゾンやブリアールのいずれでも高断熱高気密仕様を選択した場合、この最低限の住宅性能を満たせています。

少し古い情報ではありますが、住宅の評判ナビで調査された「住宅の断熱性能比較(C値、Q値:ハウスメーカー18社)」でQ値1.5以上かつ、C値1.0未満を満たせている住宅は、一条工務店とスウェーデンハウスの2社のみとなっています。その他のいわゆる大手ハウスメーカーはいずれもこの条件をクリアできていません。

これらのことから、一条工務店の住宅性能は、室温を安定して20℃に保つ生活を維持するためには最低限必要な性能であると言えるかと思います。そのため、全館空調によって安定した室温で生活をしたいと求める人にとっては一条工務店の住宅性能はオーバースペックではなく、まあまあ、必要な性能要件を満たせている程度の住宅性能であると言えそうだということになるかと思います。もしも、一条工務店の住宅性能はオーバースペックだというのならば、少なくとも上記建築学会のデータを踏まえて、その住宅性能のいずれがオーバースペックであるかを示す必要があるように思います。

全館床暖房は不要か?

一条工務店と競合するハウスメーカーの中には、全館床暖房不要論を唱える営業さんもいらっしゃいます。もちろん、人の好みは多様ですから、足下が多少寒いくらいの方が快適だという人にとっては、床暖房は不要です。また、足下と頭の部分で多少温度差があったとしても全く気にならないという方にとっても床暖房は必要ではないかも知れません。また、室内の空気の暖かさだけをもとめるのであれば、床暖房ではなくエアコン暖房でも十分かも知れません。

しかし、一般に人が生活する部屋の「快適性」は、空気の温度と壁の温度、湿度、風量、着衣量などによって決定されます。もちろん、空気の温度は大切なのですが、同時に、自分を取り囲む壁や床の温度は室内の快適性に大きな影響を与えます。いくら暖かい部屋であっても周囲を囲んでいる壁や床、天井が冷たく冷えている環境では人は不快に感じます。これは壁などから赤外線によって伝えられる暖かさの影響です。床暖房は床そのものを温めるため、この点で極めて優れた暖房装置です。床暖房の快適性に関する詳細は下記の記事をご覧いただければと思います。

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じゃあ床暖房に欠点はないの?

床暖房の大きな欠点は、床暖房を付けてもすぐに部屋を暖めることができないという点です。床暖房はまず床を温め、その床が発する熱と赤外線によって室内の空気を暖めることによって室温を維持します。エアコンが空気を暖め、その空気が壁や床を温めるのとは全く逆の順序で室内を暖めていきます。そのため、床暖房をONにしてから部屋の温度が上昇するまでには時間がかかってしまいます。

一方、エアコンの場合は住宅の断熱性能が低くても迅速に室内の空気を暖めることができるため、エアコンをONにすれば10分程度で最低限の室温を維持することはできます。しかし、断熱性能の低い住宅では空気が壁を温めている間に床などの壁がどんどんと外気に熱を逃がしてしまうため、空気しか暖めることができません。そのため、断熱性能の低い住宅では、空気は温かいけれど、なんだか寒い、という状況が生じてしまいます。

では、断熱性能が低い住宅に床暖房をつければ良いのでは?と思うかも知れませんが、そうはなりません。床が空気を暖めるにはエアコンの何倍も時間がかかってしまいますが、その間に温められた空気や床からどんどんと熱が逃げてしまい、暖房をしている床部分のみが暖かいだけで室温はいつまで経っても上がらないことになってしまいます。

そういう意味で、一条工務店の住宅のように床暖房のみで室温を維持するためには高断熱高気密住宅は必要最低限の要件となります。

高断熱高気密+エアコン暖房ではダメなの?

では、高断熱高気密住宅にエアコン暖房で良いではないか?ということになりますが、これについては、それでも十分に快適な環境は得られるます。しかし、高断熱高気密住宅+全館床暖房と高断熱高気密+エアコン暖房を比較した場合、どちらが快適か?と言われたら間違い無く、全館床暖房となります

その理由は「気流」にあります。先ほども書いた様に、室内の温熱環境の快適性は、空気の温度、壁の温度(放射温度)、湿度、着衣量、そして気流(風量)などによって決まってきます。気流が生じると室内温度を低く感じるようになります。エアコンはその構造上、空気を循環させて、空気を暖めて、その空気が壁や床に温度を伝えることで室内の快適な温熱環境を作り出します。そのため、どうしても「風」が必要になってしまいます。エアコンはその構造上、どうしても気流を生じさせるため、結果的に同じ室温であっても、寒く感じることになってしまいます。そのため、床暖房とエアコン暖房のどちらがより低い温度で「快適な環境」を作り出せるかというと、床暖房の方が有利になります。

高断熱高密住宅+床暖房の組み合わせの大きな欠点はその値段です。高断熱高気密施工には通常施工に比べて多くの手間が必要になるため、どうしても割高になります。また、一般にエアコン暖房に比べて床暖房の値段はかなり高額になります。しかし、一条工務店の住宅の場合、全館床暖房+高断熱高気密仕様をオプションとして付けても、その価格は100万円を超えません。一般に10畳程度の床に床暖房を敷設した場合、50万円程度の値段になります。そう考えると、高断熱高気密になって、かつ30坪=60畳程度の家の全体に床暖房を敷設して100万円という値段は破格に割安と言えます。

一条工務店の家では、冬は床暖房だけで十分な室温を維持できます。事実、我が家では冬場にエアコンを付けることはありません。しかし、夏に関してはエアコンが必須となることから、一条工務店の家では、床暖房に加えてエアコンも必要になります。そのため、この床暖房費用は通常の住宅に対して追加的費用となります。この追加的100万円を割高と思うか、それとも求める生活に必要な費用とみるかは家を建てる方の考え方次第かと思います。

高断熱高気密+全館床暖房はオーバースペックか?

オーバースペックであるかは家の購入者次第

一条工務店の家は、1年を通じて現実的な電気料金で室温を20℃前後に維持するため、の性能としては、十分に満足がいく、しかし、もっと性能が高くてもさらに満足度は高まるであろうスペックです。そういう意味では、1年を通じて室温を20℃に維持した外気の寒暖の影響を最小限に抑える性能としては、最低限のラインをクリアした住宅であると言えると思います。

では、これがオーバースペックであるか?と問われたならば、それは、そこで生活する家族次第だと思います。

最初に書いた様に、冬は寒さを、夏は暑さを感じた生活というものに価値を見いだす人にとっては、一条工務店の高断熱高気密住宅はオーバースペックな住宅仕様である以外の何者でもありません。

一方で、北海道のような寒冷地において外気温によらず、室温を25℃±1℃に維持しつつ、それでいて暖房にようする費用を月額1万円以内に抑えることを望む方にとっては、一条工務店の家の性能はオーバースペックどころか、スペック不足甚だしい住宅仕様であろうと思います。

このような言い方をすると身もふたもありませんが、オーバースペックであるかどうかはそこに住む方の価値観次第と言う事なのだと思います。

私自身が言えることは、実際に一条工務店で建てた自分の家の室温と外気温などを計測した結果として、一条工務店i-smartの住宅性能は冬は室温を20℃以上に維持しつつ、また、夏場は27℃以下に維持しつつ、それでいてその環境を月額1万円以下のの冷暖房費用で維持するということができる住宅性能は満たせているということと、また、建築学会のデータを分析した結果から、Q値が1.5以下、C値が1.0以上の住宅になると、この生活を維持することは困難になるであろうと言うことだけです。

そのような生活を望むかどうかは生活者次第だろうと思っています^^

オーバースペックだという営業さんについて

一条工務店の営業さんの中には、はじめて展示場を訪れたお客さんに対して、他のハウスメーカーの住宅性能を性能不足と批判する方がいらっしゃいます。また、他のハウスメーカーの営業さんに言わせると、自社の住宅性能が必要十分な条件を満たせており、一条工務店のような高断熱高気密住宅+全館床暖房をオーバースペックだと批判される方もいらっしゃいます。

個人的には、どちらも非常に傲慢な意見と思うのです。

そのお客さんの話を十分に聞いて、室内であっても冬は冬らしく寒さを感じたいという方に対しては、一条工務店の家がオーバースペックだというのであれば良いと思います。しかし、そういう話もしていないのに、自社の住宅が最高で、他社の住宅は高性能すぎる、低性能過ぎるという話をするのは、お客さんのことなど興味がないと言っている様にしか思えないのです。

もっと言うならば、ここでオーバースペック、ロースペックという批判をする営業さんの「基準」は自社商品にあって、自社の商品が最高であって、他社の商品が劣っているという批判をしているだけに過ぎません。これを全くの第三者がするのであれば、良いのかも知れませんが、「家を売るのが仕事」の営業さんが、自社商品は最高だ、というだけのポジショントークに何の意味もあるとは思えません。

オーバースペックとは何か?それは将来の可能性のための「余白」

オーバースペックな提案はいくらでもあり得る。

そもそもオーバースペックというのはどういう状況でしょうか?

スペックとは性能とも言い換えられます。すなわち不必要に性能が高く、結果的に割高になっているものがオーバースペックな状態です。

例えば、ちょっと面倒な足し算がしたい人に、スーパーコンピューターを提案したら、それは「オーバースペックな提案」です。もちろん10億円するスーパーコンピューターであれば、希望する「ちょっとした計算」をすることはできますが、100円ショップで購入できる電卓でもできる計算に10億円を支払う人はいないでしょう。。。

ここまで極端な例はないにしても、オーバースペックとなる事例はたくさんあります。例えばパソコンを購入するときに、WordとExcelが使えて、あとはインターネットを閲覧できれば十分という人に20万円のパソコンを勧めたらそれはおそらくオーバースペックな提案だろうと思います。しかし、パソコン量販店などでは、そのような提案はしばしば行われます。

オーバースペックの代表格はスマートフォンかもしれません。最近はガラケーの販売が中止されるようになってきて、携帯電話を買おうとしたとき選択肢はスマートフォンしかなくなってきています。しかし、本来、携帯電話は電話をかけることにしか使わない人にとっては、スマートフォンはオーバースペック以外の何者でもありません。また、国内のスマートフォンの普及状況を見ると、1台10万円近くするiPhoneがスマートフォンシェアの50%以上を占めています。大多数の人がスマートフォンで行っていることの多くは1台2万円の格安スマートフォンでも問題なく行うことができます。にも係わらず、半数以上の人が1台10万円もするiPhoneを使っています。大多数の人にとって、iPhoneはオーバースペックなスマートフォンだろうと思います。かく言う私もiPhoneを使っていますが。。。

オーバースペックは悪か?

私達の身の回りにはオーバースペックな商品であふれかえっています。こうした状況は「悪」なのでしょうか?もっと言えば、営業マンであったり、お店の店員、さらにはCM等に踊らされて本来自分たちが使うこともないようなオーバースペックな商品をつかまされているのでしょうか?

おそらく、違うと思っています。

普及しているオーバースペック商品の多くは、「将来の可能性」のための余白がある商品ではないかと思うのです。

パソコンを購入する段階では、仕事で使うためにWordとExcelが使えれば十分と思っているかも知れません。WordとExcelが苦痛なく動く程度のパソコンであれば、5万円のパソコンでも十分に満足をする働きをしてくれるでしょう。しかし、来年になって、写真をAdobeのPhotoshopを使って加工したいと思ったら、おそらく5万円のパソコンでは全く使い物にならなくなってしまいます。

現時点ではオーバースペックであっても1台20万円のパソコンであれば、Photoshopを使って写真加工も行えます。また、家を建てようと思って、マイホームデザイナーを使いたいと思った時にも問題なく3Dの画像を動かすことができるはずです。将来もしかしたらやりたくなるかもしれない可能性を実現するための「余白」は、現時点においてはオーバースペックかも知れませんが、将来やりたいことを実現するための能力としては必要なスペックなのだろうと思うのです。

住宅についても同じなのではないかと思います。

家を建てる時点では、冬は多少寒くても良いし、夏は多少暑くても良いと言う風に考えている人にとっては、その時点では一条工務店の家はオーバースペックです。しかし、将来、やはり冬であっても廊下が寒いのは嫌だし、夏はエアコンを付けたらすぐに室温が快適になって欲しいと思うようになった時、住宅の断熱性能が低い家であると、それを得るためには家を建て替えるか、大幅な断熱リフォームをしなくてはならなくなります。しかし、家を建てる時点ではオーバースペックであっても、高断熱高気密住宅にしておくことで、希望した時にライフスタイルを変える自由度を得ることができるという点では、それはオーバースペックではないように思うのです。

将来の自由度を得るという意味では、その時点でのオーバースペックも選択肢になり得るように思うのです。パソコンやスマートフォンであれば数年で買い換えるものですから、買い換え時期によりスペックを上げれば問題は解決できますが、家の場合には、10年、20年という長い時間を同じ商品で過ごすことになるので、将来のライフスタイルの変化までを予測して、そういったライフスタイルの変化にもたいおうできる性能で住宅を選んでおくのも良い様に思います。

「スペック」は断熱性能だけじゃない

一条工務店の家を選んでおけば間違い無い?

一条工務店の高断熱高気密+全館床暖房は他のハウスメーカーの住宅性能に比べて優れているのか?というのが気になってきます。これについては、「室内の温熱環境」という点については一条工務店の住宅はいわゆる大手ハウスメーカーの中では頭一つ飛び抜けているように思います。じゃあ、それを持って一条工務店の家が他のハウスメーカーに比べて優れているか?というとそれは全く違うように思います。

一条工務店の展示場に行くと、断熱性能が住宅性能の全てであるかのように説明してきます。しかし、実際には全く違います。

住宅の性能は断熱性能や温熱環境だけであらわせるものではありません。

例えば、自分が好きではない壁紙に囲まれた空間では、いくら温度が快適でも全く快適ではないと思います。また、住み心地という点では間取りも重要な要素です。そして、住宅設備、例えばキッチンの使い勝手も住宅性能の一つと思います。

キッチンの使い勝手については、一条工務店の標準品よりもLIXILなどの高グレード品の方が優れている面が多々あります。しかし、一条工務店で家を建てる時に、キッチンメーカーのシステムキッチンを導入することは極めて難しくなります。また、デザインの自由度という観点でも一条工務店はその自由度は高いとは言えません。例えば、丸窓を付けたいと要望しても一条工務店ではその要望に対応をしてくれません。また、床は木目が浮き立つような無垢材が良いという場合であっても、一条工務店の家では無垢材の床は床暖房との相性が良くないため施工してもらうことができません。

一方で、積水ハウスや住友林業であれば、一条工務店の家と同じ水準の高断熱高気密+全館床暖房には対応できなくても、多数のキッチンメーカーの中から自由にシステムキッチンを選ぶことができます。また、床材も無垢材を選ぶこともできますし、大きな丸窓を取り付けることだってできます。デザインや住設選択の自由度を優先する方にとっては、一条工務店の家は「ロースペック」ということになるかと思います。

断熱性能が住宅性能の全てでは全く無いと思うのです。何を優先するかは本当に人によって千差万別だと思うのです。一条工務店、そして、他のハウスメーカーの営業さんのいずれも、あくまで「自社商品を販売すること」が目的である以上、自社商品が優れている点を思い切りプッシュしてきます。そして、そのアピールポイントこそが住宅性能の全てであるように説明してきますが、基本的にはそれらは全て住宅性能の一部に過ぎないということは念頭において話を聞くようにすることが重要なように思います。