【追記】夢発電破綻の危機??次に太陽光買取が保留になりそうな電力会社は??

こんばんは。さすけです。

九州電力や四国電力、東北電力が新規の太陽光発電の契約を一時中断する旨の報道がなされ、一条工務店で家を建てる予定で夢発電を利用しようと思っていた方にとってはかなり衝撃的なニュースだったと思います。

新しい情報を
太陽光受け入れ保留はどのような条件で解除になるか?今後のリスクは?
に追記しています。(追記:2014/10/22)

【2014年10月2日追記】北海道電力からも太陽光を含む再生可能エネルギーの受け入れ保留が発表されました。

太陽光発電の導入を考えている方向けに、太陽光発電パネル容量別に各社の回答保留状況を表にまとめました。

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○は従来通り受け入れ、×は受け入れ保留(中断)が発表されていることを示しています。△となっているのは私見であり、各電力会社から公表された情報ではありませんが、状況を踏まえていつ受け入れ保留が発表されてもおかしくないと考えている太陽光の容量になります。

一般住宅で余剰電力買取を予定している場合、現時点では電力会社によらず太陽光の受け入れは従来通り行われています。

一方で、一般住宅で会っても10kW以上のパネルを設置して全量買取制度を使った太陽光発電を予定している場合は、北海道電力、四国電力、九州電力では回答が保留(受け入れ中断)となっています。

一条工務店で家を建てる予定で全量買取制度の利用を予定している方は注意が必要です。

【追記ここまで】

 

今回はこのニュースに関して、私なりの理解を書いてみたいと思います^^

以下は私見です。各電力会社、及び一条工務店の公式見解ではありませんのでご注意ください。

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電力会社が太陽光発電による電力の受け入れを制限!?
夢発電は使えなくなる?

九州電力管内では夢発電は実質使えなくなりそう?

9月24日、九州電力から9月25日以降の再生可能エネルギーの新規買取申し込みを一時保留するという発表がありました。

九州本土の再生可能エネルギー発電設備に対する接続申込みの回答保留について

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内容を要約すると、「予想以上に太陽光・風力発電設備の申し込みが増加してしまって、これ以上増えると電力の安定供給が難しくなるので、10kW以上の電力買取り契約は一時保留します」という発表が行われました。

九州電力からは今回の新規申し込み適用対象が公表されており、その資料によると

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低圧(ソーラーパネルの設置容量で50kW未満を指します)も対象と明示されています。ただし、10kW未満は適用対象外とされています。

よって、全量買取制度の対象となる10kW以上50kW未満のソーラーパネル設置については新規契約受付は保留となるとされています。

これがその通りに運用されるならば、九州電力管内では夢発電を利用した全量買取は相当に難しくなったと言わざるを得ません。

詳細資料によると、回答保留期間は数ヶ月程度を想定しているとのことなので、回答は年明けになると思われます。

四国電力も全量買取は回答保留。。。

九州電力と同様、四国電力についても10kW以上のソーラーパネルの設置については契約申し込みの保留が発表されました。

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四国電力も、10kW未満の余剰電力買取制度の利用は従来通り受付をしてくれますが、10kW以上は受付が保留となると明示されており、一条工務店で夢発電を利用した全量買取制度は困難になったと言えます。

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東北電力も10月1日から新規受け入れ中止、でも夢発電は首の皮一枚でセーフ!

九州電力の発表から少し遅れて、東北電力からも東北電力系統への再生可能エネルギー発電設備の連系申込み(特別高圧・高圧連系)に対する回答の保留について」というプレスリリースが発表され、10月1日以降に申し込まれた太陽光発電等の再生可能エネルギーについては受け入れを保留する旨の報道がされました。

明日から受け入れ中止しますという突然の発表をした東北電力については、2014/09/30時点では夢発電で想定される50kW未満の全量買取制度は対象外となっていますから、住宅屋根への太陽光発電パネル設置による夢発電利用については保留の対象外となっています。

ただし、東北電力のプレスリリースでは

低圧で連系する再エネ発電設備(住宅用太陽光など)につきましては、当面、これまでどおり系統連系に関わるお申込みの受付・回答を継続いたします。
ただし、再エネ発電設備の連系が進めば、低圧案件に対する対策も必要となりますので、低圧案件の受付方法の変更が必要となる場合は、あらためてお知らせいたします。

とも書かれており、設置容量によらず、保留の対象となる可能性も示唆しており、今後注意深く見守っていかなくてはならない状況と思います。ここで、「低圧」とはソーラーパネルの設置容量で50kW未満のことを指しています。

 

 

 

 

夢発電への影響

現在の夢発電は全量買取制度ありきの仕組みになっています。

今回の報道で一番驚いたのは、一条工務店ではないかと思っています^^;

一条工務店のフランチャイズ店である一条工務店仙台のTwitterアカウントでも

というようなつぶやきがされており、かなりの焦りが感じられました。

 

ただ、今回、九州電力も四国電力、東北電力でも「回答保留」であって、「受け入れ中止」ではない点に注意が必要です。

よって、九州電力管内や四国電力管内で直ちに50kW未満の全量買取制度が使えなくなることは意味しません。

しかし、そうは言っても受け入れてくれない可能性も否定できない以上、全量買取を前提とした住宅の設計はかなり困難になると言わざるを得ません。

余剰買取なら大丈夫?

今回の九州電力の受け入れ制限では10kW未満の余剰電力買取を利用した場合の受け入れ制限はありません。

一条工務店の夢発電は2012年前半の設計までは余剰電力買取を前提とした仕組みとして運用されていました。そのことを考えれば、2012年から今年までの約2年間がある種特殊な状況で、前の状況に戻るだけと言えないわけではありません。

しかし、おそらく現在の一条工務店のソーラーパネルでは余剰電力買取を利用することはかなり難しいように思っています。

というのも、2012年まで販売されていた一条工務店(HRD)のソーラーパネルは面積当たりの発電電力が少なく、2012年にソーラーパネルの変更が行われたことで、面積当たりの発電電力が大きくなりました。実際、私が家を建てていた2011年~2012年当時は40坪の総2階建てでやっと10kWに届くか届かないかというパネル搭載量でしたが、現在は同じ坪数でも十数kWにはなると思われます。

よって、新しいパネルで余剰電力買取の対象となる10kW未満のソーラーパネル設置を目指した場合、多くの家でダミーパネルの設置が必要になります。ダミーパネルは1枚あたり2万円程度しますから、数枚であれば良いとしても10枚以上もダミーパネルを設置するようなことになればそれだけで数十万円の費用が発生してしまいます。数十万円の費用も全量買取制度が使えるならば十分にペイできる費用でしたが、余剰電力買取ではその費用をペイするのは難しくなってきます。。。

そう考えると、現在のソーラーパネルのまま一条工務店の家で余剰電力買取に切り替えると、採算性が大きく悪化することが懸念されます。

他の電力会社はどうなの?

今回は九州電力のみが10kW以上のソーラーパネル連系の回答を保留するということになりました。

日本には、北海道、東北、東京、中部、北陸、四国、関西、中国、九州、沖縄電力の10社の電力会社があります。

今回、九州電力と四国電力の2社が全量買取制度利用の住宅も新規受け入れの回答を保留、東北電力では全量は従来通り受け入れるものの将来的な受け入れ保留を示唆するという状況になりました。

そこで気になるのは他の電力会社も今後同様の動きが広がるのではないか?ということと思います。

まず電力会社が新規ソーラーパネル設置の申し込みを保留する条件を考えてみます。

最小需要量を超えて太陽光発電が行われてはいけない。

これは後日詳しく書きたいと思いますが、電力は発電電力量と消費電力量(需要量)が常に一致していることが求められます。これを同時同量性の原則と呼びます。

東日本大震災の直後の計画停電は多くの発電所が停止してしまったために、電力需要量をまかなうだけの発電を行えなくなったことから需要量を減らすために計画停電が行われました。これは直感的にも分かりやすいと思います。

これは以外と思うかも知れませんが、発電量が需要量を上回ってもいけないのです。

通常電力会社は需要量に一致するよう発電電力量をコントロールしているのですが、太陽光発電や風力発電のように自然に左右される電源が電力系統に流れ込み需要量を上回ってしまった場合、大規模停電を起こしてしまうことが懸念されます。

これまでは、太陽光発電や風力発電による発電電力量は需要量よりも十分に小さかったため、既存火力発電等によりコントロールが可能でした。

しかし、太陽光発電等の発電電力量が需要量を超えてしまうことが懸念されることから、新たなソーラーパネル等の設置申請が保留されることになったのです。

次に太陽光発電新規受け入れ保留が懸念される電力会社は北海道電力、中国電力!?

以上を踏まえて、次に新規太陽光発電パネル設置の保留が行われそうな電力会社を考えてみたいと思います。

今回、九州電力が発表した資料に

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このような資料がありました。この資料には「太陽光・風力設備認定状況」が示されています。設備認定状況とは、設置する「予定の」太陽光や風力発電設備が法令等を守っているかを審査する段階です。

ここでは省きますが、認定された後も実際の設置を引き延ばしているメガソーラー等が多数ある状況であるため、設備認定された発電量=実際に設置されたソーラーパネル等の発電量、とはなっていません。

しかし、認定容量は将来的に実際に発電が開始される可能性が高い発電設備である事には違いはありません。

先に説明した同時同量の原則が破綻することが最も懸念されるのは、日本の場合は「春」になります。春はソーラーパネルの発電電量が最も多くなる一方、冷暖房需要がなくなるため電力需要量が最小となります。

結果として、春に太陽光が最大限発電をし、1年間で最小となる電力需要量を超えてしまうことが懸念されるのです。

そこで、各社が公表している2012年または2013年の1年間の日次電力需要量がから最小需要日とその日の正午(太陽光が一番発電する時間)の需要量を求め、九州電力の資料にあった太陽光・風力発電設備の認定容量と比較してみることにしました。(図に間違いがありましたので、外部の方が作成したグラフの引用に変更しました。)

 

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結果は上記の通りとなりました。(追記:グラフに間違いがありましたのでグラフを削除して外部の引用に切り替えました。最小需要量についてはこちらサイトにありましたのでそのグラフを引用します。これに伴い以降の文章を若干修正しています。ご指摘いただき出所を教えていただきました方、ありがとうございます。2014/10/20)

上図は、電力会社別の日中における最小需要量に対して、現在稼働中または認定済の太陽光発電の比率を示したグラフになっています。この結果からは、今回受け入れを保留にした電力各社で100%を超えてしまう可能性が示されています。

実際には設置されたパネルの容量通りに発電されることはあり得ないため、あくまで理論上の最大発電量と捉えてください。例えば我が家に設置された9.98kWのパネルの実績を見ると1時間の最大発電電力量は9.0kWでしたから実際の発電電力量はパネルの容量よりも10%程度下回ります。

設備認定容量の発電量というのは、電力会社の系統管内全域が全て晴れて、全てのパネルが真南を向いて、という極端な状況での発電量です。

ただ、ある程度の目安にはなります。

今回、新規申請の保留が発表された九州電力では最小需要量に対して、ソーラーパネルの設置容量は2.3倍を上回る予想となっていることが分かります。

実際にこのような事態になれば安定した電力供給が不可能になるため、新規の申請が保留されたと言えます。同様に東北電力でも1.5倍と大幅に太陽光・風力発電設備が上回っています。

四国電力でも1.08倍、北海道電力で1.03倍となっており、太陽光・風力発電設備の認定容量が最小需要量を上回っていることが分かります。

このグラフを見ると、今後新たに新規太陽光発電設備の受け入れを保留しそうな電力会社が見えてくると思います。(修正ここまで:2014/10/20、以下は2014/9/30時点の情報のままになっています。)

 

おそらくは北海道電力、中国電力は新規受け入れを保留する可能性があります。北海道電力は最小需要量が305kWに対して設備認定容量が308kWとなっています。また、中国電力も最小需要量が632万kWに対して設備認定容量が514万kWときわどいため、保留の可能性は否定できません。

一方で、人口密集地・大規模な商業、工場を多数持つ東京電力、中部電力、関西電力の3社については依然として設備認定容量を最小需要量が大きく上回っているため、50kW未満のような低圧の太陽光発電設備の新規申請が保留される可能性は極めて低いと考えます。

今回、九州電力や四国電力が急に太陽光発電の受け入れ保留を発表したことから、他の電力会社に次々と波及していくことが頭をよぎりますが、実際の状況は上記の通りですから、東電、関電、中電管内で保留が進む可能性はゼロではありませんが、今回の受け入れ保留の波及の可能性はほぼ無いと言えるかと思います^^

 

メガソーラーの設置が一気に進んでいるため、なかなか難しい状況になってしまいましたが、少なくとも東電、関電、中電あたりは今年までは大丈夫かな?というのが個人的な見解です。

ただ、近い将来全ての電力会社で同様の問題が発生する可能性は高く、一条工務店は夢発電のあり方を考えなくてはいけなくなっているのかな?と思います。というか、夢発電どころか、日本の電力システムのありかた全体を考えていかなければいけない時期なのかも知れません。