一条工務店欠陥住宅報道について:地盤は自分で調べるしかないのかも・・・

こんばんは。さすけです。

本日の話題は、書いて良いか、悪いか、悩みました。
(この記事は後日削除するかも知れません。)

東日本大震災は大きな災害であり、社会制度のあり方そのものを問う多様な問題を生じさせていることは理解しています。

そして、そこには被災者の方もおり、その方たちにとっては自己の生活基盤そのものを失わせる結果、さらにはかけがいのない家族を失ってしまった方々が多数いらっしゃる事実があります。

そのような深刻な話題を個人ブログで扱うことへの懐疑的な気持ちがあるためです。現時点でも書いて良いのかは分かりません。

しかし、これから書かせていただくことが結果的に今後家を建てられる方への何らかの警鐘となることを願って書かせていただきます。

また、被害に遭われた方のできる限り早い生活の回復を願っています。 以下に書くことは専門家ではない、私の一意見に過ぎないことはご承知置き下さい。

ご批判は全て私個人が受けるものであり、被災者の方、一条工務店、土地造成会社等を批判するものではないことをどうぞご理解ください。あくまで、調べたことをできる限り客観的に書かせていただきます。

ことのはじまり

9月21日夕方、ブログを読まれている方から、フジテレビのスーパーニュースで欠陥住宅の特集を放映しており、それが一条工務店の家らしいと言うメッセージをいただきました。

私自身は仕事中であったためテレビを見ることができませんでした。

しかし、ブログや他の方とのメッセージのやりとりでほぼ間違いなく一条工務店の家であると言うことまで確認できました。

テレビで放映された内容は、

・ 福島市近郊の住宅地において、東日本大震災当日、震度5強地震に見舞われた地域で、一条工務店が建てた家(ニュースでは社名が伏せられていた)が全壊したこと ・ 地震に強いとうたうハウスメーカーの家が「震度5の地震で全壊した=欠陥住宅」という形で放映されていたこと

・ 構造自体に欠陥があり、たった1年で全壊となるような家は欠陥住宅だという論調での放送だったこと

・ 周辺の住宅は無事であるにもかかわらず、その一軒だけが全壊したこと

・ 一条工務店は震災の影響であり、自社に責任がないと言い放っていること

・ 裁判中であること

が放映されていたようでした。 この情報だけに基づけば、その家は欠陥住宅であると言えますし、一条工務店はハウスメーカーとして無責任で恥じるべき企業であると言えます。 その後、営業さんなどに問い合わせをされた方などの話しを総合すると、一条工務店の言い分は

・ 同地域は地盤に問題があった地域であること

・ 地盤調査では分からなかった大規模震災による影響の結果であること

 被災家屋は一条工務店の家以外にも出ていること

・ 係争中であり、責任の所在は裁判所の判断を仰ぐことになること

などの情報が得られました。

一条工務店の言い分を私なりにまとめると、家が欠陥住宅という話しではなく、地盤に問題があったということになります。 ここまでの情報はすぐに入手することができました。 しかし、これらの情報は伝聞に過ぎず、双方の意見に食い違いがある以上、私としては当事者間で良い解決をする以外にはないだろうと思い、静観することに決めました。

被害者の方がWebサイトを立ち上げ

既に複数の方がブログで紹介されているように、スーパーニュースで放送された方がご自身でWebサイトを立ち上げられました。サイトはこちらです。

内容としては、詳細に書かれており、被害に遭われた地域が福島県福島市にある「南福島ニュータウン」であると書かれていました。 また、多くの写真も掲載されており、悲惨な被害状況がネット上に公開されていました。 この他に新たに知った事実として

・ 2010年2月に引き渡しを受けた一条工務店セゾンタイプの家であること
・ 引き渡し後に発生した福島市の震度が2程度の地震で家が大きく揺れるなどの不審な出来事があったこと
・ それを踏まえて、震災発生前の2011年2月に一条工務店が改めて地盤調査を行ったこと
等が書かれていました。

このことから、おそらく「不審な揺れ」があったのであろうことは、事実と思います。

被害の状況

被害の状況はサイトに掲載された写真をご覧になっていただくのが良いと思います。 私が住む地域も震度5強に見舞われた地域ですが、私の住む地域と比べて貼るかに被害が大きいことが分かりました。 写真を見る限り、家の構造材事態が断裂しているように見える箇所もあり、震度5の地震でこのような被害が生じたとするならばなんらかの欠陥があったと推測することは合理的と思います。

原因は住宅の欠陥なのか?

写真を見ていてわたしは一つの疑問を持ちました。 写真に写っているウッドデッキ下の地盤、道路、住宅の基礎部分等に多数の地割れと思われる亀裂が走っているのです。 明らかに異常な亀裂です。 このことから、一条工務店が言う、地盤の問題というのも合理的意見と思えます。 当然、このことを持って、家が欠陥住宅であったことを否定できるわけではありませんが、写真を見る限り家の欠陥と言うよりも地盤に問題があると判断する方が合理的に思えました。

この地域は本当に震度5だったのか?

震度というのはピンポイントデータに過ぎません。 震度というのは気象台に設置されたピンポイントデータをもとに、地域の地盤状況などをもとに推計した値です。 そのため、震度は地盤によって、大きく異なってきます。極端な話し、1軒となりで震度が異なってしまうことはあり得ます。 写真の状況を見る限り、大きなスピーカーが転倒しており、重心などが不明なので一概には言えませんが、震度5強の地震としては被害が大きすぎます。

これは構造などにはよらず、地震の大きさを測る一つの指標となります。 固定されていなければ確かに転倒はあり得るのですが、我が家及び私が住む地域の震度5強と様相があまりにも違います。 よって、震度5強ということ自体が間違いのように思えます。

さらに、そのことは被災者の方が、震災前から福島市が震度2でも大きく家が揺れていたと言うことなどからも、この地域の震度は「福島市」にある気象台とは異なった揺れを観測する特異な状況に置かれていたのではないかという疑念を持ちました。

すなわち、非常に揺れやすい土地に家が建てられていたのではないかと思えて来ます。

しかし、ここで新たな疑問がわいてきました。
もし、土地が揺れやすいならば地域の住宅全体が大きな被害を受けていたのでは無いかと言うことです

スパーニュースではサイトを立ち上げられたお宅のみが被害を受けたという形で報道が行われたようですが、こちらの方のサイトを見ると、隣家も大きな被害を受けたと言うことが書かれています。

どうもニュース報道そのものに対して強い疑念がわいてきました。

フジテレビのニュース報道に対する強い不快感、そして嫌悪感

私がニュースに求めるのはセンセーショナルな報道ではなく、中立的、客観的報道姿勢です。

そんなものを求めること自体が無駄と分かっていても、それでも中立性と客観性を求めています。
ニュースであっても意見があることは一定程度理解しますが、それが「嘘」であればそれは報道とは言えません。

今回、被災者の方がサイトを立ち上げてくださったことで住宅がある地域の特定も行えました。
Google Earthでは同地域の2011年4月10日付けの航空写真が公開されていました。
こちらからご覧いただけます。

下記に示した赤丸の箇所に注目するとブルーシートがかけられている箇所が散見されます。
赤丸部分が造成地の外周部にあることも特徴です。

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少なくとも、同地域はサイトを立ち上げられた1軒のみが被害を受けたと言うことではなく、地域全体で被害を受けた地域であることは間違いなさそうです。被害に遭われた方が公開してくださった写真などを総合して、上記赤丸の一つが今回被害に遭われたお宅であると確信を持ちました。

さらに調べてみると、上記赤丸2個が重なった部分を、左に見えるバイパスから撮影した写真を見つけることができました。

リンク:「ふくしまの春:Maukieさんのブログ上から2枚目の写真が当該箇所の写真です。

こちらの写真は上記赤丸2個の部分の写真です。家が斜面をずり落ちてきていることが分かります。

このことから、明らかになったこととして、フジテレビスーパーニュースで報道された、同地域における被害住宅が1軒だけであるというのは真っ赤な嘘であることが分かります。上記写真の家は一条工務店の家ではありませんし、その隣も違います。また、被害者の方の隣家のお宅も全壊とのことですから、少なくとも2軒以上の家が全壊となっていると言えます。

自分たちの見たいもの(欠陥住宅らしいという状況)しか見ず、周辺の状況を無視する姿勢は非常に不愉快です。報道された家の方、そして多くの被災者の方を馬鹿にするものと思います。言論の自由は重要な権利ですが、それをはき違えた最たる例と思います。

一条工務店の肩を持つつもりはさらさらありませんが、あまりにもひどい報道姿勢に対して、強い嫌悪感を覚えます。知識不足であればまだましですが、明らかな意図を持った悪意る報道であり、それは報道とは到底呼べるものではありません。

地盤に問題があったのか?

明らかに胡散臭い報道のことはいったん忘れることにします。

ここまでの状況から、欠陥住宅を疑うよりも、地盤を疑う方が合理的に思えて来ました。

私が地盤のことを調べるときはいつも「国土交通省のウェブマッピングシステム」を見ています。
国内の多くの地域の古い航空写真を閲覧することができるサイトです。

私が土地を購入する際にも参考として、数十年というスパンではありますが過去にさかのぼって土地の過去の状況を確認することができます。

南福島ニュータウンについては今から約35年前の1975年の写真を閲覧することができました。

それがこちらです。

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1975年当時、おそらく造成開始から間もない時期の航空写真と思われます。

南福島ニュータウンは高台に立地され、過去の写真を見る限り山部分を造成し、そこで出た土を造成地北側の埋め立てに用いたと言うことが見て取れます。

この写真の上に、先ほどのGoogleEarthの写真を重ねてみます。
航空写真から家が傾いたような特にひどい家にマークを付けて、ブルーシート部分に赤丸を付けました。

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(今回、被災され一条工務店の家を失ってしまった方の家はおそらくこの赤丸の中にあると思います)

そして、ここで特に私が気になったのが、1975年時点では、未造成の状態の北側部分です。

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1975年当時の写真を拡大したものですが、赤い扇で囲った部分をご覧になっていただくと土が下段の青い矢印方向に流れて行っていることが見て取れます。

すなわち、この扇の部分には何もない部分に盛り土をして造成した地域であることは間違いなさそうです。さらに、Webを立ち上げられた方がご近所から聞かされた「盛り土によって造成された土地」という情報とも合致します。

この部分がどの程度の高さまで盛り土されたかについては推測に過ぎませんが、この扇部分を2011年11月に撮影したGoogleストリートビューの写真がありました。

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高台に2軒の家が見て取れます。先の赤丸の中に入っていた2軒です。
写真からの判断ではありますが、数十メートルは高台にあります。道路高よりも元々の地盤が高かったとしても、相当な盛り土が成されていると推測できます。また、特段の擁壁等が見られない点が気になりました。

続いて、先の合成写真の中で特に被害が大きかったと思われる北側の家の位置を確認すると、家が建っている位置は以下のようになります。

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すなわち、盛り土の上に住宅地が開発されたことを示しています。
過去に田んぼだった地域というのは良く聞きますが、ここまで高い盛り土の上に家が建てられるのかと、驚きます。

地盤的には明らかに不安定な状況であったことは想像に難くありません。

しかも、本当に不幸としか言いようが無いことに、この盛り土部分に建てられた家と、従来の山部分を削った部分では地盤の強度に大きな違いがあったものと思われます。

距離にしてたった80m南に家を建てていればおそらく、これほどの被害に見舞われることはなかったかもしれません。

個人的理解

以上のことから、私の個人的理解としては、今回の被害はニュース報道にあった「欠陥住宅」という話しではなく、地盤の問題であろうと理解しました。当然、地盤に問題があり、かつ欠陥住宅で会ったということは否定できません。

サイトをアップされた方が書かれているように、震災前にテレビに映る震度とは異なる強い揺れを感じたと言うことは、高く盛られた土が全体として大きな揺れを生じさせたと理解できます。また、近所では大きな被害が出ていなかったという部分も盛り土部分は80m四方の狭い範囲にあり、南福島ニュータウン全体から見ると限定された地域のみが盛り土であったと推測できます。よって、100mほど離れた「近隣の家」では全く異なる被害状況であっても不思議はありません。

サイトをアップされた方が書かれているように、「同じ震度なのになぜ自分の家だけが?」という悲痛な叫びは痛いほど理解できます。しかし、上記のように極狭い範囲だけが盛り土であったということを考えると、被害状況の違いは盛り土が原因と考えることが合理的と思います。

自分も同じことをしたと思う。

私は被害に遭われた方が、一条工務店に対して責任を取って欲しいという気持ちが痛いほど分かります。私が同じ立場であれば、やはり同じような要求をするかもしれませんし、裁判も起こすでしょう。。。他に方法が無い状況に追い込まれ、家族、生活を守るためには戦うしかないならば、そうするしかないことが理解できます。

ただ、一つ、もし伝えることができるならば、欠陥住宅で争うのはあまりにも無謀と思えてなりません。そうではなく、
・ 地盤調査を同一企業が行っている場合の「責任」の所在と範囲
・ 盛り土の造成に対する法的妥当性
の2点から争った方がまだ勝ち目があると伝えたいです。。。。

ただ、それが難しいことも分かっています。

一条工務店は地盤についても「責任」を持つために、自社で地盤調査をしていると言います。私達顧客が求める「責任」とは原状回復を行う「責任」です。英語ならLiability、法的・義務的責任を求めています。しかし、現在の法制度下においては、一条工務店の地盤に対する「責任」はResponsibility、道義的責任に留まると思われます。

家に欠陥がないことに対する一条工務店の責任は当然Liabilityです。しかし、地盤となると、おそらくはResponsibilityであろうと思います。苦しさが理解できるだけに、このようなことを言うのは辛いです。それでも、欠陥住宅を全面に出すよりも戦う余地は残されていると思います。

また、上記で挙げた写真、その他地域の過去の工事中写真等を用い、さらに、ストリートビューなどでは盛り土の擁壁などが確認できなっかったことから、地盤補強に対する法的責任が本当に果たされていたのか、この点を土地を造成した企業と争う方が得策と思います。

そして、このようなことをブログに書くのは適切ではありませんし、既に不可能な状況になってしまっているかもしれませんが、一条工務店か造成会社のいずれかと組んでもう一方と裁判をすべきと思います。個人が単独で企業と裁判を戦うのはあまりにも辛く、そして無謀です。いずれか一方には見方になってもらうのが良いと思います。。。。

何かできたか?

最後になりますが、今回の被害を見ていて、では事前に何ができただろうか?と考えてしまいます。

先に示した写真のように盛り土の高さは数十メートルはありそうです。地盤そのものが動いてしまう状況ではソイルセメントもベタ基礎も意味がありません。

鋼管杭であっても、盛り土前の地盤の下に支持層があるわけですから、その長さはおそらく数十メートルになるでしょう。こうなると、通常の小口径鋼管では施工ができないと思います。
正直、鋼管杭の施工価格が土地価格を超えるようなことになってしまうかも知れません。

一条工務店が行う地盤調査はスウェーデン式サウンディング試験では到底本当の地盤の状態は分からないでしょう。

なんと冷たいことを言うのかと思われるかも知れませんが、この土地は買ってはいけない土地としか私には思えません。でも、素人である私達にはそこが盛り土であるかなどと言うのは判断できないのです。。。

このような高い盛り土の土地を買わないためには、現状では自分で調べる以外方法が無いのだと思います。幸い、「国土交通省のウェブマッピングシステム」のような無料で使えるシステムも整備されています。過去にさかのぼって土地の状態を把握した上で、購入する以外に身を守る術がないように思えてなりません。。。。

今回の件で「ニュース」が全くの嘘を報道するという姿勢を知り恐ろしくも感じました。
なんとも、すっきりしない内容になってしまい申し訳ありません。