こんばんは。さすけです。
2019年1月末に消費者庁から公表された太陽光発電システムが発火・火災を引き起こすリスクの指摘とそれに対する一条工務店の対応の続報を書かせていただきます。
一条工務店では現在設計打合せ中の方に対して、ソーラーパネル1kWあたり1万円で消費者庁の勧告にしたがった鋼板敷設をオプションとして提供しはじめました。
(ただし、基本的には設計打合せ中の方であっても顧客側から質問しなければ、一条工務店側からは説明してくれない体制となっています。そのため設計打合せ中の方でも知らない方も多いかと思います。)
仮に9.9kWのソーラーパネルを設置した場合、税抜き9.9万円で鋼板敷設が行えます。12kWのソーラーパネルであれば12万円で鋼板が敷設できます。
結論から言いますと、鋼板敷設が1万円/kWで可能であるならばすべきと考えます。というか、鋼板を敷設しないという選択は私個人の価値観ではあり得ない選択と考えます。
前回の記事で一条工務店が鋼板敷設をオプションで提供した話を冒頭に少しだけ書いたところ、営業さんから推奨しない旨の話があったという情報やそもそもそのような話を知らなかったという話を多く伺いました。また、知っていた方も、お金を掛けてまで鋼板を敷設すべきかどうかについてご相談もいただきました。しかし、これは誤った(または認識不足)説明と考えます。
いつも通りこの記事は長いです。ブログが長くて読むのが辛い方は営業さんに「太陽光を設置する際は鋼板敷設をオプションでお願いしたいので、オプションとして追加しておいて下さい」と伝えていただければOKです。こうすることで、損はありませんし、将来のソーラーパネルの発火・延焼リスクを十分に低いレベルに低減できます。
営業さんが反対しようが、周辺で誰も鋼板敷設をしている人はいなかろうが、鋼板敷設はすべき、というのが私の結論です。
以下では、なぜ鋼板敷設をすべきという結論に至るのかを説明させていただきます。
追記:2019/05/25 この記事の内容に対して一条工務店が標準仕様として対応することが決まりました。
この記事の要点
発火延焼リスク
- 一条工務店のソーラーパネルの施工方法は消費者庁が発火・延焼リスクが高いとして経産大臣にルールの見直し等を含めた検討の勧告が行われた「鋼板なし型太陽光発電システム」を採用しています。
- これに対して一条工務店では、消費者庁の指摘に従ってソーラーパネルからの延焼防止を目的とした「鋼板敷設」を1kWあたり1万円の低価格でオプションとして提供開始しました。
- 鋼板敷設をするかしないかは顧客が選択できる状態にあります。鋼板敷設費用を支払っても太陽光発電システム導入のメリットは十分に得られます。
- 過去のデータから鋼板を敷設をすることで、住宅が燃えてしまう(そこに住む人が火災に遭う)リスクを十分に低減できる可能性が高いと言えます。
- これから一条工務店で家を建てる方で、太陽光発電システムを導入される場合は鋼板を敷設すべきと考えます。
一条工務店はオプションではなく標準にすべき?
- 現時点ではオプションとなっていますが、早晩標準になる可能性が高いように思っています。
- 消費者庁の報告書で、発火から延焼に至ったお宅のうち、施工不良を除けば住宅延焼を招いたソーラーパネルはシャープ製のみとなています。
- よって、太陽光発電システムからの発火延焼事象がシャープ製パネル特有の問題である可能性も否定できません(たぶん違うと思っています)
- 消費者庁の事故調査委員会でも、発火から延焼のプロセスを解明できておらず
一条工務店の責任
- 一条工務店のソーラーパネルからの発火・住宅延焼事象は現時点では確認されていません。
- また、原因も特定されておらず、さらに、これまでは一般に安全とされていた施工方法を採用していたもので、一条工務店に施工上の責任はないと考えます。
- 消費者庁が国内専門家を集めた事故調査委員会でも原因を特定できない(しかも自社では事故が起こっていない)事象におついて、一条工務店に責任を求めることはできません。
- むしろ、消費者庁の指摘から2ヶ月でオプションではあっても安全性を確保する方法を提供したことは評価されるべきと思います。
怖いから太陽光発電システムは導入しない方が良い?
- 私は今後のことを考えると太陽光発電システムは住宅の必須のツールと思っています。よって、太陽光発電システムを導入できるならば導入する方が良いと思っています。
- もちろん、導入するかしないかの判断は居住者がすれば良いことですが、「完全なゼロリスク」は世の中に存在しません。むしろ、消費者庁が指摘をしたことで、そのリスクの程度が明らかになりつつあり、今回の指摘は安心要素に転換することも可能と思います。
あなたは自分と家族の生死を掛けて月々700円が欲しいですか?
鋼板敷設の話に入る前に、以下の3択のいずれを選ぶかを考えて下さい。詐欺などはないとします。
- 何らの義務なく月々4700円がもらえます。ただし、この選択をした場合毎年1万軒に1軒の割合でランダムに火災が発生する可能性があります。火災にあった場合、10分の1の確率で自分または家族の誰かが死亡します。20年間の受け取り総額は113万円です。ただし火災が発生する住宅は10万軒に1軒が最大で、もしかすると100万軒に1軒かも知れませんし、全く火災が起こらないかも知れません。
- 何らの義務なく月々4000円がもらえます。この選択では火災発生リスクは上昇しません。よって自分及び家族が死亡リスクも変化しません。20年間の受取総額は96万円です。
- 1,2のいずれの選択もしない。この場合何も受け取ることができません。受取総額はゼロ円です。
あなたなら上記のいずれを選択しますか?
何となく不安だから1と2は選択しないで3を選択する方もいらっしゃると思いますがおそらく大半の方は2番を選ぶと思います。
上記の選択は一条工務店で12kWの太陽光発電システムを導入した場合に該当します。
- は一条工務店標準の鋼板なしの12kW太陽光発電システムを導入した場合に該当します。
- は一条工務店で12kWの太陽光発電システムを導入し、オプションで1kWあたり1万円の鋼板施工を追加した場合に該当します。
- は太陽光発電システムなしの場合に該当します
もちろん、ものごとをここまで単純化して良いかという問題はありますが、現状得られる情報から判断する限り、鋼板なしで太陽光発電システムを導入するということは月々700円の追加的利益を求めて自分が住む家の火災リスクを上昇させる可能性を残し、さらには火災によって自分や家族の生死をかけるような明らかに採算が悪すぎる選択となっています。
上記の設問がどのように導かれるのか、本当に鋼板施工をすることに意味があるのかについて説明をさせていただきます。
太陽光発電システムの火災発生リスク
太陽光発電システムはどれも燃える、でも鋼板がある場合は延焼していない
消費者庁の報告書では国内に設置された237万世帯に設置された太陽光発電システムにおいて、127件の火災事故が発生し、そのうち原因が特定できた72件を調査対象とした結果、太陽光発電モジュール(ソーラーパネル)とその周辺ケーブルから発火したことに起因する火災が13件あったと報告されています。
ソーラーパネルからの発火の多くは設置から一定の時間が経過してから発生していたことから、施工不良を原因としたものを除くと発火の主な要因は経年劣化によると推定し調査が実施されました。
さらにソーラーパネルから発火があった13軒について詳細に調査した結果、13軒中6軒では発火はしたものの燃えたのはソーラーパネルのみで住宅に延焼は見られませんでした。残りの7軒の住宅では住宅そのもの(野地板)への延焼が確認されました。そして、発火があっても延焼しなかったお宅のソーラーパネルには鋼板や屋根瓦などの不燃材が敷設されていました。一方、延焼に至った7軒のお宅はすべて鋼板が敷設されないタイプの太陽光発電システムが使用されていました。
消費者庁の調査でも発火のプロセスは理論的には説明ができたものの、発火から延焼に至るプロセスについては明らかにすることができなかったとされています。しかし、「鋼板が施工されていなかった家のみ延焼していた」という事実を重視して、太陽光発電システムでは安全が確認されるまで鋼板を敷設することを推奨しました。
(出所:消費者庁報告書より:発火があった13軒のソーラーパネルの違いによる分類)
(出所:消費者庁報告書より)
鋼板なし型ソーラーパネルが設置された国内11万軒中6万軒以上が一条工務店の家
一条工務店の太陽光発電システムはすべて鋼板なし型
鋼板なし型の太陽光発電システムは国内に11万世帯で設置されていると報告されています。
一条工務店の屋根一体型の太陽光発電システムはそのすべてが「鋼板なし型」の太陽光発電システムとなっています。
このことは明示的には示されていませんが、一条工務店が1月30日に出したプレスリリースからも読み取ることができますし、私自身も一条工務店に問い合わせを行い、鋼板なし型である点に間違いがないとの回答を受けています。
前回の記事
でも書いたように一条工務店は2012年以降急速に施工等数を増やしてきています。2010年から2018年までの間に少なくとも6万棟の太陽光発電システムを設置した住宅を建築していると推定されます。
このことから、消費者庁が対策を勧告した11万世帯のうち半数以上が一条工務店の住宅という状況にあります。
ただし、一条工務店のプレスリリースでは一条工務店が設置した住宅では発火及び火災の発生が確認されていないことも報告されています。
一条工務店の住宅で火災が発生していないから「安全」とは言えない
一条工務店のプレスリリースでは一条工務店の住宅では発火や火災が発生していないと報告していることから、これを持って「安全」であると主張する営業さんなどがいらっしゃると聞いています。
しかし、これは間違った結論です。というか、結論を急ぎすぎています。
一条工務店が本格的に太陽光発電システムの販売を開始したのは2011年頃からです。消費者庁の調査が行われた2018年時点では古いものでも設置後7年しか経過していません。
一方で、消費者庁の報告書ではソーラーパネルが発火に至るプロセスとして「経年劣化」の影響を指摘しています。すなわち、ソーラーパネルは経年劣化によって発火リスクが上昇すると考えられます。
このことから、一条工務店の太陽光発電システムは発火に至るほど経年劣化が進んでいないために発火していないだけで今後も発火しないとするには、まだ新しすぎます。
最悪シナリオを考える
発火や延焼のリスクを過度に怖がることは適切ではありません。ここでは、最悪でどの程度の頻度で一条工務店の太陽光発電システムが発火すると考えるべきかについてかなり最悪ケース寄りの計算をします。
これは、「これ以上悪いことは起こらない」というもので、一条工務店のソーラーパネルが危険であるということを言いたいわけではないことに注意して下さい。
鋼板なし型太陽光発電システム11万軒のうち6万軒が一条工務店の家だとすると、今回の発火に至ったお宅は5万軒中の7軒ということになります。ここで、非常にざっくりと5万軒のうち経年劣化が発露するにいたる設置から5年以上経過したソーラーパネルの棟数を1万軒と推定すると1万分の7の確率で発火したことになります。算定期間が約10年間ですので年間の発火・延焼確率は1万分の1と計算されます。
もちろん、これはかなり最悪シナリオですが、一条工務店の住宅が今後毎年1万棟に1棟ずつ太陽光発電システムの発火によって火災が起こることも否定はできません。
2018年消防白書によれば2017年の住宅火災件数は10489件(放火を除く)、住宅火災による死者数は889人(放火自殺者を除く)となっています。すなわち、住宅火災に見舞われると8%の確率で人が死ぬことになります。統計上、重体などは不明ですので、ここでは10軒に1軒でそこに住む人が死亡(またはそれに近い障害を負う)と考えます。
一度火災に見舞われると、自分や家族の生死が10分の1という高確率で失われることを考えると、火災はできる限り避けるべき事象と言えます。
一条工務店の年間住宅施工等数を考えれば、早晩太陽光発電システム設置住戸数が10万棟を超えることは確実ですので、一条工務店の家が1年に10軒ずつ太陽光発電システム由来の火災によって失われていき、そのうちの1軒では死者が出るという計算になります。何度も言いますがこれは現状考える最悪のシナリオで、このような自体にならないよう対策をする必要があります。
既に家を建ててしまた私たちは、自分たちで対応をすることはできませんから一条工務店の今後の対応に期待をするところですが、これから家を建てる方は上記のような最悪シナリオが現実になったとしてもこれを回避する手段が現時点で目の前に提示されているのです。それがオプションで鋼板を敷設するという方法です。
一条工務店の鋼板なし型太陽光発電システムは本当に将来発火・延焼するか?
一条工務店の家では火災は起こらない可能性も?これまで延焼したすべてのパネルはシャープ製
最悪の場合、毎年1万棟に1棟ずつ一条工務店の住宅で火災が発生するという可能性を指摘しましたが、実際には全く火災が発生しない可能性も十分にあります。
消費者庁の報告書では発火・火災に至った住宅のソーラーパネル製造企業は匿名となっていますが、発火から住宅に延焼した7軒のうち、施工不良を除く5軒のいずれもA社製であることが分かります。
ここで、A社はどこかというと、シャープです。なぜそう言い切れるかというと、シャープ製のソーラーパネルで火災が相次いでいたことは2018年初頭から複数報道されていました。
(出所:東洋経済「シャープ製パネルで相次ぐ火災事故の深層」)
(出所:日経XTECH「太陽電子パネルの火災疑惑、シャープが無償交換に踏み切る」)
消費者庁の調査結果と、A社の火災発生件数を照らし合わせるとA社はシャープで間違いありません。というか、消費者庁が参照しているNITEのデーターベースでは企業名もしっかり記載されていますので、施工不良をの除いてソーラーパネル自体から発火して火災に至った太陽光発電システムはシャープ製以外に確認されていないことになります。
このような現状を踏まえると、今回の発火から延焼に至った原因は「シャープ製ソーラーパネル特有の問題」という可能性も否定はできないように見えます。
シャープ製ソーラーパネルの発火原因は「はんだ付け強度」の問題の可能性をシャープ社が指摘している
ブログを読まれている方は、憶測でシャープ社の製品に不良があるかのような指摘して良いのか?と感じられるかと思いますが、別に私が憶測で言っているわけではなく、これはシャープ社の公式見解でもあります。
下はシャープ社(シャープエネルギーソリューション)が2018年9月に公表したシャープ製ソーラーパネルの無償点検の案内文書です。
(出所:シャープエネルギーソリューション「シャープ製 瓦型住宅用太陽電池モジュールの無料点検等のお知らせ」)
この文書によれば「太陽電池セルとインターコネクター(セル間の結線部品)のはんだ付けの強
度が低下し、原因は特定されておりませんが、まれに発火に至る可能性があるとの懸念に基づ
くものです。」と書かれています。
無償改修のお知らせに先立つ、2018年1月時点でシャープ製のソーラーパネルからの発火について日経ホームビルダーが記事にしていたこと、シャープ社の無料点検のお知らせの直後に東洋経済がシャープ製のパネルからの発火と火災について報道していることを踏まえると、シャープ社として火災が発生している事実を踏まえて対応を重ねた結果、はんだ漬けの強度低下によって発火と火災が起こっている可能性が高いと判断したことは間違い無いかと思います。
シャープ社も原因が「はんだ付け強度の低下である」と特定には至らなかったようですが、少なくとも企業の公式サイトにお知らせとして掲載する以上はその可能性が一定程度高いと判断した結果であると推測できます。
シャープ社がはんだ付け強度の低下を原因とした火災の可能性を自ら指摘していること、そして、消費者庁の報告書では施工不良を除いて発火から火災に至ったソーラーパネルのすべてがシャープ社性であったという事実を重ね合わせると、ソーラーパネルの発火・延焼という事象はシャープ社のソーラーパネル固有の問題である可能性も十分いあり得るものと思います。
そのため、製造プロセスが異なる一条工務店のソーラーパネルは発火も延焼もしないという可能性はあり得ます。
仮に、ソーラーパネルからの発火と延焼プロセスがシャープ製特有の問題だとするならば、これまで一条工務店のソーラーパネルで発火や延焼が確認されていないことも納得がいきます。
そうだとすると、今後も一条工務店の太陽光発電システムから発火や延焼が起きることはない、ということになります。これが一条工務店の家に住む立場としては最もポジティブな結果となります。
じゃあ、一条工務店は安心。オプション費用を払ってまで鋼板をしく必要はないね!
それでも一条工務店の太陽光発電システムでは鋼板を敷設しておくべき理由
シャープ社が自社の公式見解として発火原因を自社の製造工程上の問題が高いとしている事実、そして、施工不良を除けばシャープ社のソーラーパネル以外で発火から延焼に至った事例は存在しないという事実を踏まえると、一条工務店の太陽光発電システムであえて鋼板を敷設する必要性はない、と考えられる方もいらっしゃると思います。
しかし、私はこれは誤った判断と考えます。
その理由は
- 施工不良ではシャープ製以外のソーラーパネルでも発火・延焼に至っている
- シャープ社製ソーラーパネル以外も延焼に至らなかっただけで、発火はしている
- 鋼板(または不燃材)が施工されていれば、発火があっても延焼に至った事例は存在しない
という3つの事実に基づいています。
施工不良があった場合、鋼板がなければ家が燃えることもある
施工不良はあってはならないことですが、それは期待であって、どのような製品であっても人が作るものである以上は一定のミスは存在します。
よって、一条工務店の太陽光発電システムだけ施工不良が絶対に起こらない、ということは絶対にありません。リスクを評価する際「期待」と現実はしっかりと分離して考える必要があります。
実際に家に住む私達居住者の立場で考えた場合、発火原因が製品不良であっても、施行不良であっても、結果として家が燃えたのならばそれはどちらでも大きな問題です。
そのことを踏まえて消費者庁の事故調査報告書を確認してみます。そうして見ると、事故調査報告書ではA社(シャープ製)とC社のソーラーパネルでは原因が施工不良ではあったものの鋼板なし型の住宅2軒で発火から延焼に至った事例が存在していることが確認できます。
一方で、施工不良があった鋼板を敷設している他のハウスメーカーでは、施工不良による発火があっても住宅本体(野地板)への延焼事例は確認されていません。
太陽光発電システムは太陽光から効率よく高いエネルギーを取り出す装置です。施工に問題があれば当然発火します。
こうした施工不良はどこのソーラーパネルでも起こりえるものであることを踏まえると、被害の拡大を防止できるかどうかは「鋼板の有無」に大きく依存している可能性が高いと考えられます。
一条工務店のソーラーパネルが仮にその製品自体に問題はなく、発火する可能性は限り無くゼロに近いとしても、施工不良があれば発火します。
そして、一条工務店の住宅で発火した場合、延焼を防ぐための防御壁としての鋼板は敷設されていないため、C社と同様、施工不良があれば発火から延焼に至る可能性はあると言えます。
こうしたことから、私は一条工務店の住宅でも鋼板を敷設すべきと考えます。
シャープ社製ソーラーパネル以外も延焼に至らなかっただけで、発火はしている
先ほどは、ソーラーパネルの発火・延焼プロセスがシャープ社の製造上の問題である可能性を指摘しましたが、消費者庁の事故調査報告書を読み解くと、違った面も見えてきます。
確かに、A社(シャープ社)の発火事例が他のメーカーに比べて顕著に多いことは事実ですが、発火から延焼に至らなかったケースを含めればC社のソーラーパネルでもソーラーパネル自体からの発火事例が存在していることが確認できます。
シャープ社とは製造工程が異なるであろうC社製のソーラーパネルにおいても、発火事例があるという事実を踏まえると、発火自体はシャープ社製固有の問題ではない可能性が指摘できます。
そして、シャープ社もはんだ付け強度が原因である可能性は指摘しているものの、発火原因の特定には至っていない事実。そして、シャープ社以外のメーカーのソーラーパネルでも発火が確認されており、発火の原因が特定できていない事実を踏まえると、一条工務店の太陽光発電システムで発火は起こらないと結論づけるのは早計と考えます。
そして、発火があった場合には、鋼板が敷設されていなければ延焼に至る可能性が高くなると言う事実を含めて考えるならば、一条工務店の太陽光発電システムに将来発火が確認されたとき、発火から住宅火災に至ることを防止するための最後砦としての鋼板敷設は、少なくとも現時点の情報からは、必要であると考えます。
シャープ社のソーラーパネルで発火が多い理由、それはシャープ社の製造に問題があったから?
ここまで見てきた内容を踏まえても、事故調査報告書に記載された13件の発火事例のうち、シャープ社製のパネルからの発火が10件を占めており、発火したソーラーパネルの75%以上がシャープ社製であたっということは事実です。
この事実を見て第一に考えてしまうのは、シャープ社の製造に問題があったからこれほど多くのシャープ社製ソーラーパネルで発火が起こっているのでは?ということです。
しかし、これはあくまで個人的見解ですが、違うと思います。
おそらくは、シャープ社の製造工程に問題があったからシャープ社製のパネルばかりが発火しているのではなく、経年劣化が発露する古い時期のソーラーパネルの多くがシャープ社製であったというだけではないかと考えます。
太陽光発電システムの設置が急速に普及したのは、固定価格買取制度、そして、東日本大震災の影響を受けた2011年以降です。
この傾向は、経済産業省の審議会資料にある住宅用太陽光発電システムの累積導入件数推移を見ても明らかです。下は1997年~2017年までの太陽光発電システムの累積導入推移を示しています。
(出所:経済産業省審議会資料より)
固定価格買取制度が導入されたのは2009年11月ですが、2010年までは前年よりもやや導入数が上昇した程度であったものが、東日本大震災の翌年の2012年にそれまでの1.5倍の導入数になるという急激な伸びを見せています。今から10年前の2008年末時点の太陽光発電システム導入数は45.7万件しかなく、2017年末時点で稼働していた太陽光発電システムのうち80%は設置後10年を経過していない「新しい太陽光発電システム」であったことがわかります。
今回の消費者庁の事故調査では、太陽光発電システムの発火プロセスとして「経年劣化」の可能性を指摘しています。
経年劣化が発生するためには設置から少なくとも10年程度の時間が必要となります。
10年前の太陽光発電システムは50%以上がシャープ製だった
近年のシャープ社は過去の過剰な投資の付けとして、外国企業に買収されてしまうほどに経営が悪化してしまいましたが、2008年ごろまでは「飛ぶ鳥を落とす勢い」がある日本企業の一つでした。
吉永小百合さんが出演するCMを覚えている方も多いのではないでしょうか?
そして、10年以上前に設置された太陽光発電システムの半数以上はシャープ製となっていました。
下の図は2008年の主要4社の国内ソーラーパネル販売額の比率を示したグラフです。2008年時点でシャープ社の市場占有率は約半数の48%となっていました。そして、この比率は2008年以前になるとシャープ社の比率はもっと高くなります。すなわち、2008年時点で設置されていたソーラーパネルの少なくとも半数はシャープ製であったと言えます。
消費者庁の調査においてシャープ製のソーラーパネルばかりで発火が確認された背景として、シャープ社製のソーラーパネルの製造工程に不具合があったわけではなく、経年劣化が発露する程古いソーラーパネルの大半がシャープ製であったというだけである可能性が高いように思います。
今回、消費者庁の事故調査委員会は報告書の中でA社のソーラーパネルからの発火が顕著に多いことについては一切触れていません。事故調査委員会は当然、その多くがシャープ製であることは認知しており、また、経年劣化を原因と仮定した場合、古いソーラーパネルの大半がシャープ製であることを踏まえれば現時点で経年劣化による発火がシャープ製に偏っていることは、シャープ製特有の問題であるとすることはできない、もっと言えば、シャープ製のソーラーパネルばかりで発火が確認されているのは当然の結果として受け入れたために、A社(シャープ製)のソーラーパネルからの発火の多さについて一切触れていないと考えられます。
そうであるとするならば、一条工務店の太陽光発電システムも含めて、近年急速に設置されてきたソーラーパネルは今後10年を経たときに、現在のシャープ製と同等程度に発火するという可能性は否定できません。
よって、シャープ社のソーラーパネルでしか発火から延焼に繋がった事例が確認されていなから一条工務店の太陽光発電システムは安全であるとするのは全くの見当違いである可能性もあります。
そして、一条工務店のプレスリリースで一条工務店の太陽光発電システムでは発火事例が確認されていない、としていることを持って、将来も一条工務店の太陽光発電システムから発火が起こらないと考えるのは間違った判断である可能性も十分にあり得ます。現時点では発火事例がなかったとしても、それは一条工務店の太陽光発電システムが比較的新しいためにまだ経年劣化が発生してないだけで、今後発火する可能性があると考えて対策をするのが望ましい対応と思います。
一条工務店の住宅では、万が一発火があった場合、鋼板がない以上、野地板に延焼する可能性が高いのは間違いありません。よって、シャープ製のソーラーパネルでしか発火から延焼に至った事例が報告されていなくても、一条工務店の住宅で発火から延焼に至らない根拠にはならず、鋼板を敷設しておくことは必要と考えます。
鋼板を敷設すれば火災は完全に防げるのか?
火災が防げる可能は十分に高くなるけれど、ゼロにはならない
ここまで、メーカーによらず太陽光発電システムが発火する可能性を指摘してきました。また、鋼板を敷設した太陽光発電システムでは発火はあっても延焼に至った事例はないという事実を示した。
であれば、鋼板さえ敷設しておけば発火があっても延焼することは絶対にないのか?というと、それは違っていると思います。
ただ、鋼板を敷設することで延焼を防止する効果は十分に高くなるのは間違いないと思います。
下の写真は鋼板なし型のソーラーパネルが発火して延焼に至った事例を屋根裏側から写した写真です。
この写真から、屋根の上でソーラーパネルが発火し、その熱が何らかのプロセス(原因はまだ特定されていません)で、屋根裏側の野地板に延焼したことが見て取れます。
ソーラーパネルの下に延焼を防止する措置が何もなければ、直感的にも、延焼をしやすいことは理解できるかと思います。
太陽光発電システムの下に鋼板などの不燃材が敷設されていれば、万が一ソーラーパネルが発火したとしても人が住む屋根裏側に延焼する効果は十分に期待できると考えられます。
では、「絶対に延焼しないのか?」と言われると、残念ながら断定はできません。
しかし、現時点で200万世帯以上に屋根に鋼板や瓦と言った不燃材が敷設されたソーラーパネルが設置されており、鋼板や瓦などの不燃材が敷設された住宅では発火があっても野地板に延焼が及んだ事例はゼロであると言う事実、一方で、11万軒しかない鋼板なし型の住宅では7件で野地板に延焼したという事実のニ点から、鋼板等の不燃材の存在が延焼に至る確率を大きく下げることは間違い無いと言えます。
もちろん、ソーラーパネルの下にスズメの巣などがあって、枯れ葉が多く貯まった状態でソーラーパネルが発火し、貯まった枯れ葉が一気に燃え上がった場合、鋼板などの不燃材があっても完全に延焼を防止できる保証はありませんから、そういった意味では鋼板を敷設すれば絶対に延焼をしないとは言えません。しかし、発火から延焼に至る可能性は十分に低くはできます。
鋼板敷設の経済性
鋼板を敷設しても収益は僅かにしか悪化しない
これから家を建てる方は以前に比べて、売電単価が大きく値下がりしており経済的メリットが得にくくなっています。さらに消費税も10%に増税されるというダブルパンチ状態です。
そのような現状で、鋼板敷設をオプションで施工しては利益が吹き飛びマイナスになってしまうのではないかという不安を覚える方もいらっしゃるかと思います。
しかし、少なくとも一条工務店に関してはこれは杞憂です。
具体的には12kWのソーラーパネルを設置した場合で、月額の平均収益が4700円から4000円へと700円悪化する程度でしかありません。
具体的に計算を示します。
鋼板を敷設しなかった場合の20年間売電収益
まずは、一条工務店の標準の太陽光発電システム(鋼板なし型)を採用した場合の収益性を考えます。
一条工務店ではソーラーパネルの単価を昨年度来、23万円→21.5万円→19万円、そして17.5万円/kWhと大きく値下げしてきており、2019年4月以降は1kWあたり15万円/kWまで値下げを行いました。
私が一条工務店と契約した2011年当時のソーラーパネル単価が36万円/kWであったことを考えると、約60%も値段が下がっています。10kWのソーラーパネルを設置した場合、200万円以上も値段が下がっているのです。
2019年度の売電単価は10kW以上設置した場合14円/kWhと従来よりも大きく下がってはいますが、私のシュミレーション上損益分岐点(設置費用は回収できるけれど、収益は生まれないライン)は22万円/kW程度と計算しています。よって、これを大きく下回る15万円/kWhであれば十分な収益が期待できます。
実際、12kWのソーラーパネルを設置した場合の経年の収益は下のグラフの通りとなります。
パネル単価を15万円/kWとして、消費税10%、売電単価14円/kWh(実際は消費税分上乗せされるので15.4円/kWh)、設置費用は金利1.5%で借り入れ、11年に1回のパワコンの補修、その他税金等を考慮した上での収益グラフとなります。
この計算から、固定価格買取期間の20年間にわたって一度も赤字になることはなく、20年後時点で累積収益(売電額-(初期費用+メンテナンス費用))は113万円となりました。
これらのことから、鋼板を敷設しない状態であれば20年後までに113万円の収益が得られることが期待できます。これは月額の収益換算すると約4700円です。
上記は12kW以上を想定した場合ですが、10kW未満の場合はどうでしょうか?
10kW未満の場合、売電単価が高い(24円/kWh)一方、固定売電期間が10年になってしまう10kW未満、具体的には9.9kWの場合はどのようなシミュレーションとなるでしょうか?
この場合は、返済期間を20年ではなく、10年間として計算します。また、10年後から20年後までの売電単価は現時点では全くの不明ですが、私の感覚的な想定では4円/kWh~5円/kWh程度になるのではないかと思っています(現時点ではFIT切れ後の売電単価を7円や10円と言っている電力会社もありますがそれはあくまで今後数年の話で、それ以降は売電単価は値下がりをすると考えています)。
このような条件でシミュレーションをした結果が下のグラフです。
9.9kWの場合も累積収益は115万円となりました。10年後時点では12kW設置の場合80万円弱の収益があったのに対して、10kW未満では10年後収益が60万円となりますが、早期にローンを返済してしまう効果で20年後までの累積収益は120万円に達することが可能です。ただし、固定買取期間終了後の売電単価は分かりませんのであくまで期待であり、不確実性が残っています。とは言え、売電単価を4円/kWhとかなり低く見積もっているので大きく外れることはないかと思いますし、仮に売電単価が0円になったとしても自家消費分によってメリットが得られますので損失になることはありません。10kW以上が良いか、10kW未満が良いかの考え方は色々あって話が長くなるので今回は割愛します。
以上のように、現在の一条工務店のソーラーパネル単価であれば、10kW未満でも、10kW以上でも将来の不確実性に違いはあるものの十分な収益が期待できます。
しかし、消費者庁の指摘を踏まえると、このままでは万が一将来ソーラーパネルから発火した場合、住宅火災に繋がる可能性が高い状態となっています。
鋼板敷設をした場合の収益性:鋼板は1万円/kWのオプション費用を負担するだけで対応可能
一条工務店では、消費者庁の指摘を受ける形で、鋼板敷設をオプションとして対応するという対応を打ち出しました。
そして、そのオプション費用はソーラーパネル1kWあたり1万円となっています。
鋼板敷設オプション費用を考慮に入れると、ソーラーパネル単価は15万円ではなく16万円になってしまうことになります。ソーラーパネルの単価が変化した場合どれだけ収益が悪化するのでしょうか?
パネル単価のみを変えて先ほどと同じ条件で試算します。
まずは12kWを設置した場合はしたのグラフのようになります。
20年後の累積収益は鋼板敷設分だけ低くなり、98万円となりました。鋼板を敷設したことで先ほどの113万円から約15万円収益が悪化しました。12万円しか増えていないのに15万円収益が悪化したのはローンの影響です。
続いて、9.9kWの場合も同様に試算します。その結果が次のグラフです。
9.9kWの場合は20年後の累積収益が103万円となりました。鋼板を敷設したことで、先ほどの115万円から約12万円収益が悪化しました。
何度も言いますが、12kWの場合の期待収益よりも高く見えますが10kW未満の場合は11年目からの売電単価は不明のため不確実性があり、一概にどちらが良いとは言えない点には注意して下さい。
上記いずれの場合からも、鋼板を敷設したことによる20年間の収益悪化は、
- 12kWのパネル設置の場合で鋼板なし113万円→鋼板敷設98万円(収益15万円悪化)
- 9.9kWのパネル設置の場合で鋼板なし115万円→鋼板敷設103万円(収益12万円悪化)
という結果になりました。これを20年間、すなわち240ヶ月で割って月々の収益に換算するといずれの場合も概ね月額4700円の収益が4000円の収益になったのと同程度の効果という結果になります。
鋼板敷設による収益悪化を大きいと見るか、小さいと見るかは人によって違うとは思いますが、私はたった月額700円のために大切な住宅、そしてなによりもそこに住む、自分自身と家族の安全を危険にさらすことは馬鹿げているようにい思います。
以上を踏まえると、鋼板を敷設しない、という選択は私の考えとしてはあり得ない選択と思います。
おわりに:鋼板敷設オプションの選択を
一条工務店の営業さんは鋼板敷設のオプションがあるなどと説明してくれない・誰も採用していないと説明された。
前回の記事をアップしたあと、一条工務店の営業さんから鋼板敷設のオプションが選択可能になったという話は聞いていなかったけれど、施主側から質問したら「あるという回答を受けた」という情報をいただきました。そして、オプションとしては提供をしているものの、「自分たちの地域では鋼板オプションなど誰も採用していないから必要ないと思います」と説明をされた事例も複数確認しています。
営業さん達は悪意からこのようなことを言っている分けではないと思っています。
現時点では、一条工務店は積極的に鋼板敷設オプションをアピールしておらず、顧客から問い合わせがあった場合のみ鋼板敷設のオプションがあることを教えてくれる体制となっています。
一条工務店は鋼板敷設を標準にするなど、積極的に顧客に導入を促すべきではないか?という視点
私は一条工務店が鋼板敷設を積極的にアピールしない、そして、標準仕様にしていないことにも合理的な理由があると考えています。
鋼板敷設を強くアピールすすれば、それは、すなわち「自社製品が危険である」とアピールすることと等価です。これから家を建てる方だけであれば、それは一つの選択肢ですが、既に引き渡しを受けている私たちは鋼板敷設を行うことはできません。
もちろん本当に「危険」であるならば、引き渡し済の私たちも含めてその危険性について周知すべきです。
しかし、発火の可能性がシャープ製以外のパネルでも本当に現在のシャープ製と同程度の頻度で発生し得るのか?という点が全く分かりません。また、専門家が集まった消費者庁の事故調査委員会でも発火から延焼に至るプロセスを解明することができませんでした。すなわち、一条工務店の住宅においてこれまで発火から延焼に至った住宅と共通した問題が存在するのかどうかを証明することはできていません。あくまで外形的な事実から「鋼板が存在するかしないか」が火災にいたるかどうかの分水嶺になっている可能性が高そうだ、という推定が出たに過ぎないのが現状となっています。
危険性が明らかではない中で、かつ、一条工務店としてはこれまで太陽光発電システムにゆらいする火災はもちろん発火事例さえ確認できていないという状況では、自社製品に危険があると結論することはできないのは当然と思います。
そして、これは推測にすぎませんが、顧客の側が「火災への対応」を強く求めてこない、という事実も後押しして「消極的なオプション」としての提示に留まっている現実があるのではないかと思います。
もしも、現状で一条工務店が鋼板敷設をアピールすればそれは単に不安を煽る行為にもなってしまいます。
ただ、顧客の多くが鋼板オプションを希望するならば、真に危険があるかどうかは脇に置いて、顧客のニーズに応えるという企業姿勢として鋼板を標準仕様にすることができるきっかけを与えることができます。
顧客から要望もなく、また、確証もないのに火災の危険性を述べて鋼板敷設を選択させることは、企業としては単に製品の単価を上げる行為と見なされることさえあり得ます。
しかし、顧客からの要望に応えるということであれば、危険性の確証は不明なもののニーズがあることに答えるとして、鋼板を標準仕様にすることも検討可能になります。
保険と思えば鋼板敷設は極めて合理的
太陽光発電システムが発火し、延焼するかどうかは分かりません。しかし、太陽光発電システムは一般家電に比べて直流かつ高電圧であることに間違いはなく、一般家電よりもより多くの注意を払う必要がある装置であることも間違いありません。国内の一般家電は100Vでしか動作しません。それに対して、太陽光発電システムは最大450V、10Aで稼働します。しかも、交流ではなく直流電力です。感電すればほぼ確実に死にますし、発火を引き起こす潜在的能力は極めて高いと言えます。
現時点では、発火の原理も分からないですし、一条工務店のソーラーパネルの発火リスクも分かりませんが、万が一それが現実になった場合の損害(住宅はもちろん、自分や家族の生命が失われる)を考え、さらに、鋼板をオプション採用することの損失(月額あたり4700円の収益が4000円に目減り)を考えれば、リスク回避の観点から鋼板敷設は極めて合理的な判断と言えるかと思います。
結果的に鋼板敷設が無駄な投資に終わる可能性もありますが、不幸にも、将来一条工務店の住宅において発火や延焼事例があった場合にはその損失は極めて甚大です。それはすなわち家を失い、さらにには自分や家族の生命を危険にさらすことも否定できません。
これを防止する方法として、鋼板敷設という選択肢を保険と見なせば、十分に低額で、甚大な被害(自分や家族の生命を失う)を回避する効果が得られる極めて合理的な保険と思います。
現状を踏まえると、一条工務店が積極的に鋼板敷設をアピールできないことを理解した上で家を建てる側がその「鋼板敷設という保険」を積極的に採用することが必要なのだろうと思います。
太陽光発電システムは不安だから辞めておくという選択:リスクゼロを求めるのではなくリスクのコントロールを
ここまで読まれた方が居たら(毎回思うんですけど本当に最後まで読まれる方います^^;?)、太陽光発電システムは常に発火のリスクがつきまといそうで怖いから採用をしない、という選択をされる方もいらっしゃるかと思います。
確かに、リスクをゼロにするためには「太陽光発電システムを採用しない」という考え方もあり得ると思います。
ただ、私は鋼板を敷設した上で太陽光発電を採用する方がメリットが大きいと考えています。
リスクを最小化する方法、それは「何もしない」という選択です。しかし、何もしないことは必ずしも正しい選択とは言えません。
これは以前も防蟻剤の話で書いた事がありますが、私はリスクゼロ社会ではなく、リスクが適切にコントロールされた状況が最適と信じています。
私たちは様々な形でリスクに接しています。例えば、交通事故に遭わない確実な方法は家の外に出ないことです。しかし、これでは生活ができません。
太陽光初でシステムを導入すれば、太陽光発電システムが発火することは絶対にありませんしそれ故、太陽光発電システムに由来する火災に遭遇することも絶対にありません。
一方で、太陽光発電システムを導入することには多くのメリットがあります。それは、居住者にとっては経済的メリットは当然そうですが、震災等の際の非常用電源としても心強いですし、大規模な停電が発生しても少なくとも日中は電力を得る手段を確保できます。
現代社会で電力供給が絶たれれば、現代人としての生活を営むことは困難です。現在普及しているスマートフォンの電池は持って2日程度です。非常時に電力が供給されていれば、家の中で生活をすることができます。トイレの水洗システムも電動であるケースもありますし、暖を取ることもできます。太陽光発電システムは「万が一」に備えるという点でも有効な装置です。そして、太陽光発電に対する批判も多くある一方で、今後、日本の電力システムが大きく変化していく中で太陽光発電システムが再生可能エネルギーとして重要な要素であることは変わらないと考えています。
ゼロリスクを求めることはそ