ソーラーパネルの汚れは雨では落ちない!だけど大雪だと清掃効果は大:ドローンでチェック!

こんばんは。さすけです。

自宅の屋根にソーラーパネルを設置されている方で、ハウスメーカー等の担当者からソーラーパネルは「雨で汚れが落ちるので清掃は不要です」ということを言われた方も多いかと思います。

しかし、ソーラーパネルの汚れは本当に雨で落ちるのか?という点には疑問があります。もちろん、完全に綺麗にはならないまでも、そこそこ綺麗になるのかどうか?という点をきちんと検証したデータを見つけることができませんでした。

もちろん、雨で汚れが落ちるにしてもソーラーパネルにはある程度汚れが蓄積しているのは当然で、それは一条工務店が使うNEDOのシミュレーションでも年率1%の劣化として考慮されています。

しかし、実際問題として我が家のソーラーパネルは

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に示した様に、年率3%以上の性能劣化が確認され、さらにはその性能劣化率が拡大していることが確認されています。

明らかに、一条工務店が建築時に示した当初シミュレーションよりも大きな性能劣化となっています。

ソーラーパネルの性能劣化要因として、以下の5つの可能性があります。

  1. そもそも私の計算が間違えている
  2. パネルの汚れの蓄積が予想以上
  3. パワーコンディショナーの性能劣化の影響が大きい
  4. 一条工務店のソーラーパネルが粗悪品
  5. 我が家のソーラーパネルが粗悪品 or 故障している

以前の記事では、計算方法を示しながら書かせていただき、1番の計算の正確性については検証を重ねましたが計算としては間違えていないと考えています。

今回は2番の「パネルの汚れの蓄積」について検討してみることにしました\(^_^)/

ドローンを使ってソーラーパネルの汚れを確認

ドローンでソーラーパネルを撮影

唐突ですが、先日ドローンを購入しました!

我が家のソーラーパネルの状況確認用ということもあり、法規制の問題からZerotech社が販売している小型ドローンであるDobbyを選択しました。

ポケットサイズの小型ドローンですが、風がない日であれば外で飛ばしても問題なく飛行させることができます。そして写真もそこそこ綺麗に撮れ、高度も数十メートル程度であれば問題なく飛行させることができるというなかなかの優れものです!

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本当はもっと高性能(3軸ジンバルがついていてブレのない動画撮影がおこなえる)なDJIのMavicというドローンを買いたかったのです。。。

Mavic Air Fly More Combo (JP)

しかし、数年前に危険なドローンの飛行が社会問題になり航空法が改正されたことで、例え自宅の庭であっても近隣の住宅と十分な距離(30m)が維持できない場所ではドローンを飛行させることができなくなってしまいました。そのため隣接した住宅がある我が家ではMavicを飛行させるためには、国交省への申請が必要になってしまい到底手軽なものとは言えない状況です。。。

ただし、航空法では200g以上のドローンは規制の対象ですが、200g以下のドローンは航空法の適用除外となっています。

Mavicはその重量から航空法の規制対象となるドローンですが、Dobbyは199gのため規制対象外となっています。そのため、もちろん安全に十分な配慮は必要ですが、自宅の庭で屋根を確認することも法的な問題はなくなります。そんなわけで今回はDobbyを購入した次第です。

え!?ソーラーパネルってこんなに汚れているの?

早速ですが、ドローンを使って撮影した我が家のソーラーパネルの状況をご覧ください。

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明らかに砂埃が付着して、一枚一枚のソーラーパネルの下5分の1程度に砂などが固着していることが確認できます。

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ソーラーパネルの架台がある部分については砂の付着が顕著に見られます。これはおそらく静電気か温度の影響なのかな?と思います。

正直、実際に撮影してみるまではこれほど汚れているとは全く思っていませんでした(*_*)

ソーラーパネルの汚れの状態

ソーラーパネル上の汚れはいくつかに分類ができます。1つは下の写真の四角で囲んだ部分のように傾斜を持って設置されたソーラーパネル下側に汚れが集中しています。

この汚れは、雨が降って傾斜に従い汚れが流れ下側に雨水がたまってしまい、その後の乾燥を経て泥汚れが残ってしまったものと推察されます

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もう一つは、矢印で示した斑点のように付着している汚れですが、これはこれまで何度かソーラーパネルを見てきた中では今回初めてみる汚れでした。なぜ斑状の汚れが生じたのかはよくわかりません??

縦方向の楕円で囲んだ部分を見るとパネルの下に設置された金属製の架台設置部分と一致します。我が家の建築時にソーラーパネル設置を行っている時の写真がありました。

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赤い矢印部分が架台となっており、この加大部分にホコリが集中的に付着していると考えられます。これはおそらく静電気などによって細かな土埃などが引きつけられた結果か、または温度差の影響ではないかと思います。温度差の可能性としては金属か大部分は熱が伝わりやすく、夏場などに雨が降った場合、他の部分よりも先に乾燥が進むため結果的に泥汚れが残りやすいのではないかと思います。

雨ではソーラーパネルの汚れは十分に落ちなくなっている

雨がソーラーパネルを掃除してくれるのは最初だけ

ここまで見てきたドローンで撮影した汚れが目立つソーラーパネルの写真は、2018年1月21日に撮影したものとなっています。

気象庁のデータを確認すると、この4日前2018年1月17日には1時間あたり5mmという、それなりの雨量の雨が降っています。もしも、本当に雨でソーラーパネルの汚れが落ちるとするならば、この写真のソーラーパネルの状態は「雨で汚れが落ちた後」の状態ということになります

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しかし、この写真を見る限り、雨で汚れが落ちた、とは到底考えられないものとなっています。

このことから、ソーラーパネルが雨によって汚れが落ちて綺麗な状態を維持できる、というのは必ずしも適切ではないと言えそうです。

初期のソーラーパネルの汚れは確かに雨で汚れが落ちていた

こちらは建築時のソーラーパネルの写真です。解像度が悪く見づらいのですが、表面にうっすらと汚れが付着しているのが確認できます。

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空気中には多くの砂埃が含まれていますから雨などと共にどうしてもソーラーパネル表面には汚れが付着します。しかし、当時の汚れはソーラーパネル全体を覆うようにうっすらとホコリが付着しており、手で軽く擦ればすぐに取れる汚れでした。当時の汚れは確かに雨でも十分に流れるような汚れのタイプであったように思います。

下の写真はソーラーパネル設置から半年ほど経った2013年3月の写真です。この時点のソーラーパネルの汚れもおそらく花粉と砂埃がが主体となった軽い汚れでした。実際に付着した汚れを軽く指で擦ると、すぐに汚れは取れました。

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ソーラーパネルの表面を軽くて出擦ると汚れはすぐに取ることができました。

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やはり雨が降れば落ちる汚れであったように思います。事実、半年を経過した時点の写真を見ると、汚れはパネル全体に均一に広がっています。雨によってすべてが流れていたからこそ、どこかに汚れが集中することなく均一な汚れとなっていたと考えられます。そのため、当時の汚れは確かに雨で落ちていたと推察できます

しかし、設置から5年を経た我が家のソーラーパネルの汚れは明らかに雨の流れに従った不均一な汚れ方をしており、雨で汚れが落ちなくなっているということが言えそうです。

このような状況から、我が家のソーラーパネルの発電量悪化の要因として、ソーラーパネルの汚れに疑いを持ち、実際にドローンの映像を見てからは専門の業者に委託してソーラーパネルのクリーニングを検討していました。

偶然の大雪でソーラーパネルがピカピカに!?

大雪とソーラーパネル:落雪注意

先に示したように我が家のソーラーパネルをドローンで撮影したのが1月21日でした。そして、偶然にも撮影翌日の1月22日に関東地方が大雪に見舞われました。

我が家の屋根は全面がソーラーパネルになっており、1.5寸の片流れの屋根となっています。

そのため、一定の積雪があった後、屋根に積もった雪が一気に落ちてきます。このことは、2013年の大雪の際にも書かせていただきました。

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実際に落雪の動画は

となっており、結構な勢いで2階の屋根から落雪があるため、危険な状態となります。

他のお宅でも同様のことが起こっており、ちゃあぱさんのお宅でも落雪の動画が公開されています。

下の写真は2018年1月22日の大雪翌日に撮影した我が家の屋根部分の雪庇の状況です。

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このようにして屋根に降り積もった雪は概ね午前中には全て落ちてしまいました。

落雪でピカピカになったソーラーパネル

上記のような落雪があった後、雪がソーラーパネルの表面に付着した汚れを落としてくれているのでは?と考え、落雪後の1月28日に再びドローンを飛ばして我が家のソーラーパネルの状態を確認してみました。

すると!下の写真のようにピカピカになっていることが分かりました(゜д゜)

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角度を変えた写真でも、下の方に僅かに汚れは残っている物の、ソーラーパネルの表面に付着していた汚れがほとんど落ちていることが分かりました。

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ほぼ同じ位置を撮影した画像をご確認下さい。

雪が降る前の1月21日に撮影した写真では明らかに汚れが目立っていましたが、右の積雪があって5日が経過した1月28日に撮影した写真ではソーラーパネルは、ぶっちゃけ今まで見た中で一番綺麗な程度に汚れがなくなっていることが確認できます。

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まず間違い無く、落雪に伴って表面の泥や汚れが雪と共に綺麗に掃除されたと思われます。

最初にドローンを飛ばして我が家のソーラーパネルの状態を見たときには、「これが発電量下落の主要因ではないか?」と強く思っていました。

しかし、積雪後の写真を見て、ソーラーパネルの汚れ自体が発電量悪化の主たる要因では無さそうだと考えるに至りました。なぜならば、私が住む地域ではほぼ2年に1回は屋根から落雪する程度の積雪があることから、雨によってソーラーパネルの汚れが流れ落ちなくてもほぼ毎年ソーラーパネルを清掃している状態となる為、ソーラーパネルの汚れによって年率3%もの発電量悪化を説明することは難しいと考えたためです。

大雪のソーラーパネル清掃効果によって発電量は回復したか?

落雪によるソーラーパネル清掃は発電効率を上昇させる

大雪によってソーラーパネルが「掃除」されていることは分かりました。そこで、この落雪によるソーラーパネルの「清掃」が実際に発電量に影響を与えているかを確認することにしました。

まず、雪が降る前、すなわちソーラーパネルが汚れていたであろう期間として1月10日~1月21日、そして雪が降った1月22日とその翌日を経て、1月24日~1月27日までの発電量の推移を比較して見ることにしました。

ただし、発電量は天気や時間によって変化するため、10時~12時までの2時間雲が無い状態(晴天:日照時間2時間/2時間)の日のみを抽出し、午前11時~12時までの1時間の発電量のみを抽出しました。

太陽の角度の変化の影響を考慮するため、2014年~2017年の同期間の発電量もプロットしたグラフを下に示します。

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このグラフで赤線で示しているのが2018年の午前11時の発電量です。これを見ると、1月23日に1時間あたりの発電量が大きく下落していることが分かります。

これは、1月23日午前10時~12時は晴天ではありましたがまだ屋根に雪が残った状態であったため、パネルの上に乗った雪の影響できちんと発電が行えなかった影響です。

ここで注目すべきは1月22日前と後で2018年の発電量が大きく上昇している点です。

2018年以外の発電量の推移を確認した結果、1月上旬(10日~15日)と1月下旬(1月25日~27日)では、同時刻の太陽の角度が上昇することで発電電力量は約5%上昇していることが分かりました。

一方、2018年度の同期間の発電量の上昇率は16%でした。このことから、2018年度のソーラーパネルの1時間あたりの発電量上昇率のうち11%が落雪によるソーラーパネルのクリーニング効果である可能性が高いと言えそうです

短期間の評価であるため、精度が高いとは言えませんが、落雪に伴うソーラーパネルクリーニングによって発電量を上昇させる効果があることは間違い無さそうです。

大雨にはソーラーパネルクリーニング効果はないのか?

ここで、大雪ではなく、大雨にソーラーパネルのクリーニング効果があるのではないか?と考えました。

先ほども述べたように、ドローンで汚れたソーラーパネルを撮影した4日前にも雨は降っていましたが、降水量としては1時間あたり5mmと大雨という程ではありませんでした。

これがもっと大雨だったらクリーニング効果を得られるのではないか?と考えました。そこで、気象庁のサイトで1時間あたり20mm以上の大雨が降った日を探してみたところ、直近では2017年10月29日に1時間あたり25ミリの強い雨が降っていたことが確認できました。

1時間あたり2mmを超える雨は、私が住む地域では年に数回程度の頻度で振る大雨です。

そこで、先ほどと同様の方式で2017年10月10日~11月15日までの期間の発電量推移を確認してみたグラフが下の図です。

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全体の発電量が下落傾向にあるのは、同期間は冬至に向かって太陽の角度が下がっていくことによる影響です。

10月29日に大雨が降っているので、もしも大雨にソーラーパネルのクリーニング効果があるとするならば赤で示した2017年の発電量は大雨の前後で上昇に転じているはずです。

しかし、実際には2017年の発電量は他の年と比較してももっと低い発電量で推移しており、大雨によるクリーニング効果は確認できませんでした

もちろん、屋根の形状や地域差などがある可能性もあり、我が家だけの結果から雨によるクリーニング効果を否定することはできませんが、少なくとも我が家に関しては「ソーラーパネルが大雨によって綺麗になり、発電量が上昇する」ということはない、ということが分かりました。

2016年の1時間あたり56mmの大雨、2015年の1時間あたり41mmの大雨でも確認しましたが、いずれも大雨の前後でソーラーパネルの発電量が回復した、と言える結果は得られませんでした。

そのため、雨だけではソーラーパネルが発電量を回復させるほどに綺麗になることはない、という可能性が高いと思われます。

ソーラーパネルのクリーニングは必要か?

数年に1回以上積雪がある地域では不要

我が家には雪止めが着いてないため、落雪時の摩擦によってソーラーパネルをクリーニングする効果が高い可能性はありますが、数年に1回程度屋根に積雪があるような地域では屋根に積もった雪が落ちる際にソーラーパネルを綺麗にする効果が期待できることから、お金をかけてまでソーラーパネルのクリーニングをする必要は無いかと思います。

積雪がない地域でも、清掃してもすぐ汚れるため止めた方が良い

先に検証したように、大雨が降ってもソーラーパネルの効率が回復するほどのクリーニング効果は期待できないことから、積雪がほとんどない地域では落雪によるソーラーパネルのクリーニング効果は期待できません。

そのため、積雪がない地域でソーラーパネルの汚れを落とすためには専門の業者に依頼してクリーニングをすることになります。しかし、大型のソーラーファームのようなものであれば、僅かな効率上昇でも売電収益が相当程度上昇し、清掃費用の元を取ることができるかもしれませんが、住宅の屋根に設置された程度(数十kW)程度のパネルでは、清掃費用の方が高く付いてしまう可能性が高いです。

住宅屋根の場合クリーニングの際には足場を組むか高所作業車が必要となり、我が家の屋根の汚れ具合を見る限り、2年に1回程度はソーラーパネルを清掃しなければならないことから、費用対効果は決して良くないように思います。

将来自動清掃ロボットが一般化すれば費用対効果が得られる可能性もありますが、現時点では汚れによる発電量の悪化はあきらめるしかない、という状況と思います。

自分で掃除をするのは絶対に止める

雪が降らない地域で、ソーラーパネルを汚れるがままに任せるということに不安を感じて、自分で掃除をしよう、と考える方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、ここで、絶対にやってはいけないのは「自分で清掃する」ということです。

危険、ということはもちろんあります。しかし、同時にソーラーパネルを通常の水道水で掃除をした場合、ソラ-パネルを清掃前よりも「もっと汚い」状態にしてしまう可能性があるためです。

通常の水道水にはカルシウム分が含まれています。そのため、ソーラーパネルを通常の水道水で流すと一見綺麗になったように見えても残った水分が乾燥する過程でカルシウム分がパネル表面に固着してしまいます。

通常のホコリと違い、固着したカルシウム分は酸性の溶液を使わなければ除去できません。

風呂の水垢などを考えるとわかりやすいですが、一度固着したカルシウム分は専用洗剤等を使わなければ容易に除去することができず、自分でソーラーパネルを清掃することは落ちにくい汚れを付けてしまう結果になる可能性が高くあります。

そのため、仮に自分でできたとしても、自分でソーラーパネルを清掃することは止めておくべきです。

我が家のソーラーパネルの発電効率の悪化の原因は?

ソーラーパネルの汚れの影響はあるものの、それだけでは説明できない

私が住む茨城県では、2013年以降、2013年に2回、2014年に2回、2016年に1回、2018年に1回の計6回の積雪が観測されました。おおよそ2年に1回積雪があるといった状態です。

もしもソーラーパネル表面の汚れが発電量悪化の主たる要因であるとするならば、年々発電量が悪化するのではなく、発電量が上がったり下がったりしながら変化するはずです。

しかし、実際には下のグラフで示すように発電量は毎年右肩下がりで下落しています。

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このことから、我が家のソーラーパネルの効率悪化の主たる要因として、ソーラーパネルの汚れの影響は大きくはない、と言えそうです。

現在、想定されるソーラーパネルの発電効率悪化要因として上げた5つのうち、1番と2番の可能性は低いと言えそうです。

  1. そもそも私の計算が間違えている
  2. パネルの汚れの蓄積が予想以上
  3. パワーコンディショナーの性能劣化の影響が大きい
  4. 一条工務店のソーラーパネルが粗悪品
  5. 我が家のソーラーパネルが粗悪品 or 故障している

残る可能性はパワーコンディショナーの性能悪化、そして、、、一条工務店のソーラーパネル自体の製品品質の問題、最後に我が家のソーラパネルが故障しているという可能性の3つが残された状態になりました。

パワコンの可能性もありそうですが、どうやって測定するか思案中です。