【必読】住宅ローン(フラット35)の借り換えする?しない?200万円を捨てるのはちょっと待った!

こんばんは。さすけです。

(この記事はこれから住宅ローンを組む方だけではなく、現在住宅ローンを組まれている方、特に2015年1月以前にフラット35で住宅ローンを組まれている方で借り換えが良く分からない方には是非お読みいただければと思っています。)

今回の記事はいつもの記事の倍以上のボリュームがあります。かなり覚悟して読んでください。。。。ただ、読んでいただくことで絶対に損はないと思います!多くの人に取って100万円程度はお得になると思いますのでm(_ _)m

特に、2015年1月以前にフラット35を使って住宅ローンを組んでいる方は、読むのが面倒であれば、いっそ本文を読まずにここから住宅ローンの借り換えを申し込んで聞いてみて下さい。住宅ローンの借り換えのことなど全くわからないと言う方は、こちらから専門家に相談することで適切な住宅ローンを進めてくれます。ただ、できれば本文を読んでから問合せをしていただくことで、安全な借り換えが可能ですので、本文も読んでいただけると嬉しいです^^;我ながら長すぎですが。。。。

目次

多くの人が50万円どころか100万円以上入った財布を落としてそのままにしている

しくじり先生を見ていて思ったこと

先日、何気なくテレビでしくじり先生という番組を見ていたところ、10年ほど前に流行っていたレーザーラモンHGご夫妻がテレビに出ていました。

この番組は、一度大きな成功を収めた芸能人がその後の失敗や成功を講義形式で話をする番組なのですが、その中でレーザーラモンHGの人気がなくなってしまった後、奥さんが事業で成功して月に1000万円以上稼ぐようになったという話があり、奥さんは事業に大成功をして「50万円入りの財布を落としても警察に届けることさえしなかった」という話がありました。

当然、番組は「え~!!それはちょっと~、、、」という感じで進行されていくのですが、これを見ていたとき、あれ?自分も同じことをしているのでは??と思ったのです。

え~!!50万入りの財布を落としたの???と言われそうですが、もちろんそうではありません。私の財布には50万円なんて入っていたことはありません(T_T)

ただ、実際には私だけではなくこのブログを読んでいる多くの方が50万円どころか、100万円以上が入った財布を落としている状態、にあるように思うのです。そして、100万円以上入った財布であるにも係わらず、ほとんどの方は「財布を落としていることに気が付いてもいない」状態だと思います。

ノーリスク(リスクに変化がない)状態で借り換えをしないのは財布を落としているのと同じでは?

例え話ではわかりにくいので、単刀直入に言えば、住宅ローンの借り換えを考えないことで100万円以上多くの支払をすることになっている方が非常に多くいるにも係わらず、大半の方は借り換えを検討しないまま、多くの住宅ローンを支払っているという現実です

少なくとも、2015年1月以前にフラット35で住宅ローンを借り入れている方に関して言えば、すぐにでも住宅ローンの借り換えをするだけで将来の住宅ローン支払総額を大きく下げることができます。

例えば、2015年1月にフラット35Sで10年0.3%の金利優遇付きで住宅ローン3000万円を借り入れている方であれば、手数料等を考慮に入れても現在借り換えをすることで住宅ローンの最低でも総支払額を110万円減らすことができます。2014年1月にフラット35Sで0.3%の金利優遇付きで住宅ローン3000万円を借り入れている方が今借り換えをすれば総支払額を275万円減らすことができます

私と同様2012年10月に被災地特例によるフラット35Sエコの5年間の0.7%金利優遇を受けているようなパターンでも、2017年10月に借り換えを行うことで200万円以上総支払額を減らすことができます。

人によっては200万円、300万円の総支払額の圧縮ができます。

金利は常に動くものですから、機を見て借り換えを検討している方は問題ないと思います。しかし、借り換えの仕組みやメリットが良く分からないからフラット35の借り換えを検討することもなくそのままにしているというのは、100万円以上の財布を落として警察にも届けないのと全く同じことをしてしまっているように思うのです

とはいえ、自分の住宅ローンが借り換えをした方が良いのかどうか?借り換えをするメリットがどの程度あるのか?というのが良く分からないケースが大半だと思います。

今回は、フラット35に限定して借り換えのメリット、デメリット、そして、自分は住宅ローンの借り換えをした方が良いのかどうか?という点をExcelの簡単なシミュレーターを使って検討してみたいと思います!

長い上に内容的には少し難しいかもしれませんが、100万円の為と思って是非お読みいただければと思います\(^o^)/

この記事は住宅ローンの借り換えについて私個人の考えを示しているものです。この記事で示した情報を用いて行う判断の一切について責任を負うものではありません。あくまでご自身で判断をいただけますようお願いいたします。

フラット35の借り換えについてのメリット・デメリット

フラット35の現状金利とその推移

フラット35の借り換えについて議論する前に、フラット35の現状金利を確認しておきます。

2017年7月時点のフラット35金利は1.09%となっています。2016年7月、8月の0.93%、0.90%という最低時の金利からはやや高くなっていますが、依然として過去最低の金利水準となっています。

下のグラフは2004年以降のフラット35金利の推移です。このグラフからも2017年が過去最低の金利水準だということは明らかと思います。

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フラット35の借り換えで失う金利優遇

新規でフラット35を借りた場合には必ず「金利優遇」が行われています。しかし、この金利優遇は借り換え時には適用されません

2017年現在は、一条工務店で家を建てた方がフラット35を選ぶ場合はフラット35Sの当初10年0.3%の金利優遇(金利Aプラン)を選択することとなります。

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フラット35Sとフラット35

少し話が逸れますが、フラット35には「フラット35S」として添え字に「S」が付いたものがあります。これは一定の省エネ性能、耐震性能等を満たした住宅のみが使える住宅ローンとなっており、通常のフラット35よりも金利が優遇されています。

ただ、一条工務店をはじめ、値段が高めの多くの大手ハウスメーカーの住宅であればどこでもフラット35Sの金利Aプランが利用できると思っていただいた大丈夫です。逆にフラット35Sの金利Aプランが利用できないというのは、現在の住宅の平均的な水準からはやや劣る部分があると理解するので問題ないかと思います。

フラット35Sの金利優遇は「新築時の初回借入時のみ適用」となります。すなわち、借り換えをすると金利優遇はなくなってしまいます。

フラット35の借り換えを悩ませる金利優遇

フラット35の借り換えを難しくするのがこの金利優遇の存在と思います。

借り換えによって金利は下がったとしても、今受けている金利優遇が受けられなくなることでデメリットが生じてしまうのではないか?と考えてフラット35の借り換えを躊躇される方も多いかと思います。

しかし、2015年1月以前にフラット35Sで借り入れを行っている方については、全ての方が優遇後の金利と現行の優遇無しのフラット35の金利を比べても、現行金利の方が低くなっています

下の図は、当初10年間の金利優遇を差し引いたフラット35Sの金利を示しています。赤線は現在のフラット35金利1.09%を示しています。

赤線よりも青い線が上に位置している時期にフラット35を借りた方は、借り換えによって支払総額、月々の支払い額が共に減ることを意味しています

 

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この図から2015年1月以前にフラット35Sで住宅ローンを組んだ方に関しては、金利優遇を考慮に入れても借り換え後の金利の方が安くなっていることが分かります。

ここまでで言えることは2015年1月以前にフラット35を借りている方に関しては間違い無く、現時点で借り換えを検討することで月々の支払い額を減らすことができると言う点です。

2015年2月以降にフラット35を契約した人は借り換えを検討すべきでない?

一方で、2015年2月以降にフラット35で住宅ローンを借り入れた方については2016年2月に借り入れた方を除いて、全ての時期で現時点では現行金利である1.09%よりも安い金利が適用されています。そのため、現在借り換えを行った場合、月々の支払い額は増えてしまいます。

ただし、自分は2015年1月以降に借り入れたから借り換える必要は無い、というのは少し早合点です。。。。2015年1月以降に借り入れた方であっても、借り換えは検討しておくことが必要です。

例えば2015年2月~2016年1月までにフラット35Sで住宅ローンを借り入れた方は、当初10年間は0.6%の優遇を受けています。この時期のフラット35金利は概ね1.6%前後です。そのため、現行の支払金利は1.0%前後となります。しかし、借り換えをしなければ10年目以降は1.6%の金利で住宅ローンを返済しなければ行けません。しかし、今借り換えをすれば当面の支払金利は1.09%に上昇するため、現状の金利よりも約0.1%金利が上昇してしまいます。しかし、今借り換えをしておくことで10年目から35年目までの25年間の借入金利を1.09%にすることができます。すなわち、今借り換えをしておくことで、10年目までの金利は0.1%高くなってしまいますが、将来の金利を約0.5%低くすることができるのです。

利率で説明するとわかりにくいので、支払総額ベースで話をすると2015年7月にフラット35Sで金利1.61%で借り入れていた方を想定すると現在の月々の支払い額は団信を除いて84800円ですが、今借り換えをする87600円になってしまい、月々の支払い額が約2800円増えてしまいます。しかし、10年目以降の月々の支払い額は91200円であったところ、借り換えておくことで87600円にすることができ、月々の支払い額を3600円削減できます。最初の10年間は月々2800円支払が増加しますが、11年目から35年目までの25年間は月々3600円支払いを減らすことができます。

そのため、借り換えの手数料等を考慮に入れても、借り換えを行うことで総支払額を約90万円圧縮することができるのです。

2015年2月以降にフラット35で借り入れを行っている方は「自分は関係ない」ではなく、どのタイミングで借り換えをするかが重要になりますが、常に借り換えは意識しておく必要があると思います

住宅ローン金利がもっと下がるかも??

住宅ローンの借り換えを検討する中で難しいのが借り換えのタイミングです。

フラット35の金利は毎月変動しています。そのため、もしかしたら来月以降急激に金利が下落して、今借り換えるよりも来月、再来月に借り換えを行った方が得になることはあり得ます。

住宅ローン金利は長期的には下落傾向を経てきており、今後も同様に金利が下がっていくのではないか?という期待は当然ことと思います。

しかし、そのような心配は住宅ローン金利が2~3%台であれば妥当な心配ですが、金利が1%で推移している現状ではあまり意味がないように思っています。むしろ、来月、再来月には金利が上昇してしまって損をする可能性の方が高いように思うのです。

やや粗い計算ですが住宅ローンを借りてから5年目に1000万円の借り入れあたり0.1%金利が低い住宅ローンに借り換えることによって得られるメリットは20万円弱です。3000万円であれば、金利が0.1%低い住宅ローンに借り換えることで約50万円の支払総額削減メリットがあります。

現行金利は1.09%≒1.1%です。今後大きく住宅ローン金利が下がったとしても、金利が0.1%や0.2%になることはまずありません。すなわち、金利が1%も下がることはまずあり得ないのです。

個人的な推測ですが、現時点ではフラット35の金利水準の下限は0.8%前後と思います。というのも、フラット35が最低金利を付けた2016年7月、8月には何が起こっていたかというと、2016年1月末に日本政府がマイナス金利政策を実施し、その影響を受けて日本国債30年物の利回りが0.042%まで下落していた時期に重なります。

リスクを抑えた投資をしたい投資家の視点で見れば、日本国債に0.042%で貸し付けるぐらいならば、それよりもリスクは若干高いけれど利回りが良い住宅ローン(フラット35)に投資した方が良いと考えた投資家がフラット35の証券を購入した結果、安全資産の一つとして住宅ローン金利を大きく下げた背景があると理解しています(もちろんその他の色々な背景もあります)。

その結果、2016年7月、8月にはフラット35の金利水準が一時的に1%を下回り、0.9%台となりました。

ただ、それは一過的な現象で、現状では日本国債30年物の利回りは0.861%まで大きく戻しています。少なくとも現状では0.86%を下回る金利を付けるメリットはありません。もちろん今後、国債金利が大きく下落してマイナス金利をつけるようなケースがないとは言えませんが、それでも住宅ローンの金利としては最低でも0.4%を下回ってまで貸し付けることはまずないように思っています(証券化手数料が回収できないため)。現実的には0.8%程度が限界と思います。

これが、金利が2%台、3%台の時代であれば、話は少し違ってきます。金利が3%台であれば、借り換えを1年待てば1%程度金利が下がる可能性も十分ありました。そのため、すぐに借り換えをするのではなく、様子見をするという選択は有効な対応でした。しかし、現状は金利が下がる幅がほとんど残されていない状態になっており、旨く金利が下がっても多くの利益が得られる状態にはないように思います。

上記はあくまで私個人の当てずっぽうですが、仮に1年後に住宅ローン金利が0.7%になったとしても現行金利との差は0.4%に過ぎません。すなわち、様々な経済状況の大きな破綻等があって極端な状況が生じたとしても金利が下がる方向は0.4%程度しか余白がない状況となっていると考えます。

もちろん将来の金利動向が的確に予想できる人であれば(いませんが)、借り換えを待つという選択はありますが、下げ幅に限界があると考えれば、あまり先延ばしにするメリットはないように思っています。

そのようなわけで、金利が1%前後で推移している現状では将来の金利のさらなる引き下げについてはあまり検討しなくても良いのかな?と思っています。

借り換え手数料が高そう→高いです。。。でも現金はなくても大丈夫?

フラット35の借り換えを行う際にもう一つ大きな問題は借り換え手数料の存在です

一般的な住宅ローンの借り換えには借り換え手数料が発生します。2017年現在、フラット35からフラット35への借り換え手数料は金融機関によって差はありますが私が確認した中で最低だった楽天銀行で「借換金額の0.972%」が最低の事務手数料でした。

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仮に3000万円を借り換えるとすると26万7千円の手数料が発生する事になります。

意外と安い?と感じられた方もいるかもしれませんが、残念ながらこの金額で借り換えはできません。。。

実際にはこの他に、別途事務手数料や印紙代、司法書士費用、登録免許税などが発生します。この金額は概算で25万円程度です。

そのため、26万円で借り換えができると思いきや、実際にはこれに25万円の諸費用が乗っかって50万円以上の費用が発生してしまいます。

これを聞いて、そんな余剰な現金は手元にない、という方も多いかと思います。ただ、借り換え自体には現金は原則不要です。

というのも、フラット35の借り換えルールとして、これら融資手数料や印紙代等は借り換えの際の融資額に含めることができるためです。(フラット35Q&A 18539

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ただ、借入額に含めることができると聞いても、結局借金が増えるだけと思われて躊躇される方もいらっしゃるように思います。

3000万円を借り換えるために、50万円の借金を増やして3050万円の借金を抱えるってなんだかおかしいですから、、、でも、実際にはこれでも借り換えにはメリットがあります。

フラット35の借り換えメリットをシミュレーションする

Excelシートによるフラット35借り換えシミュレーション

フラット35の借り換えについて、手数料や司法書士費用、印紙代までを含めてシミュレーションしてくれるサイトが見つからなかったので自作しました。

フラット35シミュレーション_借り換え検討Excelしシートはこちらからダウンロードできます。

また、フラット35の返済計画については下記の記事をご覧下さい

[kanren postid=”9225″]

Excelシートの利用にあたっては、一切の責任を負いませんのでその点はご了承ください。内容が正しくない可能性もあります。

以下はこの借り換えシミュレーション用のExcelシートを使って検討をすることとしました。

団信については借り換えによる影響はそれほど大きくないため、特に言及がない限りは考慮していません。

使い方は、簡単で黄色い枠の部分をご自身の現状にあわせて書き換えていただければ借り換えメリットが計算できます。

間違い等がある可能性があります。内容が正しいことは保証していませんのでご了承ください。

2012年に3750万円を借り入れている人が借り換えを行ったら?

これは私のケースです。2012年10月融資実行で3750万円をフラット35で借り入れました。

当時のフラット35金利は1.85%でしたが、私が住む茨城県は震災の影響もあって当初5年間が1.0%の金利優遇、その後6年目から20年目までが0.3%の金利優遇での契約となっています。

現時点の借入金利は1.85%-1.00%=0.85%での借入金利ということになります。

これまでの5年間は幸いにしてフラット35の借り換え後金利1.09%よりも低い金利で借り入れができていた事になります。しかし、2017年11月からは1.0%の大幅な金利優遇が終了し、優遇幅は0.3%になってしまい借入金利1.55%に金利が跳ね上がってしまいます。

そこで、10月にフラット35に借り換えを検討しています。

これまで繰り上げ返済はしていないため、過去の支払総額は622万円、このうち利息が155万円なので、終了した元金返済は467万円になり、残債は3283万円となります。この3283万円を1.09%の金利のフラット35に借り換えたとします。融資手数料は登記費用等を含めて57万円かかります。そのため、借り換え額は手数料等を含めて3283万円+57万円=3340万円となります。

これを金利1.10%(2ヶ月後の変動分を考慮して0.01%引き上げ)で残り30年で返済した場合の総額を計算します。

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このようにして条件を設定して、計算した結果、現状のまま借り換えをしなければ支払総額は4800万円、それに対して借り換えを行った場合4573万円の支払になることが分かりました。

手数料等を考慮しても借り換えをすることで228万円のメリットが得られるということになりました\(^o^)/月々の支払い額も10月以降の114000円から6000円ほど減ります!

私の場合は借り換えによって200万円以上のメリットが得られることから借り換えをしない理由はないことがわかりました。

2013年6月に3000万円を借り入れている場合

もう一例計算をしてみます。

フラット35Sを使って2013年6月に3000万円の借り入れを行っているケースを想定します。同様に2017年10月に借り換えを行った場合の試算です。

2013年6月時点のフラット35金利は2.03%でした。当時の金利優遇は当初10年間0.3%となっていました。そのため、借り入れから10年間は1.73%の金利が適用されていることになります。

すでに、現状金利1.09%よりも0.6%以上高い金利で支払を行っている事から借り換えメリットが大きくなることは明らかです。

先ほど同様に試算した結果は下の通りです。

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借り換えのメリットは手数料等を考慮しても332万円となりました。

しかも月々の支払い額は現在の95000円から8千円減少し、87000円で済みそうです。

すなわち、2013年6月時点で借り入れをされている方についてもすぐにでも借り換えを検討するメリットが大きそうと判断できます。

2015年3月に3000万円を借り入れているケース

ここまでは明らかに借り換えメリットが大きいケースです。続いて2015年3月に3000万円をフラット35Sで借り入れている方のケースを計算します。

2015年3月はフラット35金利は1.47%でしたが、金利優遇が当初10年0.6%と大きく設定されています。そのため、2025年2月までは支払金利は0.87%で設定されています。

このような方が現在借り換えをした場合の試算が下です。

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借り換えによる支払総額のメリットは22万円となりました。ギリギリ収支としてはプラスになります。

ただし、現在の月々の支払い額が83000円であるのに対して、月々の支払い額は87000円に増えてしまいます。

11年目以降になってやっと支払額としては2000円減るだけの効果しか得られません。

必ずしも期待できるわけではありませんが、一般的には10年後の月々の手取りが現在の手取額の+2000円以下ということはあまりないかと思います。

そのため、上記のようなケースでは急いで借り換えをしない方が良いケースと思います

このようなケースでは2025年頃までは様子見をして、期間中に金利が0.9%を下回るようなケースがあれば借り換えをしても良い様に思います。逆に、10年間金利が変わらなければそのままにしておいた方が良いでしょう。

原則として、2015年2月以降にフラット35Sを使って借り入れた方については、今後の金利動向を見守りつつ現状では静観で良いように思います。

金利差が1%以上ないと借り換えメリットがない?

住宅ローンの借り換えについて一般には

  1. 残高が1000万円以上
  2. 返済残期間が10年以上
  3. 金利差が1%以上ある

場合には借り換えをした方が良いとされています。実際、三菱東京UFJ銀行のWebサイトなどでも同様のことが言われています。

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三菱東京UFJ銀行HPより

上記の3つの条件は満たせていればまず借り換えた方が良い例と思います。

借入残高が1000万円以下の場合、借り換えメリットよりも手数料、特に司法書士費用など借り換えに際して固定的に発生する費用の割合が大きくなるため100万円以上のメリットを得るためには1000万円がボーダーになるかと思います。

また、残期間が10年を切っていると将来の支払金利の金額も多くないため結果的に借り換えメリットが得にくくなっています。

ただし、最後の1%の金利差については、あくまで「変動金利型への借り換え」の場合に限定されると思います。

直近10年程度で借り入れを行った方の多くは1%前後の金利で住宅ローンを組んでいるかと思います。

そのため、そもそも1%の金利差が生じること自体がまずありません。もちろん金利差が1%以上あればほぼ確実に借り換えのメリットがありますが、金利差が1%生じることがあり得ない低金利で住宅ローンを借りていることが多いため、この点は注意が必要です。

では、一体いくらの金利差があればメリットが得られるのか?というと、残債が3000万円、支払期間が30年のケースであれば、金利差が0.3%以上あるようであれば検討の余地があるように思います。このケースで諸費用を考慮に入れても80万円の支払総額減少が期待できます。

借り換えを検討した方が良い人(フラット35への借り換え限定)

これはあくまで私の主観に基づくものですが、借り換えを検討した方が良い人は

  • 借り換えによって現在の月々支払額が減少する
  • 借り換え後の支払総額が50万円以上減少する

という2点を共に満たせるケースであれば借り換えは検討すべきと思います。

ただし、上記はあくまで「フラット35S→フラット35」への借り換えのケースのみです。

変動金利からフラット35や、フラット35Sから変動金利への借り換えの場合は上記の条件は当てはまりません。

変動金利型への借り換えの場合は、将来の金利変動リスクがあるため、現時点では月々の支払が減ったとしても将来金利が上昇して、結果的に月々の支払い額が今よりも増えてしまう可能性あるためです。変動金利型への借り換えについては次で検討します。

金利が半分の変動金利型住宅ローンへの切り替えも検討すべき?

変動金利とフラット35は支払総額だけで比較すべきではない

現在の銀行の住宅ローン金利は変動金利であれば0.5%台、場合によっては0.4%台のものもあります。フラット35の金利が1%前後である事を考えると、金利は半分程度です。

そうなってくると、現在フラット35を使われている方の中にも変動金利への移行を検討したくなるのは当然です。

しかし、これはあくまで個人的意見ですが、銀行の変動金利型住宅ローンとフラット35に関しては支払総額で比較すべきではないと考えています

変動金利型の住宅ローンとフラット35のような長期固定金利型住宅ローンを比較した場合、多くの場合支払総額では変動金利型の住宅ローンの方が高くなります。では、なぜあえて支払総額が高いフラット35を使う人がいるのかというと、それは両者はリスクが異なるためです。

変動金利型住宅ローンとフラット35は、性質の全く異なる「金融商品」と考えるべきと思っています。

変動金利型住宅ローンはハイリスクハイリターン型、フラット35はローリスクローリターン型の金融商品なのです。

そのため「リターン(総支払額)」だけで両者を比較してしまうと、「リスク(金利変動)」を考慮しておらず、非常に危険な比較となってしまうのです。

変動金利は資金に余裕があって、将来の金利変動が起こってもそれに連動して所得が上昇することが期待できるケースや、十分な余剰資金が確保できているケースでは、積極的に活用すべきと思います。

しかし、将来の金利上昇が起こっても給与の上昇が期待できない職業や、給与の上昇が期待できてもそのタイムラグが大きい職業の方、金利浄書に対応するだけの余剰資金が確保できていない場合には変動金利型住宅ローンは選択すべきではないと思っています。

例えば、住宅ローンの月々の支払い額は絶対に10万円以内に抑えたいというように、これ以上は支払を増やしたくない、という基準があるケースではフラット35の方が変動金利よりも優れています

例えば、3500万円を35年ローンでフラット35で借り入れた場合、35年間の支払総額は4138万円になります。このとき、月々の支払い額は当初10年が95000円、残りの11年目から35年目までが99000円となります。フラット35で借り入れている限り、月々の支払い額は社会情勢が大きく変化しても変わることはありません

一方、変動金利の場合は、現行金利が0.55%で住宅ローンを組んだ場合、そして、仮に35年間この金利が変わらなかった場合、支払総額は3850万円で、月々の支払い額は91600円で済ますことができます。しかし、今から10年後に金利が2.5%に上昇してしまった場合、月々の支払額は115000円を超えます。

そのため、月々の住宅ローン支払額は10万円以内に抑えなければならない、という基準を超えてしまうことがあり得るのです。

このような話をすると、変動金利型には25%ルール、5年ルールがあるからリスクはそれほど高くなく大丈夫、と言われることがありますが、そもそもこれらのルール自体が非常にリスクの高いルールなのです。このルールについては後ほど書きます

フラット35から変動金利型に借り換えても問題ないケース:余剰資金500万円

月々の返済額が3万円増えて経済破綻してしまうケースは少ないとは思いますが、生活が苦しくなるケースは十分にあり得ます。

特に、子育て世帯においては子どもが2~3歳前後で新築をした場合、金利優遇が終了する10年後はちょうど子どもが中学生になる時期です。塾の費用や場合によっては私立への進学費用などそこから10年はどうしても出費がかさむ時期に重なります。そういった時期でも余剰資金が準備できているケースにおいては変動金利は支払総額を安くできる良い選択です

3500万円を借り入れているケースであれば手元に教育資金等とは別に500万円の余剰資金が準備できている場合には、万が一金利が大きく上昇したとしても生活に影響なくやり過ごすことができます。500万円は月々の支払額が4万円程度上昇してしまった状態が10年間継続した場合に発生する費用です。子どもが成人して働きに出るようになれば生活費は減少するでしょうから、その後はどうにかなるように思います。ここでの500万円は進学や学費に使うものとは別に準備しておくのが重要です。もちろん、現金で持っておく必要はなく、いつでも現金に換えられる投資信託や株式を所有していればそれで問題ありません。

変動型住宅ローンはリスクのある金融商品の一つと思うべきです。万が一のリスクに備えた余剰資金は確保しておくべきと思います。

逆に、そのような余剰資金がないケースでは、変動金利は生活の質に影響が出てくるリスクがあるものと考えておく必要があります

おそらくは、長期的な総支払総額で行けば変動金利とフラット35では、変動金利の方が総支払額は安く済むと思います。しかし、フラット35と変動金利型住宅ローンは全く性質が異なるもので、フラット35はリスクを回避し、月々のローン支払を安定させる商品であることは認識しておくべきと思います

住宅ローンというとどうしてもその支払総額に目が言ってしまいがちですしが、フラット35から変動金利への借り換えは性質が全く異なる借り換えである点には十分注意が必要です。

ただ、リスクを十分に理解した上で変動金利をうまく使えば、金利変動リスクを許容可能な(生活の質に影響を与えない)範囲に押さえつつ、支払総額を減らすこともできます

変動金利型住宅ローンの仕組み

住宅ローン金利は20年間横ばい

フラット35から変動金利への借り換えを検討する前に変動金利の仕組みや現状について確認します。

まず、日本の民間金融機関の住宅ローン金利は1995年以降2.4%前後で一定です。

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フラット35HPより

え、?平成29年って2017年現在も2.475%って高すぎない?と感じられるかと思います。はい。その通りです。上記は変動金利型住宅ローンの「店頭表示金利」に過ぎません。実際に借り入れの際に適用される金利(適用金利)は民金金融機関の多くで1%を大きく下回っています。

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三菱東京UFJ銀行HPより

三菱東京UFJ銀行の場合、変動型住宅ローン金利は0.625%となっています。しかし、その上に「店頭表示金利2.475%」と記載されています。この店頭表示金利がフラット35のHPに掲載されている住宅ローン金利を示しています。住宅ローンを借りる際にはこの店頭表示金利で借りることはまずなく、「適用金利」と呼ばれる実際に融資を受ける際の0.625%という金利が適用されます。

ネット銀行の場合は店頭表示金利ではなく店頭表示金利と類似の「基準金利」というものが示されています。

下記はネット銀行の一つである楽天銀行のHPの記載ですが、基準金利が1.157%で借入金利(適用金利)が0.507%となっています。

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楽天銀行HPより

はい。意味分かりませんね。。。

店頭表示金利、基準金利、適用金利の意味と違い

店頭表示金利とはいわゆる住宅ローンの「定価」のようなものです。「店頭」が存在しないネット銀行では店頭表示金利のような住宅ローン金利の「定価」を基準金利と表現するケースが多いようです。

そもそも、1994年以前までは住宅ローンをはじめ多くの金利は国の規制対象でした。これが橋本内閣が推し進めた大規模な金融規制緩和、いわゆる金融ビッグバンによって各金融機関が自由に金利を設定できるようになりました。

しかし、1994年から数年は金融期間ごとの店頭表示金利の差はほとんどない状況が続いていました。種を明かせば多くの金融機関が三菱東京UFJ銀行の店頭表示金利にあわせて店頭表示金利を設定していたため、店頭表示金利(定価)に差が出ませんでした。しかし、そのような状況は独占禁止法違反にあたり得るという問題が生じたため、金融機関ごとに店頭表示金利の設定がはじまりました。

少し専門的になりますが、住宅ローン金利は短期プライムレートに連動すると言われることがあります。もう少し専門的になると「翌日物無担保コールレート」と連動すると言われたりもします。短期プライムレートや翌日物無担保コールレートというのは金融機関が他の金融機関からお金を借りるのに支払う金利のことです。いわゆるメガバンクではこの短期プライムレートに1%程度の手数料を上乗せした額が店頭表示金利として設定されています。短期プライムレートは日銀のWebサイトで確認でき、短期プライムレートは2009年1月に0.2%の引き下げが行われて以降1.475%で変化していません。もっと言えば、1995年9月に1.625%に設定されて以降、1.375%~1.625%の間でわずかに変化する程度でほぼ全く変化がありません。

そのため、店頭表示金利自体はどの金融機関でもほとんど変化がないのが現状です。そして、上記の短期プライムレートや翌日物無担保コールレートに連動する、しない、という議論は、そもそも20年以上ほとんど動いていない金利の話なのであまり意味がありません。

金融機関ごとに金利の「定価」はどの程度違うの?~重要なのは適用金利~

先ほど、店頭表示金利を「住宅ローンの定価」と表現しましたが、ネット銀行の定価である基準金利は定価自体が安く設定されている傾向があります。

先に挙げた楽天銀行の場合は定価である基準金利は1.157%となっています。また、同様にネット銀行であるソニー銀行では基準金利は1.849%として設定されています。

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ソニー銀行HPより

これだけ見ると、三菱東京UFJ銀行の店頭表示金利2.475%、ソニー銀行の基準金利1.849%、楽天銀行が1.157%となり、最も安いのは楽天銀行となります。しかし、この店頭表示金利や基準金利はほとんど気にする必要はありません

住宅ローンを借りる際に、この店頭表示金利や基準金利で借りることは通常ありません。

実際には、店頭表示金利からマイナス何%という具合に、優遇金利が設定されており、実際に借りる際の金利を「適用金利」と呼びます。

最優遇の適用金利は三菱東京UFJ銀行が0.625%、ソニー銀行は0.499%、楽天銀行は0.507%となり、ソニー銀行の適用金利が最も安くなっています。

ネット銀行の金利はなぜ安いのか?~店舗がないからではなく信用がないから~

一般論として、三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行のような大手メガバンクの金利よりも楽天銀行やソニー銀行のようなネットバンクの方が適用金利は安い傾向にあります。変動型住宅ローンは各金融機関の債権ですので、万が一金融機関が破綻した場合その債権は別の銀行に転売されることになります。その際の条件は約款等に定められたルールに従います。ここで、変動型住宅ローンはあくまで金融機関が責任を持って貸し付けるものですから、万が一の金融機関の破綻の場合にはこれまでの契約が引き継がれる保証がない、ということは知っておくべきです

住宅ローン自体は有担保ローンですから、金融機関が破綻したとしても全額引き上げられて一括返済を求められるようなことはまずありません。しかし、これまで受けていた優遇は受けられなくなる可能性が高いと思っておく必要があります

しばしば、ネット銀行は店舗を持たないため割安な金利が設定できる、と言われることがありますが、これは全くの間違いです。

メガバンクの適用金利がネット銀行に比べて高くなっているのは、このような破綻の可能性に対する信用リスクの違いです。メガバンクが破綻する可能性はネット銀行に比べれば低くいと多くの人が考えています。結果的に、メガバンクは契約を維持する能力が高いと評価できます。一方のネット銀行はメガバンクに比べるとどうしても破綻のリスクは高いと思われています。そのため、契約の維持能力は低いと判断されるため、結果的に割安な金利を設定しなければお客さんが借りてくれないため、割安な金利が設定されています。

そう説明すると、それでもネット銀行の方が経費が安いのでは?という指摘を受けますが、それとこれとは話が全く別です。

もしも、メガバンクとネット銀行が同程度の信用を持たれているならば、多くのネット銀行の住宅ローン金利はメガバンクの金利に近づいて行きます。結果的に、ネット銀行はメガバンクよりもより多くの利益が出せる構造になるだけなのです。

しかし、そうはならずメガバンクや地銀等とネット銀行での金利差が生じるのは、市場における判断としてそれだけの「信用の違い」があると判断された結果、ネット銀行の金利が安くなっているに過ぎません。

単純に市場原理に従えば、ネット銀行はメガバンクよりも割安な金利設定をしなければ借り手がいないため必然的に割安な金利設定になっているだけと理解するのが正しい理解と思います。物の値段は需要と供給によって決定されるものであって、コストによって決定する物ではありません。

メガバンク、地銀、ネット銀行にはそのような「信用の差」があることは認識しておくことが重要です。

変動金利型住宅ローンとフラット35の根本的な違い:万が一の破綻の影響

変動型金利の金利差が支払総額に与える影響

三菱東京UFJ銀行、楽天銀行、ソニー銀行のそれぞれで金利は、0.625%、0.507%、0.499%となっていることを示しました。ただ、このような金利だけで話をされてもいまいちピンときません。

具体的に上記の変動金利が35年間継続した場合の支払総額の違いを計算して見ます。ここでは3000万円を借り入れた場合の支払金利を示します。

  • 金利0.625%の場合:339万円
  • 金利0.507%の場合:273万円
  • 金利0.499%の場合:268万円

三菱東京銀行の最優遇適用金利0.625%で3000万円を35年間返済で借りた場合、支払金利は339万円となります。これに対して楽天銀行の0.507%であれば273万円、ソニー銀行の0.499%なら268万円の金利支払いが必要となります。

三菱東京UFJ銀行と楽天銀行、ソニー銀行と言ったネット銀行では約70万円の金利支払額の差が生じます。一方でネット銀行間では5万円程度の金利差に留まっています。

実際には手数料等の違いがあるため、これだけの情報から高い安いを議論することはできませんが、このメガバンクとネット銀行の金利差が「信用の差」であると理解できます。ここで言う信用とは単に安心とかブランド力といったものではなく、将来のリスクの差と理解すべきと思います。

これまでネット銀行が破綻した事例はなく、何が起こるかはわかりません。短期的にはネット銀行が破綻することはまずないと思っていますが、35年という長期間ではそのような自体が起こらないとは限りません。そのような場合、過去の歴史を振り返れば最初に破綻したネット銀行からお金を借りていた人たちは貸し剥がしや不利な契約に変更を余儀なくされて、社会問題化し、その後法律等が整備されて住宅ローンを借りた消費者が細されるようになっていくという流れを経るように思います。しっかりとした消費者保護が行われた後であればネット銀行からも安心して住宅ローンを借りることができますが、現時点ではやはり不安要素が大きいように思っています。

ただ、普通に考えれば、借入先のネット銀行が破綻したら別のネット銀行に借り換えれば済む話で、その際の100万円程度の手数料や条件の変更が「リスク」の上限と考えて良いかと思います。少なくとも住宅ローンに関しては、借入先が破綻したからと言って何かトンデモないことが起こるということはないかと思います。

フラット35は借りた金融機関が破綻しても影響はない

こうして聞くと、住宅ローンのような大きなお金をネット銀行で借りることに不安を感じる方もいると思います。

そのため、フラット35も割高でもメガバンクを通じて借りた方が良いかな?と思う方もいるかもしれません。しかし、フラット35で住宅ローンを借りる場合は金融機関の信用力は全く気にする必要がありません

フラット35と一般的な民間の住宅ローンは仕組みが全く異なっているためです。

変動金利型住宅ローンの場合、借入先金融機関は、窓口であると同時に貸主でもありましたが、フラット35の場合は、借り入れを行う金融機関は単なる「窓口」にすぎません。フラット35を契約した場合、銀行は自分たちのお金を貸し付ける分けではありません。貸し付けるお金は住宅金融支援機構を通じて証券化されたあと一般投資家が投資をしたお金が充てられます。金融機関はフラット35の貸し付けの事務代行窓口をしているだけで、その際の事務手数料のみが収入となります。

興味がある場合は書籍などをお読みいただければと思いますが、例えば楽天銀行でフラット35を契約した場合、フラット35の契約事務手数料(借入額の0.972%)が楽天銀行の収入となります。

そして、住宅ローンのお金、ここでは3000万円を借りたとすると3000万円の債権(将来お金を受け取る権利)はすぐに住宅金融支援機構に譲渡されます。

住宅金融支援機構は3000万円の債権をもらう代わりに3000万円の現金を消費者に渡します。消費者はこの3000万円で家を買うことができます。

住宅金融支援機構は3000万円の債権を自分たちで保持せず、証券化という仕組みを使って、「資産担保証券(MBS:Morgage Backed Security)」と呼ばれる証券にしたあと、投資家に販売してしまいます。こうすることで、楽天銀行、住宅金融支援機構のいずれもリスクを追うことなく手数料収入を得ることができるのです。

こんな面倒な手続きをするくらいなら、投資家が直接消費者にお金を貸し付けた方が儲かるのでは?と思うかも知れませんが、証券化には大きなメリットがたくさんあります。

まずは、売買が容易であることが挙げられます。資産担保証券MBSは市場で自由に売買が行えます。この売買が自由かつ簡単に行えるということは金融市場において流動性を担保できるという重要な意味を持っています。そのため、投資家は35年間待たなくてもいつでも現金を手に入れることができます。

また、証券化の際にリスク分散の手法が採られるため地域偏在的なリスクも分散できます。例えば、ある地域の地価が大きく下落してしまうような問題が生じた時、地銀等が直接消費者にお金を貸し付けていた場合、その地域特有のリスクは地銀が追うことになってしまいます。しかし、MBSであれば、東京の土地の債権、北海道の土地の債権、九州の債権を一旦一つの篭に入れてしまうことでごちゃ混ぜにするので、地域偏在的なリスクは分散することができます。

また、超長期の固定金利が実現できるという点も特徴です。一般的な金融機関は超長期のリスクを追うことが困難なため35年固定金利を設定することはほとんど行われていません。できたとしてかなり割高な金利となってしまいます。一方で、MBSは債券市場で売買が行われるため、債券市場においては償還期限(返済期間)が20年、30年というのは当たり前の世界です。結果として、フラット35のような超長期の固定金利を実現することができています。

少し話が逸れましたが、フラット35においては金融機関はあくまで窓口業務を行っているに過ぎないため、万が一フラット35を借りた金融機関が破綻してしまったら別の金融機関にうつってそこで支払を継続するだけで実害は生じません。もちろん、若干の手続き等は必要になりますが、契約自体は住宅金融支援機構と行っているものですから契約の内容が変更になることもありません。

そのため、フラット35を借りる場合は純粋に手数料が安い金融機関、その他の付加的なサービスが良い金融機関を選べば良いと思っています。

金融機関はフラット35を勧めない

銀行の担当者などはフラット35を使いたいというとあまりお勧めしないという話をすることが多いかと思います。大抵の場合は、フラット35のような長期固定金利よりも、直近20年近く低金利で推移してきている変動型住宅ローンの方がお勧めですよと言われると思います。

それでも金利変動が不安であると言えば、3年、5年、10年程度の金利固定型住宅ローンを推奨してきて、フラット35はどうしてもという場合以外には勧めてくれません。

一部ネット銀行ではフラット35を積極的にプッシュしていますが、一般的な店舗型の銀行ではフラット35を勧めてくれることはまずありません。

理由は「フラット35は儲からないから」です。

先ほども示したようにフラット35は銀行から見たら、窓口業務の代行をしているに過ぎないのです。3000万円借りてもらってもその1%=30万円の事務手数料が入ってきて終わりです。

一方で、変動金利型住宅ローンは銀行自身はリスクを追うことなく、安定した収入を得ることができます。例えば、0.55%という低金利の状態が35年続いたとしても支払利息から得られる収入は300万円とフラット35の10倍の売上を得ることができるのです。

しかも、変動金利型住宅ローンの場合はリスクは借りた側が負ってくれるので、銀行としてはほぼノーリスクです。唯一、自己破産等の破綻のリスクがあるだけです。現状の0.5%周辺の金利水準では銀行もそれほど利益が出るわけではありませんが、世の中の金利が旨く上がってくれれば、将来大きな収入源となるため、銀行としては変動金利を推奨してきます。また、フラット35の場合は金融機関に固定されないため、給与振込口座等を別の銀行に持って行かれてしまいますが、変動金利型住宅ローンでは給与振込口座等も一緒にするのが一般的である事から長期の優良顧客の囲い込みにも繋がります。

ですから、金融機関に行ってフラット35の話をすればまず間違い無く、他の住宅ローンを勧められることは認識しておく必要があります。

消費者保護?実は結構怖い1.25倍ルール

変動金利型住宅ローンの大きな問題は将来金利が上昇した場合、月々の支払い額が大きくなってしまう点です。

しかし、これについては「消費者を保護する仕組み」として、5年ルール、1.25倍ルールというルールが存在しています。

変動金利型住宅ローンの支払額は月々の金利の変動で変化するわけではなく5年間は一定となり、5年目に支払額がその時点の金利にあわせて見直されます。そして、その際には支払額はそれまでの支払額の1.25倍を超えないというルールが存在します

そのため、来月から急に支払金額が上昇してしまうということはなく、5年間は月々の支払い額は一定しており、次の5年間も現在の支払額の1.25倍の範囲に収まるようになっています。こうすることで、住宅ローンを借りた側の長期の計画を立てやすくして保護する仕組みが存在しています。

例えば、3000万円を変動金利0.499%で借り入れている場合の月々の支払い額は78000円になりますが、万が一急激な金利上昇で10年目に金利が4%まで上昇した場合、月々の返済額は116000円となります。急に4万円近い負担増となりますが、実際には月々の支払い額は97500円となります。

5年後のに月々の支払い額の見直しの際78000円×1.25倍=97500円が月々の支払い額となります。

この5年ルール、1.25倍ルールがあることで、急激な住宅ローン支払額の増大を被ることはありません。安心して低金利の変動型住宅ローンを借りられる素晴らしい仕組みですね\(^o^)/

。。。

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本当にこれは消費者保護の仕組みなのでしょうか???

確かに、支払を安定させる仕組みではありますが、この仕組み、実はかなり「危険な香」のするルールであることは認識しておく必要があります。

5年ルール、1.25倍ルールというのは、銀行の方にお話しを聞くと「消費者保護のため」と説明されることが多いように思います。

急激な金利変動によって支払額が急上昇をするという意味で一見消費者保護の仕組みに見えます。事実、支払額を安定させるという意味では消費者保護の意味もあります。しかし、上記の1.25倍ルールが適用された場合、金利の上昇局面においては将来の支払額は雪だるま式に増えていく点に注意が必要です

金利が4%になったときの本来の支払額は116000円なのに、1.25倍ルールが適用されることで97500円に押さえられると書きました。このとき差額の18500円はどこに行ったのでしょうか??正解は本来返済すべき元本の返済を先送りすることでその時点の返済額を抑えているだけに過ぎないのです。

すなわち、毎月新たに18500円の借金をして、その借金で住宅ローンを返済している状態になります。しかも金利は4%です。

この仕組みは確かに消費者にとっては急激な支払の上昇を招かないという良い面もありますが、結果的には毎月新たな借金をしている状態に陥るため支払利息は大きく上昇します。

仮に借り入れから10年間は0.499%で金利が推移して10年目に急に金利4%になった場合月々の返済額は116000円になります。このうち元金は43000円で、残りの73000円は利息に充てられます。このとき、1.25倍ルールが適用されたとすると、支払は97500円になりますが、この内訳は元金返済に43000-18500=24500円が充てられることとなり、利息は73000円で変わりません。

月々に返済できる元金が24500円まで大きく減ってしまうのです。。。。5年後に金利が下がっていれば良いですが、下がっていなければ返済可能な元本がどんどんと減り、毎月利息だけを延々と支払う状態になってしまいます

金融機関が重視すべきことは、貸したお金が回収できなくなっては身も蓋もありませんから、如何に破綻させずにリスクを払ってもらうかが重要となります。その際に役立つのが5年ルール、1.25倍ルールなのです。

金融機関の立場に立てば、返済期間が延びることはむしろ「嬉しいこと」です。返済期間が延びれば、それだけ金利収入が増えるので売上は上がります。

そして、金融機関は消費者からゆっくりと時間を掛けて金利を受け取ることができるようになります。消費者保護の観点がないとは言いませんが、これは金融機関が貸付先を破綻させないようにしつつしっかりと利益を得られるようにするための仕組みという側面の方が大きいように思います。

このような状態に陥らないためにも変動金利型住宅ローンを借りる際には、「手元余剰資金」が重要になってきます。上記のような1.25倍ルールにひっかかるような金利上昇局面に入ったら、手元の余剰資金で住宅ローンを繰り上げ返済してしまえば月々の支払い額を大きく減らすことができます。また一度に現金を失うことがリスクであると考えるならば、月々の支払い額を1.25倍ルールを超えて自分自身で設定しなおすことはできます。月々の支払い額を上げれば未払い元金が発生して借金が雪だるま式に増える事態を回避できます。

良い借り換え、ダメな借り換え

今の支払がキツイから変動金利で借り換えたい人は絶対に借り換えてはダメ!

一つだけ、この借り換えは絶対にやめておいた方が良いという借り換えがあります。

それは、現在フラット35Sで借り入れをしていて、現在の月々の支払がキツイと感じている場合、少しでも金利の安い変動金利に借り換えをしたくなると思います

しかし、今の支払がキツイ場合こそ、変動金利に借り換えるべきではありません。

例えば2014年1月にフラット35で3000万円を借り入れている場合、1.8%の金利で住宅ローンを組んでいます。当初10年間の0.3%金利優遇があるため、1.5%の金利で支払っていることになります。

この場合、現在の月々の支払額は92000円、10年後の支払は95000円になるはずです。実際にはこれに団信が月額9000円かかるので、実際の支払は10万1千円になっていると思います。

これを先ほど挙げたソニー銀行の0.499%の変動金利型住宅ローンに借り換えれば、月々の支払い額は78000円になります。しかも、ここには団信費用も含まれています。

ですから、月々の支払は23000円も圧縮できることになります

一方で、フラット35への借り換えをした場合、現状金利1.09%が適用されるため月々の支払は86000円になり、これに9千円の団信費用が必要になるため、月々の支払い額は95000円となります。現在の支払からは6000円圧縮できますが、変動金利型への借り換えることで減らせる23000円と比べると見劣りします

しかし、現在の支払がキツイと感じているならば、変動金利型への借り換えではなくフラット35への借り換えを強くお勧めします。

確かに、変動金利型に借り換えることで一時的に負担は減少します。

しかし、先ほども書いた様に変動金利型住宅ローンは将来の金利上昇リスクがついて回ります。今後10年程度で金利がフラット35の水準以上に上昇する可能性は低い状況と思います。具体的には金利が1%上昇するとフラットの金利+団信費用を超える水準に達します。10年後変動型住宅ローン金利が現状よりも1%高くなっている可能性は高くはありません。

ただし、ないとも言えません。

変動金利型住宅ローンは金利変動リスクを個人が負う代わりに割安な金利でお金を借りることができます。一方のフラット35は金利変動リスクを投資家が負う代わりに借りる側は割高な金利となっています。

現在の支払がキツイと感じているならば、それは将来の金利上昇リスクに耐えられない可能性が高い状態です。

先ほども書いた様に現在の支払に十分余力があり、かつ、手元に当面(10年以上)使わないで現金化できる試算(株式や投信)が500万円程度あるのならば変動金利型への借り換えは十分に意味のある借り換えです。

しかし、将来の月々の支払が現在よりも高くなってしまった時に生活が破綻してしまうような状況であれば変動金利型住宅ローンは使うべきではないと思っています。

あまり楽しくない言い方ですが、世の中はお金がある人の周りにお金が集まるようにできています。。。これはお金がある人はリスクを取ることができるため、トータルではリターンが得やすいためです。これは非常に不愉快なことですが、事実と思います。金利上昇のリスクに耐えられない状況であれば、目の前の割安な金利に惑わされることなく、フラット35への借り換えをおすすめします。

変動金利に借り換えを検討すべき人~1.25倍ルールを気にしなくて良い人~

先ほどから何度も書いてますが、手元に十分な余剰資産がある方にとっては、変動金利型住宅ローンへの借り換えを検討する余地があると思います。

日本は残念ながら当面は1960年代から1980年代までのような急激な高度成長期を迎える可能性はまずありません。そのため、バブル期のように住宅ローン金利が8%を超える水準に達する可能性はほぼない状況です。あるとすれば、日本経済が急激に悪化して円安が急速に進んだ場合は経済崩壊に近い形で金利が急上昇するリスクはありますが、5年、10年でそのような状況になるとは考えられません。

そのように考えると、今後5年から10年で想定される最大の金利上げ幅は4%前後までを想定しておけば十分と思っています。

フラット35で団信付き3000万円を借り換えると月々96000円の支払いになります。変動金利型であれば78000円で済みます。

万が一将来金利が4%の水準まで上昇した場合、月々の支払は133000円となります。

この場合、1.25倍ルールが適用されることになりますが、そのような局面において手元に余剰資金があれば、その資金を増加してしまった住宅ローンの支払いに充てることで元金の返済額減少という事態を回避することができます。

金利上昇による1.25倍ルールが発動しても元金の返済を滞らせないだけの十分な余剰資金があり状況を見つつ臨機応変にお金を配分できる場合は、変動金利への切り替えは検討の余地が十分にあると思います

安全な借り換え:フラット35Sからフラット35への借り換え

現在フラット35Sを使って住宅ローンを借り入れており、借り換え先もフラット35という借り換えであればまず問題が生じることはありません。

特に「2015年1月以前にフラット35で住宅ローンを組んだ方」は現在のフラット35に借り換えることで、

  • 支払総額
  • 月々の支払い額

の両方を削減することができます。

2015年1月以前にフラット35を借りている方については是非一度借り換えを検討してみることをおすすめします。

応用問題:どのように借り換えるのがベストか?

ご自身の現状にあわせて考えてみてください。

以下は頭の体操と思ってご自身の状況なども踏まえながら考えてみてください!

ちょっと複雑ですが、実際にありそうな状況を想定してみます。

前提条件

2013年2月にフラット35(金利:2.01%、優遇金利当初10年:1.71%)で35年ローンで3000万円を借りたAさんがいます。

Aさんは繰り上げ返済用に200万円の余剰資金を持っています。

2018年1月時点のフラット35金利が1.1%、変動金利が0.55%としたとき、どのように借り換えを検討すべきでしょうか?フラット35では団信に加入しています。

変動金利にはリスクがあることから、最悪のシナリオとして今後10年間は現状金利水準(年利0.60%)を維持、そこから5年間は金利が3%に上がり、その後5年間が4.1%、残りの期間が1.0%で推移するというかなり悪いシナリオを想定します。

Aさんは33歳、子ども1人(2018年時点で2歳)という家族です。

このような状態でどのような選択をすることがAさんにとってベストでしょうか?

対応方法1:現状維持+繰り上げ返済

借り換え等をせずに現状を維持した場合、月々の返済額+団信費用は当初10年が10万4千円、その後が10万5千円、支払総計は4312万円になります。このまま行けば定年の65歳と同時に返済が終了します。

ただし、手元に余剰資金200万円があるので2018年1月にこの余剰資金で繰り上げ返済を行うことにします。繰り上げ返済は期間短縮型で返済をすることにします。すると、月々の返済額は変更なく、返済期間が32年1ヶ月に短縮でき総支払額は4131万円となります。これによって、総支払額を181万円圧縮することができました。

現状維持のメリットは、手間が一切かからない点です。後で示すように借り換えはかなりの手間、具体的には数日間分の作業が必要となります。費用対効果を考えてその作業をする意味があるかどうかを考えて、得られるメリットよりも作業負荷の方が高いと感じた場合にはあり得る選択です。

200万円近い支払額の圧縮ができるなら現状維持でも良いのでは?と思いそうですが、このケースではあまり良い選択とは言えません

対応方法2:フラット35に借り換え+繰り上げ返済

Aさんが現在使用しているフラット35の金利は優遇金利で1.71%と割高です。

そのため、優遇無しのフラット35に借り換えても十分にメリットを得られます

金利1.10%のフラット35に借り換えを行うと月々の返済額は団信費用を含めて88000円になります。月々の返済は現状から16000円減らすことができます。支払総額は3984万円にできるので、現状からは334万円の支払総額の圧縮に繋がります。

さらに手元に余剰資金が200万円あるので、これを借り換えと同時に繰り上げ返済に充てます(実際には借り換え額を圧縮)。

すると、支払総額は3882万円となり、436万円の支払を圧縮できます(゚д゚)

借り換え手続きには手間はかかりますが、現状を維持して単に繰り上げ返済をしただけに比べて255万円もの資金を圧縮できることを考えるとこれをしない手はないように思います。

また、考え方を少し変えて、手元の余剰資金は今後の不足の自体に供えて手元にそのまま置いておき、借り換えだけをしたとしても334万円の支払額の圧縮になるため、現状維持の対処方法1で繰り上げ返済をした場合よりも153万円もの支払額の圧縮をできることになります。そう考えると、このケースでは借り換えをしない、という選択は通常はあり得ないかな?と思います。

対処方法3:変動金利への借り換え+繰り上げ返済、そして破綻

金利の低い住宅ローンへの借り換えは効果が絶大です。そこで、いっそ金利の低い変動金利に借り換えをしてしまえばもっと支払総額を圧縮できるのではないか?と考えたくなります。

ただし、変動金利にはリスクもあるので、ここでは、当初10年が0.55%、そこから5年間は金利が3%に上がり、その後5年間が4.1%、残りの期間が1.0%で推移するというかなり悪いシナリオを想定してリスクに備えることにしました。その結果、ここまで悪いシナリオを描いても支払総額はフラット35に借り換えた場合と全く同じです。。すなわち支払総額は3984万円となり、現状からは334万円の支払総額圧縮となります

もしも、金利がここまで上昇することなく、今後10年間が0.55%の金利で推移し、そこから10年間が1.5%まで金利が上昇して、その後は1%の金利で推移するという風になれば、支払総額はなんと600万円も圧縮できてしまいます!

さらに、繰り上げ返済をすれば660万円もの支払総額圧縮となります

ひゃっほ~!フラット35に借り換えて繰り上げ返済をするよりも200万円以上お得です!最悪でもフラット35に借り換えた場合と支払総額は

変わりません。これならやっぱり変動金利にした方が良さそうだね!

・・・・

これをまさに取らぬ狸の皮算用と言います。。。上記の家庭でAさんの家庭は破綻(というと大げさですが)のリスクに晒されています。

上記で想定したうち最悪シナリオの今から15年後に金利が4.1%まで上昇した状態を見てみます。繰り上げ返済によって月々の返済額は圧縮できたとしても11万円の支払が必要になります。

住宅ローンの上昇局面でも突然3%以上も金利が上昇することはありません。となると、支払を続けている期間中に徐々に金利が上昇していき、その過程では5年ルールで月々の支払金額が変わらない代わりに元金の返済が遅れることになります。

結果として、15年を経た段階での月々の返済額は12万円前後となることが想定されます。支払総額自体はフラット35への借り換えと変わりありませんが、現在2歳の子どもが17歳になっています。この時期の家庭はどこも大学受験に向けて予備校に通ったり、また大学の入学金等の準備で余剰資金があるケースは多くありません。

結果として、15年後から20年後は家庭に余剰資金がない状態にもかかわらず、年間の総支出は20万円以上上昇してしまっている状態になります。これが5年間続いたとしたら総支出は100万円の資金不足に陥ることになります

もちろんポジティブに考えればこのような金利上昇は起こる確率は低いですが、長期的には十分に返済能力があるにもかかわらず資金ショートしてしまい、破綻とまでは行かないまでも、例えば私立の大学に行きたいという希望を叶えてあげられなくなったり、はたまた、生活の質を落とすなどの対応が求められる事態は十分に想定されます。

フラット35への借り換えであれば、支払総額自体は多くなってしまいますが、金利は固定されているため計画が立てやすいというメリットがあります。

上記ケースでは、繰り上げ返済をせず、200万円は余剰資金として比較的安全な投資信託などに回しておくことで回避できるケースとなります。200万円の余剰資金があれば、資金ショートする100万円を補ってもおつりが来ます。

そもそも変動金利の場合は金利が安いうちは繰り上げ返済のメリットがほとんどありません。そのため、金利が低いうちは繰り上げ返済せず手元現金(流動性の高い資金)を置いて置くことで万が一の事態に備えることができます。

少なくとも、手元現金がない状態で変動金利への借り換えはすべきでは無いと思います。

対処方法4:フラット35+変動金利への借り換え

これは、少し複雑になるため、ファイナンシャルプランナーの方などに相談をした上で選択をするべきですが、対処方法3は全額を変動金利に借り換えてしまうと言う方法でしたが、この方法では手元現金200万円の状態だとどうしても心許ないところがあります。

しかし、将来の金利動向として、おそらくは低金利の状態が当面は続くであろうことを考えると変動金利も捨てがたいと考える人は多いかと思います。

そこで、最後に示す方法として、余剰資金は手元に残しておきつつ、一部を変動金利型住宅ローンにして、残りはフラット35に借り換えるという方法が考えられます。

具体的には、3000万円を借りたAさんの2018年1月時点の残債は2794万円ですが、このうち1000万円は変動金利型住宅ローンに借り換え、残りの1794万円をフラット35に借り換えるという方法が考えられます。

このように借り入れた場合、月々の支払額は金利が4.1%になってしまった15年目のピーク時でも99000円となります。経済に何かが起こってとんでもない状態になってしまい、金利が6%まで上昇したとしても、月々の支払い額は10万5千円となり、現在の住宅ローン支払額と変わりません。

これであれば、手元の余剰資金がなくても十分に住宅ローンを支払い続けることができます。

支払総額は3940万円になるため、現状から比較すると378万円の支払総額の圧縮に繋がります。これは、単純に全額をフラット35に借り換えた場合の334万円よりも約40万円高い支払総額圧縮効果となっています。さらに、ここではかなり悪い変動金利のシナリオを設定していますが、仮に10年目以降、現状よりも1%金利が高い、1.5%で推移した場合、485万円の支払総額圧縮になる程度までは十分に期待できます

全額を変動金利にしてしまうと、特に子どもの進学に合わせた資金の不足が懸念されますが、上記のようにフラット35と変動金利を組み合わせることでリスクを許容可能な範囲に抑えつつ、支払総額を圧縮することもできます

ただし、上記のような変動金利とフラット35の組み合わせには、現状、そして将来の資金計画が重要になってきます。一概にいくらまでは大丈夫というような話ではないため、銀行やファイナンシャルプランナーの方に相談してみるのが良いかと思います。

ただ、難しいのは銀行に相談すればおそらくは(銀行にとって利益の大きい)変動型住宅ローンを勧められるでしょうし、どこかの金融機関に所属しているファイナンシャルプランナーの方に相談したら、その金融機関の利幅の大きい商品を勧められるので、最終的には自分で勉強して考るか専門家に相談するのがお勧めです。専門家への問合せ方法は最後に示します。

対処方法4は応用になるため、もし実際にされる場合には十分な検討をされることをおすすめします。良くわかない場合や不安な場合は対処方法3の全額フラット35への借り換えがベストと思います。

まとめ:住宅ローンをどのように借り換えるべきか?

住宅ローンの借り換えを検討すべき人

何度も書いていますが、住宅ローンの借り換えを検討すべき人は2015年1月以前にフラット35で住宅ローンを借り入れている方は、すぐにでも借り換えを行うことで借り換えによる月々の支払い額の削減+総支払額の削減が可能です。

変動金利で借り入れを行っている場合は、最近5年程低金利状態が続いているためメリットが得られることはほとんどありません。具体的には1%以下の金利で借り入れを行っている方は借り換えによる支払総額の削減メリットは得られません。

ただし、変動金利で借り入れを行っている方で、将来のリスクに備えるため、一部の資金をフラット35で借り換えて長期の支払を安定させる借り換えは検討してみることをおすすめします。現時点でフラット35は最低金利水準であることから、一部の資金をフラット35で借り換えることで将来の金利上昇リスクに備えることができます。

以下で具体的にどのように借り換えを行うかについて検討します。

借り換え方法1:全額フラット35への借り換え~一条住宅ローンに聞いてみる~

現在フラット35で借りている住宅ローンを全額フラット35に借り換えを行うことで支払金利を下げることができます。

フラット35については、どこの銀行で借りるかはあまり重要ではありません。

一条工務店で家を建てていて一条住宅ローン(i-flat)でフラット35を借り入れた方は一条住宅ローンに借り換えに対応しているかを確認してみるというのが一つと思います。ただし、一条住宅ローンがフラット35の取扱を開始したのは2014年末あたりからだったと記憶しているため、対象となる方は少ないかも知れません。

また、そもそもi-flatが借り換えに対応しているかどうかが定かではありませんので、一条住宅ローンを使っている方限定の方法となります。もしも使えたらラッキーという程度で営業さんに確認してみると良いかと思います。一条住宅ローンは一条工務店で家を建てた方のみが使えますが、手数料が安い点でメリットが大きいです。

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借り換え方法2:全額フラット35への借り換え~ネット銀行経由~

一条住宅ローンについては現在一条住宅ローンを使っている方限定に近いので、誰もが使えるものではありません。

一般的にはフラット35を借り入れるとするとネット銀行経由となろうかと思います。

例えば楽天銀行のフラット35などであれば、ネットから申し込み手続きが行えます。

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楽天銀行のフラット35を使う場合は楽天銀行の口座開設などが必要になりますが、手数料が0.972%と他に比べて安いのでおすすめです。

 

この他、私がフラット35を契約したアルヒなどでもフラット35の借り換えに対応をしています。ただし、アルヒは事務手数料が2%と高いのでおすすめしません。

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住信SBIネット銀行もフラット35の借り換えに対応していますが、やはり事務手数料が2%と高いです

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私が探した範囲では楽天銀行が一番手数料が安いかな?と思います。

 

変動金利型住宅ローンへの一部借り換え~金利は低いけどやや不安?ネット銀行編~

フラット35はどこから借りても、最終的には住宅金融支援機構の債権になることと、ネット銀行から借りる限りは事務手数料に差はあるものの金利には差はほとんどありません。

しかし、一部を変動金利に移行しようと思うと途端に難易度が増します。

事務手数料の違いはもちろん、金利も微妙に異なっています。さらには金融機関の信頼性も重要になってきます。

また、フラット35は金融機関にとっては事務手数料しか稼げない利幅の薄い商品である事から、「おまけ」的な物もほとんどありません。

しかし、変動金利型住宅ローンは金融機関にとっては利幅こそ薄いものの、長期間の顧客囲い込みができる商品であると言う点である意味花形商品となっています。

一方で、金利差としても大きな差は付けにくいため、「おまけ勝負」なところがあるのも事実です。

例えば楽天銀行の場合は変動金利型で0.507%という金利で、事務手数料は32.4万円で固定となっています。1000万円の借り換えだと3.2%の手数料とやや高いですが、借換金額が多ければ割安になっていく仕組みです。そして、楽天銀行での優遇が受けられるため、他行当ての振込手数料が無料になるなどの特典が得られます。

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同様に、三菱東京UFJ銀行とauを展開するKDDIが出資しているネット銀行の「じぶん銀行」などは0.497%と低金利を謳っています。

また、提携先であるauの携帯電話を使っている場合などは、auのウォレットで3万円分プレゼント+月々500円の割引のようなおまけが付加されています。

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この他ネット銀行はどこも金利の安さをうたい文句にしつつ、様々なおまけを展開しています。

個人的にはネット銀行はしっかりと理解した上で利用すれば金利や手数料が安く非常に有用と思います。

しかし、色々と話をして決めていきたい人や、住宅ローンの仕組みや内容が十分に分からない場合は他の金融機関と並行して検討することを強くお勧めします

やはり何千万円というお金を借りる以上は、しっかりとした理解が重要と思います。

メガバンク、地銀店舗型~信用できるけどフラットは絶対に勧めてくれない&金利が高い~

メガバンクや地銀の窓口で住宅ローンの借り換えについて相談をしてみるというのが最も安心はできる方法と思います。

例えば私が住む茨城県であれば常陽銀行という地銀がありますが、住宅ローンの借り換えを積極的にアピールしています。

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金利としては0.575%とネット銀行に比べると割高ですが、茨城県民からすると常陽銀行なら安心、というのが正直あります

当然、店舗に出向いて担当者がしっかりとした説明もしてくれますし、状況に応じてアドバイスももらえるという点はネット銀行にない大きなアドバンテージと思います。

地銀ではなくメガバンクで、借りたいという場合は全国で対応が受けられるという点で安心感があります。しかし、地銀よりもメガバンクは金利が高く設定されています。例えば、三菱東京UFJ銀行で住宅ローンの借り換えを行った場合の適用金利は0.625%となり、ネット銀行に比べて約0.1%、地銀に比べて0.05%割高に設定されています。

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個人的には、住宅ローンを変動金利で借りるのならば、メガバンクを選ぶ必要はあまりないように思います。

例えば転勤が多く、来年は全国のどこにいるのかわからないという方や、ご自身が事業を営んでいて、メガバンクと付き合いがあるようなケース(この場合はそもそも借り換えが難しいですが)であればメガバンクでの変動金利型の借り換えもあり得ますが、そうでない限りは選択肢はネット銀行か、地銀が選択肢と思います。地銀になくて、メガバンクにしかないメリットはやはり全国どこでも窓口がある事ぐらいと思います。

最近は地銀でもコンビニで手数料無料で引き出しができるケースが多いので、窓口の有無ぐらいしか差がないように思います。私自身はこの10年、銀行の窓口に行ったのは1回か2回程度であまり必要性を感じません。。。

あえて信頼性は高いとは言え、個人の住宅ローンのレベルではメガバンクと地銀の間で差はないように思うので、あえてメガバンクを選択する必要はないように思います。

メガバンク、地銀で借り換えを検討する場合に事前に理解しておく必要があるのは、「フラット35は絶対に勧めてくれない」という点です。

どうしてもと言えばフラット35も契約してくれますが、メガバンク、地銀でフラット35を契約した場合手数料が高いだけではなく、金利も高く設定されていることが多くあります。そのため、変動金利とフラット35をいっしょに使いたい場合は、地銀などに相談しつつ、同時にネット銀行でフラット35の契約も勧めるという変則的なことをする必要がある点に注意が必要です

住宅ローン一括審査・・・かなり面倒だけど相手からコンタクトしてくれるので楽ちん

私自身は住宅ローンの借り換えを行うに当たって、これを試して見ました。

住宅ローンの申請は1社ずつ行うとかなりの手間がかかります。このような申請を複数の銀行に対して一括して行うことができるのが住宅ローンの一括申請になります。

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入力はかな~り面倒です。ざっくり1時間くらいはかかります。

ただ、1社ずつ申請すると1社あたり1時間くらいはかかってしまうので、5社ぐらいにまとめて申請することを考えると手間は大きく削減できます。

最初のうちは簡単に入力できるので手軽に試してしまうのですが、進んでいくと図面等がないと入力できない内容の入力を求められます。ここは根性で入力するしかありません。。。あまりにも分からない場合は面積や金額に関するものでなければ後で修正できますから適当に入力しておいても大丈夫です。

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途中で下のような「こんなにお得」という情報も出てきますが、全く当てにならないので信用しないようにした方が良いです。

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苦労して一括申請が終わると、すぐに電話がガンガンかかってきて~ということはありませんでした。一度引っ越しの一括見積の時にかなり驚かされましたが、それとはかなり雰囲気が違います。

私が行った際には、まずは各金融機関から資料が一式送られてきました。かなり分厚い資料でしたが、一通り目を通すことでかなり勉強になります。

そして、一括申請の最大のメリット?と個人的に感じたのは、相手の金融機関の担当者が電話で連絡をしてくれます。

人によっては電話連絡がいやという場合は一括申請は向きませんが、電話の担当者は住宅ローンの借り換えについてある程度の知識があるので、疑問などを聞くと教えてもらうことができます。

私自身が一括申し込みを行ったのは昨年の8月頃でしたが、当時の金利の状態等から借り換えは見送りました。その後は数ヶ月に1回程度の頻度で半年程度電話がありました。その度に金利の水準等を聞いて、借り換えのタイミングを伺うのに非常に参考になりました。

窓口に出向くとどうしても、すぐに契約しなくては、という気分になりますが一括申請で電話連絡が来る程度であればそのような気分にはなりにくいので、問合せの最初のきっかけとしてはかなり良いかなと思います。

全くわからない~独立系の相談窓口で聞いてみる(お勧め)~

ここまでで挙げた住宅ローンの借り換えの方法はいずれも、金融機関と紐付いた問合せになっています。

地銀等に出向けば住宅ローンの仕組みをしっかりと教えてくれますが、地銀は自分の銀行の住宅ローンしか勧めてくれません。他行に比べて良い点はアピールしてくれますが、劣っている点については全く教えてくれません。そのため、その場で判断をするためには事前に十分な知識が必要になります。

一括申請で申し込みを行っても、電話で連絡をくれるのは各金融機関の担当者です。複数の金融機関の担当者から話を聞けることは地銀の窓口での質問に比べてメリットではありますが、それぞれは自社の住宅ローンを推奨してきます。

各社の住宅ローンを横並びで比較するのは自分自身で行わなければならないという点で、難しさがあります。

このような場面で使えるのが、住宅ローンのアドバイザー業務を生業にしている企業を通じて住宅ローンを契約する方法です。

代表的なところではモゲチェックプラザなどがあります。

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モゲチェックプラザは多数の金融機関と契約しており、店頭や電話で担当者が現在の借り入れ額や状況を確認して最適なプランを提案してくれる仕組みです。最近大型のショッピングセンターなどで保険の比較をアドバイスしてくれる店舗がありますが、その住宅ローン版がモゲチェックプラザとなります。

これは推測ですが、金融機関に紹介をすることで手数料収入を得ているものと思います。

当然、相手の手数料収入が大きな銀行等を勧められるリスクは常にありますから全てを鵜呑みにしては良くありませんが、少なくとも自分自身で複数の金融機関の金利や事務手数料を比較しなくても、それらの情報をもらえるというのはかなり良いサービスと思います

店舗は東京と横浜にしかありませんが、電話でのアドバイスももらえます。電話はビデオ通話も行えるので店舗に近い形での対面によるアドバイスを受けられるのもメリットです。

電話によるアドバイスは事前予約制ですが、かなり混雑しているようで、確認をした7月19日時点では直近1週間はかなり満杯の状態のようです。

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先ほど示したフラット35と変動金利の組み合わせなどのケースではこのようなサービスを使って検討する方が良いかと思います。

住宅ローンの仕組みが良く分からない、借り換えによってどの程度のメリットが得られるのか自分自身では計算が難しいと言う場合には、こうしたサービスを使うことをお勧めします。

おわりに:手間は惜しまない

住宅ローンの借り換えはかなり労力がかかります。ネットからの申し込みの記入だけでも1社あたり1時間程度の時間がかかることはざらです。

一括申し込みで楽ができるかというと、多少楽はできますが、やはりかなり大変です。

銀行の窓口に行くとなったら、現在の借り入れの状況を全て持って窓口に行かなければ行けないので半日がかりです。

モゲチェックプラザのようなサービスについてもやはり事前に自分の現在の借り入れの状況だけはしっかりと把握しておかなければ話ができません。

このように考えていくと、途中で嫌になることがあるかと思います。そもそもこのブログの記事自体がもの凄く長くて、ここまで読んでくれただけで驚きです(゜д゜)

でも、現在借り換えをすることで将来の数百万円の支払を抑制できると考えれば数日間の労力は割くに値すると思います

最初に書いたように、何もしなければ50万円入りの財布を落として放置しているのと同じことをしている状態と思います。

住宅ローンの借り換えの検討は、日給100万円を得る職業に就いている方は別とすれば、数日間の労働の対価は十分に回収できるかと思います\(^o^)/