一条工務店キッチン下カビ防止の抜本対策には循環型レンジフードの採用を!

こんにちは。さすけです\(^o^)/

先日、一条工務店で家を建てられた方の複数でキッチンカウンターの下にカビが生えてしまっている問題についてその原因と応急的な対策について書かせていただきました。

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その後、色々な方から連絡をいただき、結論としてはやはりキッチンカウンター下にある水道管等の配管施工時にできた僅かな隙間(気密には影響を与えない程度)から、キッチン換気扇使用時に基礎内部の湿った外気を引き込み、それが空調された室内に設置されたキッチンカウンターで冷やされて内部でカビが生えやすい80%を超える湿度に達してキッチンカウンターにカビを生えさせたことで、ほぼ間違いはないと思うに至りました。その後写真等も複数拝見させていただきましたが、漏水があるケースなどの例外を除いてはこれ以外の原因はないであろうと思っています。

対策としては、キッチンカウンター下の配管の隙間を発泡性の断熱材等でシーリングすれば問題は解決できることまで前回の記事で書かせていただきました。

ただ、これはどちらかというと場当たり的な対応であって、カビが生えてから対応するというものになるためあまり気持ちのよいものではありません。

そこで、今回はそもそもキッチン下にカビが生えることをほぼ完全に防止する手法についてご紹介をさせていただきます\(^o^)/ただし、これはこれから家を建てる方、または現在設計打合せ中の方限定の方法であり、既に着手承諾をされた方や引き渡し済の方は対応できない方法ですのでその点はご了承くださいm(_ _)m

目次

将来にわたって確実にキッチンカウンターの下にカビが生えることを防ぐ方法

室内循環型レンジフードを採用すれば問題は起こりません

最初に原因や理屈は一切はしょって結論から申し上げると抜本対策として、現在設計打合せ中の方は、キッチンで使用するレンジフード(換気扇)を室内循環型レンジフードに変更すれば、将来にわたって施工精度等に関係なくキッチンカウンターの下にカビが生えることを防止できます

ちなみに我が家はカビ対策として採用したわけではありませんが、一条工務店でオプションとして室内循環型レンジフードを採用しています\(^o^)/

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上の写真は我が家の室内循環型レンジフードです。

見た目も使い勝手も極々普通のキッチンレンジフードですが、油などで汚れた空気を外に捨てるのではなく内部に設置されたフィルターで濾過して室内に戻すタイプのレンジフードになります。

メリットは、空調をしているシーズンにせっかく温まった室内の空気を外に捨てないため冬場に換気扇を使っても外から空気を取り込んで寒くなるようなことがないという点です。逆にデメリットとしては、3年に1回のフィルター交換が必要(出張費込み23000円)な点です。その他は通常の換気扇と全く使い勝手も変わりません。

我が家では5年以上使用していますが、換気能力も揚げ物などをしても問題を感じたことはありません^^

個人的には一条工務店のオプションの中でも一押しのオプションだったのですが、あまりに採用件数が少なかったためオプションリストから外されてしまったとのことです(T_T)

で、この室内循環型レンジフードですが、キッチン下のカビ発生への抜本対策として極めて効果的です。

室内循環型レンジフードを採用されていれば、キッチカウンター下にカビが生えることはまずありません。というのも、今回のカビの発生原因はキッチンカウンター下の配管の僅かな隙間から空気が侵入してきてしまうことが原因です。そもそも、なぜそのような隙間から基礎内の外気が吸い込まれるかというと、キッチンのレンジフードの利用が原因です。詳しくは後で示しますが、キッチンの換気扇は強力に室内の空気を室外に放出し、室内の気圧が下がり、強い力が発生するため僅かな隙間から湿った外気が入り込んできてしまうことが原因です。

その点、室内循環型レンジフードは室内の空気をフィルターを通して室内に戻すため、換気扇を使っても室内の気圧が変化しません。よって、わずかな隙間から空気を吸い込むような力が発生しないのでカビの原因となる湿度の高い空気が室内に入り込むことがなくなります。

湿った空気がキッチンカウンターの下という狭い空間に入り込むことがなければカビが発生することはありません^^

そのため室内循環型レンジフードを採用していれば、キッチンカウンター下にカビが発生することはないと考えます。もちろん我が家もありません。

現在は室内循環型レンジフードはあまりにも採用率が低く、現在ではオプションから外されてしまっているとのことですが、最初期型のi-smartである我が家で付けられているので現在でもオプションで依頼すれば全く問題なく取り付けられるはずです\(^o^)/

ちなみに室内循環型レンジフードのオプション費用は私が建築した当時(2012年)で14万円でした。この値段も採用率が低かった原因と思います。ただ、何度も言いますがメリットが多くかなりお勧めです!

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そもそもなぜ一条工務店の家だけでカビの問題が目立っているのか?

普通の家では生えないカビ対策に14万円のオプションなんて納得いかない!!

室内循環型レンジフードを採用すればキッチンカウンター下のカビが防止できるとしても、古い家ならばともかく、新築住宅でキッチンカウンターの下にカビが生えるなどと言う話はこれまで聞いたことがなく、対策として高いオプション費用を払わなければならないということに納得がいかない方も多いかと思います。

そもそも、なぜ一条工務店の家ばかりでキッチンカウンター下のカビ発生が目立っているのでしょうか?

そして、なぜ最近になってカビの発生が目立つようになったのでしょうか?

さらには、同じ一条工務店でもi-smartやi-cube、セゾンやブリアールなどがある中で、特にi-smartとi-cubeでカビが発生しているケースが多いのはなぜでしょうか??i-smartやi-cubeに何か問題があるのでしょうか?

逆に、セゾンやブリーアルであればキッチンカウンターの下にカビが生えることはないのでしょうか?

次から次に疑問がわいてきます。

まずはこうした疑問について考えてみたいと思います。

なぜ一条工務店の家だけキッチンカウンター下にカビが生るのか?

まず、なぜ一条工務店の家でだけキッチンカウンター下のカビが発生することが多いのでしょうか??

一条工務店の施工棟数の多さ、

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そしてインスタ等のSNS情報の多さが一つの大きな要因であることは間違いありません。大手ハウスメーカーの中で施工棟数は1位か2位に位置づけており、さらにインスタやブログの数は大手ハウスメーカーの中で圧倒的な多さを誇っています。

そのため、どうしても目立ってしまうと言う点は否定できません。一条工務店の家のキッチンカウンター下でカビが発生しているが目立っているだけでどこのハウスメーカーでも起こっていることなのでは?と思うかも知れません。

しかし、これは推測ですが、例えば大手ハウスメーカーの住宅を1000軒ずつサンプリングして、各社のキッチンカウンター下でカビが発生しているかどうかを確認したら、ほぼ間違い無く一条工務店の家でだけ顕著にカビの発生率が高くなっていると思います。もちろん実際にはできませんが、かなり自信を持って言い切れます。

ということは、一条工務店の施工に何か問題があって住宅に使用している部材や性能が悪いのが原因??と思ってしまいそうですが、これは全く違います。

むしろ逆です。

一条工務店の住宅性能、特に気密性能が他のハウスメーカーに比べてずば抜けて高いことがカビ発生の原因です。

一条工務店の気密性能の高さが、一条工務店の家だけでカビ発生が見られる原因

一般に気密性能はC値という値で示されます。

積水ハウスなどの値段の高いメーカーも含めて、一般的な大手ハウスメーカーの住宅の気密性能は概ねC値=2.0㎠/㎡前後です。ローコストメーカーだと4~5㎠/㎡程度となります。

これに対して一条工務店の気密性能は私が家を建てた2012年当時で0.7㎠/㎡、現在では平均で0.6㎠/㎡程度になっており、うまくすると0.3㎠/㎡程度のお宅も多数ある状況です。

この気密性能の違いがカビ発生原因の基礎からの湿った空気の引き込みに影響を及ぼしています。

通常時は問題ありませんが、キッチンの換気扇を使ったときに大きな違いが発生します。

キッチンの換気扇は極めて強力な換気能力を持っており、1時間あたり「強」状態で約420㎥の空気を外に排出する能力を有しています。一条工務店の換気を担っているロスガードは家の広さにもよりますが、1時間あたり130㎥程度の換気能力ですから、キッチンの換気扇はロスガードに比べて3倍以上強力な力で外に空気を吸い出します。

通常ロスガードは室内の気圧をやや高くするように調整されていますが、3倍以上もの力を持つキッチンのレンジフードを使用してしまえば一気に室内の気圧が下がってしまいます。

一条工務店の家ではというかロスガードのようなものを使った第三種換気を行っている住宅では、こうした気圧差を吸収するために、一般には冷蔵庫の上部に吸気口が設けられています。換気扇を使い始めると、気圧差を検知して「パコッ」という音がして吸気口が開き室外の空気を直接取り込みます。

しかし、簡単にこの吸気口が開いてしまうと空調されていない冬であれば冷たい、夏であれば蒸し暑い空気が室内に一気に流入してしまうので、一定の圧力に達しなければこの吸気口は開かないようになっています。また、吸気口が開いても換気扇を使用中は室内の空気は低い状態が続きます。

室内の気圧が低い状態では家中の隙間から外気を取り込もうとします。

例えば通常は一条工務店の家でコンセント周りから冬に冷たい空気が入り込んでくることはないかと思いますが、窓を閉め切ってキッチン換気扇を強にしてコンセント付近に手をかざすと空気の流れを感じることができるお宅もあるかと思います。

通常は家中の隙間からまんべんなく空気が流入してきます。

しかし、高気密化を強く進めた一条工務店では空気を吸い込む隙間がほとんどないため、僅かに空いた隙間に外気を取り込もうとする大きな力が発生します。幅の広い出口から多数の人が出てもそれほど混み合いませんが、人が1人しか通れない隙間から多数の人が一気に出ようとすれば押しくらまんじゅうのようになるのと同じです^^

通常のハウスメーカーのC値を2.0㎠/㎡と仮定し、一条工務店のi-smartのC値を0.5㎠/㎡と仮定すると、同じキッチン下の隙間であっても基礎の空気を室内に引き込む力は4倍もの違いを生み出します。

空気には僅かな隙間を通る際に粘性(粘り気)が生じて空気を通りにくくする効果があります。

通常のハウスメーカーの気密性能であれば、この粘性の効果で換気扇を使っても配管の僅かな隙間から空気を吸い込もうとしても粘性が強く、それほど多くの外気は侵入してきません。

しかし、一条工務店の住宅では4倍の強い力で空気を吸い込むため、粘性があってもキッチンカウンター下に空気が流れ込んできてしまっていると推察されます。

すなわち、一条工務店の家では高気密化の代償としてレンジフードを使った際には僅かな隙間からでも空気が入り込んでしまう状態にあります。

僅かな隙間からの空気の流入があっても、リビングや居室など大きな空間に流入している限りは問題を生じさせることはありません。

しかし、キッチンカウンターの下は室内に比べて非常に狭いため、内部に貯まっている空気の量が少ない状態です。そのため、夏場の湿った空気が少量であっても入り込むだけで湿度が大きく上がってしまいます。

しかも、キッチンカウンター下は、食事を作ったあとは開け閉めすることが少なく換気口もないため換気が行われません。結果的にキッチンカウンター下の高湿度状態が長時間に渡って維持され、カビを発生させます。

今回の一条工務店のキッチンカウンター下のカビの問題は、言い方を変えれば一条工務店の家の気密性能の高さを示すものでもあり、他のハウスメーカーではここまでの高気密施工が行われていないためにキッチンカウンターの下にカビが生えることはなく、一条工務店の家だけでカビが発生してしまっています。

なぜi-smartとi-cubeだけ?セゾンやブリアールは関係ないの?

今回のキッチンカウンター下のカビの問題はそのほとんどがi-smartとi-cubeで発生しており、セゾンやブリアールではほとんど確認されていません。

i-smartやi-cubeは一条工務店の主力商品です。これは推測ですが現在一条工務店で家を建てる方の7割から8割の方はi-smartかi-cubeで家を建てられていると思います。この数の多さはもちろん関係していると思いますが、それ以上に性能の違いが大きいと推察します。

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i-smartのC値測定結果の平均は0.59㎠/㎡となっています。これに対して、セゾンはC値の測定結果は公表されていません。

ただ、気密測定自体は行われており、概ね0.6㎠/㎡~0.7㎠/㎡となっていますから、i-smartなどに比べるとやや気密性能が落ちます。そして、この差が現時点でカビの問題がセゾンやブリアールで発生していない原因ではないかと思います。

先ほど書いた様に、気密性能が良くなると換気扇使用時の外気を吸い込もうとする力は大きくなっていきます。

気密性能が高いi-smartの方がセゾンやブリアールに比べて基礎内から空気を取り込む力が強くなり、結果として先行して高気密化が進んだi-smartやi-cubeでカビの問題が目立つようになったのだと思います。

しかし、一条工務店ではi-smartやi-cubeの気密性能の向上を進めると同時に、セゾンやブリアールでも高気密化を進めています。私が家を建てた当時の一条工務店のi-smartの気密性能はC値0.7程度、セゾンの場合は0.8や0.9というケースも多くありましたが、現在ではセゾンやブリーアルでも0.7を下回っています。

今後も一条工務店は高気密施工を進めていくと考えられるため、今後は一条工務店が抜本的な対策をしなければセゾンやブリアールでもカビの問題が出てくることは十分に考えられます。

なぜ今年になって急にカビの問題が大きくなったのか?

i-cubeは2009年から、i-smartは2011年から発売されている商品です。同じi-smartなのになんで今になってカビの問題が多く報告されるようになったのでしょうか?

一つは先の記事で紹介したように今年の異常気象が挙げられます。しかし、色々と調べていく中でもう一つの可能性として、一条工務店の住宅性能の向上が要因となっている可能性も高いと考えるに至りました。

私がi-smartを建てた2012年当時、気密測定で一発で0.7㎠/㎡の気密が出る家は約半数というイメージでした。C値が0.6㎠/㎡だったとなると、かなり施工が良かったという印象で、0.5㎠/㎡にもなると、本当に希でブログなどで話題になるレベルでした。

しかし、6年が経過した2018年段階では0.5㎠/㎡程度が平均で、0.3㎠/㎡のお宅も多く見かけるようになりました。一条工務店の継続的な住宅性能向上に向けた努力の結果ですが、これが今回の問題を引き起こした原因と推察します。

先ほど少し書いた様に空気には粘性があります。そして、この粘性を突破して基礎から空気を引き込むためにはより強い力必要であり、この力を生み出すためには高い気密性能が必要です。また、キッチンカウンター下という狭い空間であっても、基礎内の空気が一定量流入しなければカビが発生しやすい湿度80%を超えることはありません。

これは推測ですが、その閾値(境目)としてC値0.4~0.5㎠/㎡にあるのだろうと考えます。

すなわち、C値が一定の値(おそらく0.4~0.5)を下回ると、外気を取り込む力が強くなり一条工務店が施工上認めていた程度の僅かな隙間であっても、キッチンカウンター下という狭い空間を高湿度にする程度の基礎内の外気を取り込み、高湿度にしてしまうのだろうと思います。

そして、このような高気密が達成できるようになってきたのが去年あたりからで、今年初めての夏を迎えた住宅のうちキッチンカウンター下に隙間があった住宅ではカビの問題が露見したのだろうと思います。

現在建築中のお宅は去年よりもさらに高気密化が進んでいるため、さらに問題が起こりやすくなります。ただし、一条工務店ではこの問題に対して新たに監督の点検項目にキッチンカウンター下の隙間のチェックを加えており、当面は問題は起こりにくくなるとは思います

しかし、継続した高性能化を進める限り点検漏れや目視によるチェックが困難なレベルの隙間からさえ外気が入り込み再びカビの問題を生じさせる可能性は否定できません。目視確認はあくまで現状ですぐにできる対策をとったものであって、抜本対策ではないと思っています。

一条工務店がしっかりと施工すれば問題は起こらないのでは?

そもそもキッチンカウンター下にカビが生えること自体がおかしいのだから、監督などがしっかり確認すれば問題は防げるように思います。

今回のキッチンカウンター下のカビ発生の問題を受けて一条工務店では従来点検項目に入っていなかった(気密測定などの際にチェックする程度だった)キッチンカウンター下の配管まわりの気密についてチェックするよう指示が出されたと聞いています。

従来チェックが行われていなかったものをチェックするようになったことは前進と言えますし、チェックが行われることでカビが発生してしまうお宅は減少すると思います。

しかし、今回の漏気は目視によるチェックに限界があるようにも感じます。

というのも、仮に直径2cmの配管周りに1mmの隙間があったとして、その面積は0.3㎠という小さな隙間です。

すぐに思いつくのは気密測定で確認できないか?と考えるかと思いますがこれは不可能です。

この隙間が空いていることによってC値に出る影響は、30坪(約100平米)のお宅であればC値に換算すると0.003㎠/㎡の隙間に過ぎません。

平均的なC値が0.5㎠/㎡ですので、この穴を塞いでもC値が100分の1(1%)しか変化しません。気密測定に使用される機材では0.01/㎠までの測定しか行えず、信頼できる値は0.1㎠/㎡までですから、気密測定器の限界も超えています。

そのため、気密測定でこの隙間の存在をチェックすることはできません。

ですから、目視によるチェックに頼らざるを得ないのは仕方の無いことと思います。

しかし、今回の空気の流入が1mmの隙間が問題なのか、0.5mmなのか、それとも0.1mmの隙間でもキッチンカウンター下の湿度が上がってしまうのかは分かりません。

そして、人間が目視によってチェックできる限界は0.1mm程度までです。キッチンカウンター下は太陽光が入らず暗いため、ライトで照らしての確認になります。そのため、目視によって、隙間があるかないかを確認できるのは0.5mm~1mm程度となるかと思います。

今後も高気密化を進めれば進めるほど、目視によってチェックすべき隙間は小さなものも見逃すことが許されなくなります。そもそも0.1mm~1mmという施工精度は機械加工の精度で、建築で求めるべき精度ではありません。。。

目視のチェックはしないよりした方がずっと良いことは間違いありませんが、完全にチェック漏れを無くすことは難しいように思うのです。

じゃあ、目視でチェックして隙間がなくてもとりあえず気密を確保するためのシーリング材を使って穴の周りを埋めておけば良いのでは?と思おうかも知れません。

しかし、これも限界があります。そもそも気密をとるためのシーリング材は防水用のシーリング材でもなければそれほど高い気密をとることは難しいのではないかと思います。また、住宅全体の気密は時間とともに劣化していくことはある程度仕方ないと思いますし、また、多少劣化しても生活に影響を及ぼすことはほとんどありません。しかし、キッンカウンター下については僅かな気密の劣化が直ちにカビの発生という被害をもたらします。ここまでの精度は住宅建築の精度を超えたものであり、監督などのチェックには限界があるように思います。

カビが発生しないようにする抜本対策

パッキン+換気口

抜本的な対策は、一条工務店の仕様変更によるしかありません。一つは配管にゴムパッキンのようなものを付けて外側から内側に押し込むようにして施工すれば長期にわたって気密を維持することができます。ただ、従来よりも手間がかかりますし、あまり採用される可能性はないように思います。

そもそも、配管周りの僅かな隙間は気密性能に影響を与える大きさではありません。

そのため、これを塞いでも気密性能に目に見える変化はありませんし、労力の割に効果が目に見えにくいものですから、個人的には隙間を塞ぐという対応は抜本対策としてはあまり良いものとは思いません。もちろん、既に引き渡されたお宅や現にカビの問題が生じてるお宅については隙間を塞ぐという対策しかないのでこの対策が無意味というものではありません。

抜本的な対策は、先のブログに書いたように一定の隙間はあるものとして許容して、キッチンカウンター自体に換気口を設けてキッチンカウンター下に空気がたまらないようにすることと思います。

循環型レンジフードの採用

パッキンにしてもキッチンカウンターの換気口にしても、これらの対応は一条工務店の判断に委ねるしかなく、今から家を建てようとする人がどうこうできるものではありません。

そこで、これから家を建てる方がご自身で対応をする方法として、先の循環型レンジフードの採用があります。

これは隙間があろうとなかろうと、そもそも室内に空気を吸い込む力を取り除く対策ですので、キッチンカウンター下のカビた対策としては極めて効果的です。

オプション費用として2012年当時で14万円するもので躊躇もあるかと思いますが、メリットも多いため個人的にはお勧めです!

室内循環型レンジフードの使い勝手ってどうなの?

そもそも室内循環型レンジフードってなに?

我が家では別にカビ対策をしたかったためではなく、室内循環型レンジフードを使用しています。

室内循環型レンジフードは私が個人的に手配したものではなく、i-smart販売開始当時の正式なオプションとしてあったものです。

我が家で採用したのは富士工業の天井取り付け型室内循環レンジフード(CNSRL-RK-902)というタイプになります。

仕組みは言ってしまえば空気清浄機と同じで、下の図にあるに換気扇が吸い込んだ空気をフィルターで濾過して室内に戻すという仕組みです。

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通常の換気扇は吸い込んだ空気を家の外に排気しますが、室内循環型レンジフードは油等を含む空気から汚れやニオイを取り除いて再び室内に戻します。

そのため、今回のキッチンカウンター下のカビの問題が生じた原因である室内外の気圧差を生じさせないため、カビ対策の抜本対策となります。

本当に汚れはとれるの?

室内循環型レンジフードで一番気になるのは、本当に換気扇として使えるの?ということと思います。

この点は、採用した私自身も採用時に不安に感じました。

ただ、実際我が家では使用開始から5年が経過しますが、従来の換気扇と性能に大きな遜色はないイメージです。

料理を間違って焦がしてしまったりしたときは、通常の換気扇よりも煙が消えるまでにやや時間がかかるかな?という印象はありますが、少なくとも揚げ物をしたり、普通に料理をしている限りは問題を感じたことはありません。そもそも料理を焦がしたりして空気を早急に入れ換えたい場合は窓を開けると思うので、あまり問題になりません。

個人的な感覚としては、換気扇としては全く問題なく使えるという印象です。

それでもどうしても換気能力が不安:補助換気機能付き室内循環型レンジフード

フィルターで濾過されるとは言っても、従来の換気扇のように外に汚れた空気が排出できないのはどうしても不安という方は通常の換気扇と室内循環のハイブリット型となる補助換気機能付き室内循環型レンジフードの採用を検討しても良いかと思います。

値段も我が家で採用した室内循環型レンジフードと比べて2万円しか上がりません。

こちらのレンジフードは、通常は室内循環型レンジフードとして使用しますが、補助換気機能をオンにすることで通常の換気扇のように室内の空気を室外に排出する機能も付いています。

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私が家を設計していた当時はこちらのタイプはなかったため採用はできませんでしたが、魚料理など煙などが多く出る料理をすることが多い方はこちらの補助換気機能付きの採用を検討されても良いかと思います^^

メンテナンス性は?フィルター掃除とか手間は増えるの?

日常のメンテナンス性については、これは通常のレンジフードと全く変わりません。

掃除をするのもレンジカバー部分と油をキャッチするキャッチャー部分だけを掃除するだけです。年に1回程度、換気扇のファンを掃除するという点も通常の換気扇と全く同じです。

室内循環型換気扇だからという理由で新たにメンテナンスをするカ所は1つもありません^^

フィルターについては3年に1回、業者にお願いして交換してもらうもので個人が掃除をする必要はありませんし、そもそも自分では交換しようにも交換することもできません。。。。

じゃあフィルター交換はどうするの?定期メンテナンスは?

フィルターは個人で触ることができないため、3年に1度の頻度で交換することが推奨されています。ちなみに我が家では4年目に交換しました^^;

このフィルター交換は業者さん(富士工業)に依頼して交換してもらうことになります。出張費込みで1回2万3千円でした。

個人的に感じるのはこの3年に1回のフィルター交換費用が室内循環型レンジフードの最大のデメリットと思います。

ただ、デメリット以上にメリットが大きいので個人的には採用して良かったオプションと思っています。

フィルター交換は下の写真のように普段は開けることのない換気扇の前カバーを全て外して換気扇上部に取り付けてあるフィルターを交換してもらいます。

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4年間使用したフィルターは下の写真です。

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左の使用前のフィルターが真っ白なのに対して4年間使用したフィルターはかなり茶色くなっていることがわかります。それだけ汚れをキャッチしてくれていたのだと思っています^^;

また、私自身まだ経験していませんが12年に1度もう一つのフィルターを交換する必要があり、こちらも1回2万3千円の費用がかかります。12年間で3回のフィルター交換(4年に一度交換ペース)+12年に一度交換で約10万円がかかる計算です。1年あたり1万円の費用と言う感じです。

ただ、初期費用を除けば、メンテナンス費用は光熱費の削減によって十分ペイする費用と思っています。

室内循環型換気扇のメリット

換気扇を使っても室外の空気が入ってこないので寒くならない&光熱費の削減

室内循環型換気扇は室外に空気を排出しないので、冬場などに床暖房でせっかく温めた空気を外に出すことがありません。

結果的に吸気口から外気が入ってくることがありません。

ロスガードを通った空気は熱交換されているのに対して、冷蔵庫上等に取り付けられた給気口から入ってくる外気は熱交換されていない冷たい空気が入ってきます。

そのため、キッチン換気扇を使うとどうしても家の中が冷えてしまいます。

ただ、一条工務店の家だと全館床暖房しているのでキッチンのすぐ近くに給気口を取り付けてしまわない限りは、冬の寒さを感じることはないかと思います^^

しかし、実際には外から冷たい空気が入ってきていることは間違いなく、この冷たい空気は室内で暖める必要があります。そして、室内に引き込んだ冷たい空気をあたためるためにはエネルギーを使う必要があります。換気扇を使ったことによって追加される電気代は厳密に計算することは難しいですが、毎日料理をされる家庭であればメンテナンス費用と同程度のメリットになるかと思います。

室内が快適になって、初期費用はかかるもののメンテナンス費用がペイできるのであれば採用を検討擦る価値は十分にあると思います^^

天井が下がらない

通常の換気扇を設置する場合、特にアイランドキッチンでキッチン換気扇を設置する場合、必ず天井に換気扇の配管ダクトを設置するための天井下がりが生じます。

キッチン換気扇を外壁に面した壁に設置する場合は、換気扇から吸い込んだ空気はそのまますぐ裏側の壁に開けた穴から排気が可能です。しかし、アイランドキッチンの場合、壁までダクトを使って排気を行う必要があります。

レンジフードの換気量は大きいため、配管ダクトも太いものを使う必要があり、結果的にアイランドキッチンに20cm程度の天井下がりができてしまいます。

これに対して、循環型レンジフードの場合は、レンジフードの上部から室内に空気が戻るため配管ダクトが必要ありません。そのため、アイランドキッチンにしても天井下がりができないというメリットがあります

天井下がりは打合せではイメージがしにくいため、クレームとして良くご相談をいただくものです。

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特にオープンキッチンにしている場合は気になることも多い部分ですので、そうした天井下がりがなく高い天井を維持できるのは循環型レンジフードの大きなメリットと思います。

花粉症対策

温熱環境とは異なる視点で、室内循環型レンジフードは花粉症対策として効果的です。

一条工務店の家では、キッチンの換気扇を使用していない状態であれば基本的にロスガードを通じた空気しか室内に入ってきません。ロスガードにはPM2.5対応のフィルターも取り付けることができ、花粉の侵入を大きくカットすることができます。

しかし、キッチンで換気扇を使ったときに開く給気口にはフィルターは付いているものの、極めて簡易なフィルターで花粉を大きくカットする効果は全く期待できません。

そのため花粉の時期にせっかくロスガードでフィルターを通じて花粉のない空気で家を循環させていても、キッチンで換気扇を使ってしまうと室外から花粉を含んだ空気を大量に引き込むことになります。

具体的に言えば、30分間「強」状態で換気扇を使うと(約200㎥の空気を室内に引き込み)、家の中の空気全てを花粉を含んだ空気で満たす量を室内に引き込んでしまうことになります。実際は室外から入ってきた空気も換気扇で吸い出すので3分の1程度と思います。

ただ、通常の換気扇を使えば確実に室内の花粉量は多くなります

それに対して室内循環型換気扇を使用すれば、室内の空気を循環させているだけですので、ほぼすべての空気はロスガードを通じた花粉の少ない空気となります。そのため室内循環型レンジフードは花粉症対策としては高い効果が期待できます。

外壁が汚れない

通常の換気扇は油などを含んだ空気を外に排出します。

長期間換気扇を使用しているとどうしても換気扇の排出口付近がどうしても汚れてきます。

室内循環型レンジフードは外に空気を排出しないため、外壁を汚すことがないというメリットもあります^^

ただ、i-smartなどの場合全面タイルが多いのでこれはあまり喜夫にならないかも知れませんが???

まとめ

後半はやや室内循環型レンジフードの説明になってしまいましたが、今回のキッチンカウンター下のカビの問題は一条工務店の住宅性能の高さ故に発生しているものと思います。

それ故に、抜本的な対策が難しく、現状では一条工務店も目視確認をするなどの対応は採っているものの、完全な対応には至っていません。

室内循環型レンジフードは初期費用はかかるものの、カビ対策としても効果が高く、また寒さ対策や天井下がりの問題、花粉対策としても高い効果が期待できることから、実際に使用しているものの一人として非常にお勧めと思います。

カビはどこにでも発生するものですが、やはり口にするものが多いキッチンでの発生は気になるかと思います。

現在設計打合せ中の方は室内循環型レンジフードの採用を検討してみてはいかがかと思います!