なぜ太陽光発電電力を+1円高く買いとってもらえるのか?そのカラクリ!

こんばんは。さすけです。

今回は、気になっている方も多いのではないかと思う

太陽光発電された電力を固定価格買い取り制度の売電単価よりも1円高く買い取ります

というサービスについてです!

お客さんの側もそうですが、一条工務店やその他のハウスメーカーの営業さんなどでお客さんから「パナソニックが太陽光発電した電気を1円高く買ってくれるらしいけど、メリットとデメリットは?そもそもうちではこのサービスを受けられるの?」などと聞かれて困っている方が多いのではないかと思います!

そこで、今回は、この太陽光発電された電力を固定価格買取制度の売電単価より+1円高値で買い取りしてくれるといういわゆるプレミアム価格サービスのメリットとデメリット、そしてそもそもなんで+1円で売電が可能になるのか?その仕組みについて説明してみたいと思います。

内容的に少し難しい部分もあるかもしれませんが、できる限りわかりやすく書いてみたいと思います\(^o^)/

目次

固定価格買い取り制度の売電価格よりも+1円高く買ってくれるサービス!?

サービスを提供している新電力会社(PPS)

新電力会社(PPS:Power Producer and Supplier)と呼ばれる、新しい形の電力会社が、固定価格買い取り制度で契約した売電単価よりも+1円高く電力を購入してくれるというサービスがあります。

一番有名なのはパナソニックのソーラープレミアムというサービスだろうと思います。

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また、ソフトバンクグループのSBパワー(新規受付終了)がサービスを提供している「電力買取サービス」もありましたが、すでに新規受付は終了しています。

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ソーラープレミアムやSBパワー以外にも、九州電力を対象とした「みやまスマートエネルギー」は固定価格買い取り制度よりも1円高く買い取るサービスを、上場企業である株式会社アミタと提携するエヌパワーは固定価格買い取り制度の料金よりも+0.5円高く買い取るサービスを開始しています。

+1円買い取りのメリットは?~買い取り価格以外何も変わらないこと~

+1高く買い取ってくれるサービスっていうのは、ちょっと良さそうだけど、契約の変更だったり、売電先を変更するってことは何か装置を買わされたりしそうだし工事も必要なんじゃないの??と思いますよね。。。

通常、固定価格買い取り制度よりも売電単価+1円高く買い取ってくれるサービスでは、「売電単価」と「振り込み先」以外はほとんど何も変更がありません

パナソニックのソーラープレミアムのサイト上には、

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固定価格買い取り制度によって売電がなされていれば設置年度やメーカーの制限なし工事や機器の変更も不要申込手数料や月額費用もなし、となっています。

通常こういったサービスでは、「太陽光の売電先を変更するついでに、電気の購入先も東京電力や中部電力、関西電力といった電力会社から、ソーラープレミアムに変更してね」といったように、電力の契約先の変更などがセットになりそうなイメージがあります。

しかし、太陽光の売電に関しては「あくまで太陽光の売電先のみを変更する」だけで良いのです。

結果として、使用している電力自体は、いままでと同様、東電なり、中電や関電から購入し、機器のメンテナンスも各電力会社が担当することになります。

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あくまで、「売電先」と売電価格が+1円上昇する以外はほとんど何も変わらないというのです。

おいしい話に聞こえてきますよね。

売電単価が+1円高くなるというのはどの程度お得なの??

具体的に売電単価はいくらになるの?

固定価格買い取り制度では、太陽光発電パネルの認定時期によって売電単価が異なっています。

私が家を建てた2012年であれば、余剰、全量ともに42円/kWh、2011年は、余剰が39円/kWh、全量が37円/kWhと段階的に下がっていき、2015年7月以降は余剰が33円/kWh、全量だと27円/kWhとなっています。

パナソニックのソーラープレミアムのように、固定価格買い取り制度の金額+1円で発電した電力を買ってくれるということは、2012年契約の我が家ならば42円→43円/kWhになり、直近で余剰電力で契約している方であれば33円→34円/kWhに、全量ならば27円→28円/kWhになるということを意味します。

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売電単価が+1円高くなるというのはいったいどの程度お得なのか?

売電単価が+1円高くなるというのはいったいどの程度お得なのか?ということが気になると思います。

注意すべき点は、お得になる金額はパネル搭載量のみによって変化し、売電開始時期には無関係ということです。

年間発電量が1000kWhであったとき、売電単価42円ならば42000円の収入で、+1円高く売電できたのなら43000円となります。よって1000円お得になるということです。

一方で、33円で売電した場合、33000円の売電収入ですが、+1円高く売れたら34円で売電できるので、34000円となります。このときお得になった金額も1000円となります。

非常にざっくりした計算ですが、ソーラーパネルは1kWあたり年間1000kWh程度発電をします。このことから、固定価格買い取り期間中全期間を通じて+1円高く売電できたとするならば、いったいいくらお得になるのかを計算したのが下の表です。

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余剰電力買い取りである5kWのパネルを搭載しているケースでは年間5000円の売電収益増になり、売電期間10年間の合計で5万円の収入増になります。

10kWのパネル搭載をしている場合は全量買い取りになりますから、20年間の固定買い取り期間が設定され、全期間を通じて約20万円の売電収益増加につながります。

もしも、手間がかかって、工事なども必要となるならば手間を考えると微妙ですが、工事も不要、手続きも1回限りの手続きということであれば、正直、年間5千円でも収益が増えた方がお得なように思います

+1円買い取りにデメリットはないの?

なんだか、良いことばかり書いてきましたが、じゃあデメリットはないのか?と思うのが人情です。うまい話には裏があるのが常というものです。

ということで、デメリットについて考えてみたいと思います。

購入している新電力会社(PPS)が倒産したり、事業から撤退したらどうなるの?

パナソニックが倒産するという想定はあまり現実的とは思えませんが、20年間という長期のことですから、途中で倒産したりしたら売電ができなくなってしまったりするんじゃないの?と思います。

結論から言うと、万が一ソーラープレミアムがつぶれたり、事業を撤退した場合は、一般電力会社である東京電力や中部電力、関西電力が再度契約してくれます。当然ですが、その場合は「+1円」のメリットはなくなりますが、「一度出て行ったんだから、買い取り価格は値下げ」などということはありません^^;

あくまで当初の契約単価通りに再契約をしてもらうことができます。よって、倒産や事業撤退をしたとしても、顧客側にデメリットが及ぶ可能性は低いといえます。なぜ必ず再契約してもらえると言い切るのかは後ほど書きます。

契約期間がある

パナソニックのソーラープレミアムの場合は、契約期間として1年が設定されており、途中での解約はできません。その後は自動更新となりますが、1年経過時点でであれば解約することは自由にできます。解約後は当然、東電などの一般電力会社が売電契約を引き継いでくれるので、その点も問題はありません。

ちなみに、ソフトバンクグループのSBパワーの場合は、契約期間が当初3年で、その後は2年ごとの自動更新となっていたため、パナソニックのソーラープレミアムよりも条件が悪いといえます。

振込期間が6ヶ月ごとになる

ぶっちゃけ、ほかのデメリットはデメリットと言っても、無理矢理「デメリット」と読んでいる程度で、たいしたデメリットではありません。

しかし、この振込期間が変更されるという点は、ソーラーパネルをローンで購入しており、パネル設置容量が大きい方は十分に注意する必要があります。

場合によっては、これが+1円売電をできない最大のデメリットになり得ます。

東京電力などの通常の電力会社は毎月振り込んでくれますが、ソーラープレミアムをはじめ、+1円で買い取りをしてくれる新電力会社は売電額を半年に一度まとめて振り込んでくれます。

そこで、問題になるのがソーラーパネルをローンで購入したケースです。10kWのソーラーパネルならば、月々のローン返済がおおよそ3万円程度ですから、6ヶ月でも18万円程度です。しかし、50kW程度になってくると、月々の返済額も15万円程度になり、半年間の合計返済額は90万円となります。

月々に、売電収益が振り込まれて、ローン返済も月ごとであれば、そのバランスはだいたいとれるので大きな問題にはなりません。しかし、振り込みが半年に一度になった場合、50kWのように大容量のパネルを搭載している方の場合は、90万円程度の持ち出しが必要になってきます。

そのため、銀行の口座には半年に一度振り込まれた時点で100万円程度の現金に余裕がないと、半年後までには資金がショートしてしまいローンの支払いを滞らせてしまうと言う大事故につながります。

10kW程度であれば、20万円弱なので大きな問題にはなりにくいですが、それでもやはり資金ショートには注意が必要になります。

口座の現金に多少余裕があれば、+1円で売電できるのは魅力的ですが、その魅力に負けて、ローンの支払いを滞らせることだけは絶対に避ける必要があります。

電力会社は本当に再契約をしてくれるの?

ソーラープレミアムの場合は、契約期間が1年となっていますから、1年が経過した時点で契約を更新しないという選択も可能です。その場合は、東電や中電、関電などの一般電力会社と再契約が必要になりますが、本当に無条件で再契約できるのか?ということを不安に感じられる方もいらっしゃるかと思います。

一度出て行ったのに、やっぱり契約し直すから同じ条件で契約しろって、ちょっと都合が良すぎるように感じるかもしれません。

でもその点は安心して大丈夫です。というのも、「再生可能エネルギーに関する特別措置法」の第4条1項の定めによって、原則として「締結を拒んではならない」と定められているのです。

2014年10月に九州電力などがソーラーパネルの新規受け入れ停止した際にも問題とされたのは、この条項が存在するためです。

そのため、再契約が行えないという事態はほぼないと考えて良いかと思います。

でも私はまだ契約しませんが・・・

パネル認定時期の違いによるメリット・デメリット

えーと、、、ここまでソーラープレミアム万歳な感じの記事を書いてきた訳で、通常のブログなどであれば、「私も契約しました!売電金額も上がってラッキー!、皆さんも下のバナーをクリックして契約してください!」なんて書くところなのだと思うのですが、、、今のところ私はまだ契約するつもりはありません。

私が契約をしない理由は「2016年4月以降にもう少し条件の良い新規電力会社が出てくるのではないか?」と考えているためです。

特に、私は2012年に固定価格香取制度の適用を受けています。好条件が得られる可能性が高いのは、2014年3月末までに売電契約を完了させた方のみです。

逆に、2014年4月以降に売電契約をしている方は、今後条件が悪化する可能性もあるためソーラープレミアムなどと現時点で契約をしてしまうと言うのも手のように思います。

なぜ2014年3月と4月で分けるのか?というのは後ほどくわしくかきますが、2014年4月1日以降は同じソーラーパネルでも「回避可能原価」が変わっているのです。。。

ソーラープレミアムは、設置年度によらず+1円という価格を設定していますが、すでに新規募集を停止しているソフトバンクグループのSBパワーの場合は、「平成26年4月(2014年4月)以降の買い取り価格が適用されている太陽光発電設備はサービス対象外」となっており、2014年3月以前に契約した人以外には+1円での買い取りをしていませんでした。

この2014年3月末まで、というのが今後より好条件が出てくる可能性のある分岐点になると思っています。

私自身は2012年度の契約ですから、より条件が良くなる可能性があります。

電力自由化によるより好条件の出現の可能性

そして、2016年4月には電力の「小売り完全自由化」が待ち構えています。

これまで私たち一般消費者は、電力会社を自由に選ぶことはできませんでした。茨城県に住む私は東京電力以外の電力会社と契約することはできませんでしたし、浜松に住んでいる方は中部電力以外とは契約できなかったのです。

しかし、2016年4月以降は、このような縛りがなくなり、私たち一般住宅に住む顧客も電力会社を自由に選ぶことができるように法律が変更になるのです。

当然、2016年4月以降は新規電力会社も一般小売りに参入し競争が激化すると思います。

ソフトバンクなどは、全国2600店で携帯電話と一緒に電力を販売するという報道がなされています。携帯電話とのセット割りなども提供されるとのことです。

このような競争が生まれれば、当然のように「うちの電力会社から電気を買う契約をしてくれたら、売電金額は+1.5円/kWhで購入します」などという新電力会社が現れてくるのではないか?と思っているのです。

今、パナソニックのソーラープレミアムと契約してしまうと1年間は契約先を変更することができなくなります。好条件の新電力会社は、一番最初はある種の「客寄せ」的な大幅な好条件を提示してくる可能性があるのではないかと思うのです。

そのときに、ソーラープレミアムとの契約に縛られてしまっていて、契約変更が行えなかった場合、おいしい機会を逃す結果になるのではないか?と思っており、現時点では+1円で売電できるソーラープレミアムとは契約をするつもりはありません。来年の10月ぐらいになって、条件の良い新電力会社が出てこなければソーラープレミアムと契約すると思います^^

で、もしも、2014年4月以降に売電契約をしている人、すなわち、売電単価が全量で税抜き32円/kWh以下、余剰の場合で37円/kWh以下の売電単価の方は、来年4月を過ぎてもあまり良い条件が提示される可能性は高くないので、現時点でソーラープレミアムと契約してしまっても良いように思います。。。。

 

最後にもう一つまだ契約をしない理由がありますが、それは最後に示します。

+1円のからくり:どうやって事業者は利益を出しているのか?

この内容はおそらくそんなに外れていることはないと思いますが、もしかしたら違うかもしれません?でもこれ以外には利益を出せる方法が思いつきません

+1円買い取りは慈善事業じゃありません!

ソーラープレミアムのように、太陽光発電された電力を+1円の高値で買ってくれるサービスを見て、「どうやって利益を出しているのだろう?」と疑問に思った方も多いかと思います。

だって、固定価格買い取り制度という法律で定められた売電単価よりも高値で買ってくれるというのでは、どう考えても事業者側が損をしてしまうように見えます。

この辺はちょっとせこいというか、ある意味狙っているのだと思いますが、あえてわかりづらく説明しているように思うのです。

ソーラープレミアムはなぜ1円高く買い取れるの?うさんくさい理由

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ソーラープレミアムはなぜ固定価格買い取り制度の金額よりもなぜ1円高く買い取れるのか?ということを説明した箇所があります。

それによると「太陽光の不安定な電力を、独自の予測システムや電力の運用ノウハウを活用してコストを削減しながら安定供給できるため」に高く買い取ることができると説明しています。

いやいや、ちょっと待ってくれよと、、、独自の予測システムと運用ノウハウだったら、こればかりはパナソニックによりも東電や関電といった従来の電力会社の方が技術的に優れているのはあきらかと思います

100歩譲って、太陽光による発電量の予測システムに関しては、パナソニックの方が電力会社よりも優れていたとしても、「だから高値で買い取れます」という理由には全くなっていません

そして、それに続けて、

  • 買い取らせていただいた太陽光の電力は、パナソニックグループで大切に使わせていただきます。
  • 私たちは、再生可能エネルギーを積極的に活用することで、地球環境の保全に貢献して行きたいと考えております。

という、自分たちは環境に良い取り組みをしているという「お話」が書かれています。。。

本当に環境に良いことをしているのは誰か?

余談ですが、固定価格買い取り制度を使って太陽光発電された電力を使っても環境に良いことをしているとは言えないと思うのです。

確かに、太陽光発電を活用するというと、環境に良さそうなイメージはあります。でも、考えてみると、太陽光発電設備を設置しているのは、パナソニックではありません。もっと言うならば、固定価格買い取り制度では、太陽光発電による電力は十分な採算が確保できる程度に高値で買い取ってもらえることが保証されており、その上乗せされているお金は再エネ賦課金として電力受給者全員で負担しているのです。すなわち、値段が高くても太陽光発電された電力を購入し環境に良いことをているのは、電力受給者全員であってソーラーパネルの設置者でも、パナソニックでもないのです。

ソーラーパネルの設置者は、高値で売電できるからソーラーパネルを設置しているだけなのです。いやいや、自分はそんなつもりはないという方は、固定価格買い取り制度を使わなければそれを主張できます。また、余剰電力買い取り制度を使用している方は自家消費分だけは環境に良いことをしているといえます。しかし、全量買い取り制度を導入しているケースや、さらには固定価格買取制度に基づいて契約した電力を購入したパナソニックが「環境に良いことをしている」と言うのはやはりちょっとおかしい気がするのです。

それでも、パナソニックのソーラープレミアムは+1円高く買い取ってくれるのだから、その分環境に良いことをしているのではないのか?と思われるかもしれません。。。

でも、結局は世の中お金です($_$)

というのは、冗談にしても、パナソニックやソフトバンクは、+1円買い取りを慈善事業で行っているのでもなければ、環境事業、CSR事業の一環で行っているわけでもありません「儲かる事業」として+1円買い取りを進めているのです\(^o^)/

ではどうやって利益を出しているかを説明してみたいと思います!

+1円で利益が出る仕組み

固定価格買い取り制度で定められた金額よりも+1円高く買いとっているのになぜ利益が出るのか?ということを不思議に思った方も多いかと思います。

通常であれば、どうやって利益が出せるのかをある程度説明してくれるのですが、パナソニックなどは「独自の予測技術」などというよくわからない理由で高く買い取れるという、かなりうさんくさい理由を述べています。

これはある種の手品と一緒で、種がわかってしまえば、そりゃ儲かるよな~というからくりがあるけど、そのからくりをあまり公に言ってしまうと、なんだかイメージが良くないから「独自の技術」というある種の「オブラート」に包んだ表現になってしまっているのです。

再生可能エネルギーとお金の流れ

少しややこしいけれど、太陽光発電された電力とお金の流れについて見てみます。

仮に2012年度の契約で42円/kWhで固定価格買い取り制度を使用していると仮定します。

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ソーラーパネルを設置している人が、100kWhを発電した場合、電力会社に対して、100kWhを売電すると電力会社は発電しに対して4200円を支払います。

100kWhの電気をお客さんに販売する際の価格は、15円/kWh程度ですから4200円で買ってきた電力が1500円でしか売れません。これでは電力会社は太陽光発電電力を購入すればするほど大損を出すことになってしまいます。

そこで、国が法律によって電力の消費者全員から「再生可能エネルギー賦課金」という電気料金とは別に電力の使用者からお金を取って良いという法律を作りました。

電力の利用者全員から集められた再エネ賦課金は、太陽光発電を高値で買った分を補填するための補助金として電力会社が受け取ります

しかし、100kWhを4200円で買ったとき、4200円の補助金を受けてしまうと電力会社が儲かりすぎてしまいます。

なぜならば、もしも太陽光発電によって電力を購入してこれなければ電力会社は火力発電などを使って100kWhを発電しなければならなかったはずなのです。しかし、太陽光発電で100kWhを発電してくれたおかげで、自分たちの燃料を使って火力発電をしなくてすんだと理解することができます。すなわち、自前による発電を「回避」できたのです。この回避できた分の費用は、差し引いて補助金を受けるのが筋というものです。

そこで、国(低炭素促進機構)は電力会社ごとに1kWhの発電を回避した場合の費用を「回避可能費用」として算定し、毎月公開しています。それによると、東京電力の場合は月によってばらつきはあるものの、おおむね9.1円/kWh程度が回避可能費用として算定されています。

そのため、42円/kWhの買い取り価格から、回避可能費用9.1円/kWhを差し引いた32.9円/kWhが補助金として電力会社に支払われます。100kWhの太陽光発電電力を購入したら、電力会社は3290円の補助金を受けることができるのです

すなわち、電力会社は本来発電コストの高い太陽光発電による電力を購入しても補助金が出ることで、実質9.1円/kWhの発電原価で電力を入手できたことになります

こうすることで現在の技術では、発電原価が高い太陽光発電による電力を、火力発電などと同程度の発電原価で調達することができるのです!

要するに、私たちは高値で買ってくれることから「原価も高い」と思っている太陽光発電電力が、実は補助金による穴埋めがなされることで、他の電力と同程度の発電原価になっているのです。

ここまでは、「固定価格買い取り制度」によって電力会社が損をしないための仕組みとして理解できたでしょうか?

+1円で購入すると言うことの意味

それでは、パナソニックのソーラープレミアムが+1円で太陽光発電された電力を購入した場合どうなるでしょうか?

ソーラーパネル設置者が、売電先を東京電力からパナソニックのソーラープレミアムに変更した場合、補助金を受ける権利もソーラープレミアムに移ります

すなわち、ソーラープレミアムが、42円/kWhで契約していたお客さんに+1円の高値を設定した場合、43円/kWhで電力を購入します。しかし、補助金が32.9円でるため、その発電原価は

43円/kWh - 32.9円/kWh = 10.1円/kWh

となるのです。すなわち、実質10.1円/kWhで電力を発電したのと同じことになるのです。

でも、電力会社は9.1円/kWhで手に入れているのに、+1円でも原価が上がってしまったら割が合わないのではないか?と思うかもしれません^^

もちろん、損はしませんよ!

昼間の電気料金は15円/kWhで買っている

パナソニックの工場など、大規模事業所では「特別高圧」という電力契約をしています。このときの電気料金がおおよそ15円/kWhなのです。ようするにパナソニックが工場を動かすためには、電気の利用者として1kWhあたり15円を出して電気を買ってこなくてはいけないのです。

 

そろそろからくりが見えてきたでしょうか??

 

パナソニックは、何もしなければ15円/kWhで電力を購入してこなければならないのです。

結果として、約5円の粗利が得られるのです。(実際には電力を買い取るための人件費や託送料金などいろいろな費用が発生しますから、最終利益は5円にはなりません。)

パナソニックのCSR報告書によると、パナソニックはグループ全体で年間40.3億kWhの電力を使用しています。

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仮に、このうち1割の4億kWhが太陽光発電由来の電力に切り替えられた場合、

4億kWh×5円/kWh=20億円

の粗利を得ることができるのです。2割が太陽光発電由来になれば40億円の粗利となります。

本来、発電原価の安い電力を調達するためには、自分たちで発電所を建てて発電するしかありませんでした。日中の調整電源として使用する効率的なLNG火力を想定した場合で、1kWあたり10万円の先行投資が必要になります。年間4億kWhを発電するためには、ざっくり10-15万kW程度のLNG火力発電設備を所有する必要がありますから、100-150億円の先行投資が必要になります。

これだけの投資は簡単に行うことができる投資ではありません。それに、将来的にはLNGの価格変動リスクにもさらされるのです。

その点太陽光発電の場合は自分たちで設備投資をせずに、ただ単に電力の購入先を変更してもらうだけで、発電原価の安い電力を容易に調達できるのです。

正直、「大規模な電力消費者からしたらかなりおいしい話」なのです。

以上が、+1円のプレミアム料金を設定しても儲かる仕組みです。

でも、実はそんなに甘い商売でもないのです。。。

パネルの設置時期によって回避可能費用が変わってくる

ソーラープレミアムは偉いと思う

なんだか、悪く書いてしまったように思うのですが、個人的には、ソーラープレミアムは偉いと思っているのです。

というのも、さきほど「回避可能原価」を9.1円/kWhと書きましたが、これは2014年3月末までに認定された太陽光発電設備の場合の回避可能費用であって、2014年4月以降に設置されたパネルの回避可能費用は直近1年の平均で11.3円/kWhに変更されているのです。

回避可能費用がパネルの設置時期によって、+2円高くなっているのです。

すなわち、2014年3月末以前に設置したソーラーパネル設置者から電力を購入した場合、9.1円/kWhで電力を調達できたのが、2014年4月以降にパネルを設置した家から電力を購入した場合は、11.3円/kWhで発電したということになってしまって、発電原価が2円高くなってしまうのです

そのため、ソフトバンクグループであるSBパワーは2014年3月末までに契約を終了したパネルのみが契約の対象であって、それ以降に設置されたソーラーパネルは契約対象外としていました。

どうせ契約してもらうならば、利益率の高い「2014年3月末以前の契約者」と限定した方がしっかりと利益を出すことができるというわけです。

その点、パナソニックの方は「設置年度によらず契約可能」としています。すなわち、原価が高い太陽光パネルであっても+1円で買い取ると言っているのです。

 

ソフトバンクが2014年4月以降の電力を買い取らないのは利益の出し方の違い

ソフトバンクグループが2014年4月以降に設置されたパネルの電力を買い取らないというと、やっぱりソフトバンクは利益にあざといな~と思われる方もいらっしゃるかもしれません^^;

別にそれが悪いこととは全く思いませんが、ただ、実はそれも少し違うと思うのです。

パナソニックは、購入した太陽光発電電力の大半を自社で使い切れます。これは先に示したように年間40億kWhという膨大な電力を消費する工場を有しているからです。

一方のソフトバンクグループは、データセンターなど以外は特別高圧契約の事業所はほとんど持っていないのです。

特別高圧以外だと、託送料金が割高になってしまい利益を出すことができなくなってしまうのです。。。

 

となると、自分たちから電力を購入してくれるお客さんを探さなければならなくなります。その場合は、当然、その分のコストが発生してしまいます。最初からお客さんがいるパナソニックとはその点が違うのです。

または、売電先をさがさずに、「日本卸電力取引市場」という電力の取引市場で売電することも可能ですが、この場合は、売電価格が13.5円~15円程度と、直接売電する場合よりも若干割安になってしまいます。

そのため、パナソニックと同じ利益率を確保しようと思ったならば、より原価率の低い電力を調達してこなければならないという背景があると思っています。

私がまだ+1円で売電をしない本当の理由

建前上の理由

先ほども少し書きましたが、ソーラプレミアムは現時点で「パネルの設置時期によらず+1円」の価格を設定しています。

ということは、2014年4月以降に設置されたパネルの場合においても、利益を出す仕組みができていると見ることもできます。

2014年3月以前と4月以降に設置されたソーラーパネルでは、発電原価が2円/kWh違ってきます。

 

すなわち、2014年4月以降に設置されたソーラーパネル設置住宅から+1円で電力を買っても利益が出るならば、2014年3月以前に設置されたパネルであれば+3円で購入しても同じ利益が確保できる計算になります。

我が家は2012年にソーラーパネルを設置しています。

現時点では、この+1円の仕組みがあまりよく理解されていないことや、そもそも電力の自由化はまだはじまっておらず、電気の販売先や購入先に関する関心が薄い状況にあります。

そのため、ソーラープレミアムなどもパネル設置時期で変に価格を変えるよりもシンプルに+1円とした方が良いと判断質得ると思っています。しかし、時間が立てば原価が違う2つのパネルから同一価格で電力を購入するのはおかしいという指摘が必ず出てくると思うのです。

そうなったときには、私は高値で売電できる時期に家を建てているので、少し待った方が良いかな?と思っているのです^^(←あざといです^^策士策にはまるの典型ですね。。。)

 

そんなこともあって、現時点の+1円は様子見をしようと考えている次第です。

と、ここまでは、現時点で契約をしない建前上の理由です。

一条工務店さん、一条電力!

そして、もう一つちょっと期待していることがあります。

一条工務店が電力会社になってくれないかな~と思うのですよ。

[kanren postid=”5380″]

この記事は2013年4月に書いたものなのですが「一条工務店が電力会社をやったら良いのに」ということが書かれています。

でね。2016年4月には電力の小売り完全自由化になるわけですよ。。。

パナソニックもソフトバンクも、ものすごく苦労していることがあります。。それは「太陽光パネルを設置したお客さんに自分たちと契約をしてもらうこと」です。

顧客側としては「+1円高く買い取ります」と言われても、なんだかよくわからないし、面倒そうだしわざわざ売電先を変更するような人は、全体のなかのごくごく一部の人だと思うのです^^;

でもですよ。。。。一条工務店で家を建てている最中に、「一条工務店が新たに『一条電力』を立ち上げて、+1円で電気を買うことにしました」と言われたら、、、、少なくとも特殊な事情があるケース(自分が東電に勤めているなどの場合)を除いて、一条工務店の電力会社で契約してくれるのではないでしょうか???

 

そうするとですよ。

 

パナソニックなどがCMを出したり、ネット広告を出したりして必死にお客さんを集めている状況に対して、家を建てる過程で自然の流れとして、お客さんを「一条電力」に囲い込むことができてしまうのです。

年間1万棟の建設をして、ソーラーパネルの平均搭載量が14kWですから、年間14万kWのパネルに相当します。

過去のお客さんなども含めればおそらく50万kW程度はすぐにいくはずです。

50万kWのパネルは年間5億kWhを発電します。仮に1kWh2円の利益が確保できれば年間10億円の利益を出すことができてしまうのです。

しかも、「一条電力」でお客さんを囲い込むことによって、アフターサービスなどにつなげていくこともできてしまうのです!

さらに、電力自由化後は一条電力は単に電気を買うだけではなく、売ることもできるようになります。

一条工務店の住宅は床暖房やロスガードを使用してますから、これらの運用形態に合わせた独自の電気料金プランを作って提供することで、お客さんの電気料金への不安に答えていくこともできます。

例えば、「全館床暖房特別電気料金」なんてプランもあり得ます。

と、そんなことをしてくれないかな~と思って、2016年4月に一条工務店からお宅の太陽光発電電力を「+2円で購入します」という案内が来るのを首を長くして待っているのです。

それなのに、ほかの電力会社と契約してしまったのでは裏切り行為になるため、私は待っているのです!

これが本音です^^

一条工務店さん、待ってますよ!!