高気密高断熱住宅に全館床暖房は不要だ!(上)

こんばんは。さすけです\(^o^)/

皆さん、ハウスメーカー巡りをしている際などに「高気密高断熱住宅に全館床暖房なんていらない」と言われたり、「電気代がかかるだけで無駄だ」とか、「蓄熱式暖房で十分暖かいですよ~」などと言われたことはありませんか?

私はいくつかのメーカーで言われました^^;

一条工務店の家に住んで非常に快適な冬を過ごした今も、その言葉は気になる分けです。別に一条工務店に限らず、「外断熱なのだから床暖房はいらない」、「高断熱高気密なら小さなエアコンで十分に暖かくなる」などなど、枚挙にいとまが無いほど高断熱高気密住宅には床暖房が必要ないということが多く言われています。

もしかして、わざわざ値段の高い全館床暖房なんて採用しないで、蓄熱暖房やエアコンで十分だったんじゃないだろうか?なんて思ってしまうわけですよ。。。

高断熱高気密なんだから全館床暖房なんて言うのはオーバースペックで不必要です

と言われれば、確かにそうかな~、と思ってしまうのです。私は思いました^^;

そこで、今回は一条工務店に限らず、高断熱高気密住宅に床暖房は必要なのか?という疑問について大まじめに考えてみたいと思います\(^o^)/

はじめに

最初に断っておきますが、私は一条工務店の全館床暖房をもの凄く気にいっています。2回の冬を過ごしましたが、過去30年以上あったはずの冬がなくなってしまったかのように錯覚するぐらいに快適です。

でも、それはあくまで「高断熱高気密」のおかげであって、床暖房のおかげか?と聞かれるとよく分からないわけです。もしかしたら、エアコンによる全館空調にしていても、蓄熱暖房にしていても同じ程度に快適だったのかも知れないな~と思うわけです。

また、私がハウスメーカー巡りをしている際や、ネットで高断熱高気密のことを調べている中で多く見かけたのが

高断熱高気密住宅に全館床暖房は必要ない

という論調でした。こればっかりは、私がいくら快適だと思っていても、否定も肯定もできません。。。

だって、他の暖房器具を付けた高断熱住宅に住んだことがないわけですから。。。

まさかとは思いますが、一条工務店は単に私達顧客に対して、本当は値段が高いだけで不要なのにもかかわらず、アピール性が高いと言う理由で全館床暖房を採用しているだけかも知れません!!

そうだとしたら、全館床暖房最高!なんて言っている私は一条工務店の宣伝戦略が垂らした釣り針にまんまとひっかかった魚みたいなものです。。。。

そんな宣伝戦略に騙されていたとしたら悔しいことこの上ありません!!(・д・)

そこで、全館床暖房は本当は不要なのではないか?という立場に立って考えて見ることにしました。

「高断熱高気密住宅に全館床暖房が必要ない」とされる理由

高断熱高気密住宅に全館床暖房が必要ないとされる理由はざっくりと言ってしまえば

「高断熱高気密なんだから、高価で、万が一配管に何かがあったときのメンテナンス性の悪い床暖房なんかよりも、エアコンや蓄熱暖房のように値段が安く、故障しても交換可能な暖房器具の方が良いですよ」

ということだと思います。

確かに、全館床暖房を採用してしまえば、「個別空調」にもどることはできません。嫌でも「全館24時間暖房」をさせられる事になります

そして、万が一配管に問題が生じた場合は、床を剥がして補修をすることになり、多大な費用負担が必要となります。。。

言葉の響きや、第一印象の良い「全館床暖房」も少し落ち着いて考えると、本当に良いものなのか?と疑問がわいてきますよね。

もしも快適性が同じ程度ならば、全館床暖房なんかよりも、エアコンや蓄熱暖房と言った「全館暖房にも使えて、かつメンテナンス性の良い暖房器具」でも良かったんじゃないか?なんて思うわけですよ。

どう考えれば良いか?

全館床暖房が良いか、それとも蓄熱暖房やエアコンが良いか、といった問題をどのように考えれば良いかについて考えてみました。

結局、電気代、そして何よりも快適性なんだと思います。

電気代は定量的に表しやすいですが、快適性というの主観が入りますからなかな難しいです。

そこで、この「快適性」というのを「室内の温度をどれだけ一定に保てるか?」という問題に置き換えて考えてみることにしました^^

高気密高断熱住宅である一条工務店の家に住んでつくづく思うことですが、足下と頭の高さの温度が同じであると言うのは、これほどまでに快適なのか!と思うほどに快適です。

ですから、室内の温度が一定に保てるならば別に床暖房にこだわる必要なんて無いと思うのです。

吹き抜けは寒い?

我が家もそうでしたが、「吹き抜け」って憧れがありますよね!私だけ??

私と妻は一条工務店の宿泊展示場で吹き抜けを見て、「吹き抜けありき」で設計打ち合わせをしていました。でも、吹き抜けのある家って、実際の家ではそれほど多くはありません。理由はやっぱり「寒いから」なんだろうと思います。

以下は、建築研究所と足利工業大学の共同研究によって行われた「吹抜け空間の環境性能に関するアンケート調査」を日経アーキテクチャが取りまとめたアンケート調査の結果です。吹き抜けのある家に住んでいる方52人、吹き抜けのない家に住んでいる方73人に「家の寒さ」についてアンケートを実施した結果です。

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アンケートの結果は、吹き抜けがある家では「寒い」と感じる人が約40%もいるのに対して、吹き抜けのない家に住んでいる方は家が寒いと回答したのは約15%であったことを示しています。

このアンケートの結果から、吹き抜けがある家に住んでいる人の方が「寒い」と感じやすい、すなわち、吹き抜けが家の寒さの原因となっていると言えそうです。

ただ、これは私の主観ですが、私の家にも吹き抜けがありますが、「寒い」と感じたことは全くありません。

でも、私の感想なんかでは「床暖房が必要」とは言えません。

なぜならば、床暖房以外のエアコンや蓄熱暖房を採用していても同程度に暖かったかも知れないからです。

しかし、住宅の室内で最も過酷であろう「吹き抜けがある空間」で室内温度を均一に保てるならば、他の部屋でも十分に室温を均一に保てるだろうと言うことは言えそうです。

吹抜のある空間で、床暖房、エアコン、蓄熱暖房などのいずれもが室温を均一に保てるならば最もコストが安く一般的なエアコンを選択することが合理的と言えるのではないかと思います。

すなわち、吹き抜けのように多くの人が「寒い」と感じやすい空間においてエアコンや蓄熱暖房でも我が家と同程度に温度を安定させることができるのであれば、全館床暖房は不要と言えます\(^o^)/

吹き抜けにおける、エアコン v.s ファンヒーター v.s 床暖房

根拠となる研究を色々探してみると、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 准教授 前真之さん達の研究グループが「吹抜け空間の室内環境に関する検討」などの研究で、エアコン、ファンヒーター、床暖房という3種類の暖房設備で吹き抜け空間を温めた場合、室内の温度分布がどうなるかのシミュレーションを行っていました!

高さ4.8mの吹き抜けでのシミュレーションとなっており、我が家の吹き抜けの高さ5mとほぼ同じです。以下図はケンプラッツより。

エアコン暖房の温度分布

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エアコンから35℃の空気が部屋の中央に向かって吹き出しているのがよく分かります。

また、注目すべきは足下に水色の「寒い部分」が広がってしまっている事です。これは吹き抜け故の空気の挙動ですが、吹き出した暖かい空気は足下に達することなく吹き抜け丈夫に上昇してしまっています。結果的に、足下に寒さを感じることになります

ただし、通常の高さ2.4mの部屋であれば、

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エアコン暖房であっても床面まで十分に暖めることができることがわかります。

ちなみに吹き出し風速が300㎥/時という風量は、エアコンの風量を「中」にした程度と思います。風速に換算すると2m/s弱とお思います。

直接風が当たり続ければ不快に感じる程度に風が吹き出ているイメージです。

エアコン暖房では、通常の部屋であっても、足下だけ寒く感じることはありませんが、部屋の中で「暖かい場所」と「快適な場所」といったような温度ムラができてしまうことは避けられないようです

ファンヒーター

続いてファンヒーターについて見てみます。ガスファンヒーターによるシミュレーションであるため、吹き出し温度が70℃と高温になっています。

蓄熱暖房の吹き出し温度がどの程度かはわかりませんが、蓄熱暖房の仕組みは熱したレンガに空気を触れさせて吹き出す仕組みですから70℃にはならないように思いますが、エアコンほどは低い温度に設定することはできないと思うので、ファンヒーターによる温度分布と類似していると思います。

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温度が高い空気は軽いため、ファンヒーターから吹き出した70℃の空気は一気に天井に向かって上昇していることがわかります。

その結果、天井の方は暑いくらいなのに、足下は寒いという状態になってしまいます

よく見ると、床表面に青い色の層が見て取れます。すなわち、ファンヒーターでは床表面温度を上げることができずに、足下は冷たく感じることになってしまいそうです。冷え性の方にとっては、部屋は暑いくらいなのに足下が冷えて辛くなってしまうかも知れません。。。

床暖房

最後に床暖房の部屋の温度分布です。

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一目瞭然と思います。

先に見てきたエアコンやファンヒーターによって暖房した部屋の温度分布とは明らかに違います。何だったら計算し忘れたんじゃない?と思うほどに温度が安定していることがわかります。

そして、当たり前と言えば当たり前なんですが、床暖房の場合は足下の温度がエアコンやファンヒーターによる暖房よりも暖かかくなっている点に特徴があります。エアコンやファンヒーターは、空気を直接暖めているため頭の高さについては十分な温度にできる一方で、床表面付近の温度を十分に暖めることができていませんでした。それに対して、床暖房は床自体を暖めているため足下付近から頭のあたりまで温度がほぼ一定になっています。

これは冷え性の方にとっては非常にありがたいことと思います。また、エアコンやファンヒータと違って「暖かい空気」を吹き出すわけではないため、余分な気流が生み出されてホコリが舞い上がるような事もありません。

エアコン v.s. ファンヒーター v.s. 床暖房、どれが一番快適か?

まとめると

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このようになります。

結果は一目瞭然ですね。。。エアコンは吹き出し口から35℃の暖かい空気が吹き出て、部屋を暖めていますが足下に温かい空気が届かないため、足下が冷えてしまっています。ファンヒーターは吹き出し口から70℃の熱風が吹き出していますが、一気に上昇気流となって温かい空気が天井の方に行ってしまっています。よく見ると、床面が水色になっており床の表面は冷たい状態である事がわかります。

そして、最後に床暖房・・・床を温めていますから当然床表面が冷たくなることはありません。そして、何よりもエアコンやファンヒーターと比べると部屋全体の温度が均一になっていることが非常によく分かります。

以上の東京大学前研究室のシミュレーション結果を見る限り、「快適性=室温の均一性」と考えるならば

床暖房はオーバースペックでエアコンや蓄熱暖房でも同じように快適だ

という仮説は却下されると考えて良さそうです。すなわち、温度ムラのない快適な生活を望むならば床暖房を採用するのが良さそうです。

私はまだ納得してないぞ~

確かにエアコンや蓄熱暖房(ファンヒーター)などと比較して、床暖房が快適なのは間違いなさそうです。

でもね。まだ私は納得していません。。。

だって、まだ「床暖房が快適だ」ということが言えただけで、「全館」である必要も「24時間」である必要もあるとは言えていないのです!

高断熱高気密で全館床暖房となると、施工できるハウスメーカーや工務店は非常に限られてきますが、高断熱高気密で「リビングだけ床暖房」なら施工してくれる中堅のハウスメーカーや工務店はあります!!

次回は、「全館床暖房が必要なのか?」について考えてみたいと思います\(^o^)/