住宅ローンの金利の行方は?そもそもフラット35と変動金利はどうやって決まっていくの?

こんばんは。さすけです。

家を購入する際の受託ローン金利、、、気になりますよね。

3000万円の借り入れならば、たった0.1%の金利差でも総支払額が約60万円も変わってきてしまいます。0.2%なら軽乗用車が変えてしまう訳ですから、気になって当然です。

最近だと、日銀がマイナス金利政策を開始したというニュースが賑わっています。一見住宅ローンを借りる側としてはさらに金利が下がりそうな雰囲気のニュースで少し嬉しくなったりします。

今回は、住宅ローン金利が上がるか下がるかをどうやって考えれば良いのか、また、変動金利とフラット35に代表される固定金利の動向について考えてみたいと思います\(^o^)/

金利の仕組みをしっかりと理解しておくことで、金利の上がり下がりが単なるギャンブルではなくなります。住宅ローンという大きな借金を背負うわけですから^^;面倒ではありますが金利の決まり方を含めたその仕組みを理解しておいて損はないと思います!

住宅ローン金利と世界経済

住宅ローン金利を知るためには日本の景気・金融政策動向、さらには世界経済の流れを理解しておくことが不可欠です。

そんなことを言うと、大げさと思われるかもしれません。しかし、世界経済の流れを理解しているか、していないかで住宅ローンの借り入れの方針は大きく変わってきてしまいます。

 

マイナス金利政策を例にすれば、マイナス金利政策の導入は住宅ローンも含めて金利全体を押し下げる圧力にはなりますが、この政策は物価を上昇(安定)させるために行われている政策だということはご存じでしょうか

マイナス金利政策が成功すれば、住宅価格も含めて物価は上昇するのです。。。住宅ローン金利が下がっても、住宅価格が上昇し、借入額が増加しては身もふたもないですよね。。。

そもそも、このマイナス金利政策もうまく行っているとは言えません。なんだかニュースでは国債の利回りがマイナスになったと大騒ぎしていましたが、それ自体は日銀も想定していた結果と思います。しかし、想定外であったのが円高の進行です。

本来マイナス金利を導入すれば、日本でお金を借りてこれをドルに換えて海外に持っていって投資をすることで投資家はより多くの利益が得られます。ただし、海外で投資に回すためには日本円をドルに換えなければいけないため、円を売ってドルを買う、すなわち円安ドル高に進むと考えられていました。実際、マイナス金利導入のニュースが流れた直後は一気に円安方向に進んでいましたが、その流れはすぐに逆転し、110円台にまで円高が一気に進んでしまいました。

円高に進んでしまった原因は、マイナス金利と時を同じくして原油価格が1バレル30ドルを切ったことの影響と言われています。

でも、普通の感覚だと原油価格が下がれば、製品を製造するコストが下がるため、景気を上向きにする効果を持っていそうですよね。。。

今回の円高は米国のシェールオイルが関係してきます。ここでは省きますが、米国経済がシェールオイルに依存するようになってきた結果、競合である原油価格が下落するとシェールオイルは原油に敗北し、米国経済を悪化させてしまうのではないかと懸念されました。今回の原油価格の下落は、中国経済の減衰とあわせて中東諸国が米国のシェールオイルを潰しておく意図を持って価格調整が行われているのだろうと思っています。

そうなると、日本でいくら安くお金が調達できても、米国で投資をするのはリスクが高くなりますから本来は円安に進むはずが円高に進んでしまいました。

こうなってくると、住宅ローン金利の下げ幅も今後は縮小していくことが考えられます。しかし、マイナス金利の導入による景気刺激もうまく行かなかったことになってしまい、結果的にお金は借りやすいかも知れないけれど私達の給与は上がりにくい状況に変わりがなくなってしまい、デフレの再来にもなりかねません。。。

 

じゃあもっとマイナス金利を拡大して円を借りやすくしたら?と考えますが、それをはじめると世界全体でいわゆる通貨安競争を誘発しかねない状況にあります。これをやってしまえば、、、世界経済全体が減速しかねません。

ようするにこれ以上のマイナス金利拡大はすぐには困難な状況にあります。そのため、住宅ローン金利の値下がりもある種のチキンゲーム的な金利引き下げはあっても、全体としての引き下げは限界に近くなっているように思います。

5月に行われる伊勢志摩サミットではこの金融対策が大きな議題になるだろうことは想像に難くありません。そして、その結果次第で、住宅ローン金利が上がるか、下がるかが決まってくると思います。さらには、

 

普段はニュースで聞き流してしまうような経済ニュースも住宅ローンを借りる段階では常に耳を傾けておかないと大きな流れに飲み込まれてしまうことになりかねません。

今回は、そもそも住宅ローンの金利ってどうやって見れば良いのか?という点に主眼を置いて記事を書いてみたいと思っています^^

 

固定金利と変動金利では決まり方が違う。

ご存じの方も多いかと思いますが、変動金利とフラット35のような長期固定型の住宅ローン金利ではその金利の決まり方が異なるとされています。

しばしば見かける説明としては、『変動金利は日銀が公表する短期プライムレートと呼ばれる金利に連動するとされており、一方でフラット35のような長期固定金利は、10年国債利回りによって決まる』と説明されているのをよく見かけます。

これは、これで別に間違ってはいませんが、、、こういった情報は自分自身で確認することが重要です。

実際に確認していくと、「オイオイ話が違うじゃないか、、」ということになってきます

 

変動金利の決まり方

住宅ローン変動金利と店頭表示金利

私達が銀行からお金を借りる際の金利は各銀行が示す「店頭表示金利」と呼ばれる金利が基準となります。

ネット銀行などだと出していない所もありますが、多くの銀行ではこの店頭表示金利を示しています。

例えば三井住友銀行の店頭表示金利は下記のサイトの下の方でで確認できます。

 

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2016年2月末では、変動金利の店頭表示金利は2.475%となっています

この金利を見てあまりの高さに驚かれた方もいらっしゃると思います。

 

この店頭表示金利は、あくまで銀行が変動金利の決定を行うための指標とする金利であって、店頭表示金利でお金を借りることは通常はありません

三井住友銀行の2016年3月時点の状況を確認すると、実際に住宅ローンとして貸し出される際の金利は、店頭表示金利から1.85%の優遇が行われ、0.625%が適用されるとなっています。

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要するに店頭表示金利は2.475%だけど、新規の住宅ローンとして使ってくれるならば0.625%の金利で貸し出しますよ!となっているのです。

私たちが住宅ローン金利と呼んでいるのはこの優遇後金利である「0.625%」です。店頭表示金利はあくまで「定価」であって、「値引き後の価格」である実際の住宅ローンの金利とは全く違っているのです。家を買う時ってこんなのばっかりですね^^;

 

短期プライムレートと連動しているのは「店頭表示金利」

先に示した、「住宅ローン変動金利は短期プライムレートと連動している」という説明は、正しくは「短期プライムレートと連動するのは店頭表示金利」であって、短期プライムレートと住宅ローン金利はの動きは必ずしも一致しません。

 

実際に三井住友銀行の店頭表示金利と日銀が公表している短期プライムレートの推移を見てみます。

 

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上記のグラフは2001年4月~2016年2月までの日銀短期プライムレートと三井住友銀行の店頭表示金利を示しています。

ほとんどの期間で、オレンジで示した短期プライムレートに+1.000%を加えた金利が三井住友銀行の店頭表示金利となっていることが分かります。

この図からわかるように、店頭表示金利と短期プライムレートは連動していると言って間違いありません。

しかし、上記を見て分かるとおり、短期プライムレートは短期間に変動する類いの金利ではありません

現在の短期プライムレート1.475%になったのは、2007年12月のことなのです。。。

 

もしも住宅ローン変動金利がこのに短期プライムレートと連動しているならば、2008年以降、住宅ローン変動金利は変わっていないことになります。。。しかし、実際には大きく変わっています。

 

このことから、住宅ローン変動金利は短期プライムレートにを基準金利としているけれど、その他の要因(優遇金利)に寄って大きく変化するのです。

 

短期プライムレートが変わらなくても住宅ローンは下落

実際の住宅ローン価格がどうなっているかを、三井住友銀行の新規借り入れ変動金利型住宅ローンの最低金利推移で確認してみます。

2010年3月~2016年3月までの毎年3月時点の住宅ローン金利を図に示したものが下図です。

 

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この間、短期プライムレートの推移は1.475%で全く変わっていません。しかし、実際の住宅ローンの優遇後金利は2010年3月時点の1.475%から2016年3月の0.625%まで大きく下がっていることが分かります。金利下げ幅は0.85%ですから、2010年当時の変動金利に比べて半分以下の金利でお金を借りることができる状態になっていることが分かります。

 

月々の返済額は1万円以上軽減

金利が1.475%から、0.625%まで下落すると月々の返済額に対してどの程度の影響が出てくるのでしょうか?

借入額を3000万円、35年返済とすると、金利1.475%だと1年間の返済額は109.8万円になります。対して、0.625%だと、1年あたりの返済額は95.5万円となります。その差は14.3万円となりますから、月々の返済額にして1万円以上も返済額が軽減したことになります。

変動金利ですから2010年当時に1.475%で住宅ローンを借りてしまったとしても、通常半年ごとの金利見直しで月々の支払い額も減額されていますから、変動金利で借りることはメリットが大きかったとみることができます。

 

フラット35などの長期固定金利の決まり方

フラット35は国債利回りと連動

変動金利に比べるとフラット35の金利の決まり方はシンプルです。

一言で言ってしまえば、フラット35の金利は10年ものの国債利回りと連動しています。

 

実際に、フラット35(借入期間21年~35年)と日本国債の利回りの推移を見てみます。

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青がフラット35の金利、オレンジが日本国債の利回りを示しています。

2つのグラフは利回り自体には差がありますが、その推移はほぼ連動していることが確認できます。

 

フラット35の金利と国債利回りとの差を取ってみると下図が得られます。

 

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20010年以降はフラット35の金利と国債利回りの差がほぼ1.2%となっていることが分かります。

すなわち、国債利回りに1.2%を加えるとフラット35の金利になると言うことを意味しています。

このことから、フラット35の金利が将来上がるか、下がるかは国債の利回りが上がるか下がるかで決定すると言えます。

 

フラット35と変動金利の関係

先ほど、短期プライムレートは全く変化していないのに、実際の住宅ローン変動金利は銀行が独自に決める「金利優遇」の効果によって大きく下がってきている傾向を示しました。

では、この「優遇金利」は何によって決まっているのでしょうか?この優遇金利は銀行が自行の利益を確保し、かつ他行との競争に勝てる金利を設定しているため、何かに連動しているということはありません。

しかし、おおよその方向性はフラット35と同様に「国債」の利回りとほぼ同じ傾向を示します。

 

先ほどの三井住友銀行の変動金利のグラフにフラット35の金利、さらに10年国債利回りの毎年3月の平均利回りを一つのグラフに示しました。

 

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2016年に入って国債利回りがマイナスになるという異常値を示すまでは、オレンジ色で示したフラット35の金利、変動金利のいずれも国債と同様の傾向で下がっていたことがわかるかと思います。

すなわち、住宅ローン変動金利も国債利回りとほぼ同様の方向性で変化すると思って良さそうです。

要するに、国債利回りが下がりそうならば金利が下がり、国債利回りが上がれば変動金利もも上がるということです。

これから選ぶならやっぱり変動?それとも固定金利?

フラット35と変動金利の金利差から見たお得度?

住宅ローンを選択する上で悩ましいのが変動金利にするか、固定金利にするかだと思います。

 

この点については、先ほどのグラフから1つ面白いことがわかります。

2010年当時は変動金利とフラット35の間に金利差が1%以上ありましたが、2016年3月時点ではその差は0.6%まで縮まってきています

 

フラット35は35年間の固定金利です。一方で、変動金利で借り入れを行った場合、毎月(元金の)返済額が変化していきます(返済額は通常5年に1度の見直し)。

固定金利の場合は、将来の金利上昇リスクを貸した側、すなわち金融機関等が追っています。一方で、変動金利の場合は、将来の金利上昇リスクは住宅ローンを借りた側である私達がそのリスクを追っていると見なすことができます。

よって、固定金利と変動金利の差額は将来の金利変動リスクを回避するのにかかるコストと見なすことができます。

2010年時点では、そのコストが金利1%相当だったのが、2016年には0.6%相当まで0.4%下落したと言えます。

金利差で言ってもいまいちピンと来ないので、非常に荒っぽい言い方ですがお金に換算すると3000万円35年の借入額に対して、2010年当時は600万円のコストがかかっていました。それが、2016年には360万円まで下落し、240万円も安くなったと言えます。

固定金利であるフラット35が大きく値下がりしたと言えます。

 

ただし、別の見方をすればこの6年で将来の金利上昇リスクが小さくなりそれが内部化された結果が現状金利を示しているに過ぎないとも言えますから、一概にお得とも言えませんのでその点はご注意を。。。

 

金利の上昇リスクと下落メリット

金利は上昇したり下落したりします。

最初に書いた様に3000万円を35年ローンで借り入れた場合、たった0.1%の金利の変化が60万円の支払額の差を生み出します。

金利が1%変化すれば600万円にもなります。

 

そう聞くと、変動金利の方がお得だと思ってしまいそうです。。。ただ、個人的には今だからこそ固定金利を選択するのも良いと思っています。

今後の金利が上がるか、下がるかは私には分かりません。分かったら私は大金持ちになっています。。。

ただ、一つだけ確実に言える事があります。現在の変動金利は0.625%ですから、金利の下げ幅は最大で0.625%、団信を考慮すればどんなに頑張っても変動金利は0.5%以上下がりようがないのです。

一方で、過去の金利を見ればバブルのころの8%は異常にしても、1%台、2%台というのはつい5年前までは当然の金利でした。すなわち、1%程度の上昇は当然起こりえる金利上昇です。

さらに、これはあくまで私の個人的意見ですが、現在のマイナス金利政策は成功しても失敗しても金利上昇の方向に

 

そして、「マイナス金利政策」こそがこの金利を押し上げる可能性があると思っています。さらには、金利だけではなく物価も押し上げることになると考えています。

ご存じの方はそんなの当然じゃん!と思うかも知れませんが、マイナス金利政策は「物価を上昇させるために行っている政策」です。物価が上昇すれば、住宅の価格は当然上昇します。物価が上昇すれば金利も上がります。。。マイナス金利だ!金利は今後もどんどんと安くなるぞ~と思っていたら、気が付いたら家の価格は上がって、金利も上がってという可能性もないではないのです。

金利の下がりはせいぜい0.2~0.3%!上げ幅は無限大\(^o^)/とも言い換えることができます。。。。

変動金利と固定金利のいずれが良いかは個人の判断ですが、、、個人的には固定金利の方が良いと思っています。

また機会があれば、国債価格の決まり方やマイナス金利政策が住宅ローンに与える影響、さらにはそれらの知見を踏まえた住宅ローン借り換えタイミングなどについても書いてみたいと思っています!